June 21 〜 June 27 2004




ボトックス体験記

2週間前のCUBE New Yorkのネットワーク・パーティーで、参加者の方から頻繁に訊かれた質問が、 以前このコラムに書いたラディアンス注射のこと、そしてサンレス・タンニング・ピルのことだった。 ラディアンス注射については、「凄く痛いんですか?」と訊ねられ、サンレス・タンニング・ピルについては、 「本当に黒くなるんですか?」という質問を受けたけれど、答えはどちらも「Yes!」。
ラディアンス注射については、自分でもCUBEの記事(「ボトックスはもう古い?! 続々登場する美容の特効薬」)に 「他の注入よりも痛みが強く…」と書いておきながら、そんなことはすっかり忘れていて、 しかも唇という特にセンシティブな箇所に注射をしたので、コラムに書いた通りの 大激痛体験になってしまった。 個人的な印象ではインフルエンザ注射の70倍くらいの痛みが、注入の間中 続いている感じで、 注入後は腫れているだけで、痛みは無いけれど、「この効き目が失せた時にもう1度注射を受けるか?」 については、即答出来ないほど、その痛みは今でもトラウマになっていたりする。
一方のサンレス・タンニング・ピルについては、3月頭からずっと飲み続けているけれど、 私は人より地肌が白いこともあって、効果が目に見えて現れるまでには2ヶ月半くらいが掛かっている。 サンレス・タンニング・ピルの場合、身体全体に色がついてくるので、水着の跡などで、日焼と 地肌を比べることが出来ないため、どの程度の色が付いたのかをなかなか実感することが出来ないけれど、 背中が開いた服を着ている時に、人から日焼を指摘されたり、使っているコンシーラーが 白過ぎるように感じられたりして、肌に色が付いて来たことに気付くことになる。
サンレスタンニング・ピルで私が1番心配していたのは、色が黒くなり過ぎて、「ジャネット・ジャクソンみたいな胸になったら どうしよう…」という事だったけれど、私が感じる限りでは、ある一定の色以上は 黒くはならないようで、私は今も毎日4錠ずつを飲んでいるけれど、 これは白い脚でサンダルを履きたくないと思うために続けていることである。


さて、そのネットワーク・パーティーの4日後に私がドクターのアポイントを入れておいたのが、 ボトックス注射である。
私は、CUBE New Yorkにもう何年も前からボトックスの記事を書いておきながら、 今年の春までボトックス・ヴァージンで、初めて注入したのが今年の3月、 それも眉間の部分だけに注射をしてもらうという、極めて中途半端なスタートであった。
この時は、本来はラディアンス注射の経過を見せるためにドクターのところに、 朝の9時に出向いたけれど、朝の9時というのは、私にとっては朝の6時に匹敵する早朝に当たる訳で、 タクシーに乗って時間通りに駆けつけたにも関わらず、5分程度顔をチェックされただけで 帰されそうになってしまい、「この程度のために、こんなに朝早く呼び出されたんですか?」と 愕然とする私を見て、ドクターがサジェストして来たのが、 「じゃあボトックスでも打って行く?」ということ。
初めてのボトックスが、こんな「物のついで」で良いのだろうか?という疑問が頭をかすめたものの、 その当時、眉間に2本のシワがくっきり付き始めたことが 気になっていたこともあり、その場でボトックスを打ってもらうことにしてしまった。
そもそも私は極度にオイリー・スキンなこともあり、英語で「クロウ・フィート(カラスの足跡)」と呼ばれる 目尻のシワが35歳を過ぎても出ないほど シワの心配は要らなかったけれど、 ここ1〜2年では、「さすがに老化には勝てない」と思いが強くなっており、 ドクターからも「今、ボトックスを始めておけば、小じわも出ない」という魅惑的な 誘いの言葉を掛けられて久しい状態だった。だから、心の準備は出来ていたものの、 ボトックスのピーンと張った感じの顔は嫌いだったので、「先ずは眉間だけに打ってもらって、 様子を見よう」と言うのが私のその時点での判断だったのである。

そのプロセスは、先ず眉間にジェル状の麻酔薬が塗られて、 注射の直前に眉間に思い切りシワを寄せるように言われたけれど、これはドクターがシワのラインをチェックするため。 そして、そのシワの部分にボトックスが8箇所くらいに分けて注入されたものの、 痛みは殆どなく、注射自体も 数十秒の出来事だった。 終わって鏡を見てみると、眉間は注射の跡の赤い点が2つほど見えるだけで、化粧直しも必要ないほどで、 この時の料金は眉間だけということで、350ドル。 額(ひたい)全体、目尻、眉間というボトックスが効果を発揮する全箇所に注射をすると1100ドル、 3回分のセッションを纏めて購入すると3000ドルで、1回分が1000ドルになるというのが、このドクターのボトックス料金だった。

私はボトックスについては、かなりのリサーチをしていたけれど、 実際に「顔が動かなくなるというのはどんな感覚なのだろう?」というのは、体験してみないと 分からないもので、注射から24時間が経過して効き目が現れるのをワクワクして待っていたけれど、 実際、翌日になってみると、眉間にどんなにシワを寄せようと頑張っても、 決してシワが寄らないのには、驚くと同時に、かなり興奮してしまった。
これは、麻酔をして感覚が無くなるというのとは全く別物で、顔が部分的に自分の脳からの 指令に反応しなくなるというのは、極めて不思議なことに思えたし、 それまで非常に気になっていた眉間のシワが、 寄せようと思っても 寄らなくなるというのは、気分の良いことだった。 こんな効果は、どんなに高い化粧品を使っても、どんなに腕の良いエステティシャンに掛かったところで、 得られない訳で、ボトックスがこれだけの センセーションを巻き起こす理由を改めて納得してしまうことになったのである。

新しい物を試すと黙っていられない私としては、その後、ボトックスの話を 友達や、母親にも興奮して喋りまくることになってしまったけれど、 その時、友人の1人から指摘されたのが、「私のドクターの値段が高すぎるのでは?」ということだった。 彼女に寄れば、ボトックスを額、目尻、眉間に打って1000ドルを支払うというのは、セレブリティ並みの料金 なのだそうで、確かに私のドクターは、シンガー兼女優のシェール等をクライアントにしている決して安くはないドクターだった。
友人によれば、「今時、ボトックスが打てない医者なんていないんだから、もっと安いところにしたら?」 とのことで、そう言われてふと考えてみると、ボトックスというのは1回始めると、4ヶ月置きに打ち続けなければ意味が無い訳で、 1000ドルのドクターを、800ドルのドクターに変えれば、1年で600ドル、すなわちマノーロ1足分の 差額が出る訳である。
そこで、もっと安いボトックス・ドクターを探していたところ、友人が紹介してくれたのが、 アッパー・イーストサイドの皮膚科医で、ボトックスとレーザーに定評があるというドクター。 アポイントメントを入れるために電話を掛けて、ボトックスの料金を訊いたところ、 500ドルと言われたので、「安過ぎるかも?」と思いながら 出掛けることになったのが、今回私がボトックス注射を受けたドクターだった。
ところが、私はネットワーク・パーティーの翌日から、肺炎に似た風邪の症状で苦しんでおり、 アポイントメントの日も、風邪がさほど回復せず、抗生物質を飲んでいるような状態。 ドクターによれば「抗生物質がボトックスの効き目を妨げることは無い」そうなので、 予定通り注射を受けることにしたけれど、今回のボトックス注射は、いろいろな意味で前回とは全く異なり、 意識を改めさせられる経験となった。

先ず、ボトックスはアメリカでは「ランチタイムに出来るトリートメント」と言われており、 眉間にボトックスをした時は、私自身、本当にそう思ったけれど、今回は、 私がドクターのオフィスに着いたのが、アポイントメントから10分遅れの1時40分、 注射が終わって出てきたのは3時10分で、医者を選ばないとランチタイムには終わらないことを 思い知らされてしまった。
この1時間半もの間、私が何をしていたのかと言えば、殆どが待たされていた訳で、 先ず待合室で待たされ、次に診察室で待たされ、注射の途中で待たされ、 注射の延べ時間は10分程度のことだったので、その残りの時間は、 ひたすら待たされている状態だった。 ただでさえ待つのが嫌いな私としては、雑誌も置いていない診察室で待たされるのは 特に苦痛で、部屋にあった古臭いエア・コンディショナーをいじって暇つぶしをしていたけれど、 それもやがて壊れそうな音を立て始めたので、唯一の暇つぶしさえも失ってしまうことになった。

さらに驚いたのは、ボトックスの料金で、500ドルというのはどうやら額(ひたい)だけのお値段だったようで、 眉間と目尻を合わせると、シェールのドクターよりも高い1350ドルという価格だった。 私は思わず「安くなるパッケージ料金とかは無いんですか?」とドクターに尋ねてしまったけれど、 鼻で笑われてしまい、「僕が戻ってくるまでに、ディスカウント・パッケージを考えておいて」と 言い残して部屋を出て行ってしまったので、いっそ注射を止めて帰ろうかとも思ったけれど、 この日を逃すと、暫らく予定が取れないこともあり、シェールのドクターとの350ドルの差額に目をつぶることにした。 でも頭の中では、「350ドルを握り締めて このままバーニーズに行けば、セールで30%オフになったプラダか ルブタンの靴が買えるのに…」という思いと戦い続けていたのも事実だった。

注射そのものは、そのドクターは ボトックス注射の指導をしていただけあって「上手い」という印象で、 麻酔を使わないにも関わらず、「非常に痛い」思いはしなかったけれど、 普通に注射を受ける程度の痛みは味わうことになった。
でも、注射が終わって鏡を見ると、針の跡の赤い点が、額や目尻に20箇所ほどついていて、 しかもその箇所がそれぞれ腫れていたので、顔の上半分が蜂に刺されまくったような状態になっていた。 これはメイクで隠せるようなものではなくて、もし私がオフィスで働いていたら、 ボトックスをして来た事がオフィス中に知れるような顔で、 腫れが引くまでにはそれから2時間程度が掛かることになった。 だから、その意味でもボトックスは「ランチタイムに人知れず受けるトリートメント」には程遠いものだと思ってしまった。

さらには、そのボトックスの効き具合も、今回は非常にスローで、 注射をした24時間後の時点でも 額に5本もシワを寄せることが可能で、 ボトックスらしい効き目が現れたのは、注射から2日以上が経過してからだった。
とは言ってもその効き具合については、至って満足していて、アメリカでは「眉が動かなくなったら、 ボトックスが下手な医者」と言われているけれど、眉はちゃんと動くし、 笑った時に寄る目尻のシワがキレイに消えているのには 驚いてしまい、 改めて「これは凄い!」とボトックスの効果を実感することになってしまった。

でも今回のボトックス体験で、私が最も感じたことは、 皮膚科医と美容整形医の違いで、今回出かけた皮膚科のドクターは確かに注射は上手かったけれど、 「予防注射のようにボトックスを打たれた」という感じで、1日に彼がこなしている沢山の患者の1人として 無機質にトリートメントを受けることになった感じだった。だからコンサルテーションも無ければ、 交わした会話も最小限で、受け付けの女性達も愛想のかけらも無い人たちだった。
これに対して美容整形のドクターは、先ずはコンサルテーションがあって、 患者の持つコンプレックスやエイジングで気になり始めた問題を熟知して、 次から次へとトリートメントを提案して来るし、受け付けの女性達は若い美人揃いで、 患者の肌のコンディションや着ている服やジュエリーを誉めるのが習慣となっており、 完全な「クライアント商売」として運営されていると言えるものだった。
私が掛かった2人のドクターを比較すると、美容整形医の方が皮膚科医よりも ボトックス注射の値段が 安かった訳だけれど、皮膚科医に通っていれば、彼から受けるトリートメントはこの先もボトックスだけだろうし、 支払う金額も、彼が値上げをしない限りは1回1350ドルだけな訳である。 でも美容整形医に関しては、そもそも私がドクターに行き始めたきっかけはケミカル・ピールを受けるためで、 それが、ラディアンス注射になり、ボトックス注射になった訳であるから、 この先、ボトックス以外の出費が出て行くことは目に見えていると言えるのである。
だからボトックス注射の料金は高くても、それ以上のトリートメントを望まないのならば、 皮膚科のドクターに出掛けた方が、最終的にはマノーロ数足分のお金が浮くのでは?というのが 今回私が考えた事だった。

さて、そのケミカル・ピールであるけれど、このコラムで何度も書いている通り、 未だ実現には至っておらず、本当は3月末にピーリングを行う予定であったけれど、 サンレスタンニング・ピルを飲み始めたので、秋まで延期することにしてしまった。
ボトックスは、物のついでに受けられるのに、ケミカル・ピーリングは1年前から計画していても実現しないことを思うと、 私はほとほとケミカル・ピーリングには縁が無いのだと思う。







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