May Week 3, 2015
” Frieze Art Fair & NY Art Week ”
フリーズ・アート・フェア& NY アート・ウィーク


今週は、クリスティーズのオークションで ピカソの「アルジェの女たち」が1億7,930万ドルで落札され、 オークション史上のアート最高価格記録を塗り替えたことが大きなニュースになっていたけれど、 毎年春のコンテンポラリー・アート・オークションが行われる時期は、 ニューヨークのアート・ウィーク。
今週末には、ニューヨーク最大のアート・フェアである”Frieze / フリーズ”に加えて、”NADA(ニュー・アート・ディーラー・アライアンス)”の アートショー、今回初めて開催される”アート・マイアミ・ニューヨーク”、同じく初の開催で ハーレムで行われる”フラックス・アート・フェア”、 アーティスティックなインテリアやファニチャーが中心で展示される”コレクティブ・アート”等が行われて、全て見て回ろうと思ったら大変な量。 私も、果たしてどれだけ見られるか定かでは無いけれど、まずは出かけてきたのが写真上のフリーズ・アートフェア。

今回もさらに規模が大きくなっていたフリーズであるけれど、巨大な特設テントの中に見られるのは、 一般概念で言う”美しい”とか”芸術的”という作品はマイノリティで、その多くは ”興味深い”、”とにかく手間が掛かっている”、 ”理解不能”、もしくは ”アートであるか否かは 言った者勝ち”と言う作品の数々。
昨今の傾向は、アートのサイズがどんどん大きくなっているのに加えて、スカルプチャーやクラフトの展示が増えてきていることなのだった。






その他、写真上、一番下段左のインスタグラムの画像を使ったリチャード・プリンスの作品など、 ソーシャル・メディアやスマートフォンなどがアートのモチーフになっていたのも目新しいところ。
加えて、目立っていたのが体験型、もしくは人間が加わるアート。 例えば写真下、上段左は絨毯代わりに敷き詰めたペイントの上にマッサージ・チェアが置かれている作品。 そこに代わる代わる座っているのは来場者で、彼らがくつろぐ姿もアートの一部になっているというコンセプト。
そのお隣は、亀の甲羅をデコレートした作品であるけれど、巨大な甲羅の下に生身の人間が手足と首を出して眠っているという設定。 その他、急坂ボードにマジックテープがついたジャンプスーツを着用した来館者が張り付くのが作品であったりして、 入場者は、アート・フェアというよりも遊園地感覚でトライしていたのだった。




さて昨今、アート・イベントというと必ず姿を見せるセレブリティに、レオナルド・ディカプリオが居るけれど、 その彼がVIPプレビューで「Cool!」と褒めたと言われるのが、写真上2段目、ジョナサン・ホロウィッツの「100 Dots / 100ドッツ」。
この作品は12インチ(30p)四方のキャンバスに、アクリル・ペイントで黒い丸(ドット)をペイントして、そのキャンバスを100枚 並べた作品。 そして そのドットをペイントしているのは、他ならぬ来場者。この作品は、100枚のキャンバス=100個のドットが1セットで、お値段は まさか!の 10万ドル(約1,200万円)。もちろん会場でペイントした人々には 一切コミッションも支払われないけれど、 参加者はペイントをとても楽しんでいて 「何となく気分が和む」と語っているとのこと。

さらに変わっていたのは、日本人アーティスト、アキ・ササモトの ”Coffee/Tea”(写真上、下段)。
この作品は行列が出来ていたので、私も思わず並んでしまったけれど、これは提示された選択肢から自分のチョイスを選ぶことによって、 その扉を開けて進む迷路。それによって性格診断が出来るという変り種の体験型アート。
最初に提示される質問は この作品のタイトルである Coffee or Tea? 私はその時はコーヒーが飲みたかったので、コーヒーを選ぶと、次の質問はホースヘアかコットンか?。そこでホースヘアを選ぶと、 次に待っているのが4つの椅子で、そのうちどれかを選んで座ると、鐘が1回、ないし2回鳴るので、その数に応じて 次の扉を開けると 待っているのが2種類の下着のチョイス。レースのタイプを選んで扉を開けると そこが出口で、 私の性格は”Into Candy”(キャンディ好き、ちなみに英語でキャンディはお菓子の総称)。他には”ヴェジタリアン”、”若さに固執”などの 結果があったけれど、出てきたところで自分の性格を書いた小さなバッジをプレゼントしてくれるというサプライズがあるのだった。






アート・ウィークには、これらのアートフェアだけでなく、ミュージアムでも新たなエキジビジョンがスタートするけれど、 今週最大の話題になっていたのは、メトロポリタン美術館のルーフトップ・ガーデンの今年のエキジビジョン。 以前このコーナーでも取り上げたことがあるけれど、毎年、このルーフトップ・ガーデンのエキジビジョンは、 夏の観光シーズンのアート・イベントの目玉になるもの。
今年、このルーフトップ・エキジビジョンを担当したのはフランス人コンセプチュアル・アーティストのピエール・ユイグ。 その内容は極秘とされていたので、プレスやアート関係者の間で 期待が高まっていたけれど、 蓋を開けてみれば、これまでで最も味気なく、ディプレッシングな展示。
ルーフトップのコンクリート・タイルがわざと剥がされて、廃墟のような雰囲気の中に 置かれているのが、岩石、および ガラスの水槽に浮いた岩石のようなスカルプチャー。 クリエイトされたというより、破壊されたという印象に仕上がっているのだった。
これが公開された今週水曜は、珍しくマンハッタンが一日中霧に覆われていたこともあり、 作品の重苦しさがさらに伝わってくる演出。 これを観た人々のリアクションも、かなり冷めたものになっていたのだった。
私は、ピエール・ユイグというアーティストには全く馴染みがなかったけれど、 彼は、常に「アート・エキジビジョンとは何か?」という課題を掲げて製作に取り組んでいるとのこと。 でも私は彼のこの展示を見て、違った意味で「アート・エキジビジョンとは、一体何なのか?」 という疑問に駆られてしまったのだった。





最後に、もっと見目麗しいアート・エキジビジョンで締めくくるとすると、 写真上は、シャネルが5月7日〜17日までの11日間に渡って、ミートパッキング・ディストリクトで行っている ”No.5 イン・ア・ニュー・ライト”というイルミネーション・アートのエキジビジョン。
10分ほどで見て回れるヴェニューは、シャネルNo.5の5つの開発ステージである ”クリエーション”、”カルティヴェーション”、”コンポジション”、”アブストラクション”、”リヴェレーション” という5つのセクションに区切られていて、 まず来場者が魅了されるのが、バラとジャスミンの花びらが映し出された水面。 そしてガラスのパネルのセクション、No.5のボトルの前でシルエットで写真が撮影出来るセクションなど、 いかにもシャネルらしい完成度と高級感が漂う展示を楽しんだ後、 辿り着くのがDIY(Do It Yourself)セクション。
ここでは、シャネルNo.5ボトルが描かれたポスト・カードに、シャネルが用意したスタンプを押して、 来場者が自ら製作するのが No.5ボトルのアート。 それに友人や家族の宛名と住所を書いて、会場に設置されたメールボックスに入れるだけで、たとえそれが海外でもシャネルの 郵送費負担で送付してもらえるとのこと。
もちろんシャネルにとっては、これが宣伝広告効果になるのは言うまでもないけれど、 ここでもフリーズ・アートフェア同様、来場者参加のコンセプトが取り入れられているのだった。

たとえアート・ウィークでなくてもニューヨーク市内には、 20のミュージアムに加えて、ギャラリーが130軒、20のノンプロフィット展示スペースがある上に、 郊外にもDIAビーコンのようなユニークなアート施設があるので、 アート好きにとっては、どんなに長く居ても飽きない街。
加えて、5月からはホイットニー・ミュージアムがミートパッキング・ディストリクトに場所を移して再オープン。 この中には、ダニー・メイヤーが新レストラン、”Untitled / アンタイトルド”をオープンしているので、 こちらも 要チェックになっているのだった。


Will New York 宿泊施設滞在


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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