Sep. 8 〜 14 2003




9/11とキャッチ・オブ・ザ・ウィーク

今週木曜日、9月11日は、テロからの2周年であったけれど、 昨年の1周年に比べれば、今年は遥かに普通の日であったと言える。 追悼イベントは小規模であったし、TVの特別番組も数えるほどで、 ブッシュ大統領がNYに来なかったこともあり、交通規制も殆ど見られなかった。
でも多くのニューヨーカーにとって9/11のテロというのは、生活の中の何かにつけて 思い出す惨事であり、テロの記憶と暮らしているという傾向は非常に強いため、 ブッシュ大統領のワシントンからの「決して忘れてはならない」というスピーチは、 「余計なお世話」的に聞こえたのは事実である。

私自身、テロ当日のことは時々思い出すけれど、あの朝の一機目の飛行機がワールド・トレード・センターに 突入してから、ビルが崩壊するまでの時間は、全く悪夢としか言い様の無いもので、 ただ呆然と見守るのが精一杯という状態だった。
でも午後に入ると、人々がボランティアとして病院や、グラウンド・ゼロ付近に駆けつけたり、 ジュリアーニ市長の呼びかけに応じて、水や食料を持ち寄る人々、献血のために行列をする人々の姿をTVで見て、 「やっぱりニューヨーカーは強い」と物凄く感動したし、こういう時こそ自分も何かをしなければという気持ちに させられたのは 今も鮮明に記憶に残っている。
そこでコンピューターを立ち上げると、メールが洪水のように入って来たけれど、 その殆どがお見舞いメールで、日本を始めとする、ニューヨーク外の 友人や仕事関係の人、CUBE New Yorkのお客様からのものだった。 その内容は、日本ではテロが起こったことは報じられていても、 街中の様子や、街の他のエリアがどうなっているか?といったことは、 未だレポートされておらず、「どういう状況だか分からなくて、心配している」というものが多かった。
そこで「献血よりも、これが私のミッション(使命)」と思って、 テロとその後のニューヨークの様子を記事に纏めることにした。 でも電話は通じないし、交通機関も麻痺していたので、情報収集はTVやインターネット、そして 同じビルに住むダウンタウンやミッドタウンのオフィスで働く人々等の話が頼りという状態だった。
私がこの日のテロ報道を見ていて「アメリカのメディアは大したものだ」と思ったのは、 午前中の報道こそは、飛行機激突やビル崩壊の映像の連続に終始していたものの、午後に入ると テロの時間を追っての経過や、その分析的なことは、分かり易く非常に短く纏められ、 それ以外の時間を、医療関係者のボランティアを募ったり、 食料、水、衣類の持ち寄り場所や、献血が行なえる病院とその待ち時間を伝えるといった 情報提供、これに加えて先述のようにニューヨーカーが助け合う姿、消防士や警察官が いかに勇敢に事態に対処しているかといった、ポジティブなニュースにそのフォーカスを切り替え、 至って前向きな報道をしていたことであった。
これによって私だけでなく、多くのニューヨーカーが、 「自分も何かしなければ」という気持ちを駆り立てられたと思うし、 街の雰囲気も、悲壮感と絶望感が漂った午前中に比べ、多くの人々がボランティアや献血で 街中に出始めた午後の方が遥かに希望の光が感じられるものになっていた。
FOXを始めとする一部のメディアはこうした報道の力を、春先のイラク戦争の際の 世論支持を取り付けるために使っている感があったけれど、テロの際の 報道方針の一斉の切り替えは「ジャーナリズムのあるべき姿」を見た気がしたし、 私自身これと同じことをしなければという気持ちで、記事を書き始めることになった。
そうしてこの日の夜に仕上げたのがThe Worst Terror Hits New York / 史上最悪のテロ事件に見舞われたニューヨーク: ハイジャック、激突、爆発、避難、報道の12時間 で、この記事にはかつて無かった程、沢山の反響を頂くことになったけれど、 更にビックリしたのは、テロを境に減ると思っていたショッピングのオーダーが逆に増えたことで、 多くのお客様が「大変だと思いますが、頑張ってください」というような励ましのメッセージを コメント欄に書いて下さって、CUBE New Yorkを励ますためにオーダーをして下さっっていることが分かって、 本当に胸が熱くなる思いでした。

結局、その後 年末まで、毎週ニューヨーク事情をレポートすることになったけれど、 これは使命感というよりも、ニューヨークを良く知らない人がやって来て 先入観から「ニューヨークは死んでいる」などと言われるのが凄く嫌だったからで、 ニューヨークに暮らしている人間の視点から街の様子をレポートするということが、 私にとって この時点ではとても大切な事のように感じられていた。
日本等、ニューヨーク以外の場所から「テロが起こったニューヨークに来た!」という人が見れば、 ニューヨーカーがいつも通り黒尽くめのファッションを身につけているだけでも喪服に見えてしまうし、 街中の地図にワールド・トレード・センターが 残っているのを見ても、「ニューヨーカーはWTCを忘れたくないんだ」などと センチメンタルに捕えてしまいがちであるけれど、 ニューヨークに暮らしていれば、そんな地図を直ぐに作り直して張りかえるバジェットや細やかさが ニューヨーク市に無いことは熟知している訳で、私はテロ直後ほど、ニューヨーカーと ニューヨークにやって来る人が街を異なって捉えていた時期は無かったと思っている。
でもさすがに年末の時点では、「もうテロの話なんてまっぴら」という気持ちになっていたので、 新年からは、ニューヨークのライフ・スタイルやトレンドや、 ニューヨーク生活の醍醐味と言えるようなものをレポートしたいと考えていた。 そこで2002年の1月の第1週目からスタートしたのが この「キャッチ・オブ・ザ・ウィーク」で、 ライターをする知人からは「お金も払われないのに、よく毎週書けるね」などと言われたこともあるけれど、 正直言って このコラムはお金のためだったら出来ないと思っていたりする。
自分の信じる視点からニューヨークやニューヨークで起こった様々な出来事等を書いて、 それに共鳴、もしくは面白いと思っていただいたり、いろいろな意見を持っていただけることは、 マスターカードのCMじゃないけれど、まさに「プライスレス!」であるから 「誰にも値段はつけて欲しくない」というのが私の気持ちなのである。






ウマ、馬、ユマ

先日、日本から来た知人と話していた際、この秋封切られる話題の映画「キル・ビル」 に話題が及んだけれど、主演のウマ・サーマンのことを、友人が「ユマ」と言っているのが 気になって、2回目に彼女が「ユマ」と言ったときに、「ユマじゃなくて、ウマだってば!」と、 思わず訂正してしまった。
彼女のリアクションは「だって、日本ではそう呼ばれているから…」というものだったけれど、 「ウマが馬を連想させるからイメージが悪い」ことを理由に、勝手にセレブリティの名前を 変えてしまうというのは、諸外国ではかなり珍しい事である。 しかも「Uma」というスペルは決して「ユマ」とは読めないのだから、英語教育の観点からも 良くないと私は考えてしまう。
そもそも、海外には サル(Sal/イタリア系に多いサルバトーレの愛称)とか、 デブ(Deb/デボラの愛称)といった日本語で考えれば笑ってしまうような名前は少なくない訳で、 ウマに関して言えば、アメリカ人が聞いても変な名前ではあるけれど そんな「変な名前の美女」というのが彼女のセレブリティとしてのアイデンティティであったりもする。
逆に日本語の名前で、英語では絶対におかしいと思われてしまうのは、 「あい」とか「ゆう」というもので、「マイ・ネーム・イズ・ユー」と言ったら、 「私の名前はあなたです」になってしまうなど、名前と英語の「I」、「You」が紛らわしくて、 会話にならなくなってしまう。
また「あぐり」という名前も「アグリー(醜い)」という単語を想像させることになる。
こうした名前の日本人がアメリカにやって来ると、 自分で選んだ英語の名前を使っている場合が多いけれど、 これは本人の意思によって選択されている訳だから、私は別に構わないと思う。

CUBE New Yorkでは「人名の表記が間違っている」というクレームを 過去に何通か頂いたことがあるけれど、 そのクレームは、アメリカでの発音通りに記載するCUBEのカタカナ表記と、 日本の雑誌に掲載される読み方が違うというもので「ハル・ベリー」、「ペネロペ・クルーズ」 などがその例である。英語圏では前者は「ハリー・ベリー」、後者は「ぺネロピー・クルーズ」で、 こちらがCUBE New Yorkが記載する名前である。
基本的な読み方は一緒でもアクセントが違う表記としては、 「マノーロ・ブラーニック」(CUBE New York表記)があるけれど、、 あのリムジン・シューズと名高いブランド名も、日本の雑誌に掲載される通りに「マノロ・ブラニク」と日本人が発音すると 「馬のばら肉」と聞こえて、ラグジュアリーが感じられなくなってしまったりする。 マノーロのスペルは「Manolo Blahnik」だから、スペル通りに 日本語表記をしたならば、「マノーロ・ブラーニク」が正しいことになる。
私の個人的な見解では「ハル・ベリー」、「ペネロペ・クルーズ」、「マノロ・ブラニク」という表記の 共通点は何かと言えば、アクセントとリズム感の無さである。 この2つは、奇しくも英語を話す上で最も大切なものとされているから、 このことからも どうして日本人が英語が下手な民族であるのかを垣間見る思いがしてしまう。



CUBE New York主催、第3回NY在住女性ネットワーク・パーティーのお知らせ

来る9月19日金曜日、午後7時より、第3回NY在住女性ネットワーク・パーティーを 取り行なうこととしておりましたが、ご承知の通り、大型のハリケーン「イザベル」が金曜午後に ニューヨークに上陸が見込まれているため、大事をとって1週間の延期をさせて頂くことといたしました。
新たな日時は9月26日金曜日、午後7時より、会場はモンドリアンで変わりありません。
間際の予定変更で大変申し訳ありませんが、是非ご都合をつけてご参加いただければと思います。
なお、今回も会場準備の都合で 参加ご希望の方にはR.S.V.Pをお願いしています。 詳細はココをクリックしてご覧下さい。



Catch of the Week No.1 Sep. : 9月 第1週


Catch of the Week No.5 Aug. : 8月 第5週


Catch of the Week No.4 Aug. : 8月 第4週


Catch of the Week No.3 Aug. : 8月 第3週