Feb. 16 〜 Fab. 22 2004




Good-bye, Carrie

今週のコラムについては、既に数人の知人から「セックス・アンド・ザ・シティのラスト・エピソードの ことを書くんでしょ?」と言われたけれど、実際のところ、今週は、 アレックス・ロドリゲスのヤンキーズ入団はさて置き、やはり6シーズンも続いた 同番組が最終回を迎えることが、メディアでも一般の人々の間でも大変な話題になっていたのである。
「セックス・アンド・ザ・シティ」にはカルト的なファンが多いので、 HBOのブレティン・ボードを見ても、番組が終わってしまうことを惜しんだり、寂しがるファンのメッセージが 数多く寄せられていたりする。 かく言う私も自他共に認める同番組のファンで、ほぼ全エピソードをビデオに撮っているし、 ほぼ全94エピソードのストーリーをほぼ完璧に思い出せるほど、夢中になって見ていたのが同番組である。
だから私の知人の中には、私が今日(2月22日)の最終回を迎えることを 多くのファン同様に寂しく思っていると察してくれる人もいるけれど、 本音を言ってしまえば、昨シーズンくらいから 「もうこの番組も潮時」という気持ちが強くなっていて、今年1月からシーズンNo.6の後半が始まってからは、 益々その気持ちが強くなっていた。 ことに2月に入ってからの2回のエピソード(最後から3番目と2番目に当たるエピソード)は、 最終回のストーリーに帳尻を合わせるための、結末が見え見えのストーリーラインで、 しかもサラー・ジェシカ・パーカー扮するキャリーが 全くキャリーらしく描かれていなくて、 「今までのシリーズで描かれてきたキャリー像は一体何だったの?」と訊きたくなるほどの情けないエピソードに成り下がっていた。
私は金曜の夕方の時点で、CUBE New Yorkのスタッフに結末を予言したけれど、 結果的に1点を除いては、エンディングは全く私の予想通りで、1つサプライズがあったとすれば、 それはビッグの名前が明らかになったことだった。

シーズンNo.6後半を簡単に締めくくると、キャリーはミハイル・バリシニコフ扮する ロシア人アーティスト、アレクサンドル・ペトロウスキー(以下アレックス)と付き合っている。 ミランダはスティーブと結婚し、シャーロットは2人目の夫で、彼女の離婚弁護士だったハリーと 養子をもらい受けようと奮闘し、乳がんになったサマンサはキモ・セラピーを受けながらも、 ボーイフレンドのスミスとはこれまでに無い、深い付き合いになっている。
他3人に比べるとキャリーとアレックスの中は、何処かギクシャクしている印象は否めないけれど、 アレックスは新しいエキジビションを行うのをきっかけにパリに移住することになり、 キャリーにも一緒に来て欲しいと言う。 キャリーは迷っていたものの、結局はコラムも辞めて、ミランダの忠告も払いのけ、自分に会いに来たビッグには 「どうして私が誰かと幸せになろうとすると、いつも現れるのよ!」と怒鳴り散らして、 パリに旅立つけれど、そこでキャリーを待っていたのは、言葉は通じない、友達は居ない、 アレックスはエキジビジョンの準備で忙しくて構ってくれない という、いかにも推して知るべしの孤独な生活。
しかも、大切にしていたキャリー・ネックレス(ネーム・プレート・ペンダント)を無くしてパニックになり、 ミランダに泣きながら電話をして、「もしビッグと一緒だったら…」などと言い出す始末。
最終回では、キャリーがやぶけたバッグのライニングの中からキャリー・ネックレスを見つけて 自分を取り戻し、身勝手なアレックスに「私が求めている愛はここには無いの」と言い放って、彼に別れを告げて、 サマンサ、ミランダ、シャーロットの後押しをもらってキャリーを追いかけてきたビッグと再会。 ビッグは「Carrie, you're the one.」と告白し、キャリーは「I miss New York. Take me home」と言い、2人はニューヨークに戻る。 そしてキャリーは、サマンサ、ミランダ、シャーロットにカフェで再会。 ラスト・シーンは街を歩いているキャリーの携帯が鳴って「John」という名前が提示され、 電話を取るとそれがビッグで、見ている側はここで初めてビッグの名前が「ジョン」だったことを知らされる。
そしてビッグがナパ(ビッグはシーズンNo.4でナパに移住している)からニューヨークに戻るとキャリーに告げるのがラスト。 プロポーズも無ければ、これから2人がどうなるのかも分からないけれど、キャリーとビッグが 元のさやに収まったというのが6年続いたシーズンのエンディングである。

私の予想と外れた部分は、私はてっきりビッグがキャリー・ネックレスを持って現れるのかと思っていた点であったけれど、 キャリーがパリでネックレスをなくしたのは、彼女がパリで自分のアイデンティティを失った象徴として 描かれていた。
ガッカリしていたキャリーに、「キャリー・ネックレスじゃないけれど…」とアレックスが買い与えたのは、 ダイヤモンドの石を約10個ほどチェーンで繋げたネックレスで、キャリー・ネックレスよりも 遥かに高価なもの。 でもキャリー・ネックレスを見つけてから、キャリーは自分を取り戻し、 アレックスに別れを告げるときには、そのダイヤのネックレスが切れてしまい、 アレックスの与える高価な生活がキャリーを幸せに出来ないまま、壊れてしまったことを象徴するものになっている。

また番組をシーズンNo.1の最初のエピソードから見ていた人ならば、誰もが気がついたのが、 第1話目のエピソードと、ラスト・エピソードとのコネクション。
記念すべき6年前の第1話では、クラブから出てきてタクシーが拾えなくて困っていたキャリーを ビッグがリムジンでアパートまで送り、車を降りたキャリーが窓ごしに 「あなた本当の恋をしたことがある?」と訊ねると、ビッグが「Abso-fucking-lutely(Absolutelyの間にファッキングを入れた俗語だけれど、 モチロンという意味)」と答え、リモで走り去るのがラスト・シーン。
これに対して最終エピソードでは、パリから戻って来たキャリーとビッグが、ビッグのリモでキャリーのアパートに戻って来て、 車を降りたキャリーが窓越しに「部屋に来たかった?」と訊ね、ビッグが同じように 「Abso-fucking-lutely」と答えるけれど、6年前と異なるのは ビッグがリモで走り去るのではなく、車を降りてキャリーと一緒に部屋に向うということで、 似たようなシーンをリピートしながらも、2人のこれからが以前とは違う(かもしれない)ことを 見る側に暗示するものになっている。
この他にもシーズンNo.1とのコネクションとしては、ラスト・シーンでキャリーが 着用していたのがシーズンNo.1で何度も登場するファー・コートだったことが挙げられるけれど、 ビッグが愛の告白として、「I Love You」ではなく「You're the one」とキャリーに言ったのも、 シーズンNo.1の最終ピソードで、キャリーが「Tell me I'm the one」とビッグに詰め寄ったのに対して、 ビッグがそれに答えなかったのを反映させたものである。

私の考えでは、「セックス・アンド・ザ・シティ」は、 ニューヨークのシングル・ライフを謳歌するキャラクターを描いて成功を収めてきた番組であるから、 キャリーとビッグがよりを戻しても、結婚するのは筋が通らない訳で、 このエンディングになるのは仕方がないかと思うし、今後製作が決定している映画のことを考えれば、 「その後どうなっていくんだろう?」と見る側の想像力をかき立てる部分を残しておくべきなのは、 理にかなったマーケティング戦略でもあったりする。
だから私はエンディングについては 特にこれと言って文句は無いけれど、 それに至るまでの流れとして、キャリーが身勝手なボーイフレンドの言いなりになって、 あっさりコラムを辞めて、大好きなニューヨークを離れたことは、これまでの彼女の生き方を思うと、 極めて軽薄だと思ったし、それぞれの愛を見つけた他の3人に取り残されたくないという思いが その決断のベースにあったことも情けないと思えてしまった。
キャリーが本当にこんな風に適当に流されるキャラクターなら、シーズンNo.1のラストで、 ビッグと別れず、一緒にバケーションに行ったと思うし、シーズンNo.4でエイデンと結婚していたかも知れないと 思える私としては、脚本チームが最後の最後でキャリーのキャラクターを落としてしまったところが 非常に残念でならなかったりする。
でも終わりが気に入らなくても、過去6シーズンのこの番組のクォリティの高さや、 社会的影響力は凄いと思うし、これを超えるTV番組は暫らく出てこないだろうとも思っている。

私は個人的には「セックス・アンド・ザ・シティ」と言えば、偶数シーズンの方が奇数シーズンよりも好きで、 シーズンNo.1は、番組自体が未だ方向性を模索しているような感じがあったし、 シーズンNo.3は、キャリーが自分を捨てて、若い女性とあっさり結婚したビッグと不倫をしている というストーリーが嫌いだったし、シーズンNo.5はサラー・ジェシカ・パーカーが似合わないショート・ヘアだった上に、 妊娠中だったので、テントみたいな服ばかり着ていたし、ストーリー・ラインも彼女の妊娠を考慮して 控えめなものになっていた分、つまらないシーズンだった。
私が 「セックス・アンド・ザ・シティ」 のベスト・シーズンを挙げるとすれば、 シーズンNo.2で、ことにキャリーが毎週のように取っ替え 引っ替え持っていたフェンディのバゲットには 目が釘付けになってしまったし、どんなに派手なバゲットでも普通に持ってしまう センスはスゴイ!と思ってしまった。 でも世の中一般での「セックス・アンド・ザ・シティ」フィーバーが最高潮に達していたのは、 シーズンNo.3〜No.4のあたりで、逆に番組が最もパッとしなかったのはシーズンNo.5だった。 そしてこのNo.5シーズン中に、サラー・ジェシカ・パーカーとプロデューサーのダーレン・スターが シーズンNo.6を最後に番組を終了することを決定したのである。


「セックス・アンド・ザ・シティ」 は、CUBE New Yorkのビジネスにも大きな影響を与えた番組で、 1999年に売り出して、大ヒットとなったパシュミーナの販売は「セックス・アンド・ザ・シティ」の シーズンNo.2のキャリーがインスピレーションの1部となっており、 このパシュミーナの爆発的なヒットが無ければ、今のCUBE New Yorkは無かったと私は個人的に思っていたりする。
また2001年になってから取り扱いをスタートしたネーム・プレート・ペンダントはCUBE New Yorkの過去2年連続のベストセラーであるし、 昨年それに次いで売れ上げが高かったのが、やはりキャリーのシグニチャー・アクセサリーである ホースシュー・ペンダントである。
すなわち、CUBE New Yorkのベスト・セラーはことごとく「セックス・アンド・ザ・シティ」 から 生まれているし、個人的にもシーズンNo.2のキャリーに感化されて、7つもフェンディのバゲットを買うことになってしまったけれど、 このうちの4つは買った値段よりも、数百ドルも高く売れて、短期間に非常に効率の良い投資になったのは、 2002年1月のコラムにも書いたとおりである。 だから「セックス・アンド・ザ・シティ」 は、 私にとってラッキー・チャームのような番組だったとも言えるのである。

でも番組は終了しても、今後も本の出版、DVDの売り出し、そして映画版の製作等、 「セックス・アンド・ザ・シティ」 のマーケティングはまだまだ続くし、 番組の再放送もまだまだ続くのである。 そう考えれば、今、特に センチメンタルになる理由は それほどないというのも事実なのである。





Catch of the Week No.3 Feb. : 2月 第3週


Catch of the Week No.2 Feb. : 2月 第2週


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Catch of the Week No.4 Jan. : 1月 第4週