June Week 3, 2013
” Pain de Campagne & Torus ”
”パン・ドゥ・カンパーニュ & トーラス ”



私にとって、昨今のお気に入りレストランの1つになっているのが、CUBE New York の記事でもご紹介した ラファイエット (写真下左側)。
ここは、ロカンタヴェルデのサクセスで一躍名を上げたシェフ、アンドリュー・カメリー二がノーホーのラファイエット・ストリート沿いにオープンした フレンチ・ブラッセリーで、170席もある大きなレストランでありながら、現在は 全くディナーの予約が取れない大人気ぶり。
朝7時半から 深夜まで 週7日、 休み無しに営業している同店は、 ホットなレストランであるだけに セレブリティが頻繁にやって来ることでも知られていて、私が出掛けたうちの1回は、 ロックバンド、フーファイターズのデイヴ・グロールが直ぐ傍のテーブルに子供連れで座っていた他、 ナオミ・ワッツ&リーヴ・シュナイダー夫妻、デザイナーのダイアン・フォン・ファーステンバーグ、グウィネス・パルトロー(写真下、右)等、様々なセレブリティが同店を訪れていることがレポートされているのだった。




ラファイエットは 超グルメのレストランという訳ではなく、オーダーしたものが普通に美味しいというレストラン。
料理に集中して 味わうようなシリアスなレストランや、目玉料理を短時間で味わって直ぐに立ち去るB級グルメ店とは異なり、 食事というアクティビティを楽しむためのレストラン。 カジュアルでリラックスした雰囲気の中で、友達との会話やマンウォッチングを料理と共にエンジョイする類の レストランなので、その意味では 料理のクォリティと店のコンセプトが非常にマッチしているというのが私の肯定的な意見なのだった。

ところで、私がフレンチ・ブラッセリーやビストロに出かけると 無性にオーダーしたくなるのがチーズ・プレート。
基本的に、私は 「美味しいパン、チーズ、ワインがあれば幸せ!」 というタイプであるけれど、 イタリアン・レストランだと デザートの替わりにチーズ・プレートをオーダーするのが多いのに対して、 フレンチ・ブラッセリーでは、アペタイザーの替わりにチーズ・プレートをオーダーして パンとワインと一緒に味わうのを好んでいるのだった。

ラファイエットのチーズ・プレートは、5種類のチーズの中から 3種類、もしくは5種類全てを味わうかのチョイス。
バラエティは少ないものの、美味しいチーズが揃っていて 中でも私が気に入って、 思わずグーグルして探してしまったのが、ここにご紹介する ”Torus / トーラス (写真下)”。




トーラスは 写真で見て分かる通り、ドーナツのように中央に穴が開いたゴート(ヤギのミルク)・チーズ。 「牛のミルクのチーズよりもヘルシー」ということで、昨今 ゴート・チーズに凝っていた私は 一口味わってファンになってしまったのだった。
調べたところ、このチーズは私が頻繁にチーズを買いに出かける マレー・チーズのためにエクスクルーシヴに 作られているチーズで、中央がくり抜かれているのは チーズの表面積を増やすことによって、同チーズの醍醐味である ラインド(皮)の部分を増やして、チーズをより味わい深くするため。
実際 私がトーラスを気に入った理由も、 そのラインドと内側のペースト部分のフレッシュさのコントラストで、 ユニークな美味しさのゴートチーズなのだった。 このチーズを作っているのは ヴァーモント・バター・アンド・チーズ・クレマリー。 何となく聞き覚えがあると思っていたところ、奇しくもこれは 私が昨今 好んで買っていた ゴート・チーズのブランドで、レビューによれば 同ブランドのバターも非常に美味しいとのことなのだった。

アメリカ産チーズと言うと、チェダーくらいしか思いつかない人が多いけれど、 アメリカ産でも 非常に優秀なチーズは沢山あって、このトーラスはまさにその1つ。
トーラスは、ドーナツ型1個のお値段が 10ドル99セント。 したがって ラファイエットで チーズ3種類の盛り合わせを12ドルでオーダーするより、マレーチーズで購入した方が 遥かに割安と言えるのだった。




ところで、ラファイエットのアトラクションの1つになっているのが、同店入り口付近に設置されたベーカリー・セクション。 私は話題の新しいベーカリーは 必ず出掛けることにしているので、既に何種類も同店のベイクド・グッズを トライしているけれど、個人的に 合格点を与えているのが同ベーカリー。
当然のことながら、同ベーカリーのパンは レストランでもサーブされていて、 チーズ・プレートをオーダーすると、添えられてくるのがパン・オー・ノア(くるみのパン)。 でも、それよりもチーズにマッチしていたのが パン・ドゥ・カンパーニュ。
パン・ドゥ・カンパーニュは、ラファイエットのブレッド・バスケットでサーブされているので、 同店を訪れれば ノー・チャージで味わえるけれど、 日頃パン・ドゥ・カンパーニュに全く興味が無い私が、喜んで食べていたのがこのパン。 周囲がカリカリで、内側がモッチリしたテクスチャーのパンは、 バターやチーズをつけて ワインと味わうのに最適な味わいなのだった。

パン・ドゥ・カンパーニュをベーカリーで ローフで購入すると、お値段は8ドル50セント。 中に空気の穴が沢山開いているとは言え、パン好きな私でも食べきれない巨大なサイズ。
でもスライスしてから冷凍して、食べる前にトーストすれば 変わらぬ美味しさで味わえるので、ローフで購入しても 無駄にはならないのだった。
パン・ドゥ・カンパーニュは、厚めにスライスするのが美味しく味わうコツで、 同店のものは 空気穴が幾つも空いているので、サンドウィッチには不向き。

この他、同店でお薦めと言えるのはブリオッシュのローフで、お値段は8ドル。 フカフカしたトラディショナルな ブリオッシュは、トーストしてバターを塗っただけが 最高に美味しいコンディション。 パン・ドゥ・カンパーニュと並んで、パンのシンプルな美味しさが満喫できるのがブリオッシュ・ローフなのだった。




ところで ニューヨークの大型サイズのフレンチ・ブラッセリーと言えば、ラファイエットから数ブロックの位置に バルタザール(写真上)があるけれど、 ふと考えると 私がニューヨークのレストランで最も出掛けた回数が多いのがバルタザール。
90年代半ばにオープンし、今も人気が衰えない長寿レストランなので、 長くニューヨークに住むうちに、何度も出かけてしまうのは当然と言えば当然であるけれど、 私がバルタザールが好むのは、ニューヨークに居ながらにしてパリの雰囲気が味わえることに加えて、 パンが美味しいレストランであるため。 実際、バルタザールに併設されているベーカリーは、私がニューヨークで最も好きなベーカリーの1つなのだった。

先日、久々に同店にディナーに出かけて チーズ・プレートをオーダーしてみたけれど、 チーズのセレクションについては ラファイエットの方がベター。でもインテリアや雰囲気は、やはりバルタザールの方が遥かに洗練されているのだった。
メニューについては バルタザールは純然たるフレンチ・ブラッセリー、ラファイエットはイタリアン、アメリカン、地中海料理がミックスした フレンチで、どちらを好むかは 人によりけりだと思うのだった。

2つのレストランに共通して言えるのは、ピーク・タイムのレストラン内の煩さ。 私はニューヨークのホットなレストランの、BGMが全く聞こえないような喧騒が嫌いではないけれど、 そこで大声で喋っていると、喉が渇くだけでなく、翌日声の出が悪くなることさえあるのだった。

ニューヨークでは、このところ新しいレストランが話題を集めながらオープンしても、 そのオープン時のハイプ(大騒ぎ)が3ヶ月以上続かないケースが多く、 最後にハイプが長続きしたレストランと言われるのは、バルタザールを経営するレストランター、キース・マクナリーが 2009年にオープンしたミネッタ・タヴァーンと言われているのだった。
果たして、ラファイエットの人気が何処まで続くかは定かではないけれど、 ニューヨーカーは、そもそも料理を味わうだけでなく、客層や雰囲気が楽しめるレストランを好むもの。 キース・マクナリーのレストランが、いずれも長寿レストランとなっている理由も、 総合的にニューヨーカーを惹き付ける要素を備えているため。
そう考えると、ラファイエットにもニューヨークで生き残っていけるチャンスは 十分あるように思えるのだった





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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