` CUBE New York Catch of the Week




Mar. 9 〜 Mar. 15 2003




長すぎた Pre War?

今週アメリカで話題になったニュースの1つに、ワシントンの下院のカフェテリアで、 フレンチ・フライ(フライド・ポテト)がフリーダム・フライ、 フレンチ・トーストがフリーダム・トーストと名前を替えたというものがあった。
これは1日も早くイラクに侵攻したいアメリカに対して、国連安保理でことごとくそれを阻止しようとする フランスに対するフラストレーションから、アメリカ国内の 「フレンチ」を排除しようというムーブメントの1つ。 これが最初にスタートしたのは、2月半ばを前後にレストランがフレンチ・ワインをメニューに載せるのを やめてからで、これは当初カリフォルニア・ワインのプロモーションの一環のようにも見られていた。 しかし、最近ではNYポスト紙がエビアンからフレンスのブルー・チーズに至るまで、 その代替品を紹介しながら、その更なる広範囲のボイコットを煽るような報道さえ行なっていたりする。
これら一連のフレンチ・ボイコットは、夜のトークショーでは格好のジョークのネタになっており、 アメリカ国民にとっても一体何処まで本気で行なわれているのか、 それともこれを機に国内のプロダクトの消費を煽るプロモーションなのか 分からなかったりもする。
アメリカ国内で、前回の湾岸戦争と今回で明らかに異なる点は、 戦争を控えた時期が長すぎたことや、戦争に対する圧倒的な支持が得られないこともあって、 戦争に対する様々な見解、臆測、ジョークが飛び交っていることである。
前回の湾岸戦争中に行なわれた様々なイベントではセレブリティ達がこぞって アメリカ兵をサポートするコメントをしていたけれど、 現在の音楽業界では反戦メッセージの曲がロックからラップ・ミュージックに至るまでリリースされており、 ハリウッドの俳優達にしても声を大にして戦争反対をアピールしているし、 以前の湾岸戦争時には考えれなかったような 大統領や戦争をネタにしたジョークが聞かれるのも日常茶飯事である。
例えば、前回の湾岸戦争ではその攻撃に「オペレーション・デザート・ストーム(砂漠の嵐作戦)」という ネーミングがされていたけれど、今回は未だその作戦名が決まっていないため、 トークショーのホストがこれを「オペレーション・ブッシュ・リエレクション(ブッシュ再選作戦)」 と名付けて、戦争が行なわれなければ次期再選が危ぶまれるブッシュ大統領を皮肉っていたりする。
一方、反戦を唱えるセレブリティには様々なバックラッシュも見られており、 カントリーの人気グループ、ディキシー・チックスは「ブッシュ大統領がテキサス出身であることを 恥ずかしく思う」とコンサートでコメントしたために、ブッシュ支持派の多い南部のラジオ局は 彼女らの曲のオンエアをボイコットしていることが伝えられている。
またイラク情勢が浮上する前からブッシュ大統領に対して批判的であったことで知られる 俳優のマーティン・シーンは、このところますますブッシュ批判を強めたことから、 彼を広告に起用していたVISAカードのCMが放映打ち切りになったことも伝えられている。 もっともVISAカードとしては、だからと言って戦争を支持していると思われるのも困る訳で、 CMの放映打ち切りの理由はあくまで新しいCMに切り替えるためとコメントしている。 でも同時期に放映が始まったもう1本のCMが未だに放映されていることから、 広告業界では VISAのこの放映打ち切りは、やはり戦争世論を反映させたものという見方が強まっている。
一方、ペルシャ湾岸地域に派遣されたアメリカ兵達の間でも、 なかなか始まらない侵攻へのジレンマが高まっているのは言うまでも無く、 3月15日付けのNYポスト紙の表紙には写真右上のように、現地でベースボールに興じるアメリカ兵の 姿がフィーチャーされ、ヘリコプターの技術者チームが捕まえた毒ヘビをペットにして 余暇を過ごしているエピソード等も紹介されていた。
でもそんなジレンマが高まっても兵士達の戦意が失われたことはないとのことで、 指令が出れば6時間で完全に攻撃開始の準備が整うことも記事の中では強調されていた。






日本に帰って思ったこと

過去2週間、CUBE New Yorkがシステム・アップグレードにより業務を一時停止しなければいけなかったこともあって、 この時期を利用して決行したのが日本への一時帰国。
私は年に一度は日本に帰国することにしているけれど、いくら日本がデフレだとは言え、 日本に帰国するというのは決して安いものではなかったりする。 旅費、お土産代、日本での交通費や食費などを合わせると軽くニューヨークからアメリカ国内や バハマなどへの2回分の旅行バジェット、もしくはヨーロッパの主要都市への1回分の旅行の費用になってしまう。 おまけに仕事をしていれば、それほど休みは取れない訳で、 諸外国に暮らす日本人というのは、帰国に時間と費用を取られてしまうから 日本に暮らす日本人より外国旅行の経験が少なかったりする。
アメリカに何十年も暮らしている日本人の知人によれば、 日本に帰国することが何時の間にか「帰る」というより「行く」と言う表現になってしまったそうで、 かつては英語で「go back to Japan」と言っていたけれど、今ではそのセンテンスからbackの部分が 取れてしまって、日本が「勝手が分かる、言葉の通じる外国」になりつつあるそうである。
私は未だその域には達してはいないけれど、最近では日本に帰国する度に 外国に行った時のような物の気がつき方、言い方を変えれば 外国人が日本に来た時に「日本ってこうなんだ、ああなんだ」と感じるように 日本を見るようになって来たのは自覚していたりする。
今回日本に帰国して先ず感じたのは、イラク問題のことがアメリカ以上に 大々的に報道されていたということ。 私が日本に発った2月末の時点では ニューヨークで4大ネットワークのニュースを見ていると、 大体ローカル、もしくはアメリカ国内で起こった重大事件が 常に番組のトップニュースで、イラク問題は長引いていること、一向に進展が見られないこと、 そして何より毎日報道されていることもあって2番目、3番目に扱われるネタであった。 その報道時間も3〜4分程度で、これはかなり大きな扱いではあるものの、 それ以上続くことは無い。
ところが日本に帰国してみると 当事国のアメリカよりも凄まじい報道ぶりで、 何か進展でもあったのかと思わず心配したほどだった。
日本は安保理事国でもないし、イラク情勢に関してアメリカのメディアが日本の立場や主張を 報道することもないけれど、日本にしてみれば戦争が始まれば、戦費という名目ではないとしても 費用負担をアメリカから押し付けられることになることが確実視されるだけに、 トーク番組でイラク問題について白熱した議論が戦わされていたり、ニュースがイラク情勢を大きく伝えるのは理解できるけれど、 それが当事国であるアメリカのメディアがイラク問題以外の様々なニュースを伝える、いわゆる「日常報道」を展開していた時期であっただけに、 やはり日本の報道は少し過剰報道気味に見えてしまったのが正直なところである。
加えて私が気に入らなかったことは、アメリカでも大々的な反戦運動が行なわれて、 今も40%以上の国民が戦争に反対しているにも関わらず、日本のメディアを見ていると アメリカ全体が戦争をしたがっているように報道されていることだった。
イラク問題と同様に日本で大々的な報道がされていたのは、当然ながらヤンキーズの松井のニュースで、 局によってはニュースで全打席を紹介していたりして、とてもそれがオープン戦の報道とは思えないものがあった。 ニューヨークに戻ってから NYタイムズ紙をチェックしてみると、松井がホームランを打った時と、 あともう1回ほどは記事になっていたけれど、やはりアメリカではオープン戦というのは 練習試合に等しい扱いをされているのに加えて、他にNBA、NCAA等、幅広くスポーツをカバーしなければならないため、 ここでもイラク情勢と同じくらい、日米の報道に大きな差が出ていた。
さらに私が帰国していた際に大々的に報道されていたのは「ボラ大発生」のニュースだった。 これについては、大量に発生する異常事態であっただけに、「タマちゃん」報道よりはるかに理解できるものだった。 (ちなみにニューヨークに暮らす日本人には、一国のメディアがこぞって行なっていた「タマちゃん」報道は非常に滑稽なものに映っていた。)
この他TVを見ていて気がついたのは、若い女の子が皆 同じような作り目(事実はどうあれ、私には整形しているようにしか見えなかった)に 猫目のメークをしていたことで、この手の顔は今の日本ではウケるのかもしれないけれど、 諸外国ではウケないタイプだと思った。
街を歩いていて気がついたのは、黒っぽい服装に白いジャケットを着た女性が非常に目立ったこと。 茶髪、特に物凄い茶色の髪が減ってきていたこと。 そして、これはいつも感じることだけれど、街中がタバコ臭いということ。 またかなり見慣れてきたけれど、やっぱり携帯ストラップというのは見た目にあまりカッコ良いものではないと思った。 (携帯ストラップというのを使っているのは日本だけと聞いている。)
デパートに入って感じたのは、「やっぱり日本のデパ地下というのは凄い!」ということ。 自称世界一を誇るロンドンのハロッズの食料品フロアだって、東京のデパ地下には敵わないと 私は個人的に思っている。
デパートは全般的に人が沢山出ていると思ったけれど、デフレにも関わらず日本では相変わらずシルバーのアクセサリーの 値段が高すぎるし、まるでプラチナ製でもあるかのようにガラスのケースに仰々しく並んでいたのはちょっと気になった。 ちなみに日本で人気だったクローム・ハーツの6万円以上で販売されているシルバー・リングは ダイヤモンド・ディストリクトの専門家によれば、キャストさえ作ってしまえば30ドル程度で作れるというもの。 ダイヤモンド・ディストリクトは「シルバーのように財産価値のないジュエリーは取り扱わない」ため、 中古の買い取り価格さえ教えてもらえなかったけれど、 それはどんなに繊細に細工されているシルバー・ジュエリーに対しても同様なので、 ブランド名やプレゼンテーションに乗せられてシルバーに大金を叩くことはお金の無駄だと思えてしまう。
これと共に私が高いと思ったのは、レストランで出されるワインの価格で ニューヨークのリカーストアで10ドル前後で買えるクラスのワインに6800円という価格が付けられていたのにはビックリしてしまった。
でも私が日本に帰る度にホッとするのは、 やはり人が親切だし、礼儀正しいこと。 多くの外国人が日本人のことを「礼儀正しい、親切」と言ってくれるけれど、 これは今も事実だと思う。 いくらホームレスが増えたと言っても、街中はきれいだし、 いろいろな意味できちんとオーガナイズされいると思う。
私のニューヨークの日本人以外の友人は「一度は日本に行ってみたい」という人が非常に多いけれど、 日本もアメリカの広告代理店を起用するなどして、上手くプロモーションを展開すれば、 もっと諸外国から旅行者を呼び込んで、観光収入が得られると思う。 逆に言えば諸外国のに比べて、日本は観光収入を得るための努力がはるかに行なわれていないのが非常に残念に思える。
ちなみに写真左は私がNYに戻った3月12日にNYタイムズに掲載された東京都の広告であるけれど、 こんなアメリカ人にとって理解し難い広告では旅行者は呼べないと思う。






Catch of the Week No.2 Mar.: 3月 第2週


Catch of the Week No.1 Mar.: 3月 第1週


Catch of the Week No.4 Feb.: 2月 第4週


Catch of the Week No.3 Feb.: 2月 第3週