Aug 4 〜 Aug 10 2003




Love To Hate

先週末に封切られたジェニファー・ロペス&ベン・アフレック主演の映画「ジリ」は、 現在婚約中の2人が初共演した作品として、大きな話題とパブリシティを集めてはいたけれど、 映画自体は、公開以前から「かなりの駄作である」という噂が流れていた。
実際のところ、クリティック(批評家)のレビューも最悪で、配給元のソニー・ピクチャーズは そのレビューが出るのを遅らせて、人々が評判を聞きつける前に映画を見に行ってくれることを祈っていたようであるが、 これだけメディアの注目を集めているベン&ジェン(Ben&Jen:ジェンはジェニファーという名前の一般的な愛称、 ブラッド・ピットも妻、ジェニファー・アニストンを「ジェン」と呼んでいる)であるだけに、 映画の酷さも、2人のゴシップ同様に大きく報道されることになった。
そして週が明けて、ボックスオフィスの興行成績ランキングが発表されると、 その売り上げは、既に低かった予想を遥かに下回る僅か380万(約4億5600万円)ドルという惨憺たるものだった。 通常、映画というものは公開第1週週末の売り上げが最も高い訳であるから、同作品がこのまま公開を続けても 製作費5400万ドル(約64億8000万円)の元が取れないのはもちろんのこと、 ベン&ジェン2人の出演ギャラ(ベン・アフレックが1250万ドル/15億円、ジェニファー・ロペスが1200万ドル/14.4億円) さえも稼ぎ出せないのは明らかで、既に今年最悪の大赤字映画とも報道されている程である。

私が個人的に「ジリ」の1件で非常に興味深かったのは、 メディアも、そして一般の人々も、このハリウッドで最もホットなカップルの 駄作映画を喜んで話題やジョークにし、2人をこき下ろすことにエンターテイメント性を感じていた部分である。
もちろんこれまでにも、ハリウッド映画史上伝説的な駄作となった「ショー・ガール」や、 マライア・キャリー主演の「グリッター」、マドンナ主演の「流されて」のリメイク「スウェプト・アウェイ」等、 映画自体も興行成績も酷く、メディアやアメリカの一般大衆が、その酷さだけを話題にして 楽しむ作品は、年に1本くらいは存在していた。 こうした作品は、毎年オスカーと時を同じくして発表されるラズベリー・アワード(通称ラジー・アワード)で 賞を独占することになるけれど、既に「ジリ」もこのラジー・アワードの最有力候補に挙がっていたりする。
でもこうした、ジョークの対象となる駄作の中でも、「ジリ」に対しては、 近年に無く、メディアがその酷さに注目し、それを熱心にレポートしているのが目立っていたのは事実である。
何しろ、公開第1日目の金曜日のイブニング・ニュースでは、映画館から出てきた観客にインタビューをして、 彼らが「お金を無駄にした」、「こんな映画、絶対誰にも薦められない」等と語っている様子が報じられていたし、 CNNやFOXニュース・チャンネルも 週末の間中、 「J・ローのお膝元、ブロンクスの映画館では、 僅か5人しか観客が居らず、そのうちの2人は映画が終わる前に出て行った」等、 同作品が如何に酷いかを示すエピソードの数々をレポートしていたのである。
そして週が明けると、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーク・ポスト、TVのエンターテイメント番組等、 ありとあらゆるメディアが、「待ってました!」とばかりにその興行成績の低さを記事や話題にしており、 噂では、ベン&ジェンは共に「もう共演はしない」と語ったとも言われている。

一部にはメディアが騒ぐほど、一般の人々はベン&ジェンのカップルに関心を払っていないとの声も聞かれるけれど、 基本的にエンターテイメントの世界では、人気のあるセレブリティほど、同時に嫌われていたりするし、 人々がそのセレブリティに興味を抱いているだけに、そのキャリア上の失敗やゴシップが、 ニュース性、エンターテイメント性を帯びてくるのは言うまでも無いことである。
先述のマライア・キャリーの「グリッター」にしても、マドンナの「スウェプト・アウェイ」にしても、 他に酷い映画はいくつかあっても、特にこれらが時代を代表する駄作として人々の記憶に残るのは、 マドンナ、マライアが大スターであり、彼女らの演技の酷さや映画自体の悲惨な仕上がりを、 人々が話題にし、メディアが報じるためである。
映画が星の数ほど製作されている現在、ヒットの見込みの無い駄作はビデオやDVDとして 公開されるのが常であるけれど、「ジリ」のように前評判が最悪だった映画が 劇場公開されただけでなく、数億円をかけてプロモーションが盛んに行なわれたのは、 ベン&ジェンのスター・パワーがさせていることに他ならない。
このスター・パワーが衰えると、収益が上がらないと分かりきっている映画は 劇場公開にもこぎつけることが出来ない訳で、その好例と言えるのは、グイネス・パートロ主演で この春アメリカで公開された駄作映画「ヴュー・フロム・ザ・トップ」である。 オスカー受賞以来、「ヒット作無し」と言われる彼女は、すっかり「客が呼べるスター」とは見なされなくなってしまい、 同作品のイギリスでの公開は、劇場ではなくビデオ&DVDでの発売に格下げされている。

ベン&ジェンの2人は、今年の暮に公開予定の「ジャージー・ガール」でも 共演しており、同作品の監督は「ジリ(のように酷い映画ではないから)と一緒にされては困る」と、 必死に弁明しているというけれど、今回の「ジリ」でのリアクションを見る限り、 少なくともアメリカでは、例え「ジャージー・ガール」が本当に良い映画でも 見る人、見たいと思う人は少ないであろうというのが私の予測である。
というのも、アメリカの一般大衆にとっては、いくら2人が公の場で何度もキスをしたところで、 そのロマンスはフェイク、もしくはプロモーション用、そうでなければ本人同士が本物だと思い込んでいるだけのようにしか 見えない訳で、2人がカップルを演じている姿は、映画館に行ってお金を払わなくても、 メディアを通じてさんざん見せられており、人によっては既にそれにウンザリしているのである。
アメリカでは、ベン&ジェンは「ジャージー・ガール」が公開されたら 別れるという説が濃厚であるけれど、個人的にはパブリシティ効果を狙うならば、 「その前に別れた2人が、プレミアで別れて以来初めて顔を合わせる」という筋書きの方が 遥かに話題性があるように思う。



ブーツが見つからない!

私が7月半ばから必死で探しているのが、この秋冬シーズンに履くブーツである。
今年は冬が長かったので、5月に入ってもまだブーツを履いていた日があったけれど、 ニューヨークでは例年、3月末か4月初頭までは 足元はブーツである。秋口は天候にもよるけれど、 9月末から10月初旬にブーツを履き始めることになるから、大体1年の3分の2はブーツを履いて過ごすと言える。
だから、秋を迎えるに当たって、服よりも、何よりも先ず私が購入を考えるのがブーツである。
ことに私は足のサイズがアメリカで最もポピュラーなサイズと言われる「7」であるため、 ブーツに関しては早く手を打たないと、直ぐに「サイズ完売」という状況に泣かされるのである。
私は大体1年に3足のブーツを買う傾向にあるけれど、その内訳は1足目がそのシーズンの「目玉ブーツ」、 2足目が「履き潰し用ブーツ」、3足目が「バーゲンの掘り出し物」ブーツである。
「目玉ブーツ」とは、その年の流行をある程度反映したスタイルをデザイナー・ブランドから選ぶ場合が多く、 今年もかなりのシューズ・バジェットをここに投資をすることになる。 目玉ブーツはプレーンでオーソドックスなスタイルよりも、デザインに特徴があるタイプが好きで、 ヒールの高さは最低3インチ(7.5cm)、好ましいのは4インチ(10cm)で、 「どうしたらこんな高いヒールで歩けるの?」と言われながら履くことに幸せを感じていたりする。
ブーツ・フリークの人の中にはポイント・トウ(先が尖ったシェイプ)&ピンヒールにこだわる人も居るけれど、 私はヒールの太さには特にこだわらない方である。というのも、スティレット・タイプの細いピンヒールを履くならば、 ブーツよりもスリングバックやサンダルを履いた方が断然履き易い上にセクシーに見えるためで、 ピンヒールを見せびらかしたいオケージョンなら、私はブーツを履かないと思うためである。
さて、「目玉ブーツ」を履く程でもない、ごく普通のオケージョンに必要になってくるのは「履き潰し用ブーツ」であるけれど、 このブーツが最も履く頻度が多かったりする。 「履き潰し用」とネーミングしているだけに、シーズンが終わる頃には、履き潰されているので、 コンディションによってはサルべーション・アーミーに寄付することもあるけれど、 捨ててしまうことも多かったりする。
このブーツはできるだけオーソドックスなスタイルで、履き易さにこだわるから、 ヒールも2インチ(5cm)程度。足首の部分にシワが寄り難いデザインで、素材はスウェードを避けて、表革を選ぶことになる。 スウェードを選ばないのは、素材が弱い上に、雨が降ると履けないためである。
通常「目玉」と「履き潰し用」のブーツはシーズンの初めに購入することになるけれど、 3つめのカテゴリー、「バーゲンの掘り出し物」ブーツは、例年シューズのセールがスタートする サンクス・ギビング明けの週末(11月末)からハンティングが始まることになる。
昨年はマーク・ジェイコブスの650ドルのブーツを295ドルで購入したけれど、 私にとって、これまでで最大の掘り出し物と言えたのは数年前に680ドルのフェンディのブーツを99ドルで(しかも5番街のブティックで!)購入したというものである。
このバーゲンの掘り出し物ブーツは、「目玉ブーツ」と「履き潰し用」 以外のオケージョン用として購入する場合が多いけれど、 手持ちの特定の服やコートとのコーディネートが抜群に良いために購入する場合もあったりする。
さて前置きが長くなったけれど、昨今の私を苦しめているのが、今年の「目玉ブーツ」が見つからないというジレンマである。 既にバーグドルフ・グッドマンのシューズ売り場に出ている殆どのブーツを見て、 気に入ったタイプは全て試したけれど、「似合わない」、「履き心地が今1つ」、「わざわざ大金を払うほどのブーツじゃない」、 「ヒールが低すぎる」、「ブーツが短すぎる」のいずれかの理由で却下となっている。 この他にもいろいろなブティックでブーツを試しているけれど、今のところ収穫無しの状態が続いているのである。
更に私を焦らせているのはこの秋、久々にスカートがカムバックしてきているためで、 本来スカート派の私は、この秋冬シーズン、スカートを履いて過ごしたいと思っているのである。 だから、今シーズンはどうしても膝丈の表革のブーツが欲しいのであるが、このまま「目玉」ブーツが探せなかった場合、 「私は一体、どうやってスカートを履いたらいいんだろう」などと真剣に悩んでいたりする。
ブランドで言うと、私の足のアーチはグッチ、サンローラン、セルジオ・ロッシというグッチ・グループ傘下ブランドとは比較的相性が悪く、 シャネル、プラダ、ドルチェ&ガッバーナとは抜群に良好な関係にあったりする。 ルイ・ヴィトンの傘下のブランドで言うと、まずヴィトンは、比較的履き易いけれど、 いつも「色っぽくないなぁ」と思って見ているコレクションである。 ディオールは、最もブーツが細く作られているブランドで、パンプスやサンダルは履けても、 ブーツは履けないブランドである。セリーヌに関しては2年前に買ったマイケル・コースがデザインしたブーツが 大ヒットであった。
このブーツはジェニファー・ロペスやマライア・キャリーも履いていた ふくらはぎ丈のもので、 ちょっと見難いけれど写真上でデヴォン・アオキが履いているもの。 これを私が買ったのは2001年のテロの直後、誰も買い物をしたがらなかった時期で、 バーグドルフ・グッドマンがシーズン当初にも関わらず、期間限定で前代未聞の30%オフを敢行した際に 購入したものだった。
私はこの2001年の時にも、「ブーツが見つからない」と大騒ぎをしていたけれど、 テロという悲劇が起こったために、「値段が高すぎる」と諦めていたブーツが 手の届く値段にディスカウントされることになり、サイズもピッタリのものがあったので、 「自分を足元から元気付けるため!」と思って買うことにした。
この当時はテロの影響で「ショッピングをする気になれない」とか、「大金を使うなんて不謹慎」と感じる人は多かったけれど、 私はこのブーツを履くと物凄く気分が良かったし、何処へ行ってもブーツを誉められて、 自分のために有益なショッピングをしたと実感する事が出来た。
このブーツは既にかかとを2回張り替えるほど、愛用しまくったけれど、 革が上質で強いこともあって、今もピカピカで、若干シワが寄った以外は、 至って良いコンディションである。だから今シーズンも履くつもりでいるけれど、 私の知人に言わせると、履き潰したブーツほどアグリーなものは無いのだそうである。
彼によれば、ブーツというのは そもそも普通のシューズに比べて見場の悪いものであるから、 それが履き潰されてボロボロになると、普通の靴以上に見苦しい姿になるのだそうである。 しかしながらブーツというのは通常のシューズよりも値段が高い上に、便利な靴であるから なかなか捨てる勇気が持てない人が多く、このため汚いブーツというものが世の中に数多く存在する、というのが彼の意見であるけれど、 確かに私もその傾向はあるように思って見ている。
例えばこれがバッグならば、高いブランドものを購入して、長く大切に持つことは出来るけれど、 靴というのは高いものを買って、大切に履いても、やはり寿命というものがあるし、バッグ以上に時代のスタイルを反映するものである。
だから高い靴をくたびれるまで履くよりも、安くて見場の良い靴を良いコンディションで回している方が、 ずっとファッションに敏感で、頭が良さそうに見えるし、 買った靴はもったいないなどと考えずにじゃんじゃん履いて、くたびれてきたら、 どんどん買い換えるべきだというのが私の考えである。
そうでないと、靴箱の中で、どんどん時代遅れのスタイルになっていくのがシューズの運命であるし、 どんなに服に投資をしても、足元が時代を反映していなければ、 その投資が無駄に終わるだけなのがファッションである。





最後に、先週のこのセクションでCUBE New Yorkが7周年を向かえたことにふれたところ、 多数の方からお祝いのメールや、オーダー・フォームのコメント欄にお祝いのメッセージを頂きました。 この場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
私にとって非常に嬉しかったのは、お祝いのメッセージを下さった方の多くが、 「CUBE New Yorkにアクセスするようになってから何年目です」と、 それぞれサイトにアクセスし始めた頃のことや、印象に残っている過去の記事、 初めてお買い物をして下さった時のこと等について書いて下さったことで、 皆さんが過去を振り返った時、その記憶の中にCUBE New York が存在しているというのは、 サイトを運営する私にとって、本当に感無量の思いです。
これからもより多くの皆さんに楽しんで頂けるサイトを目指して頑張ります。 今後ともよろしくお願いいたします。





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Catch of the Week No.4 July : 7月 第4週


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