Aug Week 4, 2014
” ALS Ice Bucket Challenge ”
今やカルチャー現象となったチャリティ・アクト!? ALS アイスバケット・チャレンジ



この夏のアメリカで、”2014年版のハーレム・シェイク” と言われるほどのカルチャー現象になっているのが、 ALS アイスバケット・チャレンジ。
ALSとは、”Amyotrophic Lateral Sclerosis” の略で、アメリカでは このネーミングよりも ”ルー・ゲーリック病” として知られるもの。 1930年代のヤンキーズの名プレーヤー、ルー・ゲーリックが、36歳にして この病気に掛かりながらも、 「自分は地球上で最もラッキーな人間」というスピーチをヤンキー・スタジアムで行って引退した様子は、 野球史上に残る 最も感動的なシーン。スピーチの後、スタジアムが2分間以上、スタンディング・オーベーションとなったことが伝えられているけれど、 そのルー・ゲーリックは、1995年にカル・リプキン・ジュニアに破られるまでは、2130試合連続出場の記録を保持しており、 ヤンキーズの4番が永久欠番であるのは、彼の背番号であるため。

でも、この夏のカルチャー現象となっているアイスバケット・チャレンジは、そんなルー・ゲーリックの輝かしい ベースボール・キャリアとは全く無関係で、 セレブリティとソーシャル・メディアのパワーがドライビング・フォースになっている ルー・ゲーリック病のためのチャリティ・アクト。
ルールはごく簡単で、アイスバケット・チャレンジは指名制によって引き継がれていく ”不幸の手紙”のようなシステム。 指名された人間には、バケツ一杯の氷水を頭の上からかぶるか?、さもなくばALSのチャリティに寄付をするか?の選択が与えられるけれど、 多くのセレブリティや一般人は両方を行っているのが実情。
バケツの水をかぶる場合には、その様子をビデオや写真に収めて、インターネット上にアップすることになっていて、 その際に自分の名前、自分が誰の指名でアイスバケット・チャレンジをすることになったかを 言ってから、水をかぶり、 それから 自分が 同チャレンジをやって欲しい人を 3人程度指名。その指名者の名前もビデオに収めるのがルール。
指名を受けた人は、24時間以内にチャレンジに応じなければならないのだった。






アイスバケット・チャレンジが スタートしたのは6月からと言われているけれど、オリジナルは スペシャル・オリンピックの寄付金集めのために 行われていた同様のシステム、”コールド・ウォーター・チャレンジ”であるという説が有力。
これが”ALS アイスバケット・チャレンジ”として突然火がついたのは、7月15日に プロ・ゴルファー、グレッグ・ノーマンの指名で、 アメリカで最も高視聴率のモーニング・ショー、『トゥデイ』のアンカー、マット・ラウラーが番組のライブ放映中にチャレンジを行ったのがきっかけ。 以来、TVキャスター、スポーツ・キャスターがスポーツ界やハリウッドのセレブリティを指名するようになり、 指名されたセレブリティが さらにセレブリティを指名するうちに、カルチャー現象となったのが同チャレンジ。

これまでに参加したセレブリティは、 ジェニファー・ロぺス、ケイティ・ペリー、ブリットニー・スピアーズ、レディ・ガガ、 ジャスティン・ビーバー、エマ・ストーン、マルーン・ファイブのアダム・レヴィーン、グウェン・ステファニ、 クリス&リアム・ヘムズワース、ロバート・ダウニー・ジュニア、ベン・アフレック&ジェニファー・ガーナー夫妻など、 名前を挙げたらきりが無いラインナップ。

また人々にとって興味の対象になっているのが、どのセレブリティが誰を指名するかで、 セリーナ・ゴメスがテイラー・スウィフトを指名し、テイラー・スウィフトは友人のジェイミー・キングと一緒にチャレンジをしたかと思えば、 グウィネス・パルトローは、友人のキャメロン・ディアスとステラ・マッカートニー、離婚した夫のクリス・マーティンを指名。
シンガーのフェイス・ヒルに指名されたニコール・キッドマンは、ラッセル・クロウ、コリン・ファース、ジェイソン・ベイトマンを指名。 チャニング・テイタムは、妻のジェナ・ドゥワン・テイタムと一緒に水をかぶって、2人で ジョナ・ヒル、メリル・ストリープ、 ジャネット・ジャクソン、ダニエル・デイ・ルイスらを指名。 ザック・エフロンの指名でチャレンジを行ったロバート・パティンソンは、同じ俳優仲間のガイ・ピアース、ミア・ワシコウスカを指名。
ヒュー・ジャックマンに指名された、トム・クルーズは 現在撮影中の映画「ミッション・インポッシブル5」の監督、 クリストファー・マクアリーと共にバケツの氷水を8杯連続でかぶるというチャレンジを展開。

アン・ハサウェイは、ジェシカ・チャステイン、マシュー・マコナヘイ、クリステン・スチュワートを指名。 そのクリステン・スチュワートは、目下映画で共演中で、ロマンスの噂があるニコラス・ホルトとチャレンジに応じて、 水をかぶる前に、頭をバケツに突っ込むというハードコアぶり。 加えて、現在のロサンジェルスの水不足を受けて、彼らが使用した水がバスタブの水のリサイクルであることを説明。 節水を呼びかけるメッセージもビデオに収めているのだった。

もちろん、俳優やシンガーだけでなく、モデルやアスリートもチャレンジの指名の対象になっていて、 アレッサンドラ・アンブロジオは、ドゥ−ツェン・クロース、カイリー・クロス、アドリアナ・リマを指名。 その他、モデルではジゼル・ブンチェン、ケイト・アプトン、カーラ・デルビーニュなどがチャレンジを実行。
スポーツ界では、ルブロン・ジェームス、シャキール・オニール、コビー・ブライアント、デヴィッド・ベッカムが チャレンジを行っている他、ニューヨーク・ジェッツのチーム全体が、放水車を使って大規模にチャレンジに応じるなど、 チーム全体で取り組むケースも見られているのだった。

でも指名された人が全てチャレンジを実行している訳ではなく、デヴィッド・ベッカムが指名したマイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、 レオナルド・ディカプリオは いずれも今のところは チャレンジに応じる様子は無し。 またマイクロ・ソフトのビル・ゲイツ会長も、寄付は行ったもののバケツの水はかぶらなかったことが明らかになっているのだった。







もちろん、同チャレンジは一般の人々の間でも山火事のような勢いで広まっていて、 6月から8月13日までの間に フェイスブック上にアップされた アイスバケット・チャレンジのビデオの数は120万。 加えて 過去1ヶ月間のアイス・バケット・チャレンジに関するツイート数は220万。
その結果、7月末から私がこれを書いている8月21日までの間に ALSチャリティのために集った寄付金の総額は、 何と41億円。 同チャリティが 2013年の7月29日〜8月18日までに集めた寄付金が1.8億円だったことを思うと、アイス・バケット・チャレンジはメガ・サクセスと言える チャリティ・キャンペーンになっているのだった。

でも頭からバケツ1杯の氷水をかぶるというのは、年齢によっては健康上の危険を伴うチャレンジ。
加えて、チャレンジを行う人の頭の上に 誤ってバケツごと落としてしまったり、 水を掛けようとした人がバケツを持ったまま転んだり、椅子から落ちたりする様子を収めたビデオがソーシャル・メディア上にアップされているけれど、 その中には、明らかに笑い事では済まされないような危険な状況も含まれているのだった。

ところで写真上、一番下の3枚は個人的に最もチャレンジに参加したのが意外だった顔ぶれ。
左はヴィクトリア・ベッカムで、夫のデヴィッド・ベッカム&息子のブルックリン、クルーズによって、 バケツの水が掛けられているけれど、彼女が指名したのはデザイナーのトム・フォードとクルーズ・ベッカム。

中央は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領で、大胆にも彼を指名したのは、彼の娘で、現在NBCの パーソナリティを勤めるジェナ・ブッシュ・ヘイガー。 彼女はローラ夫人も指名したけれど、夫人はバケツで夫に水を掛けただけで、寄付を約束していたのだった。
そのブッシュ元大統領は、ビル・クリントン元大統領を指名したけれど、現時点ではクリントン氏は チャレンジに応じる様子は無し。

右側は ヴォーグ誌の編集長、アナ・ウィンターであるけれど、ファッション関係者にとって、彼女の 髪の毛がずぶ濡れの姿を見るのは、何よりショッキングなこと。 アナ・ウィンターを指名したのは、娘のビー・シェイファーで、娘でもない限りは怖くて彼女を指名できないのが実情。
彼女に水をかぶせる役割をして居るのも家族で、アナ・ウィンターが指名したのは、 彼女が大ファンであることで知られる プロ・テニスのロジャー・フェデラー。

ちなみにオバマ大統領には ルブロン・ジェームス、ジャスティン・ビーバーから指名が寄せられているけれど、 今のところはチャレンジに応じる様子は無し。 でも、今のアメリカの状況を考えたら、たとえチャリティのためとは言え、チャレンジに応じた方が顰蹙を買うように思えるのだった。


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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