July Week 2, 2012
” Gramercy Terrace ”
” グラマーシー・テラス ”



グラマシー・パーク・ホテルといえば、レキシントン・アベニューの最南端の突き当たりにある グラマシー・パークの目の前にあるホテル。 歴史が長いこのホテルが、現在のボヘミアン・シックなスタイルに改装し、リオープンしたのは2006年のことで、 当時は、アーティストとして知られるジュリアン・シュナベルが インテリアを手掛けたことで話題になっていたのだった。
同ホテルは当初、1階のバーとラウンジがニューヨーカーの間で人気になっていたけれど、このスポットは、今も午後10時を過ぎると、 ゲストリストに載っている人々とホテルの宿泊客のみが利用できるスペース。 それと同時に、同ホテルのルーフトップ、グラマシー・テラスも 宿泊客とメンバーしか利用できないことで知られてきたのだった。

ところが、実際には知られていなかっただけで、グラマシー・テラスはイベントさえ入っていなければ、 宿泊客やメンバーで無い人でも朝食、ランチ、ブランチが楽しめるようになっていたのが、ここ2〜3年。 しかしながら 同ホテルのウェブサイトでは、ずっと宿泊客とメンバー・オンリーのポリシーを謳って来たため、 知る人ぞ知るランチ&ブランチ・スポットになっていたのが、グラマシー・テラスなのだった、
でもホテル側が同テラスでの、朝食、ランチ、ブランチのビジネスを盛り上げるために、マイナー・リノベーションを行い、 一般の人々の受け入れを大きくアピールして、リオープンを果たしたのは5月19日のこと。 以来、グラマシー・テラスは 週末のブランチが大人気を博しているのだった。

リオープン後のグラマシー・テラスは、CUBE New Yorkのダイニングの記事で取り上げた、NoMad / ノーマッドのルーフトップ と並んで、この夏の話題のルーフトップになっているけれど、 その理由は、これまでラウンジやバーが主流だったルーフトップの中にあって、この2スポットがハイレベルなレストランとして 登場してきたため。
でも、ノーマッドのルーフトップがディナーのみオープンしているのに対して、グラマシー・テラスは、前述のように朝食、ランチ、週末のブランチのみが一般客に対して オープンで、ディナーやカクテル・タイムは、今もメンバーとホテルの宿泊客のみの利用に限られているのだった。




ノーマッドのルーフトップとグラマシー・テラスのもう1つの大きな違いは、ノーマッドは屋根の施設が無いので、雨天の場合は休業となるけれど、 グラマシー・テラスはルーフがあるので、雨天でも平常通りの営業になること。
このルーフは、ウィンドウのガラス窓と共に、雨天、もしくは雨が見込まれる日のみに使用され、晴天の日は取り外されて、オープンな空間になるというもの。 したがって、晴れた日はとても開放的な屋外空間となる一方で、 雨の日は スモーク・グラスのルーフで覆われるので、まるでグリーン・ハウスの中で食事をするような気分。 もちろん せっかく同店を訪れるならば、晴天に越したことは無いけれど、 雨の日でも、予定を変更せずにランチやブランチが楽しめるというのは、悪くないことなのだった。

私は心掛けが悪かったのか、残念ながらグラマシー・テラスを訪れた日は、朝から曇りで、 ランチの最中からは強風の大雨。
その大雨がスモーク・グラスのルーフに当たる バチバチした音に加えて、強風がうなる音を聞きながらのランチで、 窓を背に座った私の背後では、窓とルーフの間からほんの少量ながら雨のしずくが入ってくるような状態。
なので、私は取り外し可能のルーフとウィンドウの恩恵を受けられなかっただけでなく、 その問題点と言える 雨のしずく が自分に跳ねるのを時々感じながらのランチになってしまい、 「これが晴れの日だったら、どんなに良いだろう・・・」と想像を膨らませていたのだった。





グラマシー・テラスのフードを担当しているのは、グラマシー・タヴァーンやユニオン・スクエア・カフェで知られる レストランター、ダニー・メイヤー率いるホスピタリティ・グループ。
ホスピタリティ・グループは、グラマシー・ホテルの1階にマイアリーノというイタリアン・レストランを経営しているけれど、 グラマシー・ホテルが改装リオープンした際に、一番最初に1階のレストラン・スペースにオープンしたのは、 日本人シェフ、脇屋友詞氏を迎えた「Wakiya / ワキヤ」というネーミングのチャイニーズ・レストラン。 しかし、同店はオープン直後から経営不振が伝えられ、やがてクローズ。
その後、ホテル側が確実に利益が上がる選択として 白羽の矢を立てたのが、 ニューヨークの長寿人気レストランを数多く経営するホスピタリティ・グループで、 マイアリーノはオープン以来、安定した人気を誇っているのだった。

それだけに、ホスピタリティ・グループが、リオープン後のグラマシー・テラスのフードを担当することになったのはごく自然の成り行き。
マイアリーノの料理がイタリアンなのに対して、グラマシー・テラスのメニューは、完璧なクラシック・アメリカン・キュジーヌになっていて、 ロブスター・ロール、フライド・オイスター、ハウス・メイドのビスケットに挟んだソーセージ・パティ、フルーツ・ソースとホイップ・バターを添えたパンケーキなど、 至ってシンプルなメニュー。バラエティは少ないものの、 誰もが、朝食、ランチ&ブランチに食べたくなるアメリカン・クラシックのコンフォート・フードが並んでいるのだった。
グラマシー・テラスでシェフを担当するジェフ・シーザーは、ホスピタリティ・グループの傘下レストランでの経験が豊富とあって、 上質な食材で、シンプルで 美味しいフードを スタイリッシュにクリエイトするのを得意とする人物。
なので、グラマシー・テラスというスペースに興味があって出掛けた人でも、 フードでガッカリすることなく、食事が楽しめるのも魅力になっているのだった。

お値段は、サラダやサンドウィッチが14〜16ドルと一般的なブランチ価格で、デザートが12ドル。 私は、サラダとソフトシェル・クラブを挟んだバーガーに加えて、ホワイト・ワイン1杯をオーダーして、デザートを友人とシェアしながら、 ラヴェンダー&ミント・ティーを2杯飲んで、チップ&タックスを含めて1人70ドルの支払い。 終わってみると通常のランチ&ブランチよりは若干高いけれど、 それでも、オーダーしたものが それぞれに美味しかったのと、 テラスの雰囲気はニューヨークに他に無いタイプなので、とても満足できたのだった。




ところで、以前からグラマシー・テラスを訪れていた人にとっては、今回の改装で 以前と何処が変わったか?と尋ねられても、 インテリアがグリーン系になって、観葉植物が増えたこと くらいしか気が付かないケースは多いけもの。
でも、 以前は もっぱらラウンジとして経営していたので、置かれていたガーデン・ファニチャーは テーブルの高さが低く、椅子もベンチ&ソファー、スツールが多かったけれど、改装後は レストランとしてシリアスに経営する姿勢を反映して、同じガーデン・ファニチャーでもダイニング用のテーブル&チェアが設置されて、 それを以前より空間を詰めてセットすることによって、明らかにキャパシティを増やしているのだった。 (写真上、左は以前のインテリアのグラマシー・テラス。右側は改装後の現在。)

グラマシー・テラスは平日のブレックファストやランチであれば、少なくとも現時点では、予約無しでも ウォークインで待たずに食事が出来る状況。 なので、平日であれば 当日の天候をチェックしてから出かけて、 ルーフがオープンになった開放的な雰囲気の中で、ブレックファストやランチを味わうことが可能。
1つ難を言えば、グラマシー・テラスでは ウェイトレスが頻繁にやって来ては、まだ食べている最中のお皿を下げようとするので、 ゆっくり食事をする人にとっては、それがちょっと煩わしく感じられるかもしれません。

Gramercy Terrace
2 Lexington Ave. (at 21st St.)
Tel: 212-201-2171
gramercyparkhotel.com






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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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