Dec. 7 〜 Dec. 13 2015

”Dress Codes Get Complicated ”
曖昧かつ複雑になる NYドレス・コード・ガイド


今週のアメリカで最大の報道になっていたのは、先週カリフォルニアのサン・ベルダルディーノで起こった イスラム教徒による大量銃撃テロを受けて、共和党大統領候補のドナルド・トランプが 移民、旅行者を含めた 全てのイスラム教徒の入国を拒否する政策を打ち出したこと。
ドナルド・トランプは パリでのテロが起こって以来、イスラム教徒のデータ・ベース登録やモスクの監視など、 イスラム教に対する差別政策を次々と選挙キャンペーンで打ち出しており、徐々にネオ・ナチのようになっていく彼の主張は、 民主党支持者、及び無党派層からは「エンターテイメントを通り越して、もはや危険な思想」と指摘されて久しい状況。
でも、これまではトランプの主張が過激になれば なるほど、共和党支持者は そのスピーチに熱狂的なリアクションを見せ、 支持率もアップしてきたけれど、イスラム教徒の入国拒否政策については共和党内、特にこれまで彼の暴言を黙認してきた 共和党上層部からも顰蹙を買った一方で、今週ニューヨークのプラザ・ホテルで行われたトランプの寄付金集めのイベントの際には、 彼の主張に反発する多くの人々が抗議デモを行ったことが報じられていたのだった。
そのトランプの支持率は、週の半ばまでは引き続きトップを走っていたものの、週末に発表された最新の支持率調査では、 アイオワ州で テッド・クルーズに10ポイント以上を離されて2位に転落。 全米の共和党支持者の間での支持率は、かろうじて今も1位を保ってはいるものの、やはり急追を見せるテッド・クルーズとの デッドヒート状態。
トランプ、およびこれまでトランプに次ぐ2位を走ってきたものの、昨今大きく支持率を低下させているベン・カーソンは、 共に 共和党の候補者に選ばれなかった場合、無所属でも立候補することを今週明らかにしているのだった。




さて12月のパーティー・シーズに入って、ドレスアップ・オケージョンが増えてきているけれど、 今ではソーシャル・メディア上にディナーやパーティーの写真をアップする人が多いだけに、 ドレス・コードで失敗すると、その場の恥だけで済まないのは誰もが実感するとおり。
でも昨今のニューヨークは、ドレス・コードを明記するレストランやラウンジがどんどん増えてきているので、 パーティー・シーズンでなくても、ドレスコードを意識するケースは少なくないもの。 頻繁にパーティーや、ディナーに出掛けているニューヨーカーであれば、何となく頭で理解しているドレス・コードのコンセプトがあって、 それにしたがってアウトフィットをチョイスすることになるけれど、 どんどん曖昧かつ、複雑になっているのがドレス・コード。

ドレス・コードは、通常なら カジュアル、ビジネス、フォーマルといったアウトフィットのカテゴリーを指定するものであるけれど、 パーティーの場合は 主催者が服のカラーを指定したり、”70年代ファッション”のように時代を指定するなど、 パーティーのテーマやコンセプトに沿った服装がドレス・コードの場合もあるのだった。
通常、パーティーはインヴィテーションにドレス・コードが記載されているけれど、 このところ ニューヨーク、ロサンジェルス、マイアミといったパーティー・メッカの都市では、 男性も女性も服装がどんどんカジュアルになってきていて、唯一今もコンサバなドレス・コードが続いているのはワシントンDC。
これを受けて、ここ数年増えているのが かつてはブラック・タイであったイベントが ”ブラック・タイ・オプショナル”、 すなわち タキシードを着用しても、ダーク・スーツを着用してもOKというイベントにドレス・ダウンするケース。

また服装がカジュアル化するにつれて、そのカジュアルの分化も顕著で、 単に ”カジュアル”という場合は どんな服装でもシューズでも OKであることを意味するけれど、それ以外にもカジュアルには ストリート・カジュアル、ビジネス・カジュアル、スマート・カジュアルという3つのメジャーなドレス・コードカテゴリーが存在しているのだった。

以下は、ニューヨークにおける女性と男性のドレス・コードのカテゴリーを実際のアウトフィットでご紹介したビジュアル。






ニューヨークでドレス・コードがあるステーキ・レストランが打ち出しているのはもっぱらビジネス・カジュアル。 またホテル内のレストランや、スタイリッシュなレストランが打ち出すドレス・コードと言えば 通常はスマート・カジュアル。 既にジャケット・リクワイヤード、タイ・リクワイヤードというドレス・コードの記載は時代遅れになっているのだった。

ドレス・コードは 通常、女性より男性がヴァイオレーションに引っかかるもの。というのも 女性のファッションは、 カテゴリーをひと括りにするのが非常に難しい一方で、男性のファッションには今もルールが根強く存在しているため。
クラブやラウンジで男性が入店を断られる例としては、ショーツやTシャツの着用、スニーカーやサンダルの着用があるけれど、 昨今ではスタイリッシュな男性が 夏にボトムが膝丈のスーツを着用し、スーツに合わせて クリスチャン・ルブタンや、ジュゼッペ・ザノッティの 高額スニーカーを履くので、ドレス・コード破りほどファッショナブルであるケースは少なくないもの。 そうしたケースでは、ドレス・コード違反として断固として入店させない例もあれば、ドアマンの判断に委ねるケースもあるようなのだった。


これがブラック・タイ・オケージョンになると、タキシードさえ着用していれば、ドレス・コード違反になることはないものの、 フォーマル・ウェアのルールを理解せずにアウトフィットを選ぶと、ファッションのドレス・コード破りになるケースは多々あるもの。
例えば写真上、一番左はゴルファーのロリー・マキロイであるけれど、ショール・カラーと光沢素材のタキシード・ジャケットに シルク・ネクタイを合わせるのはかなり不思議なチョイス。しかもシューズがカジュアル過ぎる上に、パンツの丈をきっちり合わせていないのも問題。
左から2番目は俳優のジョシュア・ジャクソン。彼の問題点はブラック・タイのアウトフィットにホワイト・タイをしていることで、 これはオバマ大統領が初めての大統領就任式で犯したミスと一緒。ホワイト・タイは トム・フォードが写真1段上の一番右で着用しているような 燕尾服を着用する時のみにつけるもの。ホワイトのタキシード・ジャケットでも、ブラック・タイ・オケージョンではブラックの蝶タイは当たり前。
左から3番目のオバマ大統領は、パンツのカットが悪く、ジャケットが長過ぎで時代遅れのスタイル。 ポケット・チーフが入っていないのも、気になるポイント。
その隣のアーサー・エルゴットは、タキシードの着こなしのお手本のようなスタイル。その隣のロバート・パティンソンは、 蝶タイではなく、フラット・タイをつけた3ピース・タキシードを上手く着こなした例。 右から3番目で、一歩間違えるとみっともなく見えるドルチェ&ガッバーナのタキシードを シューズまでコーディネートして スタイリッシュに着こなしているのはマイケル・B・ジョーダン。
右側2枚は、タイをしていないものの ブラック・タイ・オケージョンでOKのアウトフィット。 同じ服装で、スマート・カジュアルのパーティーに出席しても問題が無いスタイル。




女性の場合も、男性の場合も、最もファジーなドレス・コードと言えるのがスマート・カジュアル。
例えば、写真上は全てスマート・カジュアルのカテゴリーに入るアウトフィット。 女性の場合、カクテル・ドレスを着用していてもシューズやバッグに遊び心があればスマート・カジュアル。 男性の場合、ビジネス・スーツよりもエッジーなスーツを着用すればスマート・カジュアル。
でもビジネス・カジュアルや、スマート・カジュアルは 地方都市ではニューヨークより ずっとカジュアル。 写真下左側は地方都市の男女のビジネス・カジュアル&スマート・カジュアルであるけれど、 ニューヨークでは男性がポロシャツ&カーキ・パンツを着用していた場合、家電チェーンのテックサポートにしか見えないのが実情なのだった。

ドレス・コードは、薄着になる春夏シーズンには緩むのが通常で、写真下右側はカップルのカジュアル、ビジネス・カジュアル、スマート・カジュアルの着こなし例。 冬にニューヨークで ドレス・コードが緩むのは もっぱら雪の日。それでもアグ・ブーツを履いているのは時代遅れと 見場の悪さで、パーティーでは歓迎されず、クラブやレストランでは優遇されないのが通常。


どんなオケージョンでも よほど酷い格好をしてない限りは、ドレス・コード抜きに歓迎されるのは若く、長身のモデル・ルックスの女性&男性。 結局のところ、ドレス・コードというのは 見た目でパーティーやレストラン、クラブ内のバランスを取るためのもの。 したがって、ルックスの良さが優先されたとしても全く不思議ではないのだった。

ところで貧富の差が大きく開いて久しいニューヨークでは、個人が大型のペントハウスでパーティーを主催するケースも少なくないけれど、 そうした場合、インヴィテーションに何も記載がない場合は、スマート・カジュアルで出かけるのがニューヨークのルール。 毛皮を用いたアイテムの着用で他のゲストから顰蹙を買うことはまず無いけれど、 主催者が動物愛護運動家だったり、ヴェジタリアンを通り越してヴィーガンの場合は、 パーティー中に人の目に触れる形で毛皮のアイテムを着用するのは避けた方が賢明。

最後にニューヨークでは、パーティーでもディナーでも、ナイトアウトでも 女性の場合、「迷った時はブラック・ドレスを着用すれば間違いない」 というセオリーは今も健在。 汚れが目立たず、痩せて見えて、着まわしが効くブラック・ドレスは、ニューヨークのファッショニスタが 最低10枚はクローゼットに吊ってあると答えるほどの必需品。 ミニ丈、膝丈、膝下丈、マキシという4種類の丈のバラエティに加えて、袖の長さのバラエティ、肌の露出のバラエティ、 レースやジャージー等の素材やシルエットのバラエティから自分に必要なものを揃えておくと、 ニューヨークでは 殆どのオケージョンがブラック・ドレスでスタイリッシュに乗り切ることが出来ます。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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