Mar. Week 1, 2014

” The Last Day of Pastis ”
”ザ・ラスト・デイ・オブ・パスティス”



1999年に MePa こと、ミートパッキング・ディストリクトにオープンしたのが パスティス。
レストランター、キース・マクナリーが パスティスをオープンした当時の MePaは、まだまだ開発途上段階。 ナイト・クラブのロータスや、ミニサイズのバーニーズとして知られる ジェフリーのお陰で、ミートパッキングに ニューヨーカーやメディアの注目が集まり始めた時期。 そんな時代から、ダントツの集客力を誇ってきたのがパスティスで、私自身も、何回出かけたか分からないほどリピーターになっていたのが パスティス。

TV版の「セックス・アンド・ザ・シティ 」の最終シーズンで、ミハイル・バリシニコフ扮するアレクサンドル・ペトロフスキーと、サラー・ジェシカ・パーカー扮するキャリーが パスティスでデートをしていた際、偶然 アレクサンドルのアーティスト仲間たちが食事にやって来て 「ニューヨークには1万軒のレストランがあるけれど、 何故か皆パスティスに来てしまう」と言ったのは有名なシーン。 そんな台詞に ニューヨーカーが異論を唱えないほど 人気が高かっただけでなく、その人気を約15年に渡って持続し続けたのがパスティスの凄さなのだった。




そのパスティスがクローズしたのが先週の金曜日、2月28日。
別に経営不振だった訳ではなく、パスティスが入っている建物が改築されることになったための一時的な閉店。 とは言っても その改築には約2年を要するとのことで、ニューヨーク・ポスト紙では その閉店前日に、フェアウェル記事を掲載していたのだった。
その記事を見て、「閉店前に、もう一度行きたかった!」とパスティスの内部関係者の友達にアイフォンから メッセージを送ったところ、 直ぐに戻ってきたのが 「じゃあ、最後の夜に来る?」という返事。 そこで夜の10時からの予約で パスティスに暫しのお別れを告げるディナーに出掛けることにしたのだった。

通常、パスティスは遅い時間だったら予約を入れなくても、食事やドリンクが出来るけれど、この日は最後の日とあって、 入り口で 予約が無い人は全てシャットアウト。 それでもレストラン内は、朝の通勤電車のような混み具合で、友人と私は 知り合いの手配のお陰で シャンパンを飲みながらテーブルが空くのを待っていたけれど、 中にはバーでドリンクを買うだけのために 30分以上を費やしている女性客も居たようなあり様。 私達とて 10時の予約で、 やっとテーブルにつくことが出来たのは11時なのだった。
パスティス最後の日に来店した殆どは、レストラン関係者の友人や常連客。 皆、パスティス最後の日を惜しむ人々なので、ぎゅう詰め状態の大混雑でも 来店客は 極めてフレンドリー。 そして 口々に「明日から パスティスが無くなるなんて、信じられない!」と言っていたのだった。




さてパスティスを語る際に、必ず出てくる名物メニューといえば ステーキ・フリート、すなわち ステーキ&フレンチ・フライ (フライド・ポテトのこと)。
内部関係者によれば、従業員が勤務中の食事として 唯一オーダーすることが出来ないのがステーキ・フリート。 私は日頃は揚げ物は食べない主義であるけれど、パスティス最後の日にこれを食べない訳には行かないので、友人とシェアしながら味わったのだった。

ステーキは肉が柔らかくてジューシー。そしてフレンチ・フライは、ピーナッツ・オイルで2回揚げているので、時間が経っても香ばしさとテクスチャーを維持していて、 添えられているのは、ハーブが利いたマヨネーズ風のクリーム・ソース。このソースはステーキをディップしても、フライをディップしても美味しく味わえるようにデザインされているのだった。
キース・マクナリーが経営する もう1つの長寿人気レストラン、バルタザールでもステーキ・フリートは名物メニューであるけれど、 パスティスの方が ソースがふんだんに添えられていることで知られているもの。
ちなみにパスティスのフレンチ・フライはファンが多く、かつてのスーパーモデル、リンダ・エヴァンジェリスタも来店する度にオーダーしていたという。
それ以外にパスティスの名物メニューになっていたのは、サイズが大きいクレームブリュレやオニオン・グラタン・スープ。 またキース・マクナリーが経営するレストランは、パスティスに限らず ドレッシングが美味しいことで知られているのだった。




私がパスティスに最も足を運んでいたのは5〜6年ほど前。当時はブレックファストやレイト・ランチ、MePaでのクラビングの後に ワイン&チーズやデザートをするために立ち寄っていたけれど、 朝から 夜中まで 1日中オープンしていて、バルタザール同様、本当にパリに居るような雰囲気が味わえることから、 とても気に入っていたのが同店。 加えて、オープン以来ずっと客層が良かったのもパスティスの優秀な点で、パスティスほどセレブリティが頻繁にやって来るレストランは他に無いとさえ言えたのだった。

常連で知られたセレブリティとしてはヴォーグの編集長、アナ・ウィンター、マーサ・スチュワート、生前のフィリップ・シーモア・ホフマン(彼は2月2日にドラッグの過剰摂取で死亡する2日前に、 パスティスで食事をしていたとのこと)、ダイアン・フォン・ファーステンバーグ等がいるけれど、 その他にも 写真上でスナップを紹介した、ビヨンセ、ケイト・ハドソン、ヴィクトリア・ベッカム、シエナ・ミラー&ジュード・ロウや、 ケイト・モス、レイフ・ファイン、ブラッドリー・クーパー、クリスティ・ターリントン、マーク・ジェイコブス等、 名前を挙げたらキリが無いほどのファッション&ハリウッド・セレブリティ、各業界の著名エグゼクティブや アーティスト、ライター、ジャーナリストといった 様々な分野のセレブリティが、 スタイリッシュなニューヨーカーに混じって目撃されたのがパスティス。
パリのビストロのセッティングと、ニューヨークならではのエクレクティックな客層が生み出す ザワザワした喧騒とエキサイトメントが融合した 独得の雰囲気を持つレストランなのだった。

ちなみに最もセレブリティ・ウォッチングが出来た時間帯は、平日のブレックファストと、2〜3時のレイト・ランチ。
セレブリティはプライベートな食事以外でもパスティスを利用していて、ドナ・キャランはここでファッション・ショーを行ったこともあるし、 サラー・ジェシカ・パーカーがベイビー・シャワーをしたのもパスティス。リヴ・タイラーは結婚式を挙げているのだった。




写真上は、私が撮影したパスティスのラスト・モーメントのスナップ。
この後、関係者や常連客達と一緒に、同じMePaにあるクラブに出掛けたけれど、何とそのクラブでは 「パスティス関係者は全員フリー・ドリンク」という待遇で 迎えてくれたのだった。 それほどまでに、近隣のクラブにとってもインパクトがあったのがパスティスの閉店。

そんなパスティス最後の日に姿を見せなかったのが、オーナーであるキース・マクナリーであるけれど、 彼は今ロンドンにパスティスをオープンするために大忙しとのこと。 加えて、ローワー・イースト・サイドにあった彼のピザ・レストラン、プリノスを別のレストランにコンバートするプロジェクトも進んでいるという。
なので、パスティスがカムバックするまでには あと2年掛るけれど、 その前に、ニューヨークとロンドンで2軒のキース・マクナリーの新レストランが楽しめることは確実なのだった。


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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