July Week 4, 2012
” J.CREW Collection ”
” J.クルー・コレクション ”



今週、突然J.クルーのカタログがメールボックスに入っていたので、思わず見入ってしまったけれど、 J.クルーは、クリエイティブ・ディレクターにジェナ・ライオンが就任してから、 非常にスタイリッシュに変貌したブランド。
特に、この2012年秋シーズンのファッション・ウィークのプレゼンテーションは、「ジェナ・ライオンが、どんな スタイルとプレゼンテーションを見せるか?」と、 興味津々のプレスやファッション関係者が大挙して訪れたために、 会場が手狭だったことさえ指摘されているほど。

ジェナ・ライオンといえば、プレッピー&エクレクティックな ミックス&マッチ、レイヤー・コーディネートの絶妙さで知られており、 セックス・アピールは さほど感じられないものの、スタイリッシュさと コーディネートの意外性では、 どんなスタイリストも彼女の右には出られないと言われる存在なのだった。




写真上は、その彼女のスナップであるけれど、左は セリーヌのパンツ、マノーロ・ブラーニックのBBパンプスをJ.クルーのデニム・ジャケット&コートとレイヤーしたもの。
中央は ジェナ・ライオンのシグニチャー素材と言える、シークィンを用いた ルース・シルエットのパンツと、ボーダーのニット・トップというスタイル。 これらはどちらもJ.クルーの製品。 でも それを個性的なデザイナーズ・シューズと合わせて、カジュアルかつエレガントなアウトフィットに変えてしまうのが彼女で、 長身でスリムなモデル体型も手伝って、常にウルトラ・スタイリッシュに装っているのが彼女なのだった。

そのジェナ・ライオンが、2012年秋シーズンのファッション・ウィークのプレゼンテーションで着用していたのがJ.クルー・コレクション (写真上右側)。
J.クルー・コレクションが、通常のラインとどう違うかと言えば、アイテムこそは同ブランドのシグニチャー・シルエットであっても、 高額素材や、手縫いのディテールが用いられ、リミテッド・エディションでクリエイトされているのがコレクション。 したがって、デザイナー・ラベル並みの 素材とディテールへのこだわりが感じられるもので、 J.クルー では「Rare. Special. And Entirely Worth It」(レアで特別、しかも価値に値する)というフレーズで、コレクション・ラインを表現しているのだった。





私は、ジェナ・ライオンが着用していたシルクにモノトーンのフラワー・フォト・プリントを施したパンツをとても気に入って、「これだったら久々にJ.クルーでショッピングをしても良いかな」 と思っていたけれど、驚いたのはそのお値段。
同プリントのアイテムは、パンツ、スカート、プルオーバーで展開されているけれど、パンツとスカートが595ドル、 プルオーバーが695ドルと、 一流とは言わなくても、ちょっとしたデザイナー・ブランドの価格になっていて、「何時の間に、J.クルーは こんな高額ブランドになってしまったんだろう?」と 思ってしまったのだった。
J.クルー・コレクションの中で、現時点で最も高額なアイテムは、レオパード・プリントを施したカーフ・レザーのジャケット(このページの一番下の写真で、 モデルがピーチ・カラーのシークィン・スカートと一緒に着用しているアイテム)で、1695ドル。次いで、シークィンを用いたスカートが約700ドル。 でも、それ以外のコレクション・ラインのアイテムは、トップが225〜350ドル程度、ドレスが300〜425ドル程度、スカートは225〜250ドル、 パンツは200ドル弱で、それほど非常識な価格ではないのだった。




私は、どうもプレッピーが似合うタイプではないので、J.クルーというブランドは購入した記憶が殆ど無いほどに 縁が無いブランド。
でもジェナ・ライオンの着こなしは、非常に参考になるので、過去数シーズンは彼女のスタイルをチェックして お手本にしてきたけれど、 昨今、ジェナ・ライオン自身がJ.クルー以外で着用しているのは、もっぱらセリーヌ。 バッグもセリーヌのボストンを持っているところを何度かスナップされているのだった。
でもジェナ・ライオンと私では、身長もボディ・タイプも顔の雰囲気も全く異なるので、彼女のスタイルをそのまま真似ようというのは土台無理な話。 加えて、私はパンツよりスカート派。
なので、一体彼女のスタイルの何が参考になるのか?と思われてしまうかもしれないけれど、 私がジェナ・ライオンのスタイルから最も学ぶ部分が多いのは、カラー・コーディネート。
例えば、上に紹介した彼女のファッション・スナップの一番右で、ジェナはブラック&ホワイトのフォトプリントのパンツに、ベージュのニット・トップを合わせて、 足元はグリーン・サテンにエナメル・ブラックのキャップ・トウがあしらわれたTストラップ・パンプスという出で立ちであるけれど、 多くの人々は、ブラック&ホワイトのプリント・パンツには、 ブラック もしくはホワイトのニット・トップを合わせて、ブラック・パンプスを履くと思われるのだった。 でも、こうしたカラー・コーディネートは無難である一方で、センスや遊び心、着用する人間の個性やパーソナリティが感じられない訳で、 ファッションというものを、社会生活における”武器”と考えるのであれば、 無難を脱して、主張を取り入れるべきだというのが私の考え。
その意味で、意外なカラーや素材を持って来て、絶妙のコーディネートを見せるジェナ・ライオンのスタイルは、 非常に参考になるもの。私は同じカラーで無難に纏めようとするコーディネートを見ると「エリザベス女王みたい」と 思ってしまうけれど、そういう推して知るべしのクイーン・エリザベス・タイプのカラー・コーディネートやスタイリングは、 もう21世紀には時代遅れだと思うのだった。





ところで、前述のようにスカート派の私にとってJ.クルーというブランドが難しいのは、J.クルーのスカートやドレスは 変なところにダーツが入ったり、ウエスト部分が 今時珍しい ギャザーになっていて、もったりしたボディに見えること。 なので、ヒップに厚みが足りないような直線的で長身の体型の女性には着こなしやすいラインであるけれど、 多くの女性にとっては体型をカバーしないどころか、太って見えるケースが多いシルエットになっているのだった。

さて、私が気に入ってしまったコレクション・ラインのフォト・プリントのアイテムを購入するかについては、 セールでディスカウントになったら考えるというのが正直なところ。
というのも、もし飽きてしまってリセール・ストアに持っていった場合、J.クルーだと、そのブランドの一般的な格付け上、 どんなに素材が良くても、高い値段で再販することが出来ないため。 加えて、同アイテムは何十回も着用してもとを取るには インパクトが強いアイテムなので、1シーズンに何回着用するか?を考えると 益々、購入しない可能性が高くなるのだった。

でも、H&Mやザラ、フォーエヴァー21のようなブランドが、一流デザイナーのコピーでシーズンのラインをクリエイトする中、 J.クルーは ファッション関係者も注目せずにはいられない、オリジナリティやコーディネートの意外性を打ち出している ユニークな存在。
なので買う、買わないは別として、この先もコレクション・ラインを含めたJ.クルーの動向は、チェックに値すると思うのだった。





FaviruteOfTheWeek FaviruteOfTheWeek FaviruteOfTheWeek

 


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

PAGE TOP