Dec. 13 〜 Dec. 19 2004




Don't Match.com



先週のニューヨーク・タイムズのスタイル・セクションに掲載されていたのが、 「E-dating Bubble Springs a Leak」というタイトルの記事。 これは、要するにマッチ・ドット・コム、ヤフー・パーソナルに代表されるオンライン・マッチメイキングのバブルがはじけて、 ブームが冷めてきたことをレポートしたものであった。
同記事によれば、2002年に73%、2003年に77%も収益を伸ばしてきた、オンライン・マッチメイキングであるけれど、 今年は19%の伸びに止まり、来年には更なる業績不振が見込まれているという。 一時はTVコマーシャルまで行い、飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びていた マッチ・ドット・コムにしても、そのサブスクリプションを更新しない利用者が相次いでおり、 2003年の第4四半期には$117ミリオン(約123億円)を稼ぎ出していた同業界は、 2004年に入ってからは、第1、第2四半期の合計収益が$114ミミリオン(約120億円)と、 そのビジネスも半減し、これに伴ってスタッフのレイオフや、撤退、合併統合が進んでいることも伝えられていた。

この記事で紹介されていたマッチメイキング・サイトの元利用者の苦情は、アメリカに住んで、 オンライン・マッチメイキングに少しでも馴染みのある人ならば、既に耳にタコが出来るほど聞いているもので、 「サイトに紹介されているプロファイルとは全く異なる人間がデートに現れる」というもの。 具体的には、ハンサムなサイトの写真とは全く異なる人物だったり、収入や仕事、年齢、身長を偽っているというものであるけれど、 シングルを装ってセックス・パートナー探しをしている既婚者(ことに男性)が多いというのも頻繁に聞かれる苦情である。

実は、私はこの記事が出るまでもなく、オンライン・マッチメイキングのことを このコラムに書こうと思って準備を進めていたところで、 そのきっかけとなったのは、先日のパーティーで、「マッチ・ドット・コムを通じて、3ヶ月間に約60人とデートした」という男性に会って、 その体験談をじっくり聞かせてもらったことだった。
彼は、見たところデート相手を探すには困らないようなタイプで、服装も適度にファッショナブルであるし、 身長も177〜8センチはありそうだし、顔も超ハンサムではないけれど、アメリカ人女性ならばグッド・ルッキングだと思う 顔立をしているのである。 そんな彼がどうして マッチ・ドット・コムにはまっていたかと言えば、「面白いほど手っ取り早くデート相手が見つかったから」だったという。
彼は収入こそは、実際よりも1ランク上を偽っていたものの、顔写真や身長等、ルックス面では 全く偽る必要が無かったために、自分の写真を使い、ありのままのインフォメーションを載せておいたのだそうで、 これによって彼は、出会った女性達から「写真の通りルックスで現れた 数少ない男性」として非常に好感を持たれただけでなく、 マッチ・ドット・コムの多くの利用者とは異なり、プロフィールにウソの書き込みをしなかった 「誠実な男性」と信頼されることになり、 誰も彼の収入を疑うことは無かったという。
彼のもとには、毎週100〜200通以上のEメールが寄せられており、その中から選んだ約60人の女性と デートに次ぐデートを重ねたというけれど、その殆どは1回限りで終わっており、2回以上デートをしたのは10人足らず、 3回以上デートをしたのは3〜4人程度。 最高記録は5回デートした女性で、交際期間は2週間。でもその間、彼は別の女性達ともデートをしており、 彼が5回デートした女性と別れることになったのは、彼女がエクスクルーシブな交際、すなわち「他の女性に会わないで欲しい」と 求めてきたからだったという。

彼のデート相手選びにはポリシーがあって、「顔と全身が良く分かる写真を送ってきた女性としか会わない」、「離婚経験者と シングル・マザーは避ける」ようにしていたそうで、前者は「デートに失敗しないために当然のこと」、そして後者は 「離婚経験者はすぐ結婚したがる、シングル・マザーは何かにつけて子供の話をして、つまらない」からだという。 また、1回限りのデートで終わる女性と、2回以上デートをする女性を分けるポイントは、まずルックス、話が合うこと、そして「(結婚に繋がるような)真剣な交際よりも、 一緒に楽しめるパートナーを望んでいる」ことだったという。
私が個人的に最も驚いたのは、1度目のデートで彼とセックスまで及んだ女性の数で、 今や「ニューヨーカーの10人に1人がエイズ等の性病を持っている」と言われるご時世にもかかわらず、 約60人中、45人程度であったというから、 例えハッタリが入っていたとしても、彼にとっては 物凄い「勝率」だった訳である。

でもそんな彼が 何故マッチ・ドット・コムから自分のプロフィールを下ろしたかと言えば、マッチ・ドット・コムで出会うタイプの女性に 飽きてしまったからで、彼によればマッチ・ドット・コムで出会った女性というのは、姿形こそは違っても、中身は皆似たタイプであったという。
それは、どんなものかと言えば、思い込み型、言い訳型で、 前者は「自分はこういうタイプだから」と自分のことを分析、解説するものの、 それが実像とはズレている上に、彼のことまで「あなたはこういう人だから」と決め込んでくるタイプ。 後者は、「自分がマッチ・ドット・コムでパートナーを探さなければならないのは・・・」と、くどくど言い訳したかと思えば、 「自分が今こんな仕事をしているのは・・・」とか、「自分がルーム・メイトと暮らしているのは・・・」などと、 自分に自信が持てない部分があると、それについて 言い訳しなければならないタイプだったという。

たしかに、こうした2点がアメリカ人男性に嫌われるのは良く理解できるけれど、 私から見ればこうした女性達は、Eメールを交換する間に、相手に対してイマジネーションを膨らませている訳であるから、 ある程度の思い込みがあっても仕方が無いと思うのである。 また、 今でもデート・サービスを通じて男性に会うことを恥ずかく感じている女性は多いし、 「初対面がデート」という状況で、相手に良いイメージを与えたいと思うあまり、 いろいろな言い訳をしてしまう気持ちも 理解出来なくはないのである。
でも、もし彼が職場で毎日のように顔を合わせている女性とデートをした場合は、 お互いについて、もっと少しずつ、時間を掛けて知り合える分、こんな思い込みや、言い訳を聞かされる機会が、 かなり減るのは容易に想像がつくことで、見方を変えれば、 オンライン・マッチメーキングを通じてデートを重ねるということは、 フラれ易い体質を身につけていることにもなりかねないという訳である。


私が話を聞いた男性は、最初から真剣な交際など求めずに マッチ・ドット・コムを利用していただけに、 同サービスを通じて出会った女性達に文句を言いながらも、一時的には かなり楽んでいたのは事実で、 彼の体験談は、悲壮感の全く漂わないものである。
でも、私が知る限り、オンライン・マッチメーキングを利用した女性達は、「この人なら良いかなぁ と思った男性は既婚者、 シングルでルックスが まぁまぁな人はジョブレス(失業者)や変人、仕事をしていて 真面目そうな男性はキスをするのも不可能なルックス」 と、苦い経験の連続を語る場合が少なくないのである。 ここまで酷い経験をしていない人でも、口を揃えて語るのは、オンライン・デーティング・サービスを使えば、 2〜3回食事をする程度のデート相手は見つかるけれど、それがシリアスな恋愛関係や結婚に発展することは無いということ。
こうした経験でオンライン・デーティングに疲れた女性達によれば、 マッチ・ドット・コムは 「Sooo Last Year!」、すなわち2003年までの流行。 シングル・キャリア・ウーマン達は、今年に入ってからは、個人が主催するシングルズ・ディナーや、 プロフェッショナル・シングル・ミクサー等のオフライン・イベントに参加する傾向が強くなっているという。

例えば、私の知人のアメリカ人女性が、つい最近メンバーになった、個人経営のシングルズ・ディナーのオーガニゼーションは、 メンバーの紹介がなければメンバーになれないシステムで、 入会時には、収入がごまかせないように税金の申告書類のオリジナルを持参して、インタビュー(面接)に出向かなければならないそうで、 職歴、経歴などの簡単なプロフィールも、その場で記入させられるという。 さらに、「記入した情報に相違いがありません」という宣誓書にまでサインさせる徹底ぶりで、ウソやごまかしは許されない世界。 料金はイニシエーション・フィー約1000ドルに加えて、ディナーに参加する度に300ドルを支払うことになるという。
ディナーは男性、女性共に4〜5人、計8人か10人が1つのテーブルに着席するスタイルで行われ、 コーヒー・タイムになるまでは、同じ席に座っていなければならないのがルール。 ディナーが行われるのは主催者宅で、主催者はメンバーを変えて毎週1〜2回のディナーを行っているというけれど、 1人のメンバーが1年に参加できるディナーは6〜8回程度であるという。
このオーガニゼーションも、多くのマッチメイキング・ビジネス同様、女性のメンバー数が男性を上回っているようで、 ルックスが良く、ロイヤー、ドクター、ファイナンス関係など、収入やソーシャル・ステイタスが高い仕事をしている男性は、 気に入った女性に出会えるまで、頻繁にディナーに招待されることになるという。
もし1年間に このパーティーに6回参加した場合、イニシエーション・フィーも含めて2800ドルが掛かる訳で、 マッチ・ドット・コムよりは遥かに多額の出費であるけれど、 それだけに選ばれた人々に出会えるという点や、実際に結婚したカップルも多いという実績も手伝って、 フィーに文句を唱えるメンバーは居ないのだという。

こういった話を既婚の友人にすると、「シングルは大変ねぇ」などと同情してくれたりするけれど、 そんな既婚者も シングルを装ってまで オンライン・デーティングに参加していることを思うと、 「既婚者とて大変なのかもしれない」というのが、私の偽らざる感想である。

ところで余談ではあるけれど、マッチ・ドット・コムに登録したアメリカ人女性によれば、 髪の毛をブロンドに染めていた時の写真を使った方が、リアクションが多かったのだそうで、 一方の男性は、写真の中にテニス、ゴルフ、セイリング、スキーなどをしている風景を入れると、 非常にウケが良いのだそうである。






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