Aug Week 2, 2012
” Harry Winston Belle ”
” ハリー・ウィンストン・ベル ”



アメリカにおけるジュエリー・トレンドは、毎年 オスカーでセレブリティがつけるジュエリーに影響されると言われてきたけれど、 そんなセレブの影響で、昨今リッチ・ピープルが好んで購入するようになってきているのがカラー・ダイヤモンド。
カナリー・ダイヤモンドは、かなり以前から人気が高かったけれど、昨今ニール・レーンではブラウン・ダイヤやシャンパン・カラーのダイヤが 人気とのことで、エクスクルーシヴな一流宝飾店ほど、ピンク、グレー、中には非常に珍しいレッドなど、 カラー・ダイヤモンドが人気を高めているのだった。
でも、同じデザインのリングでもカナリー・ダイヤをセットしただけでお値段が2倍になることから想像が付くとおり、 カラー・ダイヤモンドは希少価値も手伝って非常に高額。 なので、本当にリッチな人々しかつけられないステータスになっているのだった。

その一方で ここ2〜3年のジュエリー業界で、セレブ・ジュエリーとは無関係に盛り上がってきたのが 「マイクロ・パヴェ」のトレンド。
2週間前のニューヨーク・タイムズ紙のスタイル・セクションにも、エンゲージメント・リングの新しいトレンドとして 挙げられていたのがマイクロ・パヴェ。
パヴェは、小さな石をびっしりとセットする手法を指す言葉だけれど、昨今トレンドになっているのは、 メイン・ストーンは大きくても、リング本体が極細で、それにパヴェのように小さなダイヤがセットされているソリテアー・リング。
もちろんリングの部分と共に メイン・ストーンのセッティング全体がパヴェになっているスタイルが、 昨今 トレンドのマイクロ・パヴェなのだった。

マイクロ・パヴェは、ゴールドの使用量が少ない華奢なデザインが多いため、 ゴールドがとんでもなく値上がりしてしまった今では、これがトレンドになるのは ジュエリー・メーカーにとって有り難いと言えること。
今ではティファニー、カルティエ、デビアスといった大手のジュエリー・ブランドから、超一流のジュエリーのみを扱うレヴィーヴ、 グラフなどの高級宝飾店までが、マイクロ・パヴェのエンゲージメント・リングやカクテル・リングを製作しているのだった。




今回このコーナーで 御紹介するのはハリー・ウィンストンが手掛けているマイクロ・パヴェのリング、「ベル」。
ベルは2011年に登場したデザインで、写真上のように、ピアスとペンダントでも展開されているのだった。
センター・ストーンはブリリアント・カットであるけれど、それを囲むフレームは、8角形と四角形を重ねたようなシェイプで、 遠目に見ると、このフレームのせいでダイヤモンドがクッション・カットのように見えるスタイル。 よく見ると、フレームの東西南北の位置についている4本のプロング(爪)が、円形のダイヤモンドをサポートしており、 四角いフレームの内側の4つのコーナーは空間になっていて、石が浮いているようなユニークなセッティングになっているのだった。
私は 正直なところ、初めて見た時は あまりこのリングが好きではなかったけれど、 見慣れてきてから、その斬新なデザインやモダンさがだんだん好きになってきて、リングもさることながらペンダントも非常に魅力的だと思っているのだった。

ベルのリングについては、センターのブリリアント・カット・ストーンが2.03カラット、リングの部分やフレームにあしらわれているマイクロ・パヴェのダイヤを合わせて、 トータル 2.5カラットという ハリウィンにしては控えめなカラット数。 でも、マイクロ・パヴェのフレームのせいで、石のサイズが3カラットくらいに見える視覚効果を与えるのが このデザイン。
お値段はセンターにフィーチャーするダイヤが、ハリウィンで取り扱う 最低クォリティである VS2をセットする場合と、 ダイヤモンドの最高クォリティであるフローレス、すなわちFLをセットするのとでは、同じリングとは思えないほどに差が出るのは言うまでもないこと。 価格は正式なリクエストに応じて見積もりを出すというシステムが取られているけれど、 石はクォリティが高ければ高いほど よく光るので、その光と存在感のせいで、サイズが大きく見える傾向にあるのだった。

ところで、マイクロ・パヴェのジュエリーは、リングの部分が華奢すぎることもあって、リングと同じ太さのマイクロ・パヴェのエタニティ・リングをレイヤーにして 付けるケースが殆ど。エンゲージメント・リングでマイクロ・パヴェを選ぶ場合は、マイクロ・パヴェ・エタニティを ウエディング・バンド(結婚指輪)にするのが非常に一般的なのだった。
ハリウィンでリングをオーダー出来るだけのバジェットがある人々の間では、このマイクロ・パヴェ・エタニティを2本オーダーして、 ソリテアーを2つのエタニティ・リングで挟んで、よりゴージャスなレイヤーにしているとのこと。

実は私にとっては、ハリウィンと言えば クッション・カットのダイヤなので、このマイクロ・パヴェのクッション・カットのソリテアーとエタニティ・リングのレイヤーは憧れの的であるけれど、私は石のサイズが大きなリングが好きなので、特にカナリーでこれを実現させようとした場合、とんでもないお値段。 宝くじが当たったとしても、買うのに躊躇すると思うのだった。




でもジュエリーというのは、14K以上のゴールドを買っている分には、今のご時世で 投資にはならなくても、確実にお金に変わってくれるもの。 服やバッグ、シューズの再販価格はコンディションが良くても 購入価格の 60〜70%下がってしまうけれど、 ジュエリーに関しては、何回身につけたとしても、最低でもゴールドの価格で買い取ってもらえるわけで、私は特にリセッションに入ってからというもの、 ジュエリーに価値を見い出すようになっているのだった。

ところで、どうして私が 大きな石をフィーチャーしたジュエリーが好きかといえば、 大きくて目立つジュエリーをつけている方が、レストランやラウンジで良い待遇を受けるため。 ラウンジのホステスや、レストランのメートルディーは、常連以外は 客の身なりをチェックして座るテーブルを振り分けているけれど、 私の昨今の経験ではシューズよりパワーを発揮するのがジュエリー。
もちろんシューズも手は抜けないけれど、一度テーブルに座ったら、殆ど見えないのがシューズ。 加えて、シューズはどんなに高くてもパンプスで1200ドル程度がせいぜい。でも大きな石をあしらったジュエリーの場合、そのお値段がシューズの 10倍だったり、20倍だったりする訳で、それをホステスやメートルディーも心得ているのは明らかなのだった。

私の場合、大きな石はもっぱら自社製品のCJのものを愛用しているけれど、 よく女友達に訊かれるのは、「そんなに大きなジュエリーをつけていたら、男の人がビビッて寄ってこないんじゃない?」という質問。 これは、大きなジュエリーをつけた事が無い人間の素人考えというもので、私が4.5カラットのカナリー・シミュレーテッド・ダイヤモンドのリングをつけていて、 それをレストランやラウンジなどで男性に誉められた回数は数え切れないほど。実際のところ、女性より男性の方が、誉めてくれる回数が多いのだった。
少なくとも 欧米の男性に関しては、女性がジュエリーをつけている方が魅力的だと考えると同時に、男性がジュエリーそのものを好むケースが多い というのが私のこれまでの観察結果。 そもそも中世の王族、貴族は男性の方が大きなジュエリーをつけていたし、今もラッパーがまずサクセスの証として身につけるのが巨大なジュエリー。 普通の男性は、ジュエリーに走れない分、時計のコレクターになる場合もあるけれど、 年齢に関係なく 男性、特にファッションにこだわる男性は 概してジュエリーを好むもの。
とは言っても男性の場合、エンゲージメント・リングや高級ウォッチを購入するまでは、 そのジュエリーに果たしてどれだけの価値があるかを理解していない場合が多いのもまた事実なのだった。


ところで、CUBE New Yorkのキュービクル・ジュールズ(CJ)のセクションでも、かつてはソリテアー(エンゲージメント・リング)というと、圧倒的に 典型的なティファニー・スタイルの6本プロング(爪)のリングがベスト・セラーであったけれど、ここ2〜3年ほどで最も売れているのは、 マイクロ・パヴェのキャスケット・リング。
実は、以前キャスケット・リングをオーダーしてくださったお客様が、つい最近マイクロ・パヴェのエタニティ・リングを2つセットで特注してくださったので、 業者に作ってもらったところ、マイクロ・パヴェ・エタニティがあまりにいろいろなリングとレイヤーが出来るので、 私もお客様の真似をして、自分用にオーダーしてしまったのだった。

なので、ハリウィンのベルのようなマイクロ・パヴェのリングを購入した場合、マイクロ・パヴェ・エタニティを一緒に購入するのはマスト! 単独でもレイヤーでも、他の様々なジュエリーに合わせても、本当にいろいろに活用できるのがマイクロ・パヴェ・エタニティ。
その意味でも、リングはマイクロ・パヴェのような華奢でレイヤーが可能なデザインを購入して、気分やオケージョンで レイヤーのボリュームを替えるのが、 飽きが来ない上に、少ないリングのレパートリーで、多くのオケージョンがこなせるように思うのだった。

ちなみにマイクロ・パヴェ・エタニティ・リングは、もうすぐCJのセクションで取り扱いを開始する予定です。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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