July Week 4, 2015
” Trainwreck & Amy Schumer ”
トレインレック & エイミー・シューマー


この夏、エンターテイメント界で ”It Girl” になっているのがエイミー・シューマー。
多くのクリティックが、こぞって 「今年は エイミー・シューマーの年!」と語っているけれど、 私は彼女の存在は 今年の春先くらいまで 全く知らずにいたのだった。

エイミー・シューマーは、今年34歳の女性コメディアンで、マンハッタン生まれのネイティブ・ニューヨーカー。 スタンドアップ・コメディ(日本語で言う漫談)の世界では、既に11年のキャリアを持つ若きベテラン。 その彼女がスターダムを徐々に上り始めたきっかけは、 ケーブル・チャンネル、コメディ・セントラルで放映されている「インサイド・エイミー・シューマー」が 人気と注目を集めたため。 同番組は7月初旬に3シーズン目が終了したけれど、その中で抜群に冴えたコメディ・スケッチを展開して、 毎週のように話題を醸していたのが彼女。
そしてアメリカで 先週末7月17日に封切られたのが、彼女が初の主演と脚本を担当した映画「トレインレック」なのだった。





エイミー・シューマーのコメディ・スタイルは、シングル・ライフのセックス・ライフにフォーカスを置いたもの。 そして映画「トレインレック」の中で、彼女が演じる同名のヒロイン、エイミーの台詞も、 彼女がスタンドアップ・コメディで展開するジョークと非常に似通っていて、 映画の中のエイミーは 結婚やモノガミーに興味を示さない フリー・セックス主義のコミットメント・フォビア。
ルックス的には、若かりしエイミー・アダムスや、ブリジット・ジョーンズを演じた時のレネー・ゼルウェガーを 彷彿とさせるけれど、キャラクターはそのブリジット・ジョーンズのちょっとスローで間が抜けたキャラクターとは正反対。 いかにもニューヨーカーという感じの早口と、憎めない身勝手さで、シニカルかつストレート、シャープで、自己中心的な 主張をウィットとユーモアを織り交ぜて展開するのがエイミーなのだった。

映画「トレインレック」は 何のギミックも無く、終始 台詞だけで笑わせる 質の高いコメディで、 エイミー・シューマーの手掛けた脚本は、とてもそれが初の映画とは思えない完成度。
日本語字幕で同作品を観た場合、果たして どの程度面白さが伝わるかは定かでないけれど、 笑わせるだけでなく、泣かせる部分の台詞や演出も見事で、上映時間 2時間6分が 最初から最期まで楽しめるのが 「トレインレック」なのだった。




エイミー・シューマーは、HBOのコメディ「ガールズ」の主演であり、脚本を手掛ける リナ・ダンハムと 頻繁に比較されるけれど、3年ほど前にはリナ・ダンハムも「ガールズ」の放映開始と同時に メディアからの注目を浴びた存在。 そして「ガールズ」も「トレインレック」も、プロデューサーを務めているのが、 コメディアン兼脚本家であるジャッド・アプトウ。 でも、その「ガールズ」は今年放映された4シーズン目で 大きく視聴率を落として、ネタ不足とマンネリ化が指摘される状況。
それだけに、今年春からのエイミー・シューマーに対する メディアと人々のメガ・ハイプぶりは、 ニューヨークをベースにしたシングル女性のコメディ・ヒロインが リナ・ダンハムから エイミー・シューマーに完全に移行したという印象を強烈に与えているのだった。

写真上のように、今年に入ってからというもの、エイミー・シューマーをカバーにフィーチャーした 雑誌は非常に多く、その雑誌のジャンルも、エンターテイメント誌、ファッション誌、男性誌など 多岐に渡っていることからも、現在の彼女のアメリカにおけるセンセーションぶりが感じられるというもの。
映画「トレインレック」は、公開第1週目週末の興行成績で、3000万ドル(36億円)以上を売り上げたけれど、 この数字は事前の予想を上回る健闘ぶり。これによって「コメディアン、エイミー・シューマーは、 ムービー・スターとしての集客力もあることも立証した」とハリウッド関係者は捉えているのだった。




ところで、映画「トレインレック」には、意外なセレブリティが何人も登場しているけれど、 あまりに日頃とルックスが違っていて、気付かなかったのがティルダ・スウィントン。 エイミーが勤める雑誌社のエディターとして登場する彼女は、日焼けしたグラマラスなブロンドで、 日頃の彼女のイメージとは見違える存在。(写真左、右側)
オスカー受賞者のティルダ・スウィントンは、以前からコメディを演じたかったというけれど、 彼女はそれ以上に、エイミー・シューマーと一緒に仕事をしてみたかったことも語っているのだった。

でも同作品で最も話題になっているキャストと言えば、NBAのスーパー・スター、クリーブランド・キャバリアーズの ルブロン・ジェームスが本人役で登場していること。 彼が演じるのは、エイミーが恋をするスポーツ・ドクターのセンシティブな親友。 これが彼の映画初出演であるけれど、多くの映画批評家が彼のコメディの才能に驚くと同時に、 高い評価を与えていて、そのルブロン・ジェームスは 90年代に マイケル・ジョーダンがワーナー・ブラザースのカートゥーン・キャラクターと共演したコメディ、 「スペースジャム」の続編、「スペースジャム2」への主演も決定しているのだった。

彼以外にも、往年のテニス・プレーヤー、クリス・エヴァートや、ダラス・カウボーイズのクォーターバック、トニー・ロモ、 マシュー・ブロデリックなどが、キャミオ出演している「トレインレック」。 これが実現した背景には、ジャッド・アプトウのハリウッドにおけるパワーがあるけれど、 昨今、ハリウッドでは ティナ・フェイやメリッサ・マッカーシーのように 女性コメディアンが 脇役ではなく、主演、そして脚本やプロデュースまでもを手がけて、ボックスオフィスで健闘する例が増えてきているのが実情。 リメイクが決定している80年代のコメディ、「ゴースト・バスターズ」にしても、「サタデー・ナイト・ライブ」の女性コメディアンを中心とした 全員女性キャスト。
したがって、ようやくコメディの世界でも ”男性至上主義” が徐々に崩れ始めているという印象なのだった。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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