Feb. Week 4, 2012
” Velvet Space Saving Hangers ”
” ヴェルヴェット・スペースセーヴィング・ハンガー ”



私が、生きているうちに手に入れたいと思うものの1つが、服と服の間を3〜5cm開けて吊ることが出来るウォークイン・クローゼット。
一流ブランド店のように 分厚いウッド・ハンガーやヴェルヴェット・ハンガーに服を掛けて、これを実現しようとすると 1枚の服に必要なスペースは 約9cm。 したがって 100枚の服を吊れば、9メートルの長さのハンギング・スペースが必要となる訳だけれど、 そんなクローゼットを手に入れるためには、とんでもなく稼がなければならないのは言わずと知れたこと。
なので、超リッチなソーシャライトやセレブリティが そんなゴージャスなクローゼットをTVで公開していたりすると、 惚れ惚れしながら眺めてしまうのだった。

でも全てのセレブリティ、それもファッショニスタと呼ばれるセレブリティが 私が理想とするクローゼットを持っているとは限らないと実感したのが、 写真下のニコル・リッチーのクローゼットの写真を見たとき。
私がまず驚いたのがクローゼット環境の悪さ。 まるでイーストヴィレッジの古着屋のように服がギュウギュウ詰めに吊ってある上に、一部のエリアを除いてはプラスティック・ハンガーだらけ。 私は彼女の年収がどの程度あるかは知らないけれど、そもそも カリフォルニアなんてニューヨークの半分の家賃で、2倍のスペースのアパートに住めることもあって、 普通のアパートでも 大きなウォークイン・クローゼットがついているもの。 ましてや、カリフォルニアのセレブリティの自宅となれば、一部屋、二部屋がクローゼットになっているのは当たり前で、 クローゼットを公開するようなセレブリティは 大体、服がアイテム別、色別、丈別に 等間隔でハンガーに掛けられて、ブティックのように陳列されているもの。 加えて、ハンガーにもお金が掛っているものだけれど、ニコル・リッチーの場合、 プラスティック・ハンガーの中でも さらにチープな 1本10セント程度の ものを使っているので、 それにもかなり ビックリしてしまったのだった。




かく言う私は、クローゼット・スペースが全米一 小さいことで知られるニューヨークのアパートに住む身。
私が暮らすビルは、ニューヨークの他のアパートに比べれば、クローゼット・エリアが広いといわれているけれど、 それでもニコル・リッチー並みのぎゅう詰め状態で、ラグジュアリーさのかけらも無い状態。 なので 「このクローゼットを何とかしなければ・・・」と何年も考え続けてきたものの、忙しさにかまけて 全く手を掛けなかったところ、状況は悪化する一方。
しかも、ぎゅう詰めの状態で 服を出し入れすると、どうしても服がハンガーから外れて しわくちゃになったり、型崩れがしたり、 また時に服がハンガーから落ちて、行方不明になることもしばしばなのだった。

そんな私が、遂にクローゼットに手を入れる必要を感じたのは、2週間ほど前に 久々に引っ張り出したドナ・キャランのスーツのジャケットが、ハンガーから外れかかった状態で、 少なくとも1年以上 吊ってあったいたせいで、左肩の部分の素材がハンガー・シェイプに尖がってしまった状態を目の当たりにした際。
すっかりシルエットが崩れた 本来なら美しいフォルムのスーツ・ジャケットを見たら 本当に情けなくて、 手持ちの服を守るためにも、真剣にクローゼットの整理をしようと決心したのだった。

ちょうどそう思っていた時、偶然、有名スタイリストが自らのクローゼットを公開している様子をTVで見ることになったけれど、 その中で彼女が語っていたのが、全て同じハンガーで統一すると、ある程度服をぎゅう詰めにしても、服が絡まらないということ。
服の絡まり、特にショルダー・ストラップの絡まりに悩まされている私は、「まさかそんな単純なことで、絡まりが解決できるなんて・・・」と思ったけれど、 手持ちのハンガーでシミュレーションをしてみたところ、これがまさに事実であることが判明。
なのでクローゼットの整理に当たって、まずはハンガーを纏めて買い換えて、統一することにしたのだった。




服を吊るのに最も理想的なハンガーは、厚みがあるウッド・ハンガー。でも、ウッド・ハンガーの注意点は、時に物凄く ”なで肩” のシェイプになっていて、 服のシルエットによっては、必ずしもそれに掛けるのがベストではない場合もあるのだった。
ウッド・ハンガー以外では、シャネル、グッチなど一流ブランドのハンガーも厚みがあって、服をプロテクトするための完璧なシェイプ。 なので、高いブランドでショッピングをする場合、ハンガーは必ずつけてもらった方が良いけれど、 ブランドごとに ハンガーの規格が異なるので、違うブランドのハンガーをミックスして クローゼットに吊った場合、 見ための統一感が損なわれるのは仕方が無いと思われる部分なのだった。
私は以前、ヨーロッパでベスト・ドレッサーに選ばれている貴族が、自分の体型に合わせて ハンガーまで特注しているという記事を読んで、 本当に羨ましく思ったことがあるけれど、確かに 特注のハンガーで統一できれば、それが最高の贅沢と言えるのだった。

厚みのある上質のウッド・ハンガーの問題点は、まず場所を取るということ。そして1本20〜30ドルという高額なお値段。 今の私の状況だとウッド・ハンガーで統一するのはスペース的にも、コスト面でも無理な状態なので、あっさり諦めたけれど、 重たいコートや、毛皮、ショルダーパッドが入ったスーツなどは、上質なハンガーに掛けておくのが一番。 なので、手持ちのウッド・ハンガー&デザイナー・ブランドのハンガーは、もっぱらそういうアイテムに回すことにしたのだった。
そして私はスペースを取らず、使い勝手が良いハンガーを探し始めたけれど、 既に私のクローゼットの中にあって、 バラバラというか、メチャクチャに掛っていたのが以下の2つのタイプ。




どちらも問題が多くて、写真上左は、ストラップを掛ける場所がハンガーに沢山付いているので 便利かと思って購入したけれど、 その部分が隣のハンガーに掛っている ドレスのショルダー・ストラップやスカートのハンギング・ストラップを引っ掛けてしまって、 服を取り出す際に、 ハンガーに絡んだストラップを あや取りでもするかのように直さなければならないのだった。
写真上右のタイプは、基本的に丈夫なハンガーではないので、少し重たい服を掛けると、何年か経過するうちに変形してくる場合があるのと、 滑り易くて、ノースリーブの服が落ちてしまうこともしばしば。加えて ハンガーの肩のラインに当たる場所が直線だと、 ジャケット等、肩のシルエットをキープしなければならない服には全く不向き。 写真右は安いだけあって、質も悪く、あっさり全部 捨ててしまうことにしたけれど、 写真左は、丈夫で、さほど安くもなかったので、薄手のジャケット用としてキープすることにしたのだった。
いずれにしても、こうした失敗ハンガーを通じて学んだのは、 ストラップを引っ掛ける部分は両側に1つずつあれば十分であるということ。 さらに滑らない、丈夫な素材で、ショルダーラインがきちんとカーブしたハンガーが望ましいということなのだった。
そうして、インターネット上で探し始めたところ、その条件を満たしていて、価格が安く、薄く、さらにユーザーのレビューが良かったのが 今回このコーナーで取り上げたヴェルヴェット・スペースセーヴィング・ハンガー。




ハンガーは5mmという薄さであるけれど、それでいて4.5キロまでの服を吊ることが可能で、 お値段は50本で33ドルという激安ぶり。素材がヴェルヴェットなので、服が滑り落ちる心配も無く、 願ったり叶ったりのハンガーなのだった。
そこで、まずは50本セットを1つオーダーしてみたところ、私は既にこのハンガーを10本ほど所有していることに気付いたのだった。 その既に所有していたハンガーは全く問題なしに機能していたので、50本セットをさらに2つオーダーし、 クローゼットの整頓に取り掛かることにしたのだった。
そのプロセスでは、古い服を捨てたり、寄付したり、リセール・ショップに持っていったりして、 大きな紙袋、7つ分を処分。 さらにハンガーも上質なものを除いて全て処分したけれど、その工程で 目の当たりにしたのが、如何にハンガーによって服がダメージを受けているかということ。 加えて、スカートについているハンギング・ストラップを使ってハンガーにかけると、スカートにシワが寄るだけでなく、 ストラップが縫い付けられている内側の布が引っ張られて、型崩れの原因になっていることも実感してしまったのだった。




写真上は、左が私のクローゼットの一部のBeforeで、右がAfter。
本当にみっともないくらいにゲットー状態だった私のクローゼットであるけれど、ハンガーを揃えただけで、 見た目にマシになっただけでなく、ハンガーが隣の服と絡まなくなり、さらにハンガーが薄くなった分、同じギュウ詰め状態でも 以前より服と服の間に若干の空間が感じられるようになったのだった。
それでもラグジュアリーには程遠い私のクローゼットであるけれど、クローゼットを開ける度に前より気分が遥かに良いのは紛れもない事実。
100ドルの投資で、ハンガー150本を取り替えただけで、こんなに気分が良くなるなんて・・・と思ってしまったけれど、 逆にもっと早く改善に取り組んでいれば良かったとも考えられるのだった。

ところで、私は着なくなったデザイナー物の服はリセール・ショップに持っていくけれど、リセール・ショップにはリセール・ショップのトレンドがあって、 店側は統計上売れない服、売れないアイテム、売れないカラーというのは、よほど良いブランドでない限りは引き取らないもの。
昨今はプリントがブームで、色鮮やかなカラーがトレンドとなっていることもあり、 リセール・ショップは、ブラックのアイテムは一流ブランドのドレスでない限りは引き取らないとのこと。
基本的に、値段の割りに高く売れるのは常にドレス。私は基本的にドレス派なので、 その点では困らないけれど、逆にあまり引き取ってもらえないアイテムはスカート。 スカートよりはトップの方が、リセール・ショップが引き取ってくれるだけでなく、原価の割りに高めの価格が付くのだった。

とは言っても、リセール・ショップは売値の半額をストア側がキープするので、1800ドルだったブランド物のジャケットが リセール・ショップで 500ドルで売れても、 受け取れるのは250ドル程度。 360〜400ドル程度のドレスは、ほぼ新品だった場合で、売り値が60〜80ドル。受け取れるのはその半額。
なので、売れたとしても確実に損をする計算になるのが リセール・ショップであるけれど、 こうしたショップにデザイナー物を売りに来る女性が必要としているのは、お金よりもクローゼット・スペース。
お金があって、デザイナー・クローズを毎年買い足すことが出来るような女性達でも、クローゼット・スペースには困っているというのは、 ニューヨークの典型的な住宅事情なのである。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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