July Week 5, 2011
” Ham, Cheese & Jam Crostini ”
” ハム・チーズ&ジャム・クロスティー二 ”




マリー・アントアネットが言ったとも、言っていないとも言われるのが ”Let Them Eat Cake! (パンが無いなら、ケーキを食べれば良いじゃない!) ” というセンテンス。
でも、ケーキは食べなくても平気だけれど、パンが無いと生きられない私としては、当時のフランス国民とは全く別の意味で、 このセンテンスに 「冗談じゃない!」という思いを抱いてしまうのだった。

そもそも、女性にとってダイエットの最大の敵は炭水化物。
人によっては、麺類だけはカットできないというケースもあれば、ご飯を食べないと落ち着かないというケースもあるけれど、 私は日本人にも関わらず、ご飯は何週間も食べずに居て平気な方。 過去3ヶ月を振り返っても、ご飯を夕食で食べたのはたった1度しかない上に、朝食にご飯は絶対にダメなタイプ。
昨今は、家で料理をする時は イタリアンに凝っているので、パスタを頻繁に食べるけれど、パスタとて 食べなければ、食べないで大丈夫。 でも朝食のベーグルや、ランチに食べるマルチ・グレイン・ブレッドなどは欠かせない存在で、パンが無いと 私の人生は 冗談抜きで真っ暗になってしまうのだった。

なので、私は多くのパン好き同様、美味しいパンのためなら遠くまで買いに行くのは厭わないし、 その美味しいパンをさらに美味しく食べるために、バター、ジャム、チーズといったものへの投資も惜しまないけれど、 主にヨーロピアンの友達が言うのが、 美味しいパンとチーズとワインさえあれば、もうそれで十分ということ。
そういう友達がホーム・パーティーなどをすると、フードは Crostini / クロスティーニ (イタリアのオープン・サンド、もしくはパンを用いたカナッペ、写真右) しか出なかったりするけれど、それがとんでもなく美味しい!というケースがよくあるのだった。


さて、私が今日 久々に出向いたのがサリヴァン・ストリート・ベーカリー。
同ベーカリーは オープン直後の90年代には、本当にソーホーのサリヴァン・ストリートにあって、ソーホーに出掛けるたびに しょっちゅう ここでパンを買っていたのだった。 私がサリヴァン・ベーカリーの存在を知ったのは、90年代初頭に NYで最もサクセスフルなイタリアン・シェフ、 マリオ・バターリがオープンした3ツ星レストラン、Babbo / バッボ で出されたパンがあまりに美味しくて、思わずウェイターに何処から仕入れているかを尋ねたところ、 サリヴァン・ストリート・ベーカリーだと教えてもらったのがきっかけ。
実際、サリヴァン・ストリート・ベーカリーは、100軒以上のマンハッタンのレストランにパンを卸していることでも知られているのだった。
そのサリヴァン・ストリート・ベーカリーは、数年前からマンハッタンのミッドタウンの西端に移ってしまって、そこは ちょっと不便なロケーション。 加えて、同店のパンはゼイバースやディーン&デルーカなどのグルメ・ストアでも購入できるので、店まで買いに行くことは殆どなくなってしまったけれど、 今日は丁度近くまで用事があったので、足を伸ばすことにしたのだった。




私にとって、同店の長年のお気に入りは、1つがピッツァ・ビアンカ (写真上、右)。これは名前の通りのピッツァというよりは、フラット・ブレッドで ローズマリーの風味と塩味が効いた、 シンプルな美味しさ。冷凍庫で保存して、オーブンで温め直すと、焼きたての味が戻ってくるのも魅力なのだった。
そして、もう1つがウォルナッツ(くるみ)とレーズンが入った トルッチオ・サンティ(写真上、左)で、こちらはシナモンとブラック・ペッパーを少量使うことによって、 ありがちなコンビネーションに 捻りを加えた味わいのもの。
どちらも、パンそのものが美味しいので、バターなどつけずに そのまま食べられてしまうけれど、 このトルッチオ・サンティで作ろうと思っていたのが、ここに紹介するハム・チーズ&ジャム・クロスティーニ。 私は、昨今このオープン・サンドに凝っていて、パンやチーズやジャムの種類を変えては、いろいろ楽しんでいるのだった。

チーズ・トレーをオーダーするとハチミツやジャムが一緒に出てくるので、チーズとジャムという組み合わせに驚かない人は多いし、 ハム&チーズはサンドウィッチの定番。でもジャムとハムというのは、日本人にはあまりピンと来ない組み合わせ。
でもアメリカでは、イースターなどのホリデイに巨大なハムの塊をオーブンで焼いて、表面にアプリコット・ジャムを塗って仕上るのは 珍しくないこと。また、エルヴィス・プレスリーが好んだサンドウィッチは、ベーコンとピーナッツバターにジャムという組み合わせだったし、 サンクス・ギヴィングで出されるターキーにクランベリーのソースやジェリーを添える家庭が多いことを思えば、 さほど驚くに値しない組み合わせなのだった。
もちろんジャムの種類によっては、全くこれに向かない場合もあるけれど、 マッチするものを選ぶと、ただのハム&チーズ・サンドウィッチより ずっとグルメ感覚が楽しめるのだった。





今回、パンは先述の ウォルナッツとレーズンが入ったトルッチオ・サンティ のスライスを使ったけれど、 私がこれまで試した中で、一番このクロスティーニに適していると思ったのは、ル・パン・コティディアンのマルチグレイン&レーズン・ブレッド。 基本的に、美味しいパンであれば レーズンやクランベリー、ナッツなどが入ったパンでも、グレイン入りのパンでも OK。
これを軽くトーストしてから、ジャムを塗るけれど、少し前まではマンハッタンのブランチ・スポットとして有名なサラベスの アプリコット・オレンジ・マーマレードを使っていたのだった。 でも今のお気に入りは、写真上のクリアブルック・ファームのカリフォルニア・アプリコット・プリザーブ。
グラス・ジャーで購入すると、約12ドルというのは フォートナム&メイソンのジャムに比べれば安いけれど、アメリカのスタンダードでは 高額なジャム。クリアブルック・ファームではUSDA(アメリカ農務省)のグレードAのフルーツのみを使用した、オールド・ファッションな製造を行なっていて、 コーン・シロップや着色料、保存料などは一切使っていないのに加えて、これでもか!で アプリコットの大きめの果肉が入っている のだった。
ハムとチーズには、アプリコットか イチジクのジャムが合うと思うけれど、 そうでない場合は、洋ナシをバター&シュガーでソテーして、表面をキャラル・コートしたものを使うのも 非常に美味なのだった。

今回、ジャムを塗ったパンの上に乗せたチーズは、フロマージュ・ダフィノア。
これはブリー・チーズに似ているけれど、ブリー・チーズが8週間掛けて生産されるのに対して、 フロマージュ・ダフィノアは2週間という短い時間で生産されるので、その分、臭みが無くて、フルーティー。 ハチミツのような後味がある非常にクリーミーなチーズ。 多くのストアで取り扱われている上に、チーズが苦手な人にも好んでもらえるので、 友達がディナーに来る時などには、よくこのチーズを出すのだった。
若いチーズなだけに、新鮮な時に食べたほうが断然美味しいけれど、 それを見分けるコツは、切り売りされているチーズの切断面の角がきちんと尖っているかをチェックすること。 切断面の角が丸くなっているもの、つぶれているものは、古いか、保存状態がそれほど良くない場合が多いので、 チーズに含まれていた空気が抜けてベッタリしたテクスチャーになってしまい、味も塩辛く感じるのだった。
ちなみにチーズは、クリーミーなものがなければ、ジャムを塗ったパンの上に乗せてトーストして溶かすのでもOK。 ジャムとハムの味わいのハーモニーを考慮して、クセが無いチーズを選べば失敗が無いのだった。

チーズの上に乗せるハムは、プロシュート・デ・パルマ。イタリアの最高級の生ハムだけれど、 これは、巨大な塊をスライスしたものの方が、小さめの塊からスライスするより遥かに美味しい上に、味がデリケート。
私は、個人的にはマンハッタンの中で一番美味しいプロシュート・デ・パルマを売っているのは ブロードウェイの80丁目にあるゼイバースだと思っていて、 そこで、極薄にスライスしてもらったプロシュートは、手にシルクの布が馴染むようなテクスチャー。
イタリア人の友達に教わったのは、プロシュートは舌の上に乗せた時に、自分の舌より柔らかいと感じなければならい ということだけれど、ビニールのパッケージに入って売られているようなプロシュートは、薄いのに硬くて、柔らかいドレープが寄らない テクスチャー。当然のことながら味も単調であるけれど、その割には安くなかったりするのだった。

このレシピは、アメリカの人気TVシェフ、ジアダ・デ・ローレンティスのものだけれど、 彼女は、プリンス・ウィリアムス夫妻が7月にカリフォルニアにやってきた際に、 英国王室から、ポロマッチの前のランチを依頼されたイタリアン・シェフ。
私はこのクロスティーニをランチにする場合もあれば、 ディナー・ブレッド兼デザートにする場合もあって、 簡単に出来る上に、材料さえ選んでいれば 絶対に美味しいものが食べられるので、昨今好んで食べているのだった。

私は以前からクロックムッシュが好物なので、そもそもハム&チーズのサンドウィッチが好きなのだと思うけれど、 かつて頻繁にランチにしていたのが、ハム、チーズ&アボカドのサンドウィッチにスパイシーなマスタードを塗って食べるというもの。
でもこのクロスティーニにはまってしまってからは、マスタードは全く使わなくなってしまい、断然ジャム派になってしまったのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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