Feb. Week 4, 2013
”Shoe Obsession @ The Museum at FIT ”
” シュー・オブセッション @ ザ・ミュージアム・アット FIT ”



ザ・ミュージアム・アットFIT(ファッション・インスティテュート・オブ・テクノロジー)のスペシャル・エキジビジョン・ギャラリーで 2月8日からスタートしているのが ”シュー・オブセッション”。 トップ・デザイナーがクリエイトしたシューズ、150足が展示されているのが このエキジビジョンなのだった。
FITは、定期的にそのミュージアムで ファッション・エキジビジョンを行なっているけれど、 同じミュージアムでも、メトロポリタン美術館のコステューム・インスティテュートに比べると、 本当にこじんまりとしたプレゼンテーション。
でも 「ファッション通が好む、質の高い企画が多い」 と評価されており、その存在があまり知られていないとあって、 常にゆったりと展示が眺められる利点があるのだった。

そんなザ・ミュージアム・アット・FITのエキジビジョンとしては、これまでになく パブリシティを獲得しているのが ”シュー・オブセッション”。
これはシューズがファッションにおいて、重要なポジションを確立しているのに加えて、 今や多くの女性達が ”シューズ・フリーク” になっているためと言えるのだった。




(写真上は、上段左がシャネル、右がトム・フォード、下段左がジュゼッペ・ザノッティ、右がアンドレイア・シャヴェス)

ザ・ミュージアム・アット・FITのプレス・リリースも認めているのは、昨今の女性達がこれほどまでに シューズに夢中になるのは、「セックス・アンド・ザ・シティ 」の サラー・ジェシカ・パーカーが演じたマノーロ・マニア、 キャリー・ブラッドショーの影響であるということ。
なので同エキジビジョンには、 「セックス・アンド・ザ・シティ 」のエピソードに登場したマノーロ・ブラーニックのセダラビーも 展示されているけれど、それ以外にもクリスチャン・ルブタンはもちろんのこと、 ジヴァンシー、アライア、トム・フォード、グッチ、シャネル、プラダ、フェラガモ、新しいデザイナーの中からは、ニコラス・カークウッド、シャーロット・オリンピアなどの 作品が展示されているのだった。




(写真上は、上段左がシャーロット・オリンピア、右がプラダ、下段左がロジェ・ヴィヴィエ、右がマサヤ・クシノ)

前述のようにFITのエキジビジョン・ギャラリーは小規模なので、じっくり眺めても それほど時間は掛らないもの。
加えて、昨今はニューヨークの全てのデパートが、このエキジビジョンよりも大きなシューズ・セクションで、ウンザリするほどのシューズ・ラインナップを揃えているので、 エキジビジョンの規模や展示の量にはさほど驚かないけれど、 質の高いコレクションが揃っているのは誰もが認めるところ。
中には喉から手が出るほど欲しいシューズに混じって、見ているだけで 足が痛くなってくるようなシューズもあるけれど、 シューズ好きだったらたまらないエキジビジョンに仕上がっているだけでなく、 ファッションやシューズに興味が無い人にでも、それなりに楽しめる構成になっているのだった。

基本的に FITのミュージアムの展示は、ドレスでも、シューズでも、アクセサリーでも、 新旧のソーシャライトが所有&着用していたものが寄付されたり、貸し出されたりすることによって成り立っているもの。
私はニューヨークに来たばかりの頃、FITに在学していたことがあるので、 その時の授業で、プロフェッサーがミュージアムのストック・ルームを見せてくれたことがあったけれど、 そこにはソーシャライトによって寄付された、50年代のシャネル・スーツ、60年代のクレージュ、70年代のヴァレンティノやイヴ・サンローラン等、 時代ごとのトレンディなファッションや、一流デザイナーの作品が ぎっしり揃っているのだった。
そのミュージアム・ストックには、現在 第一線で活躍するデザイナー達が インスピレーションを得たり、デザインのディテールを学ぶために、 頻繁にやってくるとのこと。
私が興味深く記憶しているのは、シャネルのスーツに関しては オリジナルと共に、それとそっくりのコピーも 保管されていたことで、ストック・ルームの管理者が、外観は似ていても いかにオリジナルのシャネル・スーツが優れているかを ディテールを指摘しながら教えてくれたことは、それから20年以上が経過した今でも はっきり覚えているのだった。




(写真上は、上段左がアレクサンダー・マックィーン、中央がクリスチャン・ルブタン、右がニコラス・カークウッド、下段左はアライア、中央がクリスチャン・ルブタン、 右はノリタカ・タテハラがレディ・ガガのためにデザインしたシューズ)

ふと考えると、私がFIT在学中の授業以外で、同ミュージアムを訪れたのは、今回の ”シュー・オブセッション” が2回目。
1度目に訪れたのは、未だ デザイナー、ジャンニ・ヴェルサーチが生きていた1990代初頭。 スーパーモデル全盛期で、彼がノリにノッていた時代に、ヴェルサーチのエキジビジョンが FIT で行なわれた際のこと。
当時 雑誌のファッション・エディターをしていた私は、オープニング前のプレス公開日にエキジビジョンを観たけれど、 そこで出くわしたのが 1人で思い入れを注ぐように 自らの作品を眺めていたヴェルサーチ氏。
この時、彼本人に出会ったこともあって、当時購入した ジャンニ・ヴェルサーチのドレスは、何年も 袖を通していないけれど、今もクローゼットに下がっているのだった。 そのドレスに合わせて、購入したブラックのサンダルは、ゴールドのメダリオンが幾つもあしらわれていて、 当時は物凄く派手だと思えたシューズ。 でも今となってみれば、私の他のシューズと比べて、さほど派手でもなければ、特に目を引くデザインでもなくなっているのだった。

それを考えると、シューズは過去20年ほどの間に、ファッションにおける 存在感を大きく拡大しただけでなく、 デザインやマテリアルも著しい進化を遂げて、デザイナーのクリエーションが 最も大きく開花したアイテムであると 言えると思うのだった。

”シュー・オブセッション”の展示は、ザ・ミュージアム・アット FITで 4月13日まで行なわれています。

Museum at the Fashion Institute of Technology
Seventh Avenue at 27 Street
New York City 10001
All photography : Copyright 2013 The Museum at FIT






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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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