Dec. 22 〜 Dec. 28  2014

” Year 2014 Was... ”
2014年を振り返って…


今週のニューヨークで引き続き大きく報じられていたのは、先週土曜日に起こった2人のNYPD(ニューヨーク市警察)警官の射殺事件。 事件現場には、多くの市民からの献花やキャンドルが寄せられ、今週土曜日に行われたラファエル・ラモス巡査の葬儀には、 ジョー・バイデン副大統領に加えて、2万3000人の警官と市民が参列したのだった。
しかしながら、ここでもNYPDは 葬儀中にスピーチを行ったビル・デブラジオ市長が屋外のビッグ・スクリーンに映し出された途端に、 全員背中を向けるという抗議活動を展開。 そんな市長に対する批判はNYPDの間だけでなく、市民の間でも聞かれるようになり、 そもそもあまり人気が無かったデブラジオ市長であるだけに、メディアは市長が任期中最大のピンチに陥っていると報じていたのだった。
デブラジオ市長は、先週のこのコラムでも説明した通り、NYPDの捜査を批判してマイノリティの支持を得て当選した市長。 そのスローガンは、「Tale of Two City」すなわち、富裕層と貧困層に分離した街を融合させるというものであったけれど、 メディアは、「彼自身がニューヨークを大きく分断させてしまった」とその責任を問う姿勢を見せているのだった。




週末に入ってから大きく報じられたニュースには、162人の乗客、乗組員を乗せたエア・アジア8501便の行方不明のニュースがあるけれど、 この報道を聞いて誰もが思い出したのは、今年3月に起こったマレーシア航空370便、7月に起こった同じくマレーシア航空17便の 行方不明のニュース。
前者の行方は未だに不明であるものの、後者の17便については、後に明らかになったのが、 当時戦争状態と見なされていた ウクライナ東部上空で、ミサイルによって撃墜されたという事実(写真上、左)。
マレーシア航空がこの危険なルートをあえて飛行したのは、コスト削減のためであることが指摘され、 撃墜したのはロシアかウクライナか定かではなかったものの、事件の批判はマレーシア航空に集中していたのだった。

その意味で、マレーシア航空は2014年の悪役と言えるけれど、テロの世界で2014年に新たに加わった悪役が ”ISIS/アイシス”(写真上、中央)。 アメリカ人ジャーナリスト、ジェームス・フォーリーの処刑ビデオをYouTubeで公開し、一躍世界中にその名が知られるようになったアイシスは、 ソーシャル・メディアを通じて若い世代のテロリストを先進諸国からリクルート&トレーニングをしては、自国に送り返して テロを行わせるという、従来のテロ捜査の網に掛からないスタイルの活動を展開。 その後も西側のジャーナリストを処刑スタイルで殺害するビデオを何本も公開しているのだった。

その一方で、2014年はセレブリティの突然死が大きなニュースになった年でもあったけれど、 2月初旬に ドラッグのオーバードース(過剰摂取)が原因で死亡したのが俳優のフィリップ・シーモア・ホフマン。 彼は 映画「カポーティ―」で アカデミー賞主演男優賞を受賞するなど、実力派俳優として知られていたものの、以前から ドラッグの問題を抱えていた事で知られていた存在。
また8月には、同じくオスカー受賞男優であるロビン・ウィリアムス(写真上、右)が自殺を図っており、原因は金銭問題等が原因のうつ病。 後に彼は初期のパーキンソン病を患っていたことも明らかになっているのだった。
そして9月には女性コメディアンで、レッド・カーペット・レポート番組「ファッション・ポリス」を担当していたジョーン・リバースが、 簡単な喉の手術の最中に容態が急変し、集中治療室に運び込まれた後、死去。 彼女の場合、死の直前まで多忙なスケジュールをこなし、メディアに頻繁に登場していたこともあり、 「急死」というイメージで 人々にショックを与えていたのだった。




ハリウッドに目を向けると、2月に行われたオスカーでは「12イヤーズ・ア・スレーブ」が作品賞を獲得し、 同作品で助演女優賞を獲得したルピータ・ニョンゴが一躍スターになったけれど、 授賞式の最中にホストのエレン・デジェネラスが会場のセレブと撮影したセルフィー(写真上、左)は、300万以上のリツイートを記録。 もちろんこれは、史上最高記録を塗り替えたけれど、実はこのセルフィーは オスカーのメジャー・スポンサーである サムスンとツイッターが組んだプロモーションの一環。 この絶大のパブリシティによって、ブルームバーグ・ニュースは サムスンを「2014年のオスカーWinner」と呼んでいたのだった。

音楽の世界では、今年は女性アーティストが圧倒的な強さを見せた年。中でもテイラー・スウィフトの活躍ぶりが注目を集めたけれど、 その他にもケイティ・ペリー、ビヨンセ、ジェニファー・ロぺス、イギー・アゼリア、アリアナ・グランデといった女性アーティストが チャートのトップを飾ったのが2014年。

また2014年は、セレブリティのビッグ・ウェディングの年とも言われたけれど、 話題を集めたのはやはり キム・カダーシアン&カニエ・ウエスト、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリーのウェディング。 でも最大の報道になったと同時に、2014年のベスト・ウェディングといわれたのは、ジョージ・クルーニー&アマル・アラムディンの ヴェニスでのウェディング(写真上、中央)。
人権弁護士のアマル・アラムディンは、このウェディングの週末に見せた華やかなファッションと、 オスカー・デ・ラ・レンタが手がけたゴージャスなウェディング・ドレスで、一躍ファッショニスタの仲間入りを果たしたけれど、 そのオスカー・デ・ラ・レンタは 長年のがんとの闘病生活の末、11月に死去。 ファッション業界では、2014年にはミック・ジャガーの長年のガールフレンドとして知られたデザイナー、ローレン・スコットも3月に自宅で 自殺を図って死亡しているのだった。

そのファッション業界では、大きなトレンドが無い代わりに、デザイナーがこぞってハイテク・ガジェットをファッション化するコラボを行っていた年。 最も有名な例はダイアン・フォン・ファーステンバーグとグーグル・グラス(写真上、右)のコラボレーションであるけれど、 それ以外にも、インテル社が、ファッション・ブランド、オープニング・セレモニーとバーニーズ・ニューヨークとのコラボレーションで ファッショナブル・スマートウォッチ、MICA / ミカ を手がけたかと思えば、ラルフ・ローレンがリミテッド・エディションのバッグに、 セルフォン・チャージャーを付けるなど、確実にハイテクとファッションが融合しつつあるのだった。




スポーツの世界に目を向ければ、今年はスーパーボールが史上初めてニューヨークで行われたけれど、 2月には、ソチ・オリンピック、6月にはワールド・カップが行われ、特にワールドカップはアメリカ国内では史上最高の盛り上がりと視聴率を記録。 多くの人々にとって今大会で最もインパクトが強かったのは、サッカー王国ブラジルがドイツに7−1で惨敗した試合なのだった(写真上、左)。

ニューヨーカーは今年、野球よりもワールドカップを熱心に見入っていたという数字が出ているけれど、 2014年にニューヨーク・ヤンキーズでの20年の輝かしいキャリアを終えて 引退したのがデレク・ジーター(写真上中央)。 「今シーズンのヤンキーズは、ジーターの引退セレモニーに終始した」という批判も聞かれていたものの、 ヤンキー・スタジアムでの現役最終戦をサヨナラ・ヒットで飾ったジーターはやはり歴史に残る名選手。 最もファンに敬愛されたプレーヤーとも言えるのだった。

反面、スポーツのアグリーな部分も沢山見せ付けられたのが2014年。NBAではLAクリッパーズのオーナーが愛人との会話で、 人種差別発言をして、そのオーナー権を剥奪されたかと思ったら(写真上、右)、 NFLでは、元ボルティモア・レイベンズのレイ・ライスのドメスティック・バイオレンスの処分を巡って、 アメリカ国内で大論争を巻き起こすニュースになったのは記憶に新しいところ。
NFL側は選手に対するドメスティック・バイオレンスのペナルティを強化しているものの、 まだまだ被害者よりプレーヤーがプロテクトされる傾向が強いのが実情なのだった。


政治の世界では、オバマ大統領の支持率が大きく下降したのが2014年で、それを受けて11月に行われた中間選挙では、 与党、民主党が惨敗(写真上、左)。既に共和党が多数を占めていた下院に続いて、 上院でも過半数を失っているのだった。

その下降する支持率挽回とばかりに 11月にオバマ大統領がエグゼクティブ・オーダー(大統領令)で打ち出したのが、移民法の改正法令(写真上、中央)。 これによれば、過去5年以上アメリカに在住し、アメリカで生まれた子供が居る不法移民は、向こう3年間の在留を認めるられるとのことで、 現在アメリカに1,150万人と言われる不法移民のうちの約500万人が 強制送還を逃れる、もしくは先送りに出来るといわれているのだった。

その一方で、2014年5月にはハリケーン・サンディの被害で大幅に遅れていた 9・11メモリアル・ミュージアムが遂にオープン。 テロが起こったワールド・トレード・センターから避難するする人々の状況を体感してもらうために、地上が入り口で、 地下7階まで階段を下りながら閲覧するというのがこのミュージアムのデザイン。
テロの惨劇を生々しく伝える展示であるだけに、同ミュージアムの各所には、涙をぬぐうためのティッシュ・ペーパーが設置され、 展示を見る間に感情が高まって、耐えられなくなった人々のための出口も各所に設けられているのだった。


多くのアメリカ人にとって、2014年で最もインパクトが強かった事件・報道は、エボラ・ウィルス(写真上、左)。
ニューヨークでもアフリカで医療活動をした医師が感染し、彼が出掛けたレストランやボーリング場が、消毒のために一時閉鎖されていたけれど、 西アフリカ諸国を中心に感染が広まった同ウィルスは、WHOの発表によれば 12月26日の時点で その死者の数は7693人。 タイム誌は毎年恒例の「ピープル・オブ・ジ・イヤー」に、エボラの医療スタッフを選んでおり、 アメリカでも2人の死者を出した同ウィルスは、数多くの事件が起こった2014年の中で最も印象に残る出来事と言えるのだった。

一方、2014年のアメリカで、メガヒット・プロダクトとなったのは、ドローン(写真上、中央)。 今やアメリカ軍の攻撃から、私立探偵による写真撮影にまで用いられているドローンは、今年のクリスマス商戦でも 大きな売上げを記録。アマゾン・ドット・コムも現在、過疎地でのドローンによるデリバリーを検討中であるとのこと。 しかしながら2014年には そのドローンが原因の飛行事故も起こっており、それを受けてアメリカ国内にはドローンの操縦を教えるスクールまで登場。 今後もさらに利用者を増やしていくことが見込まれているのだった。

年末に入ってからの経済面での明るい報道としては、アメリカ経済が2014年第三四半期に 過去10間で最大の成長を遂げたというニュース。 株価の年間の数字を見ても、2014年にはダウが8.7%値を上げ、史上初めて1万8000ポイント・レベルに到達。 雇用が増え、失業者が減って、個人所得レベルもアップ。
加えて、2014年のホリデイ・シーズンはガソリン価格が昨年の同時期より約1ドル安い状況。 このことは車社会アメリカにとって、1世帯当たり約10万円前後の可処分所得をもたらすと指摘されているのだった。


ではニューヨークの景気はどうか?とよく訊かれるけれど、アメリカの全体の景気が回復して、ニューヨークの景気が悪いはずが無いというのが実際のところ。
マンハッタンでは目下、タワービルディングの建設ラッシュが進んでいて、写真上左は2018年のニューヨークのスカイスクレーパー。 ベージュで描かれているビルディングが現在開発中で、あと4年でこれだけのタワー・ビルディングが建設されるというのはかつて無かった状況。
中でも、注目を集めているのが ハドソン・ヤード(写真上、右)で、 ここは5000世帯の住居、2016年にオープンするニーマン・マーカスを含む100軒以上の小売店、5つのオフィス・タワー、カルチャー・センター、 14エーカーのアウトドア・スペース&パーク等を含む巨大コンプレックス。 200億ドルを投じたロックフェラー・センター以来というメガ開発プロジェクト。
そのウェブサイトのレンダリングを見ただけで、いかに 巨大なプロジェクトかが理解できるけれど、それ以外にも現在建設中の432パーク・アベニューは、 完成すれば 西半球で最も高いレジデンシャル・ビルディング。スピアー(尖峰)を含めない建物本体は、ワン・ワールド・トレード・センターより高く、 既に同ビルが、マンハッタンで最も高いビルとしてそそり立っている状況。
なので2015年は建設中のビルも含めて、マンハッタンの摩天楼に大きな変化が訪れることだけは確かなのだった。

最期にこの場をお借りして、Cube New Yorkでお買い物をしてくださっているお客様、Will New Yorkの留学プログラムにご参加、ご協力下さった方々、 日ごろからサイトにアクセスして下さる読者の方々、Cube New Yorkが今年スタートしたディナー・クラブに参加して下さった皆様、Cube New Yorkの 記事にご協力頂いた方々に心よりお礼申し上げます。
皆さんにとって、2015年が素晴らしい年になりますように。 Happy New Year!


Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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