Mar. 22 〜 Mar. 28 2004




「アプレンティス」に見る Men & Women


今、アメリカで最も人気を集めているリアリティTVと言えば、文句なしに「アプレンティス」である。
この番組は、「サバイバー」のプロデューサー、マーク・ブルネットが手掛けている番組で、 基本的には「サバイバー」同様、16人の参加者が、勝ち残りゲームを繰り広げていくというものだけれど、 舞台はニューヨーク。勝ち残って手に入れられるのは、$1ミリオンの賞金ではなくて、 ニューヨークの不動産王、ドナルド・トランプが傘下に収める企業の社長の椅子というもの。 毎週、参加者には様々なビジネス・チャレンジが課せられ、そのうちの1人が ドナルド・トランプの判断によって「You're Fired」、すなわち「お前はクビだ!」と宣告され、 戦列を離れることになる。
今や「You are fired」はアメリカの流行語となって、これをプリントしたTシャツが 発売されたり、5番街のトランプ・タワーに吊るされているアプレンティスの広告の横断幕の前では、 記念撮影をする人々が多数見られるほどで、 ドナルド・トランプ自身も、このリアリティTVの大ヒットで、 すっかり売れっ子になっているのも事実である。
彼は、来週の土曜日に「サタデー・ナイト・ライブ」のホストを務めることになっているし、 4月15日で「アプレンティス」が最終エピソードを迎え、 その前に既に「アプレンティス2」の参加者オーディションが 全米13都市で行われていることもあり、 トークショーというトークショーにゲスト出演しては、 「アプレンティス」、及び「アプレンティス2」の宣伝に余念が無いのが 昨今のドナルド・トランプである。

私もこの番組を毎週のように見ていることもあり、 ドナルド・トランプがトークショーに登場すると、それなりに興味をもって見ていたりするけれど、 彼が番組の参加者について話したコメントで、1つ気になっているのが、 「女性は女性だけでチームを組ませると力を発揮するけれど、 男性に混じると、途端に男性に負けてしまう」というもの。
ドナルド・トランプがこう語ったのは、 アプレンティスは当初、16人の参加者を女性8人、男性8人の2チームに分けた男女対決にしており、 この時点では4週連続で女性チームが勝利を収め、 トランプ自身も「これからは決して男は雇わないと思い始めた」とコメントしたほどだったのである。 ところが、男性チームのメンバーが4週連続で「クビ」にされたため、チームを男女混合に再編成した途端、 今度は7週連続で女性が「クビ」になり、今週の時点で残っているメンバー5人のうち、 女性はたった1人を残すのみになってしまったのである。

このことをドナルド・トランプが指摘した際、トークショーのホストの女性がそれに同意して 例に挙げたのが、 アメリカのハイスクールにおける男女のクラス分けであった。 アメリカのハイスクールでは、数学や化学等、本来男子生徒の方が得意と見なされる学科では、 男女一緒のクラスだと、女子生徒は男子生徒に気がねや遠慮をして、 「分からなくても質問しない」、「分かっていても発言しない」のだそうで、 クラスを男女で分けた途端に、女子生徒が伸び伸びと学び始めて、 その結果、成績が大幅にアップしたことが伝えられて久しいのである。
もちろん「アプレンティス」に登場した女性達は、 ハイスクールを出て久しいビジネス・ウーマンばかりで、 男性に遠慮をして力が発揮出来ないようなタイプの女性達ではなかったから、 アメリカのハイスクールと同じケースとは一概には言えないと思う。

でも私が個人的に「アプレンティス」を見る限りにおいて感じたのは、 「男性は特に失敗をしたり、余計なことさえ口走らなければ、特別な活躍をしなくても生き残っていけるけれど、 女性にはこれが出来ない」ということだった。
女性はジッとしていれば、影が薄くなるし、しゃしゃり出れば反感を買うし、 意見を言えば、必ずそれに突っ掛かって来る別の女性が居る訳で、 その結果、ミスをすれば目立つし、敵は出来易いし、挑発されることも多いので、 自分の感情を露呈することになったり、失言をしたりして、「クビ」にされていくのである。
でも女性だけのチームで 戦っている間も、女性の間では、口論や衝突が絶えなかった訳で、 男性チームに対して勝利はしていたものの、決して理想的なチームワークと言えるものではなかったのは事実である。 それでも、女性チームが男性チームを負かすことが出来た理由は、彼女らの方が機動力はなくてもアイデアが良かったり、 女性としての魅力を男性客や男性クライアントに対して上手く使っていたからと一般には言われていた。
私もそれには同感であるけれど、でもそれと同時に個人的に感じたのは、女性がチーム8人で揃うと、1人1人を個々で見るより ずっと魅力的なパッケージに見えており、その魅力の相乗パワーというものは、男性参加者8人が揃った むさ苦しい、重たい雰囲気よりも、 華やかで快活に見えたのである。
でも、この女性ならではの持ち味や強みは、男性との混合チームになった途端に色褪せたし、 男性が女性のアイデアを上手くピックアップして使っているのに対して、 女性は、感情的に口論する姿ばかりがクローズアップされるようになっていったように見受けられるのである。

社会というものは、当然のことながら男女が共存するところであるから、 男女が混じれば男性に有利に働くというのは、「アプレンティス」を見る前から 織り込み済みの、歴史的事実である。
では女性が集った場合、相乗パワーが発揮されるか?と言えば、少なくとも世の中のさして大切でない部分では「Yes」である。 例えば、私自身レストランに出掛けたとしても、男女混合のテーブルで食事をしていて、 ドリンクがタダで出てきたことはまず無いけれど、女性だけで食事をしていれば、 シャンペンやデザートがタダで出てくる事は決して珍しくないのである。 この他、女友達だけで出掛けてビリヤードのテーブルがタダになったこともあれば、 クラブのカバー・チャージがナシになるのも日常茶飯事であるし、 女友達だけで出掛けた店でプレゼントやタダ券をもらったことも何度もあるけれど、 これは「ちょっと得をした」程度の話で、「ビジネスのサクセス」には程遠いものである。

かく言う私は、ニューヨーク在住の女性を対象としたネットワーク・パーティーをホストしている立場上、 よく「どうしてCUBE New Yorkのパーティーは女性だけが対象なんですか?」といった 質問を受けるけれど、これは男女混合のパーティーなら他でも行われているようだし、 「ニューヨークに来て、同じ日本人の女友達に出会いたい」と考えている女性が多いであろうと 考えたためで、「女性が集ると相乗パワーがある」ことまで考えた企画ではなかったりする。 でも毎回パーティーを行う度に感じるのは、参加者の女性の皆さんのパワーと熱気で、 この雰囲気は参加者の枠を男性にまで拡大したら、変わってしまうだろうというのは、 私だけでなく、私が意見を訊いた多くの女性からも指摘されるところである。

さて、話をドナルド・トランプの「アプレンティス」に戻すと、 トランプがインタビューで語っていたことによれば「ビジネスの世界では、学歴はそれほど役には立たないけれど、 ルックスが役に立つことは多い」とのことだった。
実際、「アプレンティス」にキャストされていたのは、グッド・ルッキングな参加者が多かったし、 どうやって調査したかは知らないけれど、アメリカではルックスの良い人の方が、 ルックスが良くない人よりも、収入が30%以上高いという統計が出ているという。
でも世界で、そして恐らく歴史上、最もサクセスフルなビジネスマンと言える マイクロソフトのビル・ゲイツが、グッドルッキングかと言えば、 必ずしもそうではない訳で、「ルックスが役に立つ」と語っているドナルド・トランプ自身とて、 特筆すべきハンサムでもないのである。
だから、ビジネスにおいて「ルックスが役に立つ」ことがあるとすれば、それは女性が愛嬌を振りまいて得をするのと同様、 「さして大切ではない部分で、人にも良くしてもらえる」程度の話で、 それがビッグなサクセスに繋がるものではないということなのだろう。



Catch of the Week No.3 Mar. : 3月 第3週


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