Nov. 24 〜 Nov. 30 2008




” 金の切れ目は・・・ ”


今週のアメリカで最も大きなニュースになっていたのは 週前半までがシティ・バンクのベイルアウト、 そして週後半はインドのムンバイでのテロ報道である。
でも木曜がアメリカで最もビッグなホリデイであるサンクス・ギヴィング・デイであったため、 水曜午後から今週末までは 殆どの企業が休業となっており、例年のように この期間はアメリカという国自体がそれほど 機能していなかったのが実情。 それでも、サンクス・ギヴィング明けの金曜はブラック・フライデーと呼ばれ、アメリカで小売店が最も忙しい日。 多くの小売店はこの日1日にホリデイ・シーズンの3分1の売り上げを上げるとさえ言われており、 中には真夜中や午前4時、5時といった明け方にオープンするストアも少なくないほどなのである。
不振が予想されたこのブラック・フライデーを含む週末の売り上げであるけれど、蓋を開けてみればこの3日間ににショッピングに出掛けた 人々はオンラインも含めて1億7200万人。 売り上げは昨年より7.2%アップで、1人当たりの平均ショッピング金額は372.57ドルと こちらも昨年に比べて約7%アップが伝えられているのだった。
もちろんこの週末に人々がショッピングに殺到したのは、破格のバーゲンを求めてのこと。 そのバーゲン・ハンティング熱は例年より激しかったようで、ロングアイランドのウォルマートでは、朝5時の開店と共に怒涛のごとく なだれ込んだ買い物客に押し倒されて、セキュリティ・ガードが死亡するという事件が起こり、 同店舗はその後1日閉店を余儀なくされてしまったのだった。

実は私も ブラック・フライデーには友達と一緒に5番街のデパートを中心としたショッピングに出掛けていたけれど、 その多くが この日を待たずして 既に大幅なディスカウントを行っていたので、あまり掘り出し物が残っていなくて、 唯一購入したのがカシミア・ライニングのレザー手袋。これが劇安の37ドルで購入できたのだった。
今シーズン、個人的に 「一番セールに熱が入っている」と感じられたデパートは、サックス・フィフス・アベニュー。 同店では今週火曜日から30%〜40%オフの商品を更に50%オフにするセールが始まっていたけれど、 このビッグ・ディスカウントは、私のサックス・フィフス・アベニューの担当者でさえ「こんなセールは初めて!」と興奮しながら 事前に電話で知らせてきたほど異例のもの。
私も、早速火曜日に出かけて、ドレスを約75%オフで数枚購入してまったけれど、 全米で最大規模を誇る シューズ・セクションはロープを張って 入場制限をしていたような状態。 とは言っても殆どの人気シューズがプレ・セール(セール前に行う購入予約)で売れてしまっていて、 あまり掘り出し物が無かった上に、 多くの女性のお目当てであるクリスチャン・ルブタンの人気スタイルは、割引対象から外されていたのだった。

アメリカでは、明日月曜日が 通称「サイバー・マンデー」と呼ばれる 一年で最もインターネット・ショッピングの売り上げが高い日。ブラック・フライデーの週末にデパートや小売店で購入できなかったものを 人々がインターネット上のバーゲンで買い足すのがこの日で、今年は多くのウェブサイトが送料無料のサービスや 更なる割引のクーポンを常連客にEメールで送付するなど、例年以上に サイバー・マンデー に力が注がれているのだった。
でも 小売店にとって気になるのは、多くのアメリカ人が 「今年のクリスマス・ショッピングはブラック・フライデーからサイバー・マンデーまでで ほぼ終了」 と語っていることで、これから年末に掛けてはあまり売り上げが伸びることは見込めないのが実情のようである。
今日、11月30日付けのニューヨーク・タイムズのスタイル・セクションには、 「The Holiday Downsized / ザ・ホリデイ・ダウンサイズド」という大見出しと共に、「No Job and Fewer Gifts / ノー・ジョブ・アンド・ヒューワー・ギフト」という あまりフェスティブではない記事がフィーチャーされており、ここでは 昨年まで家族や親類同士でギフトを贈りあっていた人々が、失業や家計の苦しさを考慮して 親類一堂で 「今年のクリスマス・プレゼントは子供達だけにする 」 と 取り決めたエピソードなどがフィーチャーされていたのだった。

実際、アメリカでは10月に個人破産を申請した人々の数は10万8595件。1ヶ月に10万件を超えたのは 2005年に破産法が改正になり、 申請が難しくなってからは初めてのこと。 この数字は前年比に比べて34%もアップしているという。
この個人破産の3大要因と言われているのが 失業、医療費の支払い、そして離婚である。 離婚が原因の個人倒産は、主に子供の養育費や妻への扶養手当が支払えなくなった男性側が申請するもの。
ニューヨーク市では既に景気に陰りが見えてきた2007年の時点で、3万474組の離婚が申請されており、 このうちの43%がマンハッタンのホワイト・カラーに集中していたという。 また2008年に入ってからは、夫がファイナンス業界に勤める夫婦間の離婚が 25%も増えているとのことがレポートされているのだった。
こうしたウォール・ストリート離婚の原因は、収入の激減と失業が圧倒的で、これらに落ち込む夫に対して 妻があっさり見切りをつけるケースもあれば、 自分の収入が減っているにも関わらず、金遣いが荒い妻に対して 夫が見切りをつけるケースもあるという。
でもいずれのケースにも共通しているのは、夫側が 失業やボーナスの激減によって すっかり意気消沈し、 落ち込んでいるのに対して、妻側は 「夫の仕事の問題は夫が自分で解決するべき」 と考えている点であることが指摘されていたりする。 加えて、それまで金銭的に羽振りが良かった男性が金銭パワーを失うと、それと同時に自信やプライドにも揺るぎが出てきてしまうようで、 往々にして 夫のマネー&パワーに惹かれて結婚した妻側としては 「そんな夫の情け無い姿は見たくない」、「そんな夫には魅力を感じない」 という状況になってしまうようである。
なので、「そんな夫に連れ添っているより、扶養手当や養育費を受け取って別れた方がマシ」というのが妻側の離婚理由。 一方の夫の方は、「自分が稼いでいる時は自分以上にお金を使って、苦しい時には何のサポートも得られない」 というのが言い分で、特に今年に入ってからは離婚が成立するまでの期間が昨年までよりも50%伸びているという。 ちなみに離婚成立までの時間が余分に掛かるというのは、それだけ財産分与が複雑な、経済的に豊かな夫婦の離婚が増えていることを意味する訳である。


でも、男性側が昨今のファイナンシャル・クライシスによって収入と自信を同時に失う姿を見て、魅力を感じなくなってしまうのは シングル女性とて例外では無いようである。
私の友人はヘッジファンド・マネージャーをしている30代後半の男性と、別れたり、くっついたりを3年近く繰り返してきたけれど、 その彼がファイナンシャル・クライシス以降、非常に態度を軟化させて 突然優しくなって来たという。 彼のヘッジファンドは今年9月のリーマン・ブラザースの倒産以来、大損失を繰り返していて このままのマーケットの状況では来年まで仕事があるか、無いかの状況。 そうなったら彼のセントラル・パーク・ウエストのペントハウスも手放すことになってしまうため、 「今年のサンクス・ギヴィングは窓からメーシーズのパレードが眺められる最後の年かもしれない」 と語っていたという。
その彼に、プロポーズという訳ではないものの 「自分も結婚して落ち着いて、子供が欲しい」 と言われた彼女は、 喜ぶかと思いきや、何となく彼への思いがシラケて行くのを感じてしまったそうで、 そんな自分に驚いたと言っていたのだった。
彼女曰く、稼いでいたときの「自信に満ちた、自分勝手な男」 としての彼の方が セクシーに感じられたのだそうで、 だからこそ散々振り回されても我慢してきたというけれど、現在の彼は態度が軟化した分、 それまで彼女を惹き付けていたオーラも衰えてしまったというのである。

このファイナンシャル・クライシスは、既婚、シングルを問わず、人々のセックス・ライフにもかなりのインパクトをもたらしているようで、 うつ病治療薬会社の調べによれば、アメリカの成人の62%がファイナンシャル・クライシスに突入してから、セックスの回数が激減したと 答えているという。
その一方でヴァイアグラの今年の第3四半期の売り上げは2007年に比べて13%もアップ、 またバイブレーターに代表される女性向けのセックス・トイの先月10月の売り上げは2007年同月に比べて何と86%もアップしているという。
こうした調査やデータの結果、指摘されるのが 男性の精力がダウ平均と比例しているということで、 経済的なストレスがあまりにもパワフルで、すっかり勢いを削がれている現在の男性像が浮かび上がっているのだった。

でも男性がそれだけ勢いを削がれれば、それまで彼らからの恩恵を受けていた ”ゴールド・ディッガー”、すなわち 彼らのお金を当てにしている若い女性達も勢いを削がれてしまうのは当然のこと。
10月のミートパッキングやチェルシーのナイト・シーンからは、ウォールストリートのバンカーの姿がすっかり消えてしまって、 それまで彼らにドリンクを払わせていた若い女性達が、自腹でカクテルをチビチビ飲んでいる姿が 先週のニューヨーク・ポスト・マガジンの記事になっていたのだった。
この記事によれば、かつてはこうしたゴールド・ディッガー達は「$1ミリオン以下の収入の人とはデートしない」と 豪語していたそうだけれど、その台詞はすっかり聞かれなくなってしまったという。 しかも、このままの状況が進めば今後金融業界は更なるレイオフが来年にも見込まれているから、 彼女らにとっては益々 そのターゲットが絞られて行くことになるのである。

そんな女性達の間で現在最も重要視されている男性の条件は 「EPがあること」。 これは Earning Potential / アーニング・ポテンシャル、 もしくは Eaning Power / アーニング・パワーの略で、要するにお金を稼ぎ出す力やその可能性のこと。
こんなご時世だと、誰もが以前よりも羽振りが悪くなっているのは当たり前であるけれど、それでもその状況を乗り切っていくだけの 収入が得られるか?というのがそのジャッジの基準であるというから、かなりハードルが下がっているのは紛れも無い事実なのである。

ところで、こんなご時世にアメリカでビジネスを経営していくのが大変なのは、私に限らず 全てのスモール・ビジネス・オーナーに言えることだと思うけれど、私にとって以前よりもビジネスがやり易くなっているのは、 取引業者が非常に協力的になってくれていること。
例えば、以前は 「コストが掛かる」、「難しい」といって製作を拒まれ続けていた ピンク・ゴールドにピンクのシミュレーテッド・ダイヤモンドを入れた テニス・ブレスレットの製作も 先日再度打診したところ、引き受けてもらえることになったのだった。
ここ2年ほど、ピンク・ゴールドが好きでたまらない私は、CJのエタニティ・リングのセクションで扱っている ピンク・ピンク・エタニティにしても、実はそのオリジナルは 自分がつけるために特別に製作してもらったもの。 同じリングのホワイト・ゴールド、イエロー・ゴールドはダイヤモンド・ディストリクトで既に扱われているものだったけれど、 このピンク・ゴールド・バージョンは今もCUBE New Yorkのために特別にキャスティングしてもらっているものなのである。
リングの出来が気に入った私は、直ぐにブレスレットもオーダーをしたのだけれど、その時点では ピンク・ゴールドはキャスティングが難しいことを 理由に 「ブレスレットのような大きなものはダメ」 とあっさり断わられていたのだった。 でも今年のクリスマスはダイヤモンド・ディストリクトにもかなり危機感が走っていることもあり、 1年以上頼んでダメと言われて来たものがいきなりOKになってしまったのだった。

また昨今のCUBE New York の一番人気商品となっているコスメティック・ピロー・ケースにしても、 本来はアメリカに独占の販売業者が居たにも関わらず、日本にのみ販売することを条件に、 特別に商品を卸してもらえることなったのは、リセッション時ならではの ラッキーな出来事なのである。
そのコスメティック・ピローケースは 私は8月から愛用しているけれど、 このケースはかなりサイズが大きいので、私はピローに被せず、眠る時だけ 枕の上に縦に敷いて、背中にまで効果が及ぶようにして使っているのだった。
このピローケースは、サイトでもご説明しているように銅が織り込まれているので対バクテリア効果が抜群である上にアンチ・エイジング効果もあるもの だけれど、私は顔については 職業柄あまりに 日頃からいろいろな新しいプロダクトを試しすぎているために、一体何がどう効いているのかが 自分でも把握できない状態になっているのだった。なので顔の肌のアンチ・エイジング効果についてはご説明し難いけれど、 個人的に感ている変化としては、白髪の量が減ってきているということ。 そもそも私は20代の頃から若白髪があって、32歳にして当時のボーイフレンドに指摘されて白髪染めを始めたくらいに 白髪があったけれど、その出方が減ったので、タッチアップの回数を月2回から1回に減らすことにしたのだった。
それと、私の友人で背中のアクネに悩んでいた友人に、私のようにピローケースを縦にして背中が ピローケースに当たるように使用するのを薦めたところ、彼女の背中のアクネがかなり改善されたそうなので、 ピローケースのアンチ・バクテリア効果は アクネ・バクテリアにも効用を発揮してくれるようである。

これと同じ素材を使ったのが、新たに取り扱いをスタートさせた キャス&カンパニーのシェーパー(緩やかな矯正下着)であるけれど、 このシェーパーに関しては 半信半疑で 着用して、効果を実感する出来事があったのだった。
というのも、昨今は素足よりストッキングを履いた方がファッショナブルということで、4年ぶりにストッキングを履こうと思った私は、 いわゆるパンティ・ストッキングではなく、シリコン・テープがガーターの役割をして太腿で留めるタイプのストッキングを着用したのだった。 すると何故か左足の太腿前方、幅にして5cmほどの部分のみが シリコン・テープのせいでミミズ腫れを起こすという 奇妙な現象が起こって、その後2日が経過しても ミミズ腫れのピンク色は一向に引く様子を見せなかったのだった。
ちょうどその時に届いたのがキャスのサンプルで、試しに着用したところ、1日でその腫れがビックリするほど引いたのには 自分でも驚いてしまったのだった。これは素材が良かったのか、シェーパーの適度なプレッシャーが良かったのか? 理由は定かではないけれど、こんなに変わるならば写真を撮っておけば良かったと後悔したほどだったのである。
でも、頭を冷やしてみれば ミミズ腫れが3日目に引くのは別に珍しいことでは無いので、あえてその翌日にシェーパーの着用をやめたところ、 前日よりミミズ腫れのピンク色が濃くなってしまったので、シェーパーが効果を発揮していたことを実感してしまったのだった。 このミミズ腫れのお陰もあって、私は自信を持ってこの商品をサイトで扱うことを決めたけれど、 そもそもシェーパー自体は今年の春から導入を考えていて、そのブランド選考を進めていたのだった。
私がシェーパーを扱おうと思ったのは、友人の招待でダウンタウンのクレイというファッショナブルなジムに出掛けたところ、 そこに来ていたモデル嬢が、細いにも関わらずシェイパーを身に着けていて、 「これを着けていた方が、皮下脂肪の付き方がコントロール出来る」と言っていたのだった。
確かに、キツめのブラなどをつけていると、その部分の肌がが徐々に凹んで来るものだし、 ベルトでウエストを締め付けていれば、その部分が細くなるもの。 皮下脂肪はある程度、身体の締めつけや 座り方などの行動で動くものであるから、 彼女の言うことは理にかなっていると思ったし、彼女自身シェーパーを付けた方がヒップアップすることを盛んに強調していたのだった。
私はコルセットのような矯正下着は、ストレスになるので絶対に着用できないけれど、 シェーパーについては、仕事の時に着用していて何の苦にもならないので、毎日ではないものの 愛用を続けているのだった。
でも私はシャワーから出てきてバタバタ着替えることが多いけれど、 シェーパーは肌に水分が残っていると滑りが悪くなって、特にカプリ・パンツは着用に時間が掛かかってしまうもの。 なので、身体が完全に乾くまで着用を待たなければならないのが、私が唯一このプロダクトを不便に思っているところなのである。





Catch of the Week No. 4 Nov. : 11 月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Nov. : 11 月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Nov. : 11 月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Nov. : 11 月 第 1 週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。