Aug Week 3, 2012
” Fedora Hat ”
” フェドーラ・ハット ”



アメリカは、9月の第一月曜日のレイバー・デイまでが夏休みであり、サマー・シーズンと見なされる時期。
今年はそのレイバー・デイが9月3日と比較的早いことから、カレンダーの上では 夏はもうあと2週間程度。 それだけに デザイナー・ブティックやデパートは、 既に秋物一色になっているのだった。
かく言う私も、もう夏物を着るのに飽きてしまったので、既に秋物の物色を始めているけれど、 例年私について回るジンクスが、「シーズン最初に購入したアイテムは失敗する」というもの。
これはパンケーキやクレープが1枚目は必ず上手く焼けないのによく似ているけれど、 今、張り切って 秋物を買っても、 それが着られる季節になるのは3〜4週間後。 なので、その時期になると着そびれてしまう場合もあれば、それまでに秋物の好みが変わってしまうこともあって、 何故か役立たずのものを買ってしまうのがシーズン1枚目のアイテムなのだった。

もう過去に何シーズンも 無駄なものを買ってきたので、 今では、さすがの私も シーズン1枚目の購入に慎重になり始めたけれど、 その結果、過去2〜3シーズン続いているのが、買っては返品する という 時間の無駄以外の何物でもない状況。 今シーズンも 既に2回それをやって、やっと先週になってこの秋の1枚目の購入に至ったのだった。
ちなみに返品した理由というのは、既に自分のクローゼットの中に似たアイテムがあって、手持ちの服の方が 新しく購入したものよりずっとクォリティや縫製、カットが良かったため。しかも私の手持ちの服は、 デザイナー・アパレルの価格がこんなにアップする前に買っているもの。
昨今は 値段ばかりが高くて、 それでいてあまり魅力が無い、中途半端な服ばかりが市場に溢れているというのが私の意見で、 店頭で一目惚れして、購入するまで夜も眠れないようなアイテムに巡り会うことは 全くなくなってしまったのだった。

そこで服がつまらない分、今シーズンはアクセサリーに投資をしようというのが私の考えで、 その一環として購入を考えているのが今週ここに御紹介するフェドーラ・ハットなのだった。








世の中には、ルックスに関係なく帽子が似合う人というのが居るものだけれど、実は私は帽子を苦手としていて、 その理由の1つは、まず体温が高いので帽子を被っていると すぐに熱くなってきてしまうこと。 それもそのはずで、帽子を被るという行為によって、人間の体温は約3分の1度アップするとのことで、真冬のニューヨークでは 気温が下がる日は、天気予報でグローブと帽子の着用が呼びかけられるのが常。
私はその真冬でさえ、滅多に帽子を被らないので、人に驚かれることさえあるのだった。

さらにもう1つ、私が帽子を苦手としてきた理由は、髪の毛が猫ッ毛なので、被っていた帽子を脱いだ時のヘアスタイルが 最悪になってしまうこと。 マナー上では、シューズを履いている場所では 帽子を被っていて良いので、レストラン等では帽子を取る必要は無いけれど、 私はどうしても頭に何かが乗った状態で物を食べるのが嫌で、帽子を脱いだ時のバッド・ヘアを避けるためにも、帽子を被らずにきたのだった。

ところが、ランニングを始めてから日焼けを防ぐ目的も兼ねて、夏はサンバイザー、冬はベースボール・キャップを被るようになってからというもの、 だんだん帽子というものに慣れ始めて、昨年の真冬はラルフ・ローレンで買ったベレーを何度も被って外出したほど。 また、ここ2年ほどポニーテールをしたり、前髪を後ろで纏めることが多く、帽子の着脱で乱れないヘアスタイルをしていることもあって、 だんだんと帽子を被ることを厭わなくなってきたのだった。
それでも体温の高さは変わらないので、よほど薄着をしない限りは 秋は 帽子が被れないと思っているけれど、 そんな やっと帽子に慣れてきた私が、これから挑戦しようとしているのが前述の通りフェドーラ。

過去数年、フェドーラはトレンド・アイテムになっていて、その傾向は今シーズンも然り。 写真上はリサーチで見つけたフェドーラの数々であるけれど、カラーやブリム(帽子のつば)の幅などが様々で、 ブランドも ハットで有名なパトリシア・アンダーウッドから、グッチ、アン・ドゥメウルミースターなど、 様々なのだった。

今のところ、最も高額だったのが写真上、一番上の段、右側のアン・ドゥメウルミースターのレザーのフェドーラで、 お値段は1600ドル。
「顔の周りには、安物をつけてはいけない」のは鉄則とは言え、ここまで高額のフェドーラを購入する気はないけれど、 リサーチするうちに思ったのは、私のようなロングヘアだと、ワイド・ブリム、すなわち、つばの幅が広いものの方が 似合い傾向にあるということ。
加えて 帽子を被ると、どうしても頭の部分にボリュームがあるシルエットになるので、出来るだけ高めのヒールを履いた方が バランスが良いということなのだった。




フェドーラは、ストロー素材のものがこの夏も人気であったけれど、これは今や若い層を中心に男女を問わずに被っているもの。
夏のフェドーラを被るファッションは、男女ともジーンズにタンクトップやTシャツ、首にスカーフを巻くというスタイルを頻繁に見かけるけれど、 秋冬シーズンになって、ウールのフェルト素材のリッチなカラーのフェドーラになってくると、 マスキュランなシルエットのパンツ・スーツから、マキシ・ドレス、今シーズンの目玉アイテムであるスリムなレザー・パンツなど、 様々なスタイルにコーディネートし易くなってくるのだった。

写真上は全て、パトリシア・アンダーウッドのフェドーラを被ったJ・クルーのアウトフィットであるけれど、 さり気なく 様々なスタイルにコーディネートしているのが見て取れるもの。 ちなみに、写真上で被っているフェドーラは、3週間前のこのコーナーで御紹介したJ・クルー・コレクションのために パトリシア・アンダーウッドが製作したものなので、J・クルーとは言え、お値段は課税前で335ドル。
私のリサーチでも、見るからに素材が良いという印象のフェドーラは、270〜350ドルの価格帯までいかないと手に入らないのだった。

人によってはフェドーラのようなつばのある帽子を被るとメークで手を抜けると考えるようだけれど、私の意見は反対で、 帽子を被る時ほどきちんと、メークをするべきだと思うのだった。
というのは、フェドーラのようなハットを被っていると目立つので、人に見られる機会が多いというのが1つ。 さらに、ハットで顔の一部が隠れている場合、見えている部分に より関心を注いでしまうのが人間心理。 加えて、秋冬のフェドーラのようにリッチなダークなカラーやリッチなカラーが顔の傍に来る場合、 メークをちゃんとしているとしていないでは、顔映りが大きく異なるのだった。


ところで私の女友達の親友は、フェドーラを被っている姿を婚約者に見初められたそうで、 その婚約者曰く、「フェドーラを見た瞬間から、彼女が他の女性とは違う、個性的で興味深い魅力の持ち主だと確信した」とのこと。
その一方で 私の別の女友達は、高校学生時代からジャスティン・ティンバーレイク(写真左)の大ファンで、ある時 クラブで、 フェドーラを被った姿がジャスティンにそっくりな男性と出会って大喜びしていたのだった。
でもその興奮も束の間、彼が帽子を取ったら、ジャスティンとは似ても似つかない 老けたキューピーのような顔だったそうで、 2度目のデートで会うのを止めてしまったのだった。
どちらの例もフェドーラを被った第一印象で勝利している訳だけれど、やはりその先は本人の魅力が大切だということになるようなのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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