Dec. 16 〜 Dec. 22, 2013

” Zeitgeist & To My Surprise ”



とにかく暖かかった今週末のニューヨーク。
土曜日のセントラル・パークでは、最高気温が18.3度(華氏65度)に達して、気象観測史上最高になっていたのに加えて、 日曜も20度を超える春のような気候。 セントラル・パークではTシャツやタンクトップでジョギングする人々が多かった他、 街中でもコートやジャケットを着用せず、セーターやスウェットで歩く人々の姿が目立っていたのだった。

さて、特に大きなニュースが無かった今週金曜に行われたのがオバマ大統領の2013年最後のプレス・カンファレンス。
このカンファレンスを最後にオバマ大統領は年末休暇に入るので、 もう年内には大きな政治的動きが無いことを意味するけれど、 そのカンファレンスの中で、取り沙汰されていたのが「2013年がオバマ政権にとって最悪の年であったか?」ということ。
オバマ大統領本人はこの指摘を否定していたものの、2013年には アメリカ政府による 国民、及び諸外国の政治家に対するスパイ行為が エドワード・スノーデンによって暴露された一方で、 外交面では プーチン大統領との仲が悪化し、アメリカとロシアが米ソ冷戦時代以来の険悪な状況。 国内ではガバメント・シャットダウン(政府機関の閉鎖)や、 オバマケアこと健康保険改正法案が惨憺たるスタートを切り、 大統領が選挙公約を覆したり、それを取り消したりをする間に 国民の信頼をすっかり失ったのは記憶に新しいところ。 年末の段階では、オバマ大統領の支持率が 歴代の大統領の中で最低レベルにまで落ち込んでいるのだった。
なので プレス関係者の中には、「もし2013年がオバマ大統領にとって最悪の年ではなく、更にその下があるとしたら、 その方がよほど深刻だ」と指摘する声も聞かれていたのだった。

さて大きなニュースが無い時に、無理やり物議を醸そうとすることで知られるのがFOXニュースであるけれど、 キリスト教右派の保守層が視聴者の大半を占める同メディアが 今週持ち出してきていたのが、 「世界がクリスマスを抹殺しようとしている」という被害妄想的な報道。
これは もう何年も前から アメリカにおけるこの時期の挨拶が 「メリー・クリスマス」ではなく、「ハッピー・ホリデイ」になってきているためで、 その背景にあるのは、この季節にハヌカを祝うユダヤ教の人々や、クァンザを祝うアフリカ系の人々など、 それぞれの宗教やバックグラウンドに敬意と配慮を示すという意図。
実際、クリスマス・カードがホリデイ・カードと呼ばれるようになり、年末にビルのドアマンや、フェイシャリスト、新聞配達人などに 渡すチップも、クリスマス・チップではなく ホリデイ・チップと呼ばれるようになるなど、 世間一般的に、クリスマスという言葉の替わりにホリデイという言葉を使うのがすっかり定着してきているのだった。
でもその傾向を危惧するのがキリスト教右派の人々で、「Merry Christmas, Not Happy Holidays」をスローガンに、写真上右側のような というロゴが製作され、「メリー・クリスマス」を取り戻そうという動きが起こりつつあるのは事実なのだった。



さて、そんな中今週発表されたのが、2013年度の Google Zeitgeist / グーグル・ツァイトガイスト。 これはグーグルが年間で最も検索されたキーワードのランキングを国別、部門別割り出したもので、 その年の世相を 如実に表しているランキングの1つ。
そのアメリカ版によれば、2013年度に最も検索された人物は、マイリー・サイラス。 最も検索されたイベントは 「ブラック・フライデー」、それに次いで多かったのは「サイバー・マンデー」で、 どちらもショッピング・イベント。第3位は デイトナ500がランクインしているのだった。
作家で最も検索されたのは、2013年10月1日に死去し、「レッド・オクトーバーを追え」や「愛国者のゲーム」を代表作に持つサスペンス小説作家、トム・クランシー。 一方、書籍で最もグーグルされたのは フェイスブックのCOO、シェリル・サンドバーグの著書で、 女性の間では賛否両論の嵐が巻き起こった「Lean In / リーン・イン」。
セレブリティの妊娠で最もサーチされたのは、ケイト・ミドルトンではなく キム・カダーシアン。 2013年度に死去したセレブリティで最も検索が多かったのは、ネルソン・マンデラを抑えて、俳優のポール・ウォーカーが第1位。 同じく俳優で春先に突如死去したジェームス・ギャンドルフィーニは、第4位となっているのだった。

高級ブランドの中で最もグーグルされたのは、何故かヴェルサーチ。第2位はマイケル・コース。 健康上の問題でサーチが最も多かったのはインフルエンザ。 最もカロリーの検索が多かった食材は卵、2位はバナナ。 株式で最もグーグルされたのはフェイスブック、楽曲は「ハーレム・シェイク」、 テック・ガジェットでは プレイステーション4が第1位、2位がサムスンのギャラクシーS4で、3位がアイフォン5S。 TV番組では、「ブレーキング・バッド」がTV関連の3部門で1位を獲得しているのだった。
映画では、最新のスーパーマン・シリーズ、「マン・オブ・スティール」が最多の検索数を獲得し、 レシピで最も検索が多かったのがチリ。 レストランは、1位がノブ、2位が Nomad/ノーマッドで トップ10を全てNYのレストランが占めているのだった。



レストラン・サーチのトップ10を 全て NYのレストランが占めているというのは、いかにニューヨークへの旅行者が多いかを象徴しているけれど、 2013年度のニューヨークへの旅行者数は、2012年の5200万人を上回り、今年も最高記録を更新することが見込まれているのだった。
そのニューヨークは 現在、旅行者だけでなく、スタートアップ企業の誘致にも積極的に取り組んでいて、 新たにニューヨークで起業したビジネスに対して設けられているのが5年間無税という優遇措置。 そこで、税金が会社経営の費用をいかに食い潰してくれるかを痛感している私が思い立ったのが、 CUBE New York が2014年から新たにスタートするプロジェクト、Will New York / ウィル・ニューヨークで その5年間無税の優遇措置が受けられればということなのだった。
もちろんその措置を受けるためには、様々な規定を満たす必要があるけれど、 そのためのリサーチをするうちに、明らかになったのが Will New York の本業であるアカデミーのビジネスには問題は無いものの、 アカデミーの合間に旅行者にハウジング施設を貸し出す Will ステイのビジネスが何と違法行為にあたるということなのだった。

私が短絡的にアカデミーのハウジング施設を旅行者に貸し出すことを思い立ったのは、 ニューヨークには日本人相手だけでなく、世界中の旅行者を対象にした 同様のビジネスが多数存在するため。
でもホテル・ビジネスを守るためと、市民の脱税収入を防ぐために ニューヨーク州では 旅行者相手に 居住アパートを30日以下の滞在で貸し出すビジネスは違法。 現在NY州政府では インターネット上で広告を打ち出す そうしたビジネスの徹底的な摘発に動き始めているとのことなのだった。
これは私にとっては、全く寝耳に水の驚きであったけれど、そう言われてみれば、 短期間の旅行者を相手に、一般の人が暮らす 居住用アパートを宿泊施設として提供するビジネスは、 「セキュリティ上の理由」と言いながら、その住所を明らかにしていないところばかりで、 支払いにしても キャッシュ・オンリー。ビジネスの痕跡が残らないように経営されているものばかりなのだった。
とは言ってもインターネット上では、そうしたビジネスが堂々と広告を載せて経営してきているので、 私はまさかそれが違法ビジネスとは夢にも思わなかったのだった。
噂では、ニューヨーク州政府は 英語以外の言語のウェブサイトにも、そうした宿泊施設のビジネスが多いことを既に熟知しているので、 その洗い出しが既にスタートしているとのことで、摘発は客を装った覆面捜査官が滞在を申し込んで行う場合が殆どであるという。


CUBE New Yorkの場合、合法的に会社を設立して、その企業IDを使って経営を行うだけに、 新プロジェクトが 州政府から摘発されるような違法ビジネスになるのは論外。 なので、Will New York のアカデミーの合間に行おうとしていたWill ステイのビジネスの企画は、 取り止めにして、留学プログラムであるアカデミー1本に絞ることになったのだった。
そんな法律上の問題をクリアするためにコンセプトを練り直した結果、 可能になったのが これまでリクエストが最も多かった2週間前後のアカデミー・プログラムの実現。 どうして30日以下の宿泊滞在が違法なのに、2週間前後のアカデミー・プログラムが実現するかについては、 ここでご説明すると あまりに長いプロセスなので割愛させて頂くけれど、 その結果、合法的にビジネスが行える代わりに、ウェブサイトや資料は全部作り直しという とんでもない2度手間になってしまったのだった。

でも、既にお申し込みを頂いている方や お問い合わせを下さった方々にとって朗報なのは、 今回のコンセプト改正で、1度お知らせしたお値段よりも安価になる上に、プログラムがフレキシブルになるということ。 年末は休みを返上して、その練り直したプログラムの資料の作成に追われることになるけれど、 違法ビジネスとして摘発されることを思えば、この程度の手間や負担はゼロに等しいもの。
私は4年ほど前に、個人の税金で IRS(国税局)に不正申告の疑いを掛けられて、それが正当である立証と、 支払った追徴課税分の取り戻しに1年半以上を費やしたことがあるだけに、 政府機関とやりあう地獄のようなプロセスは熟知していることなのだった。

ところでWill New York が合法経営であることを説明をしていた際に、日本人の友人に訊かれたのが 違法経営の滞在施設に泊まる旅行者側に何かリスクはあるか?ということ。 その答えは まず 支払い等で問題が起こった際に、施設側が真っ当に経営されて居ない場合、 損失の取り戻しが受けられないこと。違法施設と知って滞在した場合も、知らずに滞在した場合でも、 滞在した側にも否があると見なされるので、その損害賠償請求の権利は 法律でサポートされないのだった。
また 万一、 滞在中に摘発が行われた場合には、滞在者が逮捕されることは無くても、その場で施設が閉鎖されるので、 追い出されることになるのは必至。 その場合、到着時に支払いが完了している滞在費の払い戻しも受けられないことになるのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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