Feb. Week 1, 2012
” Christian Louboutin Color Block Lady Peep Sling ”
” クリスチャン・ルブタン カラー・ブロック・レディ・ピープ・スリング ”



私の持論では、ファッション・アイテムの中で、シーズンが変わるごとに真っ先に買わなければならないのがブランド物のシューズ。
リセッション以来、ブティックやデパートは高額品の仕入れを減らしているので、ハイエンド・ブランドのシューズは、 各サイズ1〜2点しか仕入れていないケースが殆ど。 なので、昨年11月にアーリー・スプリングのコレクションが出始めてから 私が物色していたのが今年の春用のシューズ。
今まで持っていなかったタイプのシューズを探していたけれど、ちょうどその頃から多数登場し始めたのがカラー・ブロックのシューズ。 でも、あまり露骨なカラー・ブロックだと飽きてしまいそう・・・と思いながら、各ブランドのラインナップを見ていて目に留まったのが ここに紹介するクリスチャン・ルブタンのカラー・ブロック・レディ・ピープ・スリング。
見ての通り、シューズのボディがヌード・カラー、プラットフォームがホワイト、ヒールがブラック、そしてアウター・ソールがルブタン・レッドというのがこのシューズで、 素材は私が大好きなエナメル。
私が常々思ってきたのが、ルブタンのアウター・ソールのレッドは、ブラックのヒールと一番美しくコントラストするということ。 そして、後ろから見た時に 一番足が長く見えるのは、スリングバックのストラップやパンプス本体がヌード・カラーであるということ。 このシューズは、奇しくもその2つの条件を同時に満たしている訳で、それも同シューズを非常に気に入った理由なのだった。
 
ところがこのシューズ、大変な人気で 初回入荷分はあっという間に売り切れ。そこで再入荷分のプレオーダーをしておいたところ、 1月上旬に入って、突如入荷が無くなったという連絡があって、目の前が真っ暗になってしまったのだった。
手に入らないと思うと益々欲しくなるのが人間心理。加えて、CUBE New York のお得意様のオーダーも入っていたため、 事あるごとに、返品が無いか等の在庫チェックしていたところ、1月末になって今度は突如再入荷してくることになり、これを逃したら大変!とばかりに 早速取り寄せの手配をすることになったのだった。
一度、諦めかかったものが手元に届くというのは、普通に購入するよりずっと深い”縁” を感じてしまうけれど、 私は本来は クリスチャン・ルブタンよりマノーロ・ブラーニックの方が履き易いし、足にも合っているタイプ。 でも、スリングバックは唯一の例外で、手持ちのプラットフォーム・スリングバックで最も履き易いのがルブタン。 なので、このシューズも履き心地は全く問題が無く、昨今 ショッピング・スランプが続いていた私としては、 久々のヒット!と思っているのだった。




ところで、私が何時も感じるのは、シューズというアイテムは 女性と男性のリアクションが最も異なるということ。
服であれば女性でも男性でも同じようなリアクションや、誉め言葉になる場合が多いけれど、シューズに関しては、 男性はハイヒールを履く痛みや、足への負担など省みない上に、ドラッグ・クイーンでもない限りは それを感じたことも無いので、 ヒールが高ければ高いほどウケが良いのが実情。 スタイルとしては アイ・キャッチーで視覚的インパクトがあるシューズ、足の露出度が高いセックス・アピールがあるシューズを好む傾向にあるのだった。
すなわち、男性にウケを狙うならば、ミニスカートにブーティーよりもミニ・スカートにサンダル。 もちろんタイツやストッキングを履かず、素足で履く方がベターなのはいうまでもないこと。
逆に女性は、自分が履くことを考えてシューズを眺める傾向が強いので、見るからに履いていて楽そうなシューズや、 シンプルでどんな服にも合わせ易いシューズを誉めたり、何処で買ったかを訊ねたりする傾向にあるのだった。

私のシューズのラインナップはハイヒールが多いだけに 男性ウケが良いタイプで、女性の最も一般的なリアクションは 「そんな高いヒールを履いていて大丈夫?」というもの。
私の友人は長身な上に 外反母趾なので、常にバレエ・フラットを履いているけれど、 彼女曰く、これまで彼女のシューズを見て目を輝かせた男性はほぼ皆無。 替わりに、職場の女性達は彼女のフラット・シューズを見て、 履き心地を熱心に尋ねて、誉めてくれると語っていたのだった。

ところで、「そんな高いヒールを履いていて大丈夫?」という質問の答えは医学的には「No」。
オーストラリアの医師によれば、1週間に40時間以上、ヒールを履いている女性は、ふくらはぎの筋肉の中の繊維が短縮しており、 フラット・シューズを履いている女性に比べて、より筋肉を使って、より多くのエネルギーを費やして歩行をしているとのこと。 実際、ハイヒールを履いている女性は、ふくらはぎの筋肉が発達している場合が多いと言われるけれど、 筋肉が発達するのは健康体だけのようで、運動をしていない身体の場合、ヒールを履くことにより筋肉のひずみが生じてくるとのこと。
さらに、40歳を過ぎてハイヒールを頻繁に履いている女性に顕著なのが偏平足。これは足首の骨に近い腱がヒールを履くことによって 伸びきってしまって起こる問題。加えて40歳前後から、腱の中のエンザイム(酵素)が弱ってくるので、それが足に痛みをもたらす原因になると指摘されているのだった。

でも、だからといって常日頃 ハイヒールを履いている女性が、突然フラット・シューズに履き替えるのも怪我のもと。 というのも、ハイヒールに慣れている人は、知らず知らずのうちに歩く際の 身体の重心や、筋肉の使い方が ハイヒールを履いた状態に アジャストしているとのことで、突然フラット・シューズを履いて歩くというのは、身体に不慣れな状況を作り出すこと。
なので、足を休めるつもりでフラット・シューズを履いても、実際には日頃使わない筋肉を使って、不慣れの動きを足に強いるだけという状況に過ぎないという。
ドクターによれば、ハイヒールを週に2回程度履くのは全く問題が無いとのこと。 それより頻繁にハイヒールを履く人は、座っているときにシューズを脱ぐことが奨励されているのだった。

私自身、長時間ハイヒールを履いていると、痛みが襲ってくる場合が多いけれど、私にとっては履き心地に影響するのは ヒールの高さよりも、むしろ太さ。 例を挙げれば 高さ4〜5cmの細いヒールより、高さ9cmの太いヒールの方が、 私にとっては遥かに歩き易くて、楽に立っていられるのだった。
でも、低いヒールやフラット・シューズを履いている人が 長時間 楽に歩いたり、立っているかといえば、 必ずしもそうとは言えないもの。ヒールの高さに関係なく、足に合わないシューズは痛みだけでなく、 外反母趾などの問題をもたらすのは周知の事実。 また、医学関係者の間では、靴底が薄くて、足の裏のアーチ・サポートが無いフラット・シューズも足に悪いことが指摘されているのだった。
とは言ってもその医学関係者の間では、長時間椅子に座っていることも身体に悪いと指摘されている訳であるから、 世の中には身体に良いことというのは本当に少ないと言えるのだった。




カラー・ブロック・レディ・ピープ・スリングはヒールの高さが15センチ、プラットフォームが5cm弱で、ヒール傾斜自体は10cm程度。 なので履き心地は12cmヒールよりは楽であるけれど、私はプラットフォームのシューズはある程度、シューズ本体が重たくて、 若干タイトな状態で履かないと危ないと考えているのだった。
写真上は、ファッション・ショーのランウェイでモデルがヒールから足を踏み外している様子であるけれど、服はボディにピッタリな状態に フィッティングしても、 シューズはサイズが合わないまま歩くことが多いのはランウェイモデルの宿命。 でもアッパー(シューズ本体)が緩いと、どうしてもプラットフォームの上で足が動くので、その結果重心がずれて、プラットフォームが傾いて転んでしまったり。 ストラップはしっかり足にかかったまま、プラットフォームから足がだけが落ちて、足首を捻挫するというのはありがちなリスク。
加えてプラットフォームのシューズが軽いと、歩き易いかと思いきや、その反対。グラグラして安定しないので、かなり危ない作りと言えるのだった。
その点、ルブタンは 常にシュー・ストレッチャーで伸ばしてからでないと履けないほど小さめに出来ている上に、 レディ・ピープ・スリングはスリングバックが踵でしっかりシューズを安定させるので、 パンプスよりもずっと歩き易い上に、ヒールが高くても安定感があるのだった。

とは言っても、こうしたプラットフォーム・ヒールを履くときは、歩かないのが一番安全。 なので、プラットフォーム・ヒールを履く日は、アパートの目の前でタクシーを拾って、レストランやラウンジなど、目的地の目の前で下りるというドア・トゥ・ドアの キャブ・ライドをするようにしているけれど、女友達と私の間では この行為を ”カダーシアン”と呼んでいるのだった。
というのも、ハリウッドのスタイリストによれば、キム・カダーシアンはクリスチャン・ルブタンのブティックで、シューズを10足ほど纏め買いしては、 常に1足だけキープして、残りは一度だけレッド・カーペットの上を歩いて返品するとのこと。 通常セレブリティを招いたイベントでは、車から降りた時点で既にレッドカーペットが敷いてあるのが常。 これは、セレブにシューズを貸し出すブランドにとっては 靴底が傷まないので、有り難い計らいであるけれど、 キム・カダーシアンのルブタン返品にも もってこいの状況なのだった。
そんな話をしているうちに、ルブタンを履いて極力 地面の上を歩かないようにすることを、 ”カダーシアン”と言うようになったけれど、レッド・カーペットなど敷かれていなくても、カダーシアンをしている方が靴が傷まないのは言うまでもないこと。 加えて、足にも負担がかからないので、ヒールが高い時は”カダーシアン”に限るというのが私の考えなのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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