Nov. 23 〜 Nov. 29 2015

”Adele Week ”
アデル・ウィーク


今週のアメリカは、木曜日が年間最大のホリデイである サンクスギヴィング・デイであったため、早い人は火曜日から連休モードに入っていて、 政治、経済もこの週は例年大きなニュースが無いため、メディアの注目と報道が集中していたのがシンガーのアデル。
4年ぶりのアルバム「25」が 11月20日発売になったアデルは、先週末から今週にかけてアメリカで 猛烈なプロモーションを行っており、 発売前から噂されていたのが、同アルバムが 2000年にジャスティン・ティンバーレイク率いるインシンクが樹立した アルバム発売第一週の売上げ記録、242万枚を 突破するであろうという見込み。
音楽業界では、アイチューンに代表されるミュージック・ダウンロードが普及して以来、ファンが アルバム内の好きな楽曲のみをダウンロードする傾向が高まり、アルバムの売上げが大きく下がったのは周知の事実 それに加えて、ここ数年ではミュージック・ストリーミング・サービスがどんどん普及して、アップルやグーグルまでもがそれに参入したけれど、 それと同時に お金を払って音楽を購入する人々が 若い世代を中心にどんどん減少傾向を辿っていたのが実情。 したがって、そのご時世でアルバム売上げの新記録が生まれるというのは 本当に凄いことであるけれど、 アデルも、テイラー・スウィフト同様に 「ストリーミング・サービスはミュージシャンに対して十分に利益を還元していない」という考えの持ち主で、 彼女の音楽はCDの購入、もしくは有料ダウンロードでしか手には入らないのだった。




ビルボード誌によれば、そのアデルの「25」は アメリカ国内だけで 発売から1週間で338万枚を売り上げており、新記録達成はもちろんのこと、 史上初めて1週間で300万枚以上を売り上げたアルバム。「25」が発売されるまでは、2015年のベストセラー・アルバムは テイラー・スウィフトの「1989」の180万枚であったけれど、「25」は僅か1週間でそれを抜いてしまっているのだった。
またミュージック・ダウンロードだけに目を向けても、今週のアメリカにおけるダウンロード売上げの42%を占めていたのがアデルの楽曲。 すなわち、ダウンロードされた音楽の5曲中2曲以上がアデルの楽曲だったということになるけれど、 これまでダウンロード週間最多記録を保持していたのは前述のテイラー・スウィフトで、その数字は売上げ全体の21%。 今週のアデルは その2倍の数字で記録を塗り替えたことになるのだった。

アデルの「25」が記録破りのヒットになると見込まれていた理由は、アルバムに先駆けて公開されたシングル 「Hello / ハロー」 がメガ・ブレイクしていたためで、以下のミュージック・ビデオは 約1ヶ月前にYouTubeにアップされて以来、 今週末の時点で約5億3000万回視聴されているのだった。


年齢層を超えてアピールする その圧巻の歌声が 彼女の人気とアルバム売上げの要因と言われるけれど、 そんな家族3代が惚れ込むアデルの音楽をコメディ・スケッチに落とし込んだのが 「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」の以下のビデオ。
サンクスギヴィングの食卓を囲む家族が 口論に発展しかける度に、子供がアデルの「ハロー」を掛けると 大人たちがその歌声に陶酔してしまうという設定。オリジナルのミュージック・ビデオがあまりに有名であるからこそ 笑いを誘えるスケッチであるけれど、これが放映された先週土曜日のSNLに アルバムのプロモーションを兼ねて ミュージック・ゲストとして登場していたのがアデル。
放映後から 同スケッチは ストリーミング・サービスやインターネット上でヴァイラルになっていたのだった。


今週にはそれ以外にもアデル関連のビデオがヴァイラルになっていたけれど、そのうちの1本が NBCの高視聴率の夜のトークショー、「トゥナイト・ショー」に アデルが出演した際に収録された以下のビデオ。
ここではトークショー・ホスト、ジミー・ファロンの隣に座ったアデルが「ハロー」を歌っているけれど、その演奏は全て子供のおもちゃ楽器。 でもそれを演奏しているのは、「トゥナイト・ショー」のオフィシャル・バンドで、ヒップホップ界で大きな功績があるルーツのメンバー。
同じ企画のビデオが インターネット上でヴァイラルになったのは、イディナ・メンゼルが歌った「レット・イット・ゴー」以来のことで、 4日間で1300万回視聴されているのだった。


さらに今週、もう1本ヴァイラルになっていたアデル絡みのビデオが 以下のBBCの企画。これは アデルが自分のそっくりさんに扮して 自分の物真似コンテストに参加するというビデオ。 ”ジェニー”と名乗りながら、自分の大ファンに混じって出番を待ち、ステージで歌いだした途端に 他の参加者達がギョッとする様子が笑いを誘うビデオで、 1週間前にアップされて以来、3500万回視聴されているビデオなのだった。



アデルと言えば、その歌声と共に、美しい顔立ちでも知られる存在であるけれど、 昨今、YouTube上に出回っているのが、以下のような アデルの顔になるための メークアップ・チュートリアル・ビデオ。
アデルはそもそもはっきりした顔立ちであるものの、それをコントアーと強力なアイラインで、更に彫深い インパクトのある顔に仕上げているのが彼女のメーク。 そんなアデル・メークの人気を受けて、昨今では ビューティー・ショップで アイライナーの売上げが伸びていることさえ指摘されているのだった。


アデルの本名は、アデル・ローリー・ブルー・アドキンズで、1988年5月5日生まれの27歳。前作のアルバム「21」が 全世界で3000万枚を売上げたことから、 一躍スターダムに登りつめた彼女は、現時点の推定でその資産は日本円で90億円以上。
トークショー等に出演する度に、ブリティッシュ訛りの強い英語で、ユーモラスで気さくな人柄をアピールする彼女であるけれど、 ソーシャル・メディアを通じたファンへのアピールはしておらず、私生活をメディアからプロテクトしてきたのがこれまでの彼女。
でも、アルバム「25」のサクセスのせいで、ニューヨークではファンはもちろんのこと、パパラッツィに追いかけられるようになり、 彼女が何処で何をして、どのブランドの服を着用していたかなどが、メディアで逐一報じられていたのが今週。 中でも、アデルがジェニファー・ローレンス、エマ・ストーンと共に 人気のモダン・メキシカン・レストラン、コスメ でディナーをした様子は、そのメンバーの豪華さも手伝ってメディアで大きく報じられることになったけれど、 このニュースはレストラン側にとって、願ったり叶ったりのパブリシティなこともあり、 3人がメニューから何を選び(写真下左)、その支払いをもう1人の無名の人物と4人で折半したなど、 詳細がレポートされていたのだった。
レストラン側によれば、ジェニファー・ローレンスとエマ・ストーンの2人は前の週にもコスメでディナーをしていたとのことで、 今週それにアデルが加わったために大報道になったということが、現在の彼女がいかにニュース性があり、 雑誌の売上げやインターネットのアクセスを増やすパワーがあるかを物語っているのだった。






週末には、アデルのイケメン・ボディ・ガードまでが メディアの注目を浴びるような状況になっていたけれど、 彼はオランダ出身のピーター・ヴァン・ダー・ヴィーン。 これまでにもレディ・ガガやイギー・アゼリアのボディ・ガードを務めてきたセレブ専門のセキュリティ。
このクラスのセキュリティになると、アデルが出掛けるイベントやアクティビティに合わせて、彼の服装もチェンジして、 時にエスコート役も務めるので、ルックスが良いのは当然であるけれど、 意外に多いのがセレブリティのボディ・ガードを務めるうちに、パパラッツィが撮影したスナップから キャスティング・エージェントなどの目に留まり、ハリウッド・デビューを果たしたり、 別のセレブリティやビジネス・エグゼクティブのボディ・ガードに高額ギャラで引き抜かれるというケース。 見方を変えれば、今週はアデルを追いかけるパパラッツィがそれほどまでに多かったということなのだった。

メディアの中には、アデルがソーシャル・メディアを使って 「何処に出掛けた」、「何処で何を食べた」、「今何をしている」などと自分の行動を ポストする事なくして、その歌声と才能だけで今週の大記録をうち立てたことを評価する声も聞かれていたけれど、 アデルの場合、逆にそれをやってしまったら大きなイメージダウン。
世の中にはソーシャル・メディアで売り込んだ方が良いものと、そうでないものがあるということを今週痛感した人は少なくなかったけれど、 やはりソーシャル・メディアを使わずして売れる方が クォリティやプレステージ、実力が高いイメージであることは否めないのだった。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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