Mar. 1 〜 Mar. 7 2004




エイジング VS. プラスティック・サージェリー


昨今、女友達と集ると、必ず話題に上るのがプラスティック・サージェリー(美容整形)である。
「いつまでも若く、美しくありたい」というのは誰にでも共通した願望であるけれど、 自力で出来る事には限度がある上に、これだけプラスティック・サージェリーが身近なものになってくると、 誰もが「試してみたい」という気持ちになるのは、当然と言えば 当然のことなのである。

以前にもこのコーナーに書いたことがあるけれど、私は若いうちから、 自分の気に入らないところを片っ端から作り変えるために整形手術を受けるのは、 あまり奨励しない立場であるけれど、 エイジングに伴うシワやたるみを防ぐ、もしくは治すといった、若さを保つための、自己保存のための プラスティック・サージェリーには大いに理解を示しており、 自分自身も若々しく年齢を重ねて、出来る限り長生きがしたいと考えていたりする。
私が若い世代のプラスティック・サージェリーに反対なのは、 10代、20代といった年齢は、人格形成のプロセスや、ライフスタイルに応じて自分の顔も変わっていく時期であり、 そんな時期に整形手術を受けてしまえば、自分の顔ではなく、医者の作品になってしまうと思うからである。

私は自分のことを卓越した美女だと思ったことなど無いけれど、自分の顔ほど 自分の人間性を表現するのに適した顔は無いと思っているし、自分の顔が好きでもあるから、 シワクチャになったり、シミで台無しにしたくないという思いは強く、 自己保存のためにならプラスティック・サージョン(美容整形外科医)にお世話になるだろうと考えているのである。

もちろん中には、何もしないでナチュラルにエイジングをしていくのが良いと考える人もいる訳で、 こうした女性は往々にして「ノーメイク」派で、メイクアップによって自分をキレイに見せようとしたことが無いくらいだから、 当然のことながらスキンケア音痴でもある。 鏡の前で過ごす時間も短いので、シミやシワよりも体力の衰えでエイジングを感じる場合が多く、 こうした女性達にとってのアンチ・エイジング対策はクリーム・ドゥ・ラ・メールを使うことよりも ヨガや水泳を始めることであったりする。

そうかと思えば、使えるものは全て使って、若さと美しさを保ちたいと考える人も居るわけで、 こうした女性達は、副作用も省みずにボトックスでも、シリコンでも、何でも注入したかと思えば、 ライポサクション(脂肪吸引)で気に入らない部分は吸い出して、その都度 大金をポンポン支払うし、 ボディー・パーツごとに 専門医の情報にはめっぽう詳しかったりする。 加えて自宅でも、クリーム・ドゥ・ラ・メールの1200ドルボトルを購入して、 全身に使うというジェニファー・ロペスのようなスキンケアをしていたりするけれど、 こういうことが出来る女性に共通の条件は、まず金銭的に極めて恵まれていること、 「醜い姿で長生きしても仕方が無い」と、健康よりも 美しさを選ぶほどの 美の追求心、 そして「私には副作用なんて起こらない!」という恐れを知らない楽観的な姿勢である。

後者の女性達が部落を形成しているのが、アメリカでは 整形手術のメッカであるビバリーヒルズやマイアミであるけれど、 そのマイアミに住む私の親友、モニカもすっかりそんなカルチャーに感化されて、 今や私にとってはプラスティック・サージェリーの貴重な情報源となってくれているのである。
マイアミに移り住んだ当時は、「パーティーに行く度に、プラスティック・サージョンを 紹介されて困る」とボヤいていた彼女だけれど、今では医者の詳細な情報からトリートメントの種類や 値段に至るまで、すっかり詳しくなっている。 マイアミのリッチなコミュニティというのは、ブレスト・インプラント(豊胸手術)やボトックスはもちろん、 ライポサクション(脂肪吸引)、ノーズ・ジョブ(鼻の整形)、チーク・インプラント(頬骨を高くする手術)等、 ありとあらゆるボディ・パーツを作り変えたパーフェクト・ビューティーを競い合う世界であるから、 マダム達がランチに集るということは、言ってみればプラスティック・サージェリーの品評会のようものだそうである。
だから、誰かがある日、完璧なアイ・リフト(目のクマを取る手術)をして現れれば、皆がその医者の電話番号を控えて帰ることになるそうで、 そんな社会に5年以上も居れば、プラスティック・サージェリーに抵抗がなくなるだけでなく、 その仕上がりの上手い、下手までが判断できるほどのエクスパートになってしまうようなのである。

昨年秋のこのコーナーにも書いた通り、私は頬のシミを消すために ケミカル・ピールをしてもらおうと思っているけれど、その医者についての 情報もモニカが教えてくれたもので、どうしてニューヨークの医者の情報をマイアミに住む彼女の方が詳しいのか?と 最初はビックリしたけれど、実際のところニューヨークとマイアミを行き来するリッチ・ピープルが多いのを反映して、 ニューヨークとマイアミの両方でクリニックを構えるプラスティック・サージョンは非常に多く、 良いドクター探しに余念が無いマイアミのマダム達の方が、ニューヨークの医者についても 情報量が豊富なのである。
モニカは彼女のドクターには絶対の信頼を寄せているようで、 「マイアミに来れば良いドクターを紹介してあげるのに…」といつも口癖のように言っているけれど、 彼女が医者を選ぶポイントは、「経歴よりもその作品を見ること」だという。
プラスティック・サージョンは、医者というよりもアーティストであるから、 ブレスト・インプラント(豊胸手術)でも、ノーズ・ジョブ(鼻の整形)でも 自分の好みに患者の身体を作り変えるそうで、医者ごとに特定の作風があるという。 だから極端な話、専門医が鼻の形を見れば、何処の医者が手掛けたかが分かるとも言われているほどで、 医師が過去に手掛けた作品(=患者)が自分のなりたい姿であることが最も大切なのだという。
またプラスティック・サージョンは美意識が高い人でなければならないので、 ファッションに気を使っている医師の方が信頼出来るとのことで、 事実、マイアミで最も有名かつ、マドンナを始めとするセレブリティの顧客を多数擁するフレデリック・ブランドも、 「ドクター・プラダ」というニックネームがつくほど、プラダしか着用しないドクターだったりする。
でもファッションに関心はあっても、クリニックの内装にお金を掛け過ぎている医者は選ばない方が賢明だそうで、 大理石の床にギリシャの彫刻が何本も並んでいるような医者は「同じトリートメントでも値段が高くなるから 絶対に止めた方が良いし、インテリアでごまかさなければならないくらいだから、腕が良いとは限らない」のだそうである。

さらに、ドクターはその年齢が40代〜50代前半までを選ぶべきで、 このあたりの年齢であれば、経験と 新しい技術の両方が備わっているので、最も信頼出来るとのこと。 50代半ば過ぎになると、レスティレーンやラディアンスといった最新のプロダクトに弱い分、 直ぐに昔ながらのフェイス・リフトを薦めて来たりするという。
医者のパーソナリティとしては、ゆっくり話を聞いてくれる人でなければならないそうで、 そうやって話しているうちに、良いドクターならば、表情のクセやシワ、肌質を観察する傍ら、 患者のライフスタイルを理解するから、それに合わせて適切なトリートメントを提案してくれるのだいう。 でもそれ以前に、そうしたコミュニケーションによって信頼を確立しなければ、 自分の顔や身体を任せる気にはなれないというのも実際のところのようで、 もし個人的に好きになれなかったら、どんなに腕が良いと言われていても、 別のドクターを探すべきであるという。
加えて、エクササイズやダイエット、正しいスキンケアを奨励するドクターを選ぶのが大切で、 「太ってもライポサクション(脂肪吸引)をすれば大丈夫」というようなことを口走る医者は信用するべきではないという。

私が年末のパーティーで会ったアメリカ人の女性によれば、 良いドクターを見つけることは、ボーイ・フレンドと出会うよりもずっと難しいことだそうで、 「ボーイフレンドなら失敗したら別を探せば良いけれど、プラスティック・サージョンは そういう訳にはいかない」と語っていた。
幸い私がケミカル・ピーリングをしてもらおうと思っているドクターは、 上記の条件を満たしている人なので、私は彼を信頼しているけれど、 目下のところの問題は、何故かケミカル・ピールの実行には決して至らないことで、 昨年秋には私の気乗りがしなくてキャンセルしてしまったし、 先週末も、春になって日差しが強くなる前にピーリングをしてもらおうと、 体調が悪い身体に鞭を打って出かけたところ、行ってみるとドクターは風邪で声が出ないという状態。 彼も彼で 私の様子を見て「体調が悪そうだから、無理をしない方が良いと思う」などと言うので、 結局 2度目のキャンセルをすることで合意してしまった。


幸い良いドクターに巡り合えても、そのドクターにベスト・パフォーマンスをしてもらうためには 患者側にも努力は必要なようで、まず日頃からきちんとスキンケアをしておくこと、 ちゃんと化粧をして、服装にも気を使って出かけることが大切であるそうで、 これはドクターに美しい状態の自分をイメージしてもらうのに非常に大切なことであるという。
また、事前に値段の交渉をするのは構わないけれど、「仕上がりが気に入らなかったら、お金は返してくれるんですか?」というようなことは 禁句であるし、冗談でも「失敗したら訴える」というようなことを口走れば嫌われるのは当然のこと。 さらにドクターに待たされることはあっても、ドクターを待たせてはいけないというのも鉄則であるという。

昨今、私がよく友人達と話題にしているのは、一体何時からボトックスや、ラディアンスのような トリートメントを始めるべきなのか?ということで、私がこのことを考え出したのは、 民主党の大統領候補、ジョン・ケリー上院議員の顔を見てからである。
ケリー候補は、ボトックス注射をしていることで知られているけれど、 彼のように、すっかりシワが深くなってからボトックスを使えば、 以前よりシワがマシになった程度の顔にしかならないのである。 これに対してビリー・ジョエルの元夫人で、スーパーモデルの走りと言われたクリスティン・ブリンクレーは、 彼女自身ボトックスの広告にも登場していたりするけれど、 彼女の場合、30代からボトックスを愛用していたので、50歳近くになった今も、シワのない美しい肌と、 30代前半のような若々しい顔を保っているのである。
モデルや女優であれば、若さや美しい肌を保つために、 早いうちからボトックス注射を打ち始めるわけで、例えば映画「シモーネ」に登場した ワイノナ・ライダーの顔などは、そのシワの寄り方が典型的なボトックス・フェイスになっていたし、 ブラッド・ピット夫人であるジェニファー・アニストンも、昨年になってから それまで目立っていた口の両側の笑い皺をラディアンス注射で埋めたそうで、 彼女もかなりのボトックス・マニアでもあるという。
でもモデルやハリウッド女優のようにシビアにエイジングをチェックされない一般女性の場合、 若さのために、何時から、誰に、いくらを支払って、何をしてもらうべきかを 決めるのは、セレブリティよりもずっと難しいように思えてしまうのである。
明確なことは、エイジングに逆らうことは、お金が掛かるということ、 そしてお金の工面から、日頃のスキンケアに至るまで、様々な努力が必要であるし、 医師やプロダクトの情報収集を含めた時間も掛かることになる。
だからこれらが出来る時間とエネルギー、経済力がある人は、若さが保てるだろうし、 逆の見方をすれば 時間とエネルギーと経済力があるということは、容姿の若々しさから恩恵を受けられる ライフスタイルなのだと思う。






Catch of the Week No.5 Feb. : 2月 第5週


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