Apr. Week 3, 2013
” The Beauty Detox Solution ”
” ザ・ビューティー・デトックス・ソルーション ”



先週のこのコラムでも書いたように、 腸内洗浄の断食をしている際、 食事やその準備に掛る時間が余るため、 その余暇を利用して 私がしていたのが 読書。
私は あまり読書は好きではないけれど、リサーチは大好きで、もっぱら読み漁っていたのが 体内のクレンジングやデトックス、 ダイエットに関する本。というのも、腸内洗浄をきっかけに ここで十分なクレンジングをして、身体をリセットしようと思ったためで、 断食が終わってから 続けて出来るデトックス・プログラムを探していたのだった。
そこで 著名ハリウッド・トレーナーが出版した ダイエット兼、デトックスの本や、マンハッタンの超高額ダイエティシャンによるダイエット本など、 名前の知れた著者の本を 片っ端から斜め読みしては、必要の無い本をどんどんカットして、 自分が知らない情報が沢山書かれている本、自分が納得できるセオリーの本のみに絞っていったのだった。

その結果、まず思ったのは著名トレーナーが出版する本は、食やダイエットに関する知識や情報が一般的過ぎて、全く学ぶところが無いということ。 したがって、医学や栄養学に基づいた本に絞られてきたけれど、私はダイエットやクレンジングに関しては、 テスティモニアルのデータだけを分析する著者は信頼しない方針で、著者 自らがトライして、体験しているというのが重要なポイント。 その結果、最後に残ったのは、全く異なるタイプの 2冊のデトックス本なのだった。

1冊目は、アレハンドロ・ヤンガー著の「Clean/クリーン」。 この「クリーン」の中で紹介されている21日間のデトックス・プログラムは、 グウィネス・パルトローが体調を崩した後に行なったもので、彼女の新しいクレンズ・ダイエットの料理本は、 ドクター・ヤンガーからの「クレンズ・プログラムは、一時的に行なうだけでなく、ライフスタイルに取り入れなければならない」という アドバイスから生まれているのだった。
アレハンドロ・ヤンガーは 心臓外科医で、多忙なニューヨークの病院に勤務し始めてからというもの、 食事に時間や手間が掛けられないため、脂肪分、塩分、カロリーの多い 外食やテイクアウト・フードばかりの食生活となり、 その上に過剰なストレスと運動不足で、すっかり体調を崩してしまったという。 暫くは、その治療のために処方された薬を摂取していたというけれど、その数は増えていく一方。
それによって益々体調を崩した彼は、身体に出た症状に薬で対処する西洋医学の限界を悟り、一切の薬をカットして、 デトックスと食生活の改善を試み、エクササイズを心掛けて体調を大改善。 彼が勤めるマンハッタンの有名病院の医師達が、その秘密を知りたがるほど、体調が良くなっただけでなく、外観も若返ったという。
そんなドクター・ヤンガーのクレンジング・プログラムは、21日間、朝食と夕食は栄養補給のシェイクを飲んで、ランチでのみ固形食を食べるというもの。 その21日間は グルテン、カフェイン、加工食品、アルコールに加えて、ピーナッツやイチゴなどの一切のアレルゲンも摂取してはならず、加えて ナス、ピーマン、トマト、バナナなど一部の野菜&果物も摂取不可になっているのだった。

このデトックス・プログラムで、ドクター・ヤンガーは原因不明の症状をかなり改善させてきたというけれど、 私は途中まで この本を読んで 止めてしまったのだった。 理由は、いろいろな部分で ”まどろっこしい”と感じたのと、500ドル近くを支払って、ドクター・ヤンガーがプロモートする ケミカル入りデトックスのシェイクを 買うのが馬鹿らしいと思えたため。
加えて、朝食抜きが身体に合ってきた私にとって、朝シェイクを飲むプログラムは避けたいものの1つ。 このため、私はもう1冊のデトックス本、キンバリー・スナイダー著の” ザ・ビューティー・デトックス・ソルーション ” に フォーカスを切り替えることにしたのだった。




キンバリー・スナイダーは、フィットネス系モデルという経歴を持つ、ハリウッド・セレブリティ御用達のダイエティシャン。
そのクライアント・リストは、ドリュー・バリモア、ファーギー、ヒラリー・ダフ、リーアン・ライムス、チャニン・テイタム、ベン・スティラー等、 数え切れないほどであるけれど、それぞれが彼女のコンサルテーションを受けるようになってから、肌やボディ・ラインが改善されているのは メディアも認めて、絶賛しているのだった。
自ら突然の体重増加と著しい肌荒れを経験し、それがきっかけで栄養学とホリスティック・ヒーリングを学ぶ決心をした彼女は、3年を掛けて 世界50カ国を旅して周り、 細胞組織に働きかけるナチュラル・ヒーリングの大家として知られる、 デヴィッド・ジャブ博士の下で、植物ベースの栄養学を学ぶ一方で、ヨガ・マスターとして知られるダーマ・ミットラから ヨガを学ぶなど、エネルギッシュに様々な経験を重ねていったとのこと。
かつては、女優のジェシカ・ビールのヨガ・インストラクターでもあった彼女は、今も時々、ヨガを教えているという。

私が 彼女のセオリーを 非常に気に入った点は、著書のタイトルにもあるように「ビューティー」、すなわち肌や髪の毛の美しさ、 目の輝き等を非常に重視しているのに加えて、「ビューティー=エナジー」というフィロソフィーの持ち主であること。
彼女は、内臓の健康が外観の美しさやエネルギーに反映されるという理論を展開し、 新しいクライアントに出会う度に、その目の輝きや肌の色艶、顔のしわ、ボディ・ラインなどをチェックしているけれど、 そんな分析や、彼女がクライアントに与えるアドバイスは、全てが理に適っていると判断できるもの。
また、「ザ・ビューティー・デトックス・ソルーション」では きちんとした医学的データ、臨床データを挙げて、 デイリー・ベースのデトックスについの様々な情報を提供していて、 最後まで退屈せずに読みきることが出来た本なのだった。




中でも、同書の中で私が一番興味深いと思ったのは、彼女が提案する食事のペアリングと順序。
彼女の理論によれば、消化を効率良く行なうためには、消化に時間が掛からない軽い食べ物を先に食べて、 消化に時間が掛る重たい食べ物を後に食べるべきとのこと。 これは、1回の食事の中だけでなく、1日全体の食事を通じても適用されるセオリーなのだった。
その意味で、朝、もしくは午前中に食べるべきなのが、最もピュアな食物であると同時に、最も消化のスピードが早いフルーツ。 1日の終わり、すなわちディナーで食べるべきなのが、動物性たんぱく質や脂肪分を含んだ炭水化物など、消化に時間が掛る食べ物。

理由は、消化の早いものから食べれば、胃に送り込まれた順にドンドン消化が進んでいって、消化の渋滞が起こらないため。 でも、肉など消化に時間が掛るものを先に食べてしまうと、そこで消化活動がスローダウンするため、 後から胃に送り込まれた食物の胃の滞在時間が長くなるため、その間に体温によって 熱に弱いエンザイム(酵素)やビタミン、ミネラルが失われてしまうという。 したがって、彼女の理論ではステーキ・ディナーの後に、健康を考えてフルーツをデザートとして食べた場合、それが消化される時点では 既に トキシック(毒素)に変わっているので、 むしろ逆効果であるという。

私は 彼女のセオリーを読むまで、ステーキの後にフルーツを食べた場合、消化の良いフルーツが先に消化されて、ステーキが胃の中に 必要以上に滞在することになるのかと思っていたけれど、人間の胃というのは、食べ物の種類に合わせて 異なる消化酵素を使い分けているため、 肉を消化するためには 肉のための消化酵素、炭水化物を消化するためには 炭水化物用の消化酵素をそれぞれ分泌しており、 一度に分泌できる消化酵素は1種類のみ。
したがって、異の中に肉と野菜が混在した場合、野菜用の消化酵素と、肉用の消化酵素を同時に分泌することは出来ないとのことで、 先に食べたものが消化されるまでは、別の酵素が出てこないという仕組み。 したがって、肉を先に食べてしまえば、胃の中は肉用の消化酵素で満たされるので、その後から入ってきたフルーツの方が遥かに消化が簡単な食べ物であっても、 一度 肉を消化し始めた胃は フルーツを消化しないという。そして肉の消化を待っている胃の滞在時間中に、フルーツのエンザイムが死滅したり、 毒素に変わってしまうというのが彼女のセオリーなのだった。

これに対して、野菜や果物を先に食べた場合、野菜は脂を使わなければ胃の中での消化時間は約30分、果物ならば20分。 したがって、アペタイザーとしてサラダを食べて、メインでステーキを食べれば、肉を食べる時点で野菜の消化がほぼ終了していることになり、 野菜の栄養素が十分に身体に吸収されるだけでなく、肉の消化にも負担がかからないことになるのだった。
肉はフルーツで漬けておくと柔らかくなるし、「ステーキとエンザイム豊富なパイナップルを一緒に食べると、肉の消化を助ける」という説もあるけれど、 実際には胃の中では、それより遥かに強力な胃酸と酵素が消化活動を行なっている訳で、これに比べればフルーツに含まれる酵素は微々たるもの。 したがって、食後のフルーツは消化を助けるよりも、逆に胃の中に居座って毒素に変わってしまうとのことなのだった。

彼女の提唱する食事内容は、朝はグリーン・スムージー、昼はサラダや野菜料理と少量の炭水化物、ディナーに野菜と炭水化物、もしくは動物性たんぱく質 というもの。
同じ食事の中で、生野菜と 火の通った野菜、例えばスープや野菜炒め等を一緒に食べる場合、食べる順番は生野菜が先で、調理した野菜が後。 野菜サラダとパスタをランチで食べる場合は、サラダが先で、パスタが後。 野菜のソテーとサーモンのグリルをディナーで食べる場合、 まず野菜のソテーを食べてからサーモンというのが、消化を楽に、効率良くする食べ方。
前述のように胃の中では、食べ物によって消化酵素が異なるので、それぞれ消化に時間が掛る 炭水化物と動物性たんぱく質は、 同じ食事の中で一緒に取らない方が、胃や腸には負担が掛らないようなのだった。




これ以外にも、彼女の食事のペアリングには、様々なルールが存在しているけれど、 キンバリー・スナイダー自身はヴィーガンで、ヴィーガン・フードのシェフでもある人物。
でもロウ・フードについては、3年トライした結果、限界を見いだしたとのことで、現在は 生野菜と調理野菜を同じ程度に摂取するようになったという。
同書の中で、彼女は3段階のデイリー・デトックス・ライフスタイルを提案しているけれど、 その頂点になっているのは、やはりヴィーガンの食生活。
でも、キンバリーによればヴィーガンというのは、ある日思い立って 成れるものではないそうで、クレイヴィング、すなわち「動物性たんぱく質を 食べたい」という気持があるうちは、食べた方が良いというのが彼女の考え。 食生活を変えるためには、穏やかなクレンジングを続ける必要があって、それが達成されると「肉や卵を食べなくても平気」という 精神状態になるそうで、そうなった時点で始めるべきなのが、ヴェジタリアンやヴィーガンの食生活であるという。
クレンジングをしっかり行なわずに 食生活だけを激変させると、身体がそれにアジャスト出来ずに、逆に体調を崩したり、 無気力、精神的な落ち込みや、エネルギー不足に陥ることが多いとのことなのだった。

ビューティーにフォーカスした キンバリー・スナイダーのセオリーでは、減量は美しさを実現する過程で自然にもたらされる副産物。 したがって彼女は、一切カロリー計算をしない主義。
そんなキンバリー・スナイダーは、3月末に 2冊目の著書、「ビューティー・デトックス・フード」(写真上中央)を出版していて、 同書はニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・チャートの2位に躍り出ているけれど、この本は 1冊目の本のセオリーに基づく ヴィーガンのレシピが中心。 なので、彼女がセレブリティ・クライアントにアドバイスするヴィーガン・レシピを学びたい人にはお薦めであるけれど、 キンバリーが掲げる 生活の中で行なうデイリー・クレンジングについて学ぶには、” ザ・ビューティー・デトックス・ソルーション ”を読むのが一番。
同書には かなりハードコアなアドバイスも含まれているので、全てを実践するのは無理であるけれど、 クレンジング&デトックス系の本の中では 読んでいて抜群に面白かったのと、同書は外観の美しさにフォーカスした唯一のデトックス本。 物の食べ方や、組み合わせに関する 新しい知識が得られるという点でも、ユニークな書と言えるのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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