Nov. 28 〜 Dec. 4 2011

” Are You A Cheap Date? ”

今週のアメリカで、経済の明るい見通しとして報じられていたのが、金曜に発表された11月の雇用統計で、 失業率がそれまでの9.1%から8.6%に下がったというニュース。(写真上左)
これは過去2年半で最低の数字となっており、11月の1ヶ月間にアメリカでは12万の新しい仕事がクリエイトされているのだった。 でも これを手放しに喜べないのは、失業率が大幅に下がった要因の1つが、新たに生み出された仕事の数を遥かに上回る 31万5000人の失業者が職を探すのを諦めたためであること。
これは、31万5000人のアメリカ人が 失業者であることからも失業した状態ということになるけれど、 実際のところ アメリカでは、失業期間が長くなれば長くなるほど、新しい仕事が見つけにくくなるのが実情で、 「1年以上失業していた人は採用しない」と謳う企業もあるほど。 なので、失業状態が長引いた人々が職探しを諦めてしまうのには、それなりの理由も存在しているのだった。

もう1つ、今日12月4日、日曜に大きく報じられたのは、共和党の大統領候補として立候補していた ハーマン・ケインが、相次ぐ女性からのセクハラの訴えに加えて、彼と13年間愛人関係にあったという女性が名乗出たことを受けて、 「大統領候補としての選挙活動を中断する」と発表したニュース。(写真上右)
セクハラ・スキャンダルが浮上してから 支持率が下がり続けていたハーマン・ケインであるけれど、 その選挙戦から身を引くのではなく、あえて選挙活動を ”Suspend / サスペンド (中断する)” という表現を使ったのは、 彼は今後もアメリカ中を遊説して回り、彼の政策を人々にアピールする活動を続けるためとのこと。
秋口には、共和党候補の中でトップの支持率を集めていたケインは、一番最初に政府のシークレット・サービスの 警備がついた民主党候補者でもあったけれど、4人の女性が彼からのセクハラ行為を受けたと訴えた頃から その支持率が徐々に低下。彼は、「女性達がウソをついている」と 主張し続けてきたけれど、その直後には 国際問題について記者に尋ねられて、 5分間も答えられずにいる様子を収めたビデオが、メディアやインターネット上で大きく取り上げられるなど、 徐々にほころびが出てきていたのだった。
そして、今週に入って彼と13年間愛人関係にあったという女性が、その電話の記録など 動かぬ証拠を持ってメディアに登場したことから、その選挙キャンペーンは大打撃を受けており、土曜日に発表された事実上の 選挙戦断念は 今週ずっと噂されてきたこと。
愛人の女性が名乗り出た理由として語っていたのは、「セクハラを訴えた女性達が、一方的に社会から ウソツキ呼ばわりされているのを見かねた」ということであったけれど、 一部では、ハーマン・ケインは大統領選挙を、自らの著書の売り上げアップと、ゲスト・スピーカーとしての フィーをアップさせるために使っているという指摘も聞かれており、 実際に彼は選挙活動より、著書のプロモーションに力を入れていたことが周囲のスタッフからも語られていたのだった。


ところで、2週間前のこのコーナーで ”ゴールド・ディッガー”について書いたけれど、 先週、私のアメリカ人の友達からEメールで送られてきたのが、男性にデート・アドバイスを提供するウェブサイトのリンク。
そのリンクのページのタイトルは「どうやってゴールド・ディッガーを見分けるか?」というものだったけれど、 そこに書かれていたのは、デート・アドバイスのドクターに寄せられた サイトの読者の体験談兼、質問なのだった。

それによれば、この読者は33歳で、ロサンジェルスのハリウッド・ヒルにプール付きの邸宅を構えており、人からルックスを誉められると 自負するほどに外観に自信を持っていると思しき男性。 彼がパーティーで出会って、電話番号をゲットしたのが、スタイル抜群のブロンド美女。
デート・ドクターのアドバイスに忠実に従って、1週間待ってから彼女に電話をかけて、デートに誘った彼は、 ファースト・デートで彼女を迎えに行く際、愛車のレクサスではなく、フォードF150 のピックアップ・トラックを運転し、 公園を散歩した後、値段は極めて安いけれどオーシャン・ビューが美しいカジュアル・レストランでディナーをしたという。
2度目のデートは1週間後、その際はカジュアルなメキシカン・レストランでディナーをしてから、1ドル・シアターで 映画を観たとのこと。 でもこの日に彼女にキスをしようとして拒まれた男性は、もう2度と彼女をデートに誘わないと誓ったという。




ところが、彼女と出会ったパーティーに居合わせた男友達がこぞって、「あんな美人をそんな程度でギブアップするなんて馬鹿げている!」というので、 彼はその10日後に 再び女性に電話をし、公園で行なわれるジャズのフリー・コンサートにテイクアウト・ディナーを持って出かけようと誘ったのだった。 これに対して女性側は「ジャズが嫌い」という理由でそれをあっさり断ったという。
その数日後、彼は偶然ニュース・スタンドで彼女を見かけ、挨拶かたがた声を掛けたところ、 突如、凄まじい勢いで彼女がお説教&抗議を始めたという。 彼女曰く、彼は「ケチで、女性が嫌いで、女性の扱いを全く理解していない」のだそうで、「私が今までデートしてきた男性は、もっと私を敬意を持って扱ってくれたもの。 もしあなたが、ちゃんとした男性なら私に花やギフトを贈ってくれるはず。」と機関銃のようにまくし立てたというけれど、 特に彼女が彼に対して連発したのが 「Cheap/安っぽい=ケチ」という言葉。
その後、彼女が90年代に流行った男女関係のレクチャー本「マーズ・アンド・ヴィーナス・オン・ア・デート」を読むようにと 彼に迫ったので、「君が持っている本を貸してくれる?」と彼が言うと、「たかだか7ドル50セントよ」との彼女の答え。 これに対して彼がよせば良いのに、「だったら7ドル50セント貸してくれる?」などと冗談交じりで言ったので、彼女は再び怒り出し、 「大体、あなたは最初のデートで7ドルしか使っていないでしょ。2度目のデートの時だって20ドル以下。 女友達に、私がこの2回のデートでいかに侮辱されたかを話したら、皆、”そんなケチなデートは聞いたことが無い”って言っていたわ!」、 「あなたはルックスは良いけれど、こんなデートをしていたら、絶対ガールフレンドなんて出来ないわよ」 と 熱弁をふるい、30分にも渡って 彼をなじり続けたという。
烈火のごとく腹を立てる彼女を見て、自分とのデートがいかに彼女にとって屈辱的であったかを悟ったその男性は、デート・ドクターに コメントを求めていたのだった。

これに対してデート・ドクターのレスポンスというのが、まず男性が彼のアドバイスにしたがって、1週間待ってから女性に電話を掛けたことにふれて、 「多くの男性は、電話番号を貰ったその日や翌日に電話をして失敗する」と言ってから、「彼女はゴールド・ディッガー以外の何者でも無い」と断言。 彼がレクサスではなく、ピックアップ・トラックでファースト・デートに出かけたことを讃えて、「もし女性が本当に彼に興味があるなら、バス停のベンチに座って ピーナッツ・バター・サンドウィッチを食べながらでも時間を一緒にすごそうとする」として、デート相手の女性は、彼が仕掛けた ゴールド・ディッガーを見分けるテストに見事に引っかかったと 決めつけ、 「こんな女性と結婚する羽目になったらどんなことになると思う?」とコメント。
デート・ドクターが唯一、男性のミスだと指摘したのは、キスを拒まれた後、3回目のデートに誘ったことなのだった。

このページのリンクは、私だけでなく、CCで数人の女友達に送付されていて、送り主の女友達がこのページを読んで、 「こんなチープ・デートと、馬鹿ドクターに、女性がゴールド・ディッガー扱いされるなんて・・・」と腹を立てたため、 その怒りをシェアしてもらおうと送付してきたのだった。
送られた女友達のリアクションは、「ニュース・スタンドで30分も男性をなじるのは行き過ぎ」としながらも、 「女性がゴールド・ディッガーである以前に、この男性のチープ・デートぶりは酷い!」というのが殆ど。 「ハリウッド・ヒルにプール付きの大きな家を構えているのに、2回のデートで30ドル以下の出費というのはケチにもほどがある!」、 「大学生以下の交際なら、最初の3回のデートが公園の散歩、1ドル映画、フリー・ジャズ・コンサートでも文句が出ないけれど、 30代の大人のデーがこれでは、男性側の常識を疑う!」というのがその言い分。
私の20代と30代の男性の友達にも このサイトのリンクを送って意見を求めたけれど、彼らも「こんなチープ・デートぶりだったら、 女性側がゴールド・ディッガーであろうと、なかろうと3度目のデートを断って当然」と言っていたのだった。


でも西海岸、ことにLAのデートのスタンダードは、世の中一般とはちょっとズレている上に、LAはニューヨークより 外食の価格が低いので、そのロケーション的な意識の違いまでは私には分からないけれど、 ニューヨークのシングルの間では、最初のデートにそれほどお金を使わない というのは、別に責められるべきことではないこと。
加えて、2回しかデートしていない女性に対して、花やギフトを贈る必要は無いというのも、男女共通の見解。 それでも、このサイトに登場した男性を ニューヨーカーの男女がチープだと判断するのは、 実現しなかったデートを含めた3回のデートが全て、度を越えたチープさであるため。 「3回もデートするならば、1回くらいは 高額でなくても、まともなレストランで食事をするべき」というのが、ニューヨーカーの間では ほぼ常識としてまかり通っているデート・マナーなのだった。

でも私が不思議に思うのは、ハリウッド・ヒルのプール付きの家に暮らして、レクサスを運転するグッドルッキングな33歳が、どうしてインターネットの デート・ドクターのアドバイスを参考にしてデートしなければならないのか?ということ。
そもそも、私の女友達は こぞってこのデート・ドクターのアドバイスが馬鹿げていると貶していたけれど、 そんなアドバイスを鵜呑みにして、電話番号をもらって1週間も待ってから女性に電話をするような男性は、女性経験が浅く、 女性に対して自信が持てないと察するのが相当。
したがって、この男性はルックスが良く、そこそこの収入はあっても、こんなチープなデートを繰り返して、ろくに女性と付き合ったことが無いとも推測出来るのだった。

また、私がデート・ドクターのアドバイスの的が外れていると思うのは、「もし女性が本当に彼に興味があるなら、バス停のベンチに座って ピーナッツ・バター・サンドウィッチを食べながらでも時間を一緒にすごそうとする」という点で、これは男性側の思考を女性に押し付けた以外の何物でもないもの。
男性なら、出会って間もない時点でも 自分が惹かれた女性と一緒に時間を過ごすためなら、どんな苦労や労力も厭わないものだけれど、 それは女性には当てはまらないケースが殆ど。 これは男性の方が、本能的に自分が惹かれる存在を嗅ぎ分ける能力に長けていて、短時間で恋愛感情を高めることが出来るため。
男性が女性に興味をそそられるのには、3秒と掛らないといわれるのに対して、 女性の恋愛感情は、もっとずっとゆっくりデベロップされるもの。
加えて、男性にとっての女性のアトラクションの70%は外観のルックスから来ているのに対して、 女性は収入、包容力、ユーモアのセンス、能力、体力 等、もっと広い視点から相手を見て、惹かれていくもの。 したがって、ルックスが劣る男性でもユーモアとそこそこの収入があって、女性に優しく接することが出来れば、 女性側は時間が掛かることがあったとしても、やがてはその男性を愛するようになったりするもの。
見方を変えれば、女性はルックスで男性の心を捉えることが出来なければ、まずその男性を射止めるチャンスは無いと言えるけれど、 男性側は、ルックスが悪かろうと、お金が無かろうと、女性にアピールする何らかの要素と、熱意さえあれば 女性のハートを射止めるチャンスがある訳で、その意味では男性の方が 理想の女性と結ばれる可能性が高く、 女性の方が、描いた理想像とかけ離れたパートナーに落ち着くケースが少なくないのである。

すなわち、恋愛というのは男性が一生懸命に女性にアピールしていく方が纏まる可能性が高く、 それは、お金があっても無くても同じこと。 高額なレストランやギフトを支払えない男性でも、バラ1輪や、チョコレート1箱という自分の経済力に見合ったレベルの努力で、 女性のハートを射止めているケースは非常に多いのである。
そうやって、一度恋愛感情がデベロップされれば、女性側も男性に情が移って 相手のために尽くすようになる訳で、 女性というのは、男性によって良くも、悪くも変わるように出来ているのだった。
しかしながら、恋愛感情がデベロップされる前に、相手の収入レベルに不相応なほどにチープなデートを続けられたら、「男性が自分のことをこの程度にしか思っていない」と女性側が 判断して、デートを断ってきたとしても不思議ではないし、決して責められるべきことではないもの。
このウェブサイトに掲載されていた例は、”どっちもどっち” という感じであったけれど、 確かに美人の女性というのは、出会ったばかりの男性に高いレストランに連れて行ってもらったり、ギフトを貰ったりという思いをしているケースは多いのだった。
でも、男性というのは女性が何を言ったところで、簡単に変わるようなフレキシビリティは持ち合わせていない生き物。 したがってチープ・デートを責めたところで、女性側はゴールド・ディッガー扱いをされるだけで、何のメリットも無いのである。


ところで、世の中で「ケチ」と呼ばれる人々が 必ずしも「チープ・デート」とは限らず、 「チープ・デート」と判断される人が、必ずしも「ケチ」とは限らないというのが、一般にまかり通っているセオリー。
確かに”自分に対してはお金を使うケチ” というのは、デート相手への出費を自分のための出費と見なしているうちは、 お金を使ってくれるもの。またデート相手にさほどお金を使わない人が、チャリティに寄付をしたり、ホームレスにお金をあげたりするのも 珍しくない話なのだった。
でも私は大学時代に、とある人から 「デートであっても、なくても、女性とコーヒー(もしくはティー、ソフト・ドリンク)を飲んで、 それを割り勘にするような男は、仕事でも、家庭でも、人生でもダメな男」とアドバイスされたことがあったけれど、 これは本当に当たっているセオリー。 事実、まともで そこそこにサクセスフルな男性というのは、ゲイ男性も含めて、女性のドリンクを払ってくれるもの。
逆に割り勘にする男性というのは、ケチ扱いをする以前に それ以上の人間的欠陥が感じられて、 彼がケチであることにまで考えが及ばないケースさえあるのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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