Nov. 30 〜 Dec. 6 2009




” Why Men Cheat? ”


今週のアメリカ、および世界中のメディアで大きく報じられていたのが、言うまでも無く タイガー・ウッズの不倫報道。
この不倫が大きく報じられるきっかけとなったのが、先週のサンクス・ギヴィング・デイの夜中、金曜の午前2時25分に タイガーが自宅近くで起こした交通事故がきっかけであったけれど、 この事故の間接的な原因と言われたのが、タイガーの不倫をめぐってのエリン夫人(29歳。写真上中央のニューヨーク・ポスト紙で、タイガーの隣に写っているブロンド女性)との口論。 2人は隣の家が遠く離れている高級住宅街でも、隣人が口論の内容を聞き取れるような大声で怒鳴りあっていたことが伝えられていたのだった。
2人が口論に及んだのは、 タイガーとパーティー・プロモーターの レイチェル・ユカテル (34歳。写真上、右側のニューヨーク・ポスト紙の表紙に、白のビキニ姿でフィーチャーされた女性)の関係を タブロイド誌 「ナショナル・エスクワイア」が今週発売号で報じようとしていることをエリン夫人が知ったためと 言われているけれど、そのレイチェル・ユカテルは当初 タイガーとの関係を否定していたのだった。
ところが、この報道を知って タイガーの3年に渡る愛人として名乗りを上げてきたのが、ロサンジェルスのカクテル・ウェイトレス、 ジェイミー・グラブス。(24歳。写真上、左側のNYポスト紙の表紙に 赤いドレスでフィーチャーされている女性。) 彼女は、タイガーが自分以外の女性とも不倫をしていたことに失望して、タブロイド誌にタイガーとの不倫スキャンダルを 告白したとの事であるけれど、彼女はその独占インタビューに応じたUSウィークリー誌から 約1500万円を支払われていることが伝えられているのだった。
通常だったら、お金を支払われてストーリーを提供するカクテル・ウェイトレスと、その噂を否定するクリーン・イメージのスーパースター・ゴルファーのどちらを信用するかと言えば 後者であるけれど、ジェイミーはタイガーが留守電に残したメッセージや300通にも及ぶテキスト・メッセージという動かぬ証拠を握っての告白をしていただけに、 これが報道されることを知ったタイガー・ウッズ側は、それまでホームページに掲載していた交通事故の釈明メッセージを訂正し、 水曜には 正式に不倫を認めるコメントをしたのだった。

ところが、ジェイミー・グラブスがメディアに出現してから、弁護士を雇い、突如スキャンダル否定のコメントを 覆そうとしたのが、レイチェル・ユカテル。 彼女は木曜にプレス・カンファレンスを行い、「タイガーとの不倫を否定したのは彼をプロテクトするための嘘だった」と語る予定だったことが 伝えらるけれど、 これを知ったタイガー側は、1億〜3億のキャッシュと引き換えに、レイチェルに対して2人の関係についてメディアには語らない 協約を取り付けたことが報じられているのだった。
とは言っても今週末までにタイガー・ウッズの愛人として名乗りを上げた女性は、レイチェル、ジェイミーの他にも3人居て、計5人(この数字は12月7日月曜の報道で9人に増えています)。 しかも、後から登場する愛人ほど メディアの注目を引こうとするせいか、かなり露骨なタイガーとの セックス・エピソードを赤裸々に語っており、私自身、今週はこんな報道を読んだり、見たりしているうちに タイガー・ウッズを見る目がすっかり変わってしまったのだった。

彼の愛人達はいずれもカクテル・ウェイトレスやナイト・クラブのマネージャーなどで、1人だけモデルが居るけれど 彼女とてパーティーの盛り上げ役として ヴェガスのクラブで行なわれたパーティーでタイガー・ウッズに出会っているのだった。
またメディアは タイガー・ウッズの愛人はいずれも ロングヘアでスタイル抜群、不自然にシェイプされた眉、オレンジのトーンに日焼けした肌 (スプレー・タンで肌を焼いているという意味)という外観の共通点があることを指摘しているけれど、 正直なところ、彼はあまり女性の趣味が良いとは言えないのが実情なのだった。
彼女らは タイガーが結婚していることを承知で彼との不倫関係を続けていた訳だけれど、 それについては、「Who cares! It's Tiger Woods! (構うもんですか! 相手はタイガー・ウッズなのよ!)」というグルーピー的なノリを友人に語っていた愛人が居たかと思えば、 そのうちの2人は、「タイガーが不幸な結婚生活を送っていた」とコメントし、彼が離婚をして自分と結婚するかもしれない日を夢見ていたことを インタビューで語っているのだった。

事実、エリン夫人とタイガーの仲は既に冷め切っていたことが伝えられており、 2人の間には、2歳になる娘のサム・アレクシスと今年2月に生まれた息子のチャーリー・アクセルが居るけれど、 エリン夫人がアレクシスを身ごもっている最中も、タイガーは今回名乗りを上げた愛人のうちの2人と交際しており、 チャーリー・アクセルが生まれてからも、彼が口止め料を支払ったレイチェル・ユカテルと交際していたことが伝えられているのだった。

エリン夫人については、元モデルと言われているけれど、実際にはテスト・シュートばかりしていたような全く売れていないモデル。 そんな彼女がタイガーに出会ったのは2001年の全英オープンでのこと。スウェーデンのゴルファー、ジャスパー・パーネヴィックのナニー(子供の世話役)として、 トーナメントに同行していたエリンは、タイガーの目に留まり、2人はジャスパーによって引き合わされたものの、当初、エリンはタイガーには全く興味を示していなかったという。
その時のトーナメントに参加していた独身のプロゴルファー達は、皆、当時21歳の若きブロンド美女、エリンに興味を示して、 列を成して彼女に 声を掛けようとしていたという。結局タイガーとエリンは翌年、2002年から交際をスタート。2004年に約1億5000万円を掛けて挙式を行い、2006年には、 39億円の邸宅をフロリダのジュピター・アイランドに購入。2人は今回事故が起こったフロリダの約2億3000万円の邸宅に加えて、カリフォルニア、ワイオミング、スウェーデンにも 豪邸を構えていることが伝えられているのだった。

ゴルファーとして、そしてスポーツ選手として初のビリオネアになったタイガー・ウッズの現時点での総資産と言われるのは約600億円。
もし、エリンがプリナプチャル・アグリーメント(結婚前に離婚した際の財産分与を取り決める協約)にサインしていなかったら、 2人が離婚をすれば、エリンはその財産の半分近くを受け取り、さらに子供の養育費として毎月数百万円を受け取ることが出来たはずであるけれど、 タイガーとエリンの間で結ばれたプリナップ(プリナプチャル・アグリーメントの略称)によれば、彼女は10年タイガーと結婚していたら、約20億円を受け取れる という契約。すなわち現時点で離婚しても彼女は養育費しか受け取ることが出来ないのだった。
エリンは今回の不倫騒動の以前から、 ”ユーモアのかけらもない 退屈な エアへッド(頭の中が空っぽという意味)” という陰口が聞かれていたけれど、そんな ”エアヘッド” でも一たび弁護士が付けば 賢く立ち回れるようになるもの。
彼女は現在タイガー・ウッズに対して、プリナップの書き直しを迫っている最中で、 タイガー側から提示されている条件では、現在離婚をしなければ キャッシュで約5億円を直ぐに受け取ることが出来、 今後7年結婚していれば、その後離婚しても約80億円が支払われるという。 あと7年という数字は、恐らくタイガーのプロゴルファーとしての選手生命をまっとうした段階であれば、 離婚をしても、そのメディアの報道や タイガーのイメージダウンが控えめであろうことを計算したタイム・テーブルであると思われるけれど、 タイガー・ウッズが既に冷め切っている結婚生活をお金で買わなければならない理由というのは、彼のメジャーな収入源である広告出演料を 稼ぎ出すためのイメージを守るため。

タイガーは年収にして117億円ほどを稼ぎ出しているけれど、そのうちの約100億円が広告出演料やプロダクトのライセンス料等、 トーナメントの賞金以外によるもの。 したがって、スキャンダルによるイメージダウンで、広告スポンサーが離れてしまうことは、トーナメントに勝てないことよりずっと彼の収入に多大な影響を与えるのだった。
その広告スポンサーは、スキャンダルが明るみになって以来、一切のコメントを避けているけれど、 これほどまでに愛人が何人も出てくる以前は、「タイガー・ウッズは これまでロボットみたいに クリーンなイメージであり過ぎた。このくらいのスキャンダルが あった方が人間らしくて良い」という指摘も聞かれていたのだった。 でも、後から後から愛人が出てきて、しかもSMプレーを含むセックスの露骨な描写などがコメントされると、事情が異なってくるのは言うまでもないことなのである。
実は タイガーの不倫は2007年の時点でナショナル・エスクワイア誌が既に嗅ぎ付けていたもの。 でもそれを知ったタイガー側は、同誌の姉妹誌、”メンズ・フィットネス”のために 彼がそれまで決して応じたことが無かった 表紙撮影と取材に協力することで、その記事をもみ消したという前歴もあるほどなのだった。

今週のアメリカでは、今回のタイガー・ウッズを始め、かつての民主党大統領候補、ジョン・エドワーズ、全ニューヨーク州知事のエリオット・スピッツァー、 トークショー・ホスト、デヴィッド・レターマンなど、愛人問題でキャリアの危機を迎えたセレブリティを例に挙げて、 何故そんなリスクを冒してまで、男性は不倫&浮気をするのか?ということがかなり話題になっていたのだった。
やはりアメリカという国は、キリスト教カルチャーなので 浮気、不倫というものに対して非常に厳しい国。 でもその割には、セレブリティに限らず、一般の男性でも あまり深く考えないで浮気をするケースが多いのも また事実なのだった。
私の個人的な意見では、浮気をしない男性というのは、そもそもあまり異性とかセックスに興味が無い男性で、 浮気をする男性が 女性に注ぐ時間や情熱を別のものに傾けていたりするもの。 中には、別のものに情熱を傾けて、しかも浮気もしている男性というのが居るけれど、 その夫の情熱の対象が、仕事であっても、数千万円のワインのコレクションや、世界を巡る写真撮影の旅といった趣味であっても 妻は浮気されているのと同じような孤独感や、 フラストレーションを感じるもので、それとて十分に離婚の原因になっているのだった。
でも女性にって、仕事や趣味より 浮気が腹立たしく、しかもそれによって傷つくのは、1つには自分の存在が脅かされる行為であるためで、 浮気されることによって、相手の女性よりも見下された気分を味わうことになるのである。
でも、浮気する側の男性の思考というのは、妻に日頃から冷たくされているといったケースであれば、 優しさなどを求めて それを提供してくれる女性に魅かれる場合があるかもしれないけれど、 往々にして 馬が鼻の前に釣り下がっているニンジンにかぶりつくようなもので、 深い思考や比較分析などには基づかないもの。
浮気した男性の謝罪の良く聞かれる言い訳に、「あの時はどうかしていたんだ」、 「どうして彼女が良く思えていたのか 分からない」というものがあるけれど、 これはまんざら、適当な言い訳の台詞というだけでもないのである。
だから浮気された妻側は、蔑まれた気分を味わう必要も無いし、浮気相手の女性にしても 妻に対する優越感を抱くのは間違い。
タイガー・ウッズの愛人達にしても、「彼が浮気をしたのはセックスをしたかっただけで、彼が離婚をする意思などなく、 自分はそれに利用された」ことを認めているのである。

でも不倫、浮気は男性に限ったものではないもの。結婚生活でも交際でも、ある程度長く続いて安定期に入れば、 男性側にとっても、女性側にとっても、エキサイトメントが失われて、その関係に安らぎが得られる反面、退屈に感じられたり、心が乾いたりする訳で、 そんな時に 若くてキュートな異性が誘惑してきたら 気分が良くなって、フラフラとそんな楽しいお誘いに乗ってしまいたくなるのは 男性にとっても、女性にとっても同じことなのである。
以前私の男友達が、「浮気っていうのは、こっそりやって、こっそり終わらせるのが楽しめる秘訣」と語っていたことがあるけれど、 世の中には結婚生活を続けるために浮気が必要な 人も居る訳で、 そういう人にとっては、「こっそりやって、こっそり終わらせる」というのは大切なコンセプト。 また、家庭を守りたかったら、浮気が怪しまれても、決して認めてはいけないのだそうで、謝罪して全てを許してもらおうというような 甘い考えを起こすことは大間違いであるという。

そうは言っても 浮気に限らず、バレたら困ることというのは どんなに上手くカバーアップしても、いずれはバレるもの。
タイガー・ウッズのスキャンダルにしても、2007年にもみ消した不倫が発覚したのは 愛人の母親がナショナル・エスクワイアに情報を流したため。 今回の件も レイチェル・ユカテルが知り合いにタイガーとの不倫を自慢して 言いふらしていたことから、再度ナショナル・エスクワイアに嗅ぎ付けられてしまったのだった。
英語には 「2人の人間が秘密を守れる時は、1人が死んだ時」という表現があるけれど、 人間にエゴがあって、喋る能力が備わっている限り、秘密というのは バレるものなのである。





Catch of the Week No. 5 Nov. : 11月 第 5 週


Catch of the Week No. 4 Nov. : 11月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Nov. : 11月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Nov. : 11月 第 2 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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