Jan. Week 2, 2012
” Vitamin B12 ”
” ヴィタミン B12 ”



「突然体調が変わった時は、どんな小さなことでも 何か日頃と違うことをしたのが原因」と言われるけれど、 確かに朝食のシリアルの種類を変えただけで便秘になってしまう人もいれば、 ヨーグルトを食べ始めた途端に下痢気味になってしまう人もいるし、 逆に、アルファ・リポイック・アシッドなどは飲み始めた途端にエネルギーが出たり、体調が良くなるもの。
私がそんな体調の変化を実感したのが、マルチ・ヴィタミンとヴィタミンBコンプレックスの摂取を11月上旬頃から止めてしまってからなのだった。

私は常備薬が無い替わりに、サプリメントの大変な信者。
というのも どんなにバランスの良い食生活をしていても、身体に必要な栄養素を全て食事から摂取するのは不可能と考えているためで、 20代後半から、ずっと何らかのサプリメントを飲み続けてきたのだった。
私がここ10年以上摂取してきたサプリメントのラインナップは、マルチ・ヴィタミン、ヴィタミンBコンプレックス、ヴィタミンE、アルファ・リポイック・アシッド、 エスターC、コ・エンザイムQ10、そしてヴィタミンDを含んだカルシウム。旅行に出かけるときも、1日分ずつ小分けにして持参するほど 欠かしたことがなかったけれど、そんな私が突然 マルチ・ヴィタミンとヴィタミンBコンプレックスの摂取を止めてしまったのは、 10月半ば頃にニュース番組で紹介されていた、サプリメントと女性の寿命に関するデータ報告を見てから。

これによれば、全てのサプリメントが健康と長生きに繋がるとは限らなくて、カルシウム、ヴィタミンEを摂取している人々は、比較的 長生きであったのに対し、マルチ・ヴィタミンとヴィタミンBを摂取している人々の寿命は短めとのこと。 この結果は、定期的に運動していない女性が対象で、ライフスタイル別に細かく調べたデータではないため、 結論を下すには 時期尚早とのことだったけれど、 125歳以上まで、五体五感満足に生きることを目標にしている私としては、 本当にマルチ・ヴィタミンとヴィタミンBコンプレックスが 身体に何らかの利点をもたらしているのか、疑わしく思えてしまったのだった。
それというのもアルファ・リポイック・アシッドやカルシウムとは異なり、マルチ・ヴィタミンというのは、あまり これといった効果を実感しにくいサプリメント。 Bコンプレックスについては、匂いが好きではないのに加えて、摂取後に 胃の中で なかなか消化されない不快感を覚えることが たまにあって、 「飲んでも長生きしないのならば、いっそ止めてみよう」と短絡的な決断を下してしまったのだった。

そこで、残っていたマルチ・ヴィタミンとヴィタミンBコンプレックスを飲みきった時点で摂取を止めてみたところ、 徐々に私の身体に起こり始めたのが、まず左太腿の裏側の筋肉痛。 最初はこの筋肉痛は、以前このコラムに書いた通り、右足がバニオン(外反母趾)になりかかっていたので、 それを無意識のうちに かばいながら走ったのが原因なのだと思い込んでいたのだった。
でも、バニオンが完治と呼べるほどの快方に向かいつつあるのに対して、筋肉痛は酷くなる一方。 それだけでなく、日に日に身体が硬くなるような感触があり、 12月末のヨガ・クラスでは、以前は出来ていたポーズが 膝を曲げないと出来なかったり、 時に脚が吊るような感触さえ覚えるようになってしまったのだった。




食生活は以前と同じだし、ランニングの距離も以前と一緒。エクササイズの全体量は、夏に比べると減っているような状態なので、 筋肉の疲労とは考え難く、そこで思いついたのが、マルチ・ヴィタミンとBコンプレックスを摂取しなくなったのが原因ではないかということ。
そんな中、TVで偶然見たのがヴィタミンB12の欠乏症の人が、ヴィタミンB12を摂取すると 途端にエネルギー・レベルがアップするというセグメントなのだった。
ヴィタミンB12というのは、卵、乳製品、魚介類や肉といった動物性たんぱく質に含まれる水溶性のヴィタミンで、 1日に必要な量は成人で、2.6mcgと非常に微量。 なので、食べ物から 十分なB12が摂取出来ると思われがちであるけれど、 肉の摂取量が世界一多いアメリカでさえ、成人の16%が ヴィタミンB12の欠乏症と言われ、 40%近くが欠乏症に近い状態。これを思えば、必ずしも食物から十分摂取できる訳ではないことが分かるのだった。
どうしてB12が豊富に含まれるフードを食べても、欠乏症になってしまうかといえば、 B12が他のヴィタミンよりも 吸収に際してのプロセスが複雑であるため。
食べ物から摂取したB12が 十分に体内に吸収されるためには、まず胃の中で 胃酸と消化酵素によって B12がたんぱく質から切り離されて、 その後 胃の中で作られる別のたんぱく質と結合した状態で腸に送られなければならないとのこと。 したがって、十分な量のB12を食べ物から摂取しても、胃酸の量が少ないなど、身体にその受け入れ体制が整っていない場合は、 吸収されずに終わってしまうのだった。

ではヴィタミンB12が不足すると、どういう症状が起こるかといえば、 記憶力や集中力の低下や、精神的な落ち込み、睡眠障害、筋肉痛や時折感じる針で刺したような痛み、しびれ、 筋力の低下、エネルギーの低下と疲労感、月経不順、めまい、バランス感覚の低下、頭痛、パラノイア、下痢、便秘、 血色の悪さ など。 こうした症状は日常生活の中で 起こりがちなものであるだけに、見逃されてしまう傾向にあるのが ビタミンB12欠乏症。
でもそれを知らずに放置しておくと、線維筋痛症(fibromyalgia)、アルツハイマー、心臓病、ガンの原因になることが明らかになっているのだった。

ではヴィタミンB12が 人間の身体の中でどんな役割を果たしているかといえば、 B12は 体内で血液が作られ、細胞組織が成長するために必要なもので、特に赤血球に含まれるヘモグロビンの組成、DNAの合成・複製を助けるといった 役割を担うもの。神経細胞においては、それをプロテクトする ミエリンと呼ばれる脂肪性物質の組成を助ける働きがあり、 DNA、血液、神経組織という人体における大切な部分で、重要な役割を果たしているのだった。
また、ヴィタミンB12は時に「エナジー・ヴィタミン」と呼ばれるように、脂肪やたんぱく質を体内でエネルギーに替える働きもあり、 こうしたB12の効用を知れば知るほど、欠乏症がもたらす様々な症状が納得できてしまうのだった。
でも、ヴィタミンB12の最も重要な働きはホモシステイン・レベルを低下させること。 ホモシステインとは、トキシック(毒性)なアミノ酸で、人間の身体が自然に機能する結果、生み出されてしまうもの。 すなわち人間が生きている限り、ホモシステインが体内で作られてしまうけれど、 このレベルが高くなることは ガン、心臓病、脳卒中、アルツハイマー、パーキンソン病の原因になる ことは医学的に立証されているのだった。




ヴィタミンB12の欠乏症が深刻と見なされる場合、サプリメントではなく B12の注射を頻繁に打ち続けるのが一般的な治療法。
私は、それまで摂取していたBコンプレックスとマルチ・ヴィタミンの摂取を止めた途端に筋肉痛が起こったことから、 B12が不足しているのでは?と自己診断したけれど、ヴィタミンB12はBコンプレックスに含まれているのはもちろん、 マルチ・ヴィタミンにも含まれているので、この2つを止めたことで 以前よりも摂取量が大きく低下していたことは明らかな事実。
とは言っても注射が必要なほど 深刻な欠乏症ではないと思ったので、まずはB12のサプリメントを購入して、 本来1日1錠のところを、1日2錠にして3日ほど飲み続けたところ、初日の時点で 驚くほど筋肉痛が改善されて、1週間も経たないうちに 身体のフレキシビリティ(柔軟性)がどんどん戻り始めたのだった。
それを一番実感したのはヨガ・クラスで、身体に痛みが無いと様々なポーズが無理なく出来る上に、 呼吸に気を配る余裕も戻ってきて、12月末とは大きな違いなのだった。

ヴィタミンB12のサプリメントは、Bコンプレックスとは異なり、無臭な上に。 Bコンプレックスを摂取した後に感じる 胃からこみ上げて来るような後味もなく、極めて飲み易いもの。 なので、恐らくBコンプレックスに含まれる 他の何かが私の身体と相性が悪かったのでは?というのが私の推測。
私がBコンプレックスを飲み始めたのは、疲労の回復にBが一番効くと言われて、どのヴィタミンBを飲んだら良いか分からなかったので、 様々な種類のBがミックスされたBコンプレックスを選んだ訳だけれど、ここ何年かで 健康のために大切と言われるヴィタミンBは、 B6とB12に絞られてきたので コンプレックスを摂取する必要は無いのだった。

私は以前、「サプリメントでも、食べ物でも、エクササイズでも、何か身体に良い兆候が現れたら、それを続けるべき」と アドバイスされたことがあるけれど、ヴィタミンB12の摂取はその意味で続ける価値があると考えているもの。
しかも、驚くべきは記憶力や集中力のアップまでも実感出来ることで、 以前、クチュール・シャネルのウェブサイトのメモリー・ゲームについて書いたことがあったけれど、 このゲームの所要時間がコンスタントにスピードアップしてきたのだった。
ゲームは要するに神経衰弱であるけれど、スピードアップの要因は クリックしてめくったカードの覚えが良くなったこと。 これは記憶力と集中力が高まった結果と言えるもので、こんな単純なことでも自分の能力が少しでもアップして感じられるのは嬉しいもの。
筋肉痛が酷くなって、ヨガをしているのに どんどん身体が硬く感じられてきた時は、何らかのエイジングが進んでいるのかと思って心配してしまったけれど、 ヴィタミンB12のお陰で その心配もすっかり払拭されたのだった。

B12は 先に述べた通り、動物性たんぱく質に含まれるものであるだけに、より欠乏症になりやすいのはヴェジタリアンやヴェガンの人。 でも、いくら肉や魚、乳製品を摂取していても、体内で条件が整わなければ吸収されない上に、 十分なB12を取るために 肉や乳製品の摂取を増やすと、体重の増加や コレステロール値のアップ等、他の弊害が出てくることが危惧されるのは 容易に想像が付くところ。
その意味で、サプリメントというのは非常に効率良く、自分の身体に必要な栄養素が補給できるものと言えるのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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