Dec. 13 〜 Dec. 19 2010




” メディアで振り返る2010年 ”


今週のアメリカでは、先週オバマ大統領が共和党と合意した減税法案が議会で可決されたことが最大のニュースとなっていたけれど、 この法案には大統領が 早速17日、金曜日に署名。財政が悪化するアメリカで、 少なくとも あと2年は 富裕層が優遇される税制が 続くことになったのだった。

その一方で、エンターテイメントの世界では年明け早々からスタートする授賞式シーズンを控えて、 今週は ゴールデン・グローブ賞、SAG(サグ)アワードの通称で知られる スクリーン・アクター・ギルド賞のノミネーションが発表されていたのだった。
こちらは予想通り、フェイスブックの創設者、マーク・ザッカーバーグが フェイスブックをスタートさせるプロセスを描いた「ソーシャル・ネットワーク」と、 英国のエリザベス女王の父親に当たる ジョージ6世が、 言語障害を乗り切る過程を描いた「キングス・スピーチ」の一騎打ちとなっているけれど、 どちらも時代背景は異なるものの、実話に基づくストーリーとなっているのだった。

もちろん この2本のうち、社会的インパクトが大きいと言える作品は、文句なしに「ソーシャル・ネットワーク」。 そのマーク・ザッカーバーグは 同作品の影響もあって、タイム誌が選出する 2010年の 「パーソン・オブ・ジ・イヤー」に選ばれているのだった。(写真左)
タイム誌の「パーソン・オブ・ジ・イヤー」は、必ずしも その年を象徴する人物が選ばれるとは限らないものであるけれど、 今年に関しては 多くの人々が 「納得のチョイス」 という意見。でもこれは タイム誌のエディターによる投票で選ばれたチョイスで、 一般の人々の投票で最多数を獲得したのは、WikiLeaks / ウィキリーク の創設者であり、今週イギリスの刑務所から仮保釈されたばかりの ジュリアン・アサンジュ。
ちなみに彼はタイム誌のエディターの投票では第3位で。第2位に選ばれていたのは、 ”ティー・パーティー”。 これは共和党支持者による グラスルーツ・ムーブメントで、 民主党政権にありがちな増税、大きな政府に反発する人々のこと。
それ以外に2010年のパーソン・オブ・ジ・イヤーの候補としては、チリの炭鉱夫、レディ・ガガ、アップル社の創設者スティーブ・ジョブス、 移籍問題が大ニュースとなったNBAのルブロン・ジェームス、オバマ大統領、サラー・ペイラン、先述のティー・パーティーのムーブメントを盛り上げた フォックス・ニュースのパーソナリティ、グレン・ベックなどが名を連ねていたけれど、 2010年を悲観的に反映した候補として ”アメリカの失業者” といったチョイスも挙げられていたのだった。


12月も半ばに入ったとあって、 昨今のアメリカのメディアで盛んに見られるのが タイム誌同様の2010年に活躍した人々、2010年に最も話題となった人々の特集、及び2010年の出来事を振り返る報道。
芸能番組「アクセス・ハリウッド」によれば、同番組が2010年に最も報道時間を割いたセレブリティは、 1位がダントツで不倫スキャンダルのタイガー・ウッズ。2位がリンジー・ローハン、3位がメル・ギブソン、4位がチャーリー・シーン、そして5位がサンドラ・ブロック。
このうち サンドラ・ブロックについては、アカデミー賞主演女優賞を受賞した直後に夫の不倫がスキャンダルとなり、離婚。その後、 アフリカから養子縁組をして シングル・マザーとなっており、彼女はピープル紙が選ぶ「ザ・ウーマン・オブ・ジ・イヤー」にも選ばれているのだった。
でも、彼女以外の2010年のセレブリティ・ゴシップはもっぱら不倫、アルコール中毒、精神錯乱が中心。 加えて スカーレット・ジョハンソン、ハリー・ベリー、クリスティーナ・アギレラ、コートニー・コックス等、セレブリティの離婚や別離が非常に多かったと指摘されるのが2010年なのだった。

映画の世界では、アメリカン・フィルム・インスティテュートが 2010年のトップ10フィルムに選んだのは、 「インセプション」、「トイ・ストーリー3」、「ザ・ソーシャル・ネットワーク」、「ザ・タウン」、「ブラック・スワン」、 「ザ・ファイター」、「127アワーズ」、「トゥルー・グリット」、「ウィンター・ボーン」、「キッズ・アー・オールライト」。
「ザ・ソーシャル・ネットワーク」とオスカーで一騎打ちが見込まれている「キングズ・スピーチ」は英国によるプロダクションなので、 対象外になっているとのこと。
ちなみに、私は今日、 「ブラック・スワン」を観て来たけれど、ナタリー・ポートマンの演技が素晴らしくて、 今年のオスカーの主演女優賞は彼女が取るだろうと確信してしまったのだった。


その一方で、過去数年、人々が最も時間を費やしているものと言えばインターネット。
グーグルでは、毎年最もサーチ数が増えた言葉のデータを国別に Zeitgeist List / ツァイトガイスト・リスト (ツァイトガイストとはドイツ語で ”時代精神”) として発表しているけれど、このリストは今では最も時代を繁栄していると指摘されているもの。
これによれば、2010年に最もサーチが増えた言葉は、「アイパッド」、第2位は既にピークを過ぎた感があるウェブ上のチャット・サービス、「チャットルーレット」(Webカメラを利用して、無作為に選ばれたサイト参加がチャットを楽しむサービス)、 3位は「アイフォン 4」、4位は「ワールドカップ」、そして5位はティーン・アイドルの「ジャスティン・ビーバー」。

逆に2010年に グーグルによるサーチが最も激減したのは、「スワイン・フルー(H1N1 ブタ・インフルエンザ)」。
その他、目だったところでは2009年にセンセーショナルに登場したシンガー、「スーザン・ボイル」がサーチ激減の第5位、 8位には死去1年後で 人々の関心が衰えたのか、「マイケル・ジャクソン」がランクされているのだった。
グーグルのニュース分野においては、最もサーチ数が増えた言葉は 納得の「オイル・スピル(オイル流出)」、 第2位が「ハイチ」、そして3位が「アースクウェイク(地震)」で 天災、人災が上位であったけれど、7位には「移民問題」、9位には「失業」といったアメリカが抱える深刻な社会問題もランクされているのだった。


一方、全世界に5億人の利用者を持つ フェイスブックも今週火曜、12月14日に2010年の 「Memology / メモロジー」を発表。
メモロジーも ツァイトガイスト・リスト同様、フェイスブック上で どのキーワードが最も使われているかではなく、使われた回数がどれだけ増えたかで、 時代のトレンド性を探るリストとなっているのだった。
それによればフェイスブックで 2010年に最も使用頻度が増えた言葉は「HMU」。これは「Hit Me Up」の略で、この言葉自体がスラング。 まともな英語に直せば 「Get In Touch With Me」(「連絡してね」といった意味)。 この言葉は2009年には殆ど登場していなかったにも関わらず、2010年の夏の終わりには1日にフェイスブック上で8万回使われる言葉になったとのこと。
メモロジーの2位は「ワールドカップ」、3位が「ムービー」、4位が「アイパッド/アイフォン」、5位が「ハイチ」、6位は「ジャスティン・ビーバー」、 7位は「フェイスブック上のゲーム」、8位は「チリの炭鉱夫」、9位は「飛行機」、10位が「2011年」 というのがトップ10ラインナップ。
ちなみに3位のムービーについては、フェイスブック上で最も話題になった映画は「インセプション」、「トイ・ストーリー3」、「アイアンマン2」、「アリス・イン・ワンダーランド」、 「ザ・トワイライト・サガ:エクリプス」であったという。


フェイスブックのメモロジーで唯一、セレブリティかつ 個人名として登場したジャスティン・ビーバー(写真右)は、 ポップ・カルチャーの世界において 2010年最大のセンセーション。
彼の独特のヘア・スタイルはビーバー・ヘアとしてティーンを中心に大流行。 手串を使わず、首を振ることによってヘアに右回転のレイヤーをつける動作も、同時にトレンドとなったのだった。
ジャスティン・ビーバーはツイッターの年間最多リツイート(ジャスティンのツイートをファンが引用した数)のリスト、グーグルの ツァイトガイスト・リスト、 フェイスブックのメモロジーの 全てのトップ10に入っている唯一の人物であり、2010年にはフェイスブックのファン数で、それまでオバマ大統領を抜いて1位だった レディ・ガガを上回ったことでも報じられた存在。
今日、12月18日付けのニューヨーク・タイムズ紙に掲載された 「2010年に生まれた新語リスト」の中にも、 ジャスティン・ビーバーのファンを指す 「Blieber / ビリーバー」(Bliever/信者 と Bieber/ビーバーを合体させた造語)と彼のヘアカットの2つが登場していたけれど、 加えて 「ビーバー・フィーバー」という言葉が、彼のメガ人気を示す言葉として 2010年には頻繁に用いられていたのだった。

それ以外で 2010年の新語としては、リセッションから回復しないうちに リセッションに逆戻りすることを示す「ダブルディップ・リセッション」、 テロ警戒のために空港に導入された 服を貫通して裸体が映るフルボディ・スキャナーを意味する「ポルノ・スキャナー」、 そのフルボディ・スキャナーを拒んだ人々が空港のセキュリティに身体中、念入りに触られることを示す「エンハンスト・パットダウン」、 さらには映画「インセプション」の影響で、「インセプション」という言葉が「人の夢の中にアイデアを埋め込むこと」という意味で 使われるようになったのも2010年。

その他にも、オイル流出がらみの造語もいくつか登場していたけれど、総じて全てのメディアが 2010年を象徴する存在として挙げていたのは、”オイル流出事故” 、 ”ジャスティン・ビーバー” 、そして ”アイパッド”。
スポーツの世界では、 ”Vuvuzela / ブーブーゼラ”(南アフリカ版のサッカー観戦チアホーン)という新しいボキャブラリーをもたらした ワールド・カップが、スーパーボウルよりも、アメリカが冬季オリンピックの最多メダル獲得記録を更新したヴァンクーヴァー・オリンピックよりも ビッグなイベントとなっていたのは、サッカー人気が盛り上がらないと嘆かれていたアメリカとしては、少々意外なところ。
そしてスポーツ・ニュースではなく、2010年を象徴するセレブリティ・スキャンダルとして名前が挙がったのが タイガー・ウッズ。
このスキャンダルで 次から次へと名乗りをあげてきた彼の愛人達 は、いくつかのメディアによって 「2010年で最も恥ずべき存在」 と指摘されていたのだった。


Catch of the Week No. 2 Dec. : 12月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Dec. : 12月 第 1 週


Catch of the Week No. 4 Nov. : 11月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Nov. : 11月 第 3 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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