June Week 2, 2011
” Cosabella Irina Babydoll ”
” コサベラ・イリーナ・ベイビードール ”




私が、コサベラの買い付けに行く度にふと思うのは、世の中の女性達は一体何を着て寝ているんだろうということ。
私は、ニューヨークに来るまでは1人暮らしをしたことが無かったけれど、ニューヨークに来て自分のアパートという空間を持って、 まず取り組んだのがベッドルームのデコレート。 そしてベッド・リネンやベッド・スカートなどを買い揃えた後に、直ぐに買いに行ったのが、映画の中で女優が着ているような ベイビードール。 そもそもパジャマというものが嫌いだった私は、ベイビー・ドールを着て眠る ニューヨークの生活というのに、 妙な憧れがあって、生まれて初めてのベイビードールを買ったのは ブルーミングデールズだったと記憶しているのだった。
アメリカでは当時、ベイビードールは お値段も質もピンキリで、ポリエステルなら30ドル、イタリア製のレースとシルク素材のものは3000ドル。 何処のデパートでもランジェリー・セクションには 大きめのベイビードールのセクションがあって、キュート、もしくはセクシーで、フェミニンなスタイルが揃っていたのだった。
以来、私が 夜シャワーを浴びた後、朝起きて 新聞を読みながら 朝食を食べるとき、週末 何もせずに家に居る時に、 常に着用してきたのがベイビー・ドール。 幸い、2001年からはコサベラをCUBE New York で扱うようになって、ベイビードールが卸売価格で買えるようになったので、 私のベイビードール・コレクションがさらに増えることになったのだった。

かつて 私の意識の中では、一番プレステージが高いのはシルク素材のベイビードールだったけれど、 コサベラのソアレやタルコの素材、ストレッチ・レースなどのベイビー・ドールを愛用し始めると、遥かに寝心地が良く、アイロンも要らず、 洗濯しても直ぐ乾くというメリットがある上に、ハンド・ウォッシュをしている分には、長く着られるので 今では、シルク素材のものがセールになっていても、全くなびかなくなってしまったのだった。

でも私にとって残念なのは、ベイビードールというのは 年々売り上げを落としているカテゴリーとのこと。 なので、コサベラも以前に比べてベイビー・ドールを扱うラインの数が減っていて、私としては非常に不満に思っているのだった。
そこである時、女友達に夜何を着て眠っているのかを尋ねたところ、その場に居た4人の友達のうち3人がTシャツ、もしくはTシャツとレギンスを着用しているとのこと。 でも それはパジャマとして着ているのではなく、部屋着として着ていて、そのまま眠ってしまうという ”寝巻き&起き巻き” のアウトフィット。 アメリカ人は、夜はシャワーを浴びず、朝出掛ける前にシャワーを浴びるという人が多いので、 仕事や、ディナーから戻って、着替えたら そのままの服装で眠ってしまうという状況なのだった。
残りの1人の友達は、メンズ仕立てのシャツを着ているとのことで、別の女友達から 「That's Cute!」と褒められていたけれど、 また別の女友達は 「どうしてシーツより硬いコットンを着て寝るの?」と尋ねていたのだった。

私がベイビードールを着ていると言うと、友人のリアクションは 「1人で寝るときも?」というもの。
すると、友人の1人がジュリア・ロバーツ主演で、昨年封切られた「Eat Pray Love / イート・プレイ・ラブ」の中で、 「着て見せる男性が居ないから・・・」と言って、高価でラグジュリアスなランジェリーを買うのを躊躇していたジュリア・ロバーツ扮するキャラクターに、 「自分のために買いなさい」と友達がアドバイスをしたシーンについて語りだしたのだった。 映画の中では、その時点でジュリア扮するキャラクターはランジェリーを買わなかったけれど、その後、 ローマのアパートで、ゆったり1人で食事をするシーンでは、彼女がそのランジェリーを着用していて、 男性に見せるためではなくて、自分だけのために贅沢なランジェリーを購入し、彼女が自分を幸せにすることにフォーカスし始めた様子が 描かれているのだった。

私がベイビードールを着用するのも、部分的にはどんな時でも自分の好きなものを着て、自分を幸せにするため。 でも残りの部分は、だらしない自分になりたくないためなのだった。
かつて付き合っていたボーイフレンドによれば、男性というのは一緒に暮らし始めたガールフレンドが、 何時でもノーメイクで、Tシャツとスウェットパンツ等を着ている姿ばかり見せられるようになると、モデルをしていたようなグッド・ルッキングな ガールフレンドでも、だんだん女性だという意識が無くなっていくとのこと。 それほど、男性にとってヴィジュアルというのは大切な要素なのだそうで、 ある日彼女に 「一緒に暮らし始める前みたいに、時々はセクシーなアウトフィットを着て欲しい」と言ったら、 喧嘩になってしまったと言っていたのだった。
同様のストーリーは男性からも、女性からもよく聞くけれど、 20代のブロンドだったら ノーメークのポニーテールで、スウェットパンツやレギンスを着ていても それなりに見られるは事実なのだった。 でも年齢を重ねてくると、そんな格好だと色気も可愛げもない訳で、私のアパートの中は ただでさえ鏡が多いので、そんな自分の姿を 家に居る間中見ていたら、自閉症になってしまうように思うのだった。

ココ・シャネルの名言に「醜さには慣れるが、だらしなさには我慢ならない」というものがあるけれど、 人間が慣れてしまうのは 醜さだけでなく、美しさにも言えること。 「美しさに慣れる」というのは、正確には 「美しさに飽きる」ということ。
そうなってくると、長丁場で 女性のルックスの勝敗を分けるのは、美貌よりも いかに自分をきちんと保っていられるか ということだと 私は考えているのだった。

かく言う私は、人より自分が勤勉だと思ったことは無いだけに、一度自分に手を抜くと、何処まで酷くなってしまうか?、考えただけで恐ろしいので、 たとえ家に居て、眠るだけの時でも、自分の気に入ったものを着て、たとえ肌が衰えても、着ているものくらいは 一定レベルを満たしていたいと思うのだった。

さて、前置きが長くなったけれど、ここに紹介する、コサベラのイリーナ・ベイビードールは、CUBE New York のサイトでは扱っていないけれど、私が今シーズン一番気に入っているベイビードール。 何故か、CUBE New York では、プリント物、柄物の売れ行きが今ひとつで、スタッフはいつも首を捻っているけれど、 私はプリントや柄物、カラー・コントラストなどが個人的には凄く好きで、気に入って愛用しているのだった。

ところで、ジュリア・ロバーツ主演の「イート・プレイ・ラブ」に話を戻すと、ジュリア扮するキャラクターが 高価なランジェリーを着て、1人でアパートで 食事をするシーンで、呟くのが「Dolce Far Niente」という言葉。 これは英語で言えば、「The Sweetness Of Doing Nothing」、日本語では、「何もせずに過ごすことの甘美」。
確かにイタリアは、何もせずに過ごす時間を 人生のエッセンスとして重んじるカルチャー。
でももし、ここでジュリアがTシャツ&レギンスを着ていたら、この言葉に全く説得力が無くなるだけでなく、 ソファーに寝転がって、TVを観ながら アイスクリームをカートンから食べている方が 似つかわしい状況になってしまうのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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