May Week 3, 2012
” Balthazar Le Panier ”
” バルタザール ル・パニエ ”



ニューヨークはレストランの入れ替わりが多い上に、沢山のチョイスがあるので、長くニューヨークに住んでいても、複数回数足を運ぶレストランというのは かなり限られてくるけれど、私が何度も通い続けているレストランの1つがソーホーのスプリング・ストリートにあるバルタザール。
同店は、フランスで長く生活した後、ニューヨークに戻ったレストランター、キース・マクナリーが1997年にオープンしたフレンチ・ビストロで、 シンプルなビストロ・フードが味わえるレストラン。
本当にパリのビストロに居るような雰囲気が味わえるインテリアや雰囲気の良さに加えて、 毎日、ブレックファスト、ランチ、ディナーをサーブして、深夜遅くまでオープンしている便利さも手伝って、 同店に何度足を運んだかは数え切れないほどなのだった。
特に、2000年を前後した時期は、仕事でソーホーに行く機会が非常に多かったので、同店をブレックファスト・ミーティングの場所として 頻繁に使っていて、ミーティングが無い時でも、好んでバルタザールに朝食に出かける機会が多かったけれど、 その時に必ずオーダーしていたのが 今回ここに御紹介する ”ル・パニエ”。 パニエとはフランス語で、”バスケット”のことで、要するに ”ル・パニエ” とはブレッド・バスケットのこと。
バスケットの中には、いろいろな種類のパンがアソートされて入っているので、カントリー・ブレッドから、甘いペストリーまでが 楽しめるもの。 これと一緒に必ずオーダーしていたのが、カフェオレで、同店はカフェオレを どんぶりのようなカフェオレ・カップで出してくれる 数少ないレストランの1つなのだった。

バルタザールは朝食に出かけると ウィンドウから自然光がふんだんに入ってきて、ランチ・タイムやディナー・タイムほどは混み合っていないのに加えて、 フローリストがやってきて 店内に飾られている巨大なフラワーをアレンジしていたりして、本当にパリのビストロに居るようなゆったりした気分が味わえていたのだった。




でも、ここ数年同店を訪れるオケージョンはもっぱらディナーや、アフター・ディナーだったので、 つい最近、何年かぶりに ブレックファストで 同店を訪れた私は、 ”ル・パニエ”をオーダーするのを何より楽しみにしていたのだった。 ところが、メニューのどこを見ても ”ル・パニエ”が見当たらず、 ウェイターに訊いてみると、今は週末のブランチでしか”ル・パニエ” をサーブしていないとのこと。
なのでガッカリしてしまったけれど、特別に頼んで 平日のブレックファストにも関わらず ”ル・パニエ” をサーブしてもらうことに成功! バスケット一杯に詰められた美味しそうなパンを 久々に眺めて、それだけでも幸福感に浸ってしまったのだった。

”ル・パニエ”の中のパンは、バルタザールのレストランのお隣にある同店のベーカリーから来るもので、ここは本格的なフレンチ・スタイルのベーカリー。
私はこのコーナーで何回か書いているとおり、「美味しいパンが無いと生きられない!」と思うほどにパンが好きで、 ご飯や麺類は暫く食べなくても大丈夫であるけれど、パンが無い生活は本当に考えられないタイプ。 日本に比べると、アメリカのパンは本当に美味しくない場合が多いけれど、バルタザールについては例外で、 ソーホーに来た時は、ここに寄ってパンを買わずに帰宅するのは、私にとって非常に難しいこと。
クロワッサン、バゲットといった、フレンチ・ベーカリーのキー・アイテムも美味しいけれど、 タルトやドーナツ、ナッツをふんだんに使ったスティッキー・バン(写真下段左側)など、 他店よりもずっとクォリティの高いベイクド・グッズが沢山で、いつも来ても、また戻ってきたくなるベーカリーなのだった。





”ル・パニエ”が、今ではブランチでしかオーダーできないのは本当に残念な限りだけれど、何年かぶりに”ル・パニエ”をオーダーして 驚いたのはそのお値段。今や21ドルになってしまって、過去数年の間に小麦の価格が高騰したことを改めて実感してしまったのだった。
ちなみに私がかつて同店で朝食を楽しんでいた頃の”ル・パニエ”のお値段は10ドル程度と記憶しているのだった。
でもバルタザールのべーカリーで売られているパンのお値段を考えれば、”ル・パニエ”のお値段がアップしているのは当然のこと。
オーダーした”ル・パニエ”の中にどんなブレッドが含まれているかは、時の運であるけれど、 ウェイターにリクエストして、好きなペストリーを入れてもらうようにすることは可能。 でもあまり細かくリクエストすると、嫌われるのと、リクエストをに応えてもらえた場合はチップを多目にするのがアメリカにおけるマナー。
とはいっても、日頃自分で買わないようなパンがトライできるのも ”ル・パニエ”の醍醐味でもあるのと、 バルタザールのパンは 大体何でも美味しいので、特に注文を付けなくても 十分に楽しめるのだった。




私が1つバルタザールの問題点と思うのは、ピーク時の店内がザワザワして、とにかく煩いこと。
なので、ピーク時にディナーをする際には、声が通らない人の言うことを分かったふりをして頷いていることは少なくないのだった。
オープンから今年で15年になるバルタザールであるけれど、今も予約が取り難いレストランで、特に週末のブランチは行列が出来ているのが常。 多くのレストランのブランチは午後2時を過ぎれば、比較的直ぐにテーブルにつけるケースが多いけれど、同店に関しては午後4時を過ぎても並んでいる人々を見かけることが多いのだった。

ところで、同店のベーカリーの名物の1つと言えるのがチョコレート・ブレッド。
これはヴェローナ・チョコレート・チップが入った、食パンのテクスチャーのチョコレート・パンであるけれど、 かつての私の大好物で、突然思い出して久々に買って帰ろうと思ったら、今は週末しか取り扱いが無いと言われてしまったのだった。
こればかりは頼んでも出てこないと分かっているので、あっさり諦めたけれど、そう言われてみれば、どうしてこのパンを暫く買っていなかったかと言えば、 店内で見かけなくなったため。なので売り切れているか、その日は焼いていないのかと思っていたけれど、チョコレート・ブレッドまで ”ル・パニエ”同様、週末のみになってしまったのにも ちょっとガッカリしてしまったのだった。
とは言え、チョコレート・パンがあっても、無くても、バルタザールは私が気に入っている数少ないベーカリーの1つ。 そのバルタザールのパンが、何種類もトライできる”ル・パニエ”は、21ドルを支払っても 週末のブランチでオーダーする価値があるというのが 私の偽らざる意見なのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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