Dec. 14 〜 Dec. 20 2015

”The Biggest Mistery of New Star Wars ”
『スターウォーズ フォースの覚醒』最大のミステリー !?


今週のアメリカでは、国民の約30%が「自分の家族や友人がテロの犠牲になることを恐れている」という世論調査の結果が発表され、 大統領選挙の争点もテロ対策に大きくシフトしていることが伝えられたけれど、そんな中、ロサンジェルス、ニューヨークを始めとする アメリカの主要都市の公立学校に対して送付されたのが、テロをほのめかすEメール。 そして それを警戒して1000校にも上る学校を全てクローズして、7万5000人もの生徒と学校関係者を帰宅させる措置を取ったのが ロサンジェルスのスクール・ディストリクト。逆にEメールに記載されたイスラム教の引用が間違っているとして、 全くこれに取り合わなかったのがニューヨーク。

今週は 同じテロの警告に対して アメリカ大陸の東と西で全く異なるリアクションが見られていたけれど、 結局この脅しは現在ルーマニア在住の21歳の男性によって、 ドイツのサーバーを経由して 送付されたフェイクであることが明らかになり、「オーバーリアクション」と批判されたのがLAのスクール・ディストリクトの反応。 「テロの脅しがある度に 学校をクローズされたらたまらない!」と、 仕事を抜けて子供を迎えに行かなければならなかった親達からも非難の声が聞かれていたのだった。
とは言ってもカリフォルニアでは2週間前にサン・ベルダルディーノで 銃乱射のテロが起こったばかり。 それだけに、オーバーリアクションにならざるを得ない状況に同情する声も聞かれていたのだった。

また今週は、ニューヨークがロサンジェルスより暖かく、ボストンがラスヴェガスより暖かいという異常気象ぶりも大きなニュースになっていたけれど、 その暖冬のせいで全く売れていないのがコート等の冬物のアパレル。12月に入ってもTシャツを着用していられる陽気のせいで、アパレルの売上げが大きく下がり、 メーシーズなど 特に業績が芳しくないデパートでは、一部のコート類を80%オフでセールする有り様。

その一方で 年末のヴァケーション・シーズンに突入し、オバマ大統領一家も休暇を過ごすためにエアフォース・ワンで毎年恒例のハワイへ飛び立ったけれど、 そのエアフォース・ワンは1時間の飛行に約20万ドル(約2400万円)を費やす 金食い虫。 2009年の大統領就任以降、オバマ家がヴァケーションに費やした ”エアフォース・ワンのコスト=国民の税金”は、既に7千万ドル(約84億円)に達しており、 歴代の大統領の中で最高額であることが指摘されているのだった。




それ以外で今週、アメリカの話題が集中していたのは 月曜にハリウッドでワールド・プレミアが行われ、 金曜に全米で封切られた「スターウォーズ」の最新作、「フォースの覚醒(Force Awakens)」。
前売りだけで 1億ドル(約120億円)を突破していた同作品は、 木曜夜の1晩だけで アメリカ国内で5700万ドル(約68.4億円)を売り上げる新記録を樹立。 「スターウォーズ」のクリエーターであるジョージ・ルーカス監督が設立したルーカス・フィルム、及び「スターウォーズ」の製作権を40億ドル (約4800億円)で買い取ったディズニーは、同作品の興行売上げと、関連グッズの売上げだけで 買収額を超える利益を生み出す見込みになっているのだった。

同作品で監督を務めたJ.J.エイブラハム(写真上右、右側、左側はジョージ・ルーカス監督)は 1977年、 彼が11歳の時に封切られた 「スターウォーズ」劇場公開第一作目に当たる エピソードWを観て 映画監督になると決意。両親がハリウッド・プロデュサーであったことから、ティーンエイジャーの頃には 既にスティーブン・スピルバーグ監督の スタジオでアルバイトをしていたという。それもあってスピルバーグ監督はJ.J.エイブラハムの長年のメンターであったけれど、 新 「スターウォーズ」の監督という大役を彼が務めるきっかけになったのも、スピルバーグ監督による 「新しいスターウォーズをクリエイトできるのは彼しか居ない!」 という強力な後押しがあったから。しかしながら、J.J.エイブラハムは最初は その大抜擢を断りかけたことも伝えられているのだった。

ちなみに、「スターウォーズ」のエピソードWを観て、映画監督への道を歩んだのはJ.J.エイブラハムだけでなく、 「タイタニック」、「アバター」で知られるジェームス・キャメロン監督もしかり。 同作品を観た彼は、それまでのトラック・ドライバーの仕事を辞めて 映画一筋に打ち込む決意をしたことが伝えられているのだった。

その一方で、ジョージ・ルーカス監督と個人的にも親しいスピルバーグ監督は、エピソードWの公開直前、 「スターウォーズ」が絶対ヒットしないと思い込んでいたルーカス監督に、自分の70年代のヒット作、「未知との遭遇」よりも 「スターウォーズ」の方が大きな興行成績を上げると断言しただけでなく、ルーカス監督と賭けまでしたことが伝えられるけれど、 ルーカス監督がそう思い込むのも当然で、当時「スターウォーズ」の上映を承諾した映画館数は全米で僅か40。 このため配給元の20世紀フォックスは、多くの映画館が上映を希望した同社のもう1本の映画 ”「真夜中の向こう側」を上映したければ、 「スターウォーズ」も上映すること” という抱き合わせを条件に 「スターウォーズ」上映劇場数を増やさなければならなかったというのが当時のエピソード。
そんな状態なので、エピソードWが公開された時点では 玩具メーカーはライセンス契約したスターウォーズ・グッズの生産にも入っていない状態で、 小売店側はファンのためにキャラクターの写真入りの予約券を発行して、時間稼ぎをしたとのこと。 結局、賭けに勝ったスピルバーグ監督は、 エピソードWの純利益の2.5%をルーカス監督から支払われているのだった。




エピソードWから始まり、「帝国の逆襲」、「ジェダイの復讐」へと続く三部作の完結から、約30年後のストーリーとなる 「フォースの覚醒」には、エピソードWのオリジナル・キャストである マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー役)、 キャリー・フィッシャー(プリンセス・レイア役)、ハリソン・フォード(ハン・ソロ役)がカムバックしていることは、映画公開前から明らかにされて、 大きな話題になっていた通り。
そして今回 新たに登場したキャラクターも、 その存在が エピソードWに登場したキャラクターとミラー・イメージになっていて、 「フォースの覚醒」のヒロインであり、エピソードWのルーク役に当たるのがデイジー・リドレー扮する Rey / レイ。 ダースベーダー役に当るのが アダム・ドライバー扮する Kylo Ren / カイロレン、ハン・ソロに当たるのがオスカー・アイザック扮するポー・ダメロン、 R2D2に当たるのが 新ドロイドのBB8。
それだけに同作品を批判する映画クリティックからは、「オリジナルを焼き直しただけの安全な展開」という声も聞かれたけれど、 見方を変えれば、それはオリジナルに敬意を表しているということ。
多くの「スターウォーズ」ファンは「Very Satisfying」すなわち ”とても満足している” という言葉で、J.J.エイブラハムと作品を評価しており、私もこの言葉が 長年の「スターウォーズ」ファンのリアクションを最も端的に現していると思うのだった。


かく言う私も、エピソードWから「ジェダイの復讐」までの三部作については、自他共に認める大ファンで この3作の「スターウォーズ」のトリビアについては、何時間でも喋っていられるほど。 なので私も公開初日の午前9時から3Dで 同作品を観てきたけれど、さすがにこんな時間に同作品を観ようと思う人は、 根っからの「スターウォーズ」ファン。
ミレニアム・ファルコンが出てきただけで 拍手喝采、ルークのライトセーバーを見ただけで ”Ohwwww”と唸ってしまうファンに 囲まれて映画を観るのは、最高のエキサイトメント。 同作品は 「スターウォーズ・ファン(J.J.エイブラハム)が スターウォーズ・ファンのためにクリエイトしたスター・ウォーズ」であっただけに、 長年のファンであればあるほど、映画を観終わった後に クラス会に出かけて昔の友達に会ってきたような懐かしさや、嬉しさを味わうことができると思うのだった。

ところで「スターウォーズ」ファンであれば、誰もがオープニングの宇宙の彼方に流れて行く字幕とジョン・ウィリアムスの音楽を聴くと、 条件反射的に胸が高鳴る思いをするけれど、エピソードWが公開された当時は、そのオープニングにキャストやクルーのクレジットを入れなかったことが ディレクターズ・ギルドの規約違反と見なされ、 ジョージ・ルーカス監督が命じられたのが日本円にして約3000万円の罰金の支払い。 これを受けて、その後程なく 彼はギルドを脱会したことも伝えられているのだった。

私が土曜日に出かけたクリスマス・パーティーでも 「フォースの覚醒」の話題がゲストの間で一番盛り上がっていたけれど、 その席で最大のミステリーになっていたのは、新ヒロインのレイ(写真上、右)が果たして誰の子供であるか?ということ。 私は映画を観た直後は、彼がハン・ソロとレイアの娘だと思い込んでいたけれど、 映画に描かれていた様々なディテールを パーティーのゲストと語り合ううちに、レイがルークの娘という説も かなり有力に思えて来てしまったのだった。
これについては、既にインターネット上でも大論争になっているけれど、 既に俳優達は三部作のシナリオに沿って役を演じているので、演技からその雰囲気やボディ・ランゲージを読むのは 決して間違ってはいないこと。 映画の中には様々な 手がかりが製作者の意図に沿って散りばめられており、 それが「フォースの覚醒」における最大のミステリーになっているのだった。




「フォースの覚醒」は、その内容を極秘に保つために、監督のJ.J.エイブラハムが オーディションの際も 俳優に脚本を読ませず、全く異なる作品の脚本を読ませたことが伝えられているけれど、 その極秘の製作ぶりは、ジョージ・ルーカス監督時代から引き継がれたもの。
「スターウォーズ」には いくつもの「ワンライナー」、すなわち”決めの台詞”があるけれど、 中でも最も有名なのは上のTシャツにフィーチャーされている3つ。そのうちの「(Luke) I'm Your Father」というダースベーダーの台詞は、エピソードX 「帝国の逆襲」の中で、あまりにショッキングであったため 誰もが覚えている台詞。 でもこれは撮影現場では無言で収録され、後にジェームス・R・ジョーンズの吹き替えが入っており、映画公開まで 出演者さえも、この”どんでん返し”を知らなかったと言われているのだった。

最も有名な台詞であり、 「スターウォーズ」ファンの間での挨拶になっているのが 「May The Force Be With You」(フォースと共にあれ)であるけれど、 同台詞はエピソードTの「ファントム・メナス」で、ジェダイ・マスターを演じたサミュエル・L・ジャクソンが 「ギャラは要らないから言わせて欲しい」とジョージ・ルーカス監督に懇願したほど アイコニックな台詞。
この台詞から、5月4日(May The 4th)が「スターウォーズ」の日になって、ファンがキャラクターのコスチュームを着用して集るイベントが 行われるようになったけれど、「スターウォーズ」は一部のファンにとっては 宗教 とさえも言われる作品。 それと同時に、アメリカのエンターテイメント・カルチャーや国民気質を象徴する作品でもあるけれど、 私が出かけたパーティーでアメリカ人と話していたのが 「スターウォーズ」を観たことが無い人は別として、 ”「スターウォーズ」が嫌い”と言う人は どこかひねているというということ。
また”「スターウォーズ」ファンだったら、絶対にラディカライズされてISISのテロリストになったはりしない” と言い切った人までいたけれど、私もその意見にはかなり同感なのだった。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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