Mar. Week 4, 2011
” Theyskens' Theory Damia Dress ”
” ティスケンス・セオリー・ダミア・ドレス ”



この春から店頭に並ぶことになったのが、ティスケンス・セオリーのライン。
ロシャス、ニナ・リッチのデザイナーを務めたオリヴィエ・ティスケンスが、昨年秋に就任したのがセオリーのクリエイティブ・ディレクター。
2011年春シーズンがそのデビュー・シーズンになるけれど、 実は、私はオリヴィエ・ティスケンスの作品は結構好きな方で、今も彼がデザインしたロシャスの服やシューズ、彼がデザインしたニナ・リッチの ドレスなどがクローゼットに下がっているのだった。
でも、どちらのラインも高額な上に、一般の女性には難しいライン。 彼がデザインしたニナ・リッチのフェザーをあしらったニット・トップは、「セックス・アンド・ザ・シティ :ザ・ムービー」でサラー・ジェシカ・パーカーが着用したけれど、 そのお値段は日本円にして100万円以上。「キャリーが本を出版したくらいで手が届く値段の服ではない」と、メディアから批判を受けていたほど。
私にしても、持っているロシャス、ニナ・リッチの服は、いずれもバーニーズ・ウェアハウス・セールで80%オフ、90%オフで購入したもの。 ティスケンスの作品は 常に一癖あるので、セールの際には必ずと言って良いほど残っていたのだった。

そんな個性的で、難しいラインをクリエイトするオリヴィエ・ティスケンスであるだけに、彼がセオリーのディレクターとなったのには 少々ビックリしたのだった。
私は個人的には、あまりセオリーの服は好きではなくて、これまで試着さえしたことが無かったりするけれど、 それはハンガーに下がっているのを見ただけで、絶対に自分には似合わないと思うから。
でも、オリヴィエ・ティスケンスがデザインしたティスケンス・セオリーには、 好感を持っていて、特に2011年秋冬シーズンのコートやドレスは気に入っているのだった。

ティスケンス・セオリーのラインは、さすがにティスケンスの過去のコレクションに比べてお値段は断然手頃。レザー・ジャケットこそは1000ドルを超えるけれど、 スカートやトップは200ドル台というお値段なのだった。
私が最初にこのラインの中から買おうと思ったのは写真左のトップ。2枚のキャミソールをレイヤーにしたようなデザインが気に入っていたけれど、 以前プラダで似たようなトップを購入して、殆ど着用していないことを考えて、同じデザインのドレス・ヴァージョンである ”ダミア”を選ぶことにしたのだった。
私は一年を通じて、ドレスを着ることが多くて、ドレスを買っている分には、何かと着る機会があるのに加えて、 私は飽きてしまった服、着ない服をリセール・ショップで売ってしまうことが多いけれど、その際にはドレスの方が再販価格が断然高いのである。 なので、トップよりも ドレスを選ぶのは妥当なチョイス。
さらに言うならば、私の方が写真上のモデルよりも身長が低いので、 私がこのドレスを着用すると、マキシまでは行かないけれど、程よい長さ。 ニューヨークに暮らしていると、どうしてもブラック・ドレスがクローゼットに増えていくけれど、このドレスは私が持っているタイプとはちょっと異なるところも 購入に至る理由なのだった。

でもつくづく思うのはティスケンス・セオリーのラインは、少なくともアメリカでは男性ウケする類のファッションではないということ。 そもそも、オリヴィエ・ティスケンスの服は、ロシャス時代も、ニナ・リッチ時代も異性ウケするものではなくて、 理解してくれていたのは、もっぱらゲイ男性。
今シーズンのティスケンス・セオリーが手掛けるシューズにしても、やはり男性ウケの悪いウェッジ・ソールばかりなのだった。
恐らく、私がこれを着用するのは、もっぱら女友達とのブランチやショッピングといったオケージョンになると思われるけれど、 その時には、クリスチャン・ルブタンのコルク・ヒール&ブラック・パテントのプラットフォーム・サンダルを合わせようと 今から考えているのだった。
ブラック・ドレスとクリスチャン・ルブタンの真っ赤なアウター・ソールのコントラストは、後姿を引き立ててくれるのである。

ところで、このドレスは、私が今年に入って購入した1枚目のドレス。
このところ本当に欲しい服が無くて、ジレンマさえ感じることがあったけれど、 日本の震災が起こって以来、やはり知らず知らずのうちにストレスが溜まっていたこともあって、 「たまには自分を幸せにしなければ」と思ってショッピングをしたのがこのアイテム。
私は9/11の際も、ショッピングが不謹慎に思えた時期に、当時マイケル・コースがデザインしていたセリーヌのブーツを購入して、 本当に気分が良くなって、そのブーツを履いて 道を歩いていると、いろいろな人に褒められて、「思い切って予算を超えるショッピングをして 良かった!」と心から思ったことがあったのだった。
そのブーツは、ヒールが取れてしまうまで履き潰して、本当にもとを取ったショッピングだったけれど、 私が思うに、禁欲ムードの中でするショッピングというのは、それだけ自分が理性的な消費を心がけるせいか、 あまり失敗しないように思うのだった。
加えて、日ごろのショッピングよりも精神面でのメリットも大きいようにも思えるのだった。
ニューヨークに暮らしていても、日本の震災、津波で本当に生活や心理状態が変わってしまったけれど、 それでも、残りの人生、そして復興の道のりは長いのであるから、心の栄養や生活の潤いはとても大切。 なので自分にとって 何が一番有効なカンフル剤かを考えて、それを適切なタイミングで 投与していくことは、様々なストレスや問題を乗り切って行くためには必要不可欠だと考えるのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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