June Week 2, 2014
” Decade Of Shack ”
” ミシュラン2つ星、3つ星シェフがバーガー競演!
シェイク・シャック10周年! デケード・オブ・シャック ”



私が、一番最後にファスト・フードのハンバーガーを食べたのは、1998年にロンドンに出かけた際。
当時、未だグルメ不毛地帯だったロンドンで、あまりに食べ物が高くて、不味いので、バーガー・キングでワッパーを食べたのが、 私にとっての最後のファスト・フード・バーガー。
それほど、私にとってハンバーガーというのは、さほどプライオリティの高い食べ物ではないけれど、 そんな私でさえ 年に1〜2回程度の割合で食べてきたのがシェイク・シャックのバーガー。 日本に住む友人の目から見ると、シェイク・シャックもファスト・フード・チェーンのように見えるようだけれど、 シェイク・シャックのバーガーは、作り置きをしないメイド・トゥ・オーダー。なので、 オーダーしてから10分前後は待たされるため、オーダーの際に渡されるのがビーパー。 バーガーの準備が出来ると そのビーパーがシグナルを発するので、何処に居ても自分のバーガーをピックアップするタイミングが直ぐに分かるというのが シェイク・シャック独自のシステムなのだった。

またシェイク・シャックのパティは、レストラン並みに、精肉業者にスペシャル・オーダーしたビーフのブレンド。 出所の分かっているきちんとしたビーフを使っているので、外食ではひき肉料理を食べない主義の私も シェイク・シャックは例外と見なしている存在。 実際、同店のビーフ・ブレンドがあまりに美味なので、多くのレストランが 同じ精肉業者からシェイク・シャックに似たブレンドのひき肉をオーダーしているほどなのだった。

でもフライド・ポテトをシェアしてバーガーとドリンクをオーダーすると、軽く2人で30ドルを超えてしまうのが シェイク・シャック。しかもシャック・バーガーは、ダブルでオーダーすると780カロリー。 それにシェイクとフライをオーダーしたら、2000カロリーを超えてしまうので、 美味しくても 健康を考えたら、そうそう通っていられないのが同チェーンなのだった。


そんなシェイク・シャックは、今週でオープンから10周年を迎えたけれど、 今もシェイク・シャックは ニューヨークで最も人気が高いバーガー・チェーン。
同店は、マディソン・スクエア・パーク復興プロジェクトとして、当初は春から初秋に掛けての 暖かい季節のみの ポップアップとして パーク内に登場。 オリジナルは、ホットドッグ・スタンドとしてオープンしたビジネスなのだった。 ところがハンバーガーが大人気となって、以来、マディソン・スクエア・パーク内に連日見られるようになったのが大行列。
程なく、 時間に追われるニューヨーカーのために設置されたのが、 シャック・カム。これはパーク内の行列を長さがチェックできるカメラ映像で、 シェイク・シャックのウェブサイトにアクセスすれば、 オフィスや自宅に居ながらにして、待ち時間が予測できるようになっているのだった。

今では メッツの本拠地、シティ・フィールズ内から、フロリダ、モスクワ等にも出店しているシェイク・シャックを経営するのは、 ユニオン・スクエア・カフェ、グラマシー・タバーンといった長寿人気レストランで知られる ユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループの ダニー・マイヤー。
彼はニューヨークのレストラン業界だけでなく、世界のレストラン業界のVIPと言えるレストランターであるけれど、 そんな彼の呼びかけで、シェイクシャック10周年のイベント、”デケード・オブ・シャック ” に 参加したのは、錚々たる顔ぶれのセレブ・シェフ。

同イベントでは、月曜から金曜までの毎日、5人のシェフが1人ずつシェイク・シャック10周年記念のためにクリエイトした スペシャル・バーガーを1000個限定で販売。お値段はいずれも8ドル50セントで、そのうちの1ドルが マディソン・スクエア・パークの運営に寄付されるというもの。
同イベントに参加したシェフと、そのバーガーのクリエーションは 以下のラインナップになっているのだった。




6月9日(月曜日):ダニエル・ブリュー / ザ・ピギー・シャック


ミシュランで3つ星を獲得するフレンチ・レストラン、ダニエル以外に、自らもDBGBというバーガー・ジョイントを経営する ダニエル・ブリュー。 彼は 傘下のレストラン、DBビストロ・モダンのフォアグラ・バーガーで、ニューヨーカーの 高額バーガーのブームをクリエイトした存在。
その彼が 同プロジェクトのためにクリエイトしたのは、シャック・ビーフ・パティの上に、DBGBのメニューにあるバーベキュー・プルド・ポークを乗せて、 ハラペーニョ・マヨネーズ、ボストン・レタス、マスタード・ヴィネガーのコール・スローを挟んだもの。


6月10日(火曜日):デヴィッド・チャン / モモフク・シュリンプ・シャック


デヴィッド・チャンは、モモフク・コーで ミシュラン2つ星を獲得しているけれど、 彼が最初にオープンしたモモフク・ヌードル・バーが誕生したのは、シェイクシャックがオープンしたのと同じ2004年。
今では、これらのレストランに加えてモモフク・サム・バー、モモフク・ミルク・バーなど、 着実にモモフクのビジネスを拡大。
彼がクリエイトしたモモフク・シュリンプ・シャックは、その名の通りシャック・ビーフを用いたチーズ・バーガーの上に シュリンプ・バーガーを重ねて、ビブ・レタス、オニオン、キューカンバをレイヤー。 これにモモフク・ホゾン・ソースで味わいをつけたもの。


6月11日(水曜日):アンドリュー・ジマーマン / AZキャブリト・ベター・バーガー


トラベル・チャンネルのフード番組のホストであり、レストラン、カンティーンのオーナーである アンドリュー・ジマーマンは、今回のプロジェクトの中で、唯一ミシュラン・スターが無いシェフ。
ミニマリストで知られる彼だけに、そのバーガーも至ってシンプルで、ゴート・チーズ(ヤギのミルクのチーズ)のハンバーガーに、 ローストしたトマトとオニオンをはさんで、スウィート・ピックルスを添えたもの。


6月12日(木曜日):ダニエル・ハム / ハム・バーガー


ダニエル・ハムは、ミシュラン3つ星、NYタイムズで4つ星を獲得しているイレブン・マディソン・パークのセレブ・シェフであり、 それ以外にもーマッド・ホテル内のレストラン、ノーマッドを経営。
イレブン・マディソン・パークは、かつてシェイク・シャックを経営するユニオン・スクエア・ホスピタル・グループの傘下にあったレストラン。 でも彼と、ジェネラル・マネージャーであるウィル・グイダラが、ユニオン・スクエア・ホスピタル・グループから 同レストランを買い取っており、ダニエル・ハムにとって ダニー・メイヤーは元ボスという存在。
そのダニー・メイヤーがイレブン・マディソン・パークを手放す決心をするきっかけになったのがシェイク・シャック。 というのも彼がシェイク・シャックを経営して悟ったのが、イレブン・マディソン・パークのような高額グルメ・レストランを経営するよりも、 バーガー・ジョイントを経営する方が遥かに利益が上がるという事実。そのため、 シェイク・シャックのビジネスに力を注ごうとしていたダニー・メイヤーにとって、 同レストランを売却してしまった方が 遥かにビジネスの見地から効率的であったという。
今や、ダニエル・ハムはニューヨークで最もプレステージが高いシェフで、 イレブン・マディソン・パークで食事をする場合、ドリンク、チップ、タックス込みで1人400ドル前後は覚悟。 キャンセルすれば、1人当たり70ドルがチャージされるという厳しさ。
そのダニエル・ハムがシェイク・シャックのために手がけた”ハム・バーガー”は、 シャック・ビーフ・ブレンドのパティに、グリエ・チーズを乗せたチーズ・バーガーに、 アップルウッド・スモーク・ベーコン、セロリのレリッシュ、ビブ・レタス、トリュフ・マヨネーズ、 そして削ったブラック・トリュフのスライスが挟まった超グルメ・バーガー。


6月13日(金曜日):エイプリル・ブルームフィールド / ザ・ブレスリン・バーガー


スポッテッド・ピッグ、ブレスリンで、それぞれミシュラン1つ星を獲得している一方で、 シーフード・ジョイントのジョン・ドーリー等、オールド・ファッションなイングリッシュ・パブ・フードを トレンディかつ美味にアレンジして定評があるエイプリル・ブルームフィールド。昨今ではサルベーション・タコという メキシカン・レストランも手がけている存在。
私がこのコラムを書いている木曜の段階では、唯一売り出されていないのが彼女のバーガーだけれど、 個人的には見た目に最も食欲をそそられるのがこのバーガー。
ブレスリン・ビーフ・ブレンドのバーガーに、アップルウッド・スモーク・ベーコンをふんだんに乗せて、 ティックラー・チェダー・チーズをメルトさせたバーガーは、見るからに高カロリー。 でもエイプリル・ブルームフィールドは、ブレスリンでもラム・バーガーが人気メニューになっているだけに、 味はお墨付き。






今週は連日、午前中が雨、もしくは霧雨が降っていたけれど、 そんな中、火曜日に シェイク・シャック行列の史上最長記録を打ち立てたのが、 デヴィッド・チャンのモモフク・シュリンプ・バーガー。
でもその記録をあっさり破ったのが、木曜に発売されたダニエル・ハムのバーガー。 何とその行列(写真上右)は、マディソン・スクエア・パークを出て、マディソン・アベニューまで伸びただけでなく、パークの外側を半周する とんでもない長さ。
ダニエル・ハムは、同プロジェクト参加シェフの中で、唯一比較的安価なカジュアル・レストランを出していないシェフ。 なので、彼の手がけたメニューが8ドル50セントで食べられるというのは、この機会を逃したらあり得ない状況。 しかも、ブラック・トリュフや、トリュフ・マヨネーズを使った彼のクリエーションは、材料費だけで販売価格、8ドル50セントを 超えていると言われるもの。
このプロジェクトは ダニエル・ハムにとって 古巣への恩返しの意味もあるせいか、 同バーガー売り出しと共に行われたのが シェイク・シャックからマディソン・アベニューを隔てて すぐの場所に位置する イレブン・マディソン・パークによるシャンパンのサーヴィング。 それもそのはずで6月12日、木曜がシェイク・シャックのオープンからぴったり10周年に当たるアニヴァーサリーになっていたのだった。



6月12日は 朝から ”ハム・バーガー”の売り出しで大行列になったマディソン・スクエア・パークであるけれど、 この日のパーク内で、一日中行われていたのが、ライブ・ミュージックのパフォーマンス。 そして、夜の目玉として 午後6時45分に登場したのが、 クロナッツでお馴染みのドミニク・アンセル・ベーカリーが シェイク・シャックのためにクリエイトしたバースデー・ケーキ。
高さ2メートル40cmもある巨大なケーキは、3つのフレーバーのケーキのコンプレックスになっていて、 このケーキ目当てに パーク内に行列していた人々に無料で配布されたもの。
以前シェイク・シャックとジョイントで、チャリティのためのスペシャル・バージョンのクロナッツを売り出したことがある ドミニク・アンセル・ベーカリーであるけれど、 このバースデー・ケーキのサービングのために、ドミニク・アンセル本人(写真上左の左側の男性)も、ダニー・メイヤーと一緒に マディソン・スクエア・パークのステージに登場。 明日のフィナーレを待たずして、大きな盛り上がりとサクセスを見せていたのだった。

同イベントの盛り上がりの背景には、シェイク・シャックの長寿人気と共に、 ソーシャル・メディアのパワーもあるけれど、 実際のところ、今週はパーク内で行列していた人々のツイートの数だけでも かなりのもの。
その一方で、同イベントに協力したシェフたちは、いずれも そのレストランが 予約がなかなか入らないほどの大人気なので、 今さらパブリシティなど必要ない存在。 にも関わらず、シェイク・シャックのためにメニューをデベロップして、売り出し当日には イベントに姿を見せるというサポートぶり。
したがって、同イベントのサクセスは、業界内の硬い絆による部分も非常に大きいと言えるのだった。




執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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