Mar. Week 3, 2012
” Ikat Print Throw Pillows ”
” イカット・プリント・スロー・ピローズ ”



ここ数年、静かにトレンドとなってきたのがイカット・プリント。
イカットとは、インドネシアがオリジナルの染色テクニックで、染料で染まらない部分を作ることによって柄を出す技術。 タイダイに似たテクニックでもあるけれど、イカットが特にトレンドとしてクローズアップされてきたのは昨年のこと。
以下のようにファッション・アイテムだけでなく、インテリア小物にもイカット・プリントの様々なヴァラエティが登場して、 多くのファッション誌や、インテリア誌にイカットのセグメントが設けられていたのだった。




でも、イカットは決して新しいトレンドという訳ではなくて、 私は おそらくミレニアムを前後したシーズンの、まだジョン・ガリアーノがデザインしていた時代のクリスチャン・ディオールのイカット・プリントの ドレスを持っているけれど、 当時、同じ柄で色違いのジャケットも買ったものの、そちらは既にリセール・ショップで売ってしまったのだった。
ジャケットを売ってしまった理由は、ドレスであれば単品で着用すれば良いだけなのに対して、ジャケットはインナーやボトムとコーディネートしなければならなくて、 いろいろな物に合いそうで、意外に合わないのがイカット・プリントなのだった。
なので、私はイカット・プリントはファッションで用いるのには、それほど魅力を感じていないのだった。

でもこれがインテリアや、インテリア小物となると話は別で、昨年からラグ(エリア・カーペット)や 食器など、イカット・プリントの物を見ると、欲しくてたまらなかったけれど、 ふと考えると、私のアパートの中は物を減らさなければならない状態で、増やすことなど論外。
なので、イカット・プリントをフィーチャーしたインテリア・フォトを、「もう1部屋あったら、こんなデコレーションをにするのに・・・」 と思いながら眺めるのがせいぜいなのだった。






イカット・プリントは、とてもアイキャッチーなファブリックが多いので、インテリアのアクセント・ピースになるようなファニチャーに 用いられる場合が多いけれど、それ以外にもカーテン、ウォール・ペーパーなど、様々なアイテムで用いられているもの。
イカット・プリントのユニークなところは、インパクトが強い割りに、別のタイプのプリントともコーディネートが可能なことで、 昨今のインテリア業界は、イカットを含む2〜3種類のパターンをミックスしながら コーディネートするのが トレンドになっているのだった。
なので、インテリア・デコレーターの ポートフォリオを眺めると、様々なパターンが、カラフルにミックスしたインテリアの中に イカット・プリントがフィーチャーされているケースが非常に多いけれど、 私が昨今話したデコレーターによれば、そうした複数のパターンが入り組んで、ちょっと見た目にガチャガチャしたようなインテリアというのは、 狭い空間で実現するのに適しているとのこと。
これを大きな空間でやってしまうと、居るだけで精神的に疲れてしまうそうで、小さなエリアを遊び心でデコレートするのに適しているのが こうしたインテリアなのだった。






ところで、イカット・プリントが流行りだしてから、もっとも多く売り出されているインテリア・グッズが クッション。
クッションは 面積が狭いだけに、簡単に柄物を既存のインテリアにコーディネート出来るアイテム。 加えて価格もファニチャーのように高くないので、トレンドを取り入れるには非常に適しているといえるのだった。

私もちょうど、それまで10年使ったシルクのクッションの素材が割けてきていただけに、 クッションの買い替えで、イカット・プリントをインテリアに取り入れることを思いついたけれど、 意外に難しかったのが、カラーと柄のチョイス。 
適度にインパクトがあって、部屋の他のものと上手く馴染むことが条件であったけれど、細かい柄や過度にエスニックっぽくなるものはダメで、 カラーも なかなかしっくり来るものにめぐり合えず、 かなり時間が経ってしまったのだった。
でも、特に急いでいた訳ではないので、気長に構えていたところ、インターネット上でセールになっていたのが 今回紹介するクッション。 小売価格125ドルの クッションが53ドルという半額以下のお値段で、しかも一目見た時に、部屋の雰囲気にマッチするような気がしたのと、 何より、自分がこのクッションを好きだと思ったので 購入に踏み切ることにしたのだった。




このイカット・プリントは、写真上のイスの1つにもフィーチャーされているけれど、ネイビー&ホワイトというのは、最もポピュラーなイカット・プリントとのこと。
素材はシルクで、クッションのサイズは55cm四方。かなり大きいけれど、これは欧米のインテリアではスタンダードなサイズなのだった。

ところで、英語ではクッションという言葉はインテリアの世界では あまり使わなくて、タイトルに書いたように、 頻繁に使われるのは ” スロー・ピロー ” という言葉。
その他にも ” デコラティブ・ピロー ” というのも良く使われる表現。 ”クッション” という言葉を使うと、インテリアのウェブサイトのサーチなどで、商品が出てこないケースが殆どなのだった。
裁縫に使う針山のことは ”ピン・クッション” と言うし、ジュエリーの世界でもクッション・カットといえば日本人が考えるクッションのような形であるけれど、 実際のクッションは ピロー、すなわち ”枕” のカテゴリーに入るのだった。 その枕のカバーは、”ピロー・ケース”という言葉が良く使われるけれど、ベッド・リネンの世界では ”Sham / シャム” という言葉が一般的。
また、”スロー・ピロー” とは別に ”Throw / スロー” というアイテムも存在するけれど、 これはソファーやベッドに置いておく小さめのブランケットやニット・カバーのこと。 部屋が寒い時に、膝掛けにしたり、昼寝の時に毛布として使うのがその用途だけれど、もちろん ソファーやベッドのカラー・アクセントとしての役割も担うもの。

インテリアの世界には紛らわしい言葉が多いだけに、これらを知っていないと、時に探しているアイテムにめぐり合えなかったり、 ショップで 間違った商品を出して来られたり といったことも起こりかねないのである。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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