Aug Week 4, 2012
” Murray’s Cheese Bar ”
” マレー・チーズ・バー ”



少し前に、友人と話していた際に尋ねられたのが 「食事はせずに、チーズとワインだけを楽しむなら、何処へ行く?」という質問。 この時、私は散々考えた挙句、 「自分の家」と答えてしまったけれど、 私は チーズとワインは、まず切らしたことがないので、自分好みのワインとチーズを味わうならば、 わざわざそのために何処かに出かけようという気にはならないのだった。

私がマンハッタンのチーズ・ショップで一番高く評価しているのはアッパー・ウエストサイドのゼイバースのチーズ・セクションで、 ここは種類が豊富な上に、回転が早いので、常に新鮮なチーズが手に入るのだった。チーズは鮮度が良いと、 持ちも非常に良くなるので、回転の早い店でチーズを買うことは、非常に大切なこと。
加えてゼイバースは、プロシュートやサラミなどチーズと一緒に味わいたくなるものがハイクォリティで手に入るけれど、 ハムやサラミのセクションも回転が良いので、他店と同じ価格、もしくはそれ以下で、ずっと良いものが買えるのだった。

でも週に2回はチーズを買っている私にとって、ゼイバースは 頻繁に出かけるにはあまりに不便なロケーション。 そこで、私が日ごろチーズを調達しているのがマレー・チーズ。
マレー・チーズは、ウエスト・ヴィレッジにある老舗チーズ・ショップだけれど、グランド・セントラル・ステーションのショッピング・アーケードの中にもショップを出していて、 ここは私にとって非常に便利なロケーション。 なので、パルミジャーノ・レッジャーノや、モッツァレラ・チーズなど、消費が激しいチーズを調達するのがマレー・チーズなのだった。




そのマレー・チーズが、新たにウエスト・ヴィレッジの本店の直ぐ近くにオープンしたのが ここに御紹介するマレー・チーズ・バー。
同店は7月末にオープンしたてであるけれど、既に人気店になっていて、気軽に立ち寄れるスポット。
チーズ・バーと言っても、コンセプトは完璧にワイン・バーと一緒。 それをあえてチーズ・バーとネーミングするだけあって、 サラダから デザートに至るまで、メニューに載っているアイテムには、全てチーズが使われているのだった。

インテリアは、極めてシンプルでカジュアル。もっとはっきり言えば、あまりお金が掛っていないけれど、 ホワイトと木目が基調の細長い店内は、マレー・チーズのブランド・カラーである真っ赤なチェアがアクセント。
壁には、天井から吊ってあるランプの高さに、 ミラーが一直線にあしらわれているけれど、 これは照明の明るさを2倍にする効果と、細長いスペースに 若干の幅の奥行きを出す役割を果たしているのだった。

私の個人的な意見では、同店はカウンターに座る方が正解。
というのも、スタッフがチーズをカットする様子が眺められるのが楽しいのに加えて、 ワインや料理を追加オーダーする際に、スタッフが目の前に居てくれるのは とても便利なのだった。




同店の名物になっていると同時に、誰もがオーダーするのが、”チーズ・モンガーズ・チョイス”というネーミングの チーズの盛り合わせ。これはサラミやプロシュートなどのミート(シャクトリー)とミックスすることも出来て、 チーズ、ミート共に 3種類の盛り合わせで 12ドル。5種類で18ドル。
一番人気は ファイブ・ミックスト・チーズ&ミートで、これはその名の通り、ミートとチーズを合わせて5種類盛り付けたもの。 お値段は20ドルになっているのだった。

チーズは、メニューに5種類のカテゴリーが並んでいて、トータル40種類を超える 豊富なセレクションから選ぶことが出来るけれど、 好みを伝えれば、適切なチーズを選んでもらえるので、チーズの知識が無くてもオーダーに 困ることは無いのだった。
私の場合、これをオーダーする問題は、マレー・チーズで日ごろから買い物をし過ぎているために、 思わず原価計算をしてしまって、同じものをレストランで味わう割高さを実感してしまうこと。 加えて、メニューに並んでいるチーズやミートは、ランダムに盛り合わせても、お値段が均一になる価格帯でピックアップされているため、 マレー・チーズが取り扱うベスト・セレクションという訳ではないのだった。





他にメニューに並んでいるのは、言うまでもなくチーズを使ったメニューの数々。
オニオン・リングが乗ったマカロニ&チーズ(写真上、上段左側、12ドル)は、 チェダー・チーズ、ケーブ・エイジド・グリエ・チーズ、モッツァレラ・ディ・バファラ(バッファロー・ミルクのモッツァレラ)という3種類のチーズを使った、 チーズのマカロニ・グラタン。
グリエ・マラコフは、クリーミーにとろけるグリエ・チーズのボールをフライにしたもの(写真上、上段右側、12ドル)で、 トーストの上に乗ったレアビット・チェダー・バーガーは、ニューヨークのトップ・ブッチャーであるオットマネッリが マレー・チーズのためにスペシャル・ブレンドした挽肉を用いたもの。プレーリー・ブリーズ・チェダーをソースのように掛けて味わうのだった(写真上、下段右側、16ドル)。
サラダは6種類あって、写真上、下段左側は私の好物の1つであるローステット・ビーツのサラダ。 でもサラダから1品だけ選ぶとしたら、エアルーム・トマト&モッツァレラ・ディ・バファラがお薦め。 フレッシュなモッツァレラと甘味のあるトマトの間に、通常ならバジルを挟むのがこのサラダだけれど、 マレー・チーズ・バーでは替わりに、しその葉(大葉)を挟んでいて、 それにエクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイルと5年エイジングさせたバルザミコがふりかけられているシンプルな味わい。 でも それが絶妙に美味しいのは、やはりチーズが美味しいからと言えるのだった。

ワインは、 グラスがレッド、ホワイト共に 10種類程度のヴァラエティがあって、平均的なお値段は13〜15ドル。もちろんボトルのラインナップも豊富。
ビールはグラスだと7ドル。 ボトルだと6〜13ドルというお値段になっているのだった。

こうやってみると、比較的安価に思えるけれど、 支払いの段階になってみると、意外にお値段が行ってしまうのがマレー・チーズ・バー。 チーズとワインを味わうというと、30ドルくらいで済むような気になって気軽に立ち寄ってしまうけれど、 実際にはその倍は払うことになってしまうのが同店なのだった。
でもチーズを使った料理とあって、腹持ちは抜群。加えて、料理に使われているチーズが美味しいのはお墨付きなので、 「何をオーダーしても間違いは無い」というのが、 同店を訪れたレストラン・クリティックやフード・ブロガーの誰もが指摘するところなのだった。

1つ難を言うならば、同店は椅子の座り心地があまり良くないこと。
でも こういう店は、回転率が良いに越したことはないので、座り心地の良い椅子で来店客が長居するのは、かえってビジネスの命取り。 なので、インテリアのアクセントだけでなく、ビジネス戦略としても理に適っているのが、同店の真っ赤な椅子なのだった。

マレー・チーズ・バーは年中無休で、営業時間は 現時点では午後5時〜深夜1時まで。 チーズ好きな人には、本当にお薦めのスポットです。


Murray’s Cheese Bar
264 Bleecker Street New York, NY 10014
Tel: 646-476-8882






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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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