Apr. Week 1, 2011
” David Kirsch : Kirsch Bar ”
” デヴィッド・カーシュ: カーシュ・バー ”



先月のこのコラムで、手巻き電力のランタンをご紹介した際に、日本の震災と津波、そして原発事故が起こってからというもの、 エマージェンシー・グッズのリサーチと購入を始めたことを書いたけれど、 これは私だけでなく、ニューヨークに住む日本人の友人の何人かにも言えること。
被災地の様子を見て、もしニューヨークでテロや自然災害に見舞われた場合、何が必要なのか? 停電になったら、ガスが止まったらどうすれば良いのか?、などを真剣に考えるようになってしまったのだった。

日本は 被災地で、決して十分ではなくても 比較的直ぐに食料の配給が行なわれて、被災者の方達がマナー良く並んでいたけれど、 ハリケーン・カトリーナの際のニューオリンズでは、食料が届かないのに加えて、略奪行為も相次いで、 恐ろしい光景が広がっていたのだった。
なので、アメリカで被災してシェルター(被災所)に行くようなことが無いように祈るばかりであるけれど、 自宅に居られたとしても、非常時にやはり一番心配なのは飲料水と食料。 私がこれまでリサーチしたところによれば、大災害が起こった場合に備える食料と水の量は、2週間分が目安とのこと。
2週間が乗り切れれば、かなりの規模の災害でも、その後は食料や水が供給されるようになるのが通常と言われているのだった。

日本では地震の後、お米やカップラーメンなどの買占めが凄かったと聞いたけれど、確かに こうした炭水化物類は、 乾物の状態で保存が出来るので、非常食として簡単に備蓄できるのは言うまでも無いこと。 でも、炭水化物中心の食事を2週間続けるのは、栄養面ではあまり感心できないこと。
というのは、炭水化物は直ぐに使うエネルギーを補給するのには適しているけれど、直ぐに消化されてしまうので、 腹持ちが悪いのに加えて、玄米のように繊維質を含んだ炭水化物で無い限りは便秘になるという問題があるのだった。
また身体の組成を作るのは、やはりたんぱく質。特に肉や魚などの動物性たんぱく質はアミノ酸の宝庫な訳で、 この摂取量が減った状態が2週間も続くのは やはり好ましいとは言えないのだった。

すなわち、非常時のためにたんぱく質が補給できる食べ物を考えなければならなくなった訳だけれど、 通常、思いつくのがプロテイン(たんぱく質)・シェイク。でもニューヨークのアップステートにある原発が事故を起こしたと想定した場合、 プロテイン・シェイクの問題は、牛乳と混ぜて作らなければならないこと。
原発事故が起こった場合、決して摂取してはいけないのが汚染された牛乳である訳で、 プロテイン・シェイクには頼れないのだった。
次にたんぱく質の保存食で思いつくものと言えば、プロテイン・バー。
私は個人的にはプロテイン・バーはあまり好きではなくて、私だけでなく、 人工的なフレーバーと人工甘味料の甘さを嫌う人は多いのだった。
でも、プロテイン・バーは1本食べるだけで、簡単に、そしてかなりの栄養補給が可能であるため、 多忙でヘルス・コンシャスな人々の間では絶大な支持を集めていて、 金融で働く友人などは、朝食かランチのどちらかがプロテイン・バーという日が非常に多いのだった。




そんな中、CUBE New York でも扱っているデヴィッド・カーシュが発売したのが ”カーシュ・バー” とネーミングされたプロテイン・バー。
デビッド・カーシュはニューヨークのセレブリティ・トレーナーであるけれど、カーシュ・バーは気に入ったプロテイン・バーが 見つからない彼のクライアントのリクエストから生まれたプロダクトであるとのこと。
同プロダクトは2月に発売になったけれど、私はプロテイン・バーが好きではないので、全く興味を示していなかったのだった。 でも日本の震災が起こり、非常食を考え始めたこともあり、遂にトライしたのが先週のこと。
カーシュ・バーのフレーバーは、アーモンド・クランチ、クッキー&クリーム、コーヒー・モカの3種類で、 いずれも1本が230〜240カロリー、たんぱく質は20グラム含まれていて、これは卵4個分に相当する量なのだった。
個人的に一番味が気に入ったのはクッキー&クリームだったけれど、プロテイン・バー独得の匂いが若干あるのと、 特有の歯にまとわりつくようなガミーなテクスチャーは、やはりあまり好きにはなれないもの。
でも他のプロテイン・バーを食べつけている人にとっては、カーシュ・バーはかなりのグルメ・バーなのだそうで、 私自身も、初めて食べた時よりも、2回、3回と食べるうちに、確かに忙しい時に手っ取り早くプロテインを摂取するには 非常に手軽だし、簡単に持ち歩けて、何処でも食べられるという利点も大きいと思うようになったのだった。
なので、非常時には便利なプロテイン・ソースだと思ったのと、カロリーが低い割りには腹持ちが良い点にも感心してしまい、 デヴィッド・カーシュが、これをダイエット中の人々のミール・リプレースメント、すなわち朝食やランチの替わりとして 摂取することを薦めているのも納得という感じなのだった。

さらに言うならば、プロテイン・バーは競争が激しい市場で、陳列棚の中で目立たせるために、 悪趣味なパッケージが多いもの。中にはボディ・ビルダーにアピールするために、 全く食欲をそそらないイメージのパッケージも少なくないのが実情で、そんな中に どんな味のプロテイン・バーが入っているかと思うと、 手に取る気にもなれないのだった。
その点、カーシュバーのパッケージは極めてシンプルでニュートラルなので、 プロダクトの外観からの苦手意識を抱かずにトライできたのは、私にとって非常に有難い部分なのだった。

ところで非常食に関しては、リサーチを続けるうちに 何と25年間保存が出来るレトルト食品を発見したので、それを2週間分 買う予定でいるけれど、これは朝食、ランチ、ディナーに分けて、メニューがクリエイトされているもの。 このレトルトの良いところは、2週間分の食料が驚くほどコンパクトに収納できるのに加えて、 賞味期限をチェックして、買い換える必要が25年間もないので、非常食を管理する手間が掛らないという点。
アメリカは中西部の地方に行けば、隣の家まで車で30分というような状況も珍しくないため、 こうした非常食は 災害時だけでなく、遠隔地に住む人々が食料の調達が出来なくなった際や、 キャンプなどのアウトドアの際に用いられているようなのだった。


話は変わって、CUBE New York で販売している日本の被災者をサポートするチャリティ・グッズが、ようやく少しずつ入荷し始めたけれど、 一番最初に届いたのがレディ・ガガのチャリティ・ブレスレット。
写真で見ていたよりも、ずっと幅が広くて、同様のラバー製のチャリティ・ブレスレットに比べて、遥かに見た目にインパクトがあるもの。 友達の間での評判も上々で、CUBE New Yorkのお客様の分の送付が終わったら、 レッド・クロスへの寄付と引き換えに、このブレスレットを友達にプレゼントするという約束が成立しているのだった。
このブレスレットは、レディー・ガガがその発売をツイートしてして以来、48時間で日本円にして2000万円以上の寄付を集め、 2週間も経たないうちに1億2000万円を集めるに至ったものだけれど、「WE PLAY FOR JAPAN」の文字が凄く目立つので、 このブレスレットをつけていると、日本の状況を思う気持ちが高まるし、 私がこのブレスレットをつけているのを見た、全然知らない人が「あなた、日本人?」と声を掛けてきて、 お見舞いのメッセージをくれるので、このブレスレットのパワーに驚いているのだった。
私はアイポッドにレディ・ガガの曲が何曲も入っていて、特にランニングの際には好んで彼女の音楽を聞いているけれど、 今回、日本の震災が起こって、セレブリティとして真っ先にアクションを起こしてくれたことで、益々彼女のファンになってしまったのだった。 レディ・ガガには、他のアーティストに無い、人々の興味や関心を引き付けるパワーがあると思うけれど、 このブレスレットも、そんな彼女のパワーを受け継いでいるようにさえ思えてしまうのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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