Sep Week 1, 2014
” Christian Dior Fusion Sneaker ”
クリスチャン・ディオール・フュージョン・スニーカー


この秋のシューズ・ラインナップの中から 1足だけを選ぶとしたら、多くのファッション・エディターやブロガー、モデルやバイヤーが選ぶと 思われるのが、ここにご紹介するクリスチャン・ディオール・フュージョン・スニーカー。
このシューズは、クリスチャン・ディオールの2014年春のオートクチュール・コレクションのランウェイに登場したもので、 アッパーやソールのカラーや、そのビーズのデコレーションに数バージョンがあるけれど、 実際にランウェイに登場したのは、このうちの4型。
いずれも、ディオールのデザイナー、ラフ・シモンズがデザインする ドレッシーなアウトフィットに合わせて登場していたけれど(写真下)、 7月に行われた 2014年秋のオートクチュール・コレクションの際に、ファッション・エディターやモデル達がこのシューズにコーディネートしていたのは、 至ってカジュアルなアウトフィット。
ディオールにしても、同シューズのプロモーションでは、街中をカジュアルに歩くモデルの映像を用いており、 ファッション関係者達のカジュアルな解釈の方を採用しているのだった。









このデコラティブなスニーカーは、フォーマルとスポーティーのミックスという意味で、フュージョン・スニーカーと呼ばれているけれど、 スポーツ・シューズの世界では、このスタイルはウォーター・シューズとも呼ばれるもの。
靴底が厚いので、歩き易い上に着脱が簡単。しかも素材に通気性があるので、 非常に履き心地が快適と言われるけれど、そのお値段は何と1,100ドル。 少し前だったら、ゴム底でこのお値段!と驚いたかもしれないけれど、 昨今は1000ドルを超えるスニーカーが登場して久しいご時勢なので、さほど価格には驚きはしなかったのだった。

最初にこのシューズを見た時は 「変な靴!」程度にしか思わなかった私であるけれど、 人が履いているのを見ているうちに、徐々に気になってきたのがこのフュージョン・スニーカー。
フュージョン・スニーカーが話題になっている理由の1つは、カジュアル・シューズに デコレーションを施すことによって、 オートクチュールのドレッシーとスポーティーを融合させたこと。 昨今は、スタイリッシュなローファーの方がヒールよりも売れるようになってきていると言われるけれど、 私自身も ヒールは既に沢山持っているので、最近ではデイタイム用のスタイリッシュなローヒールで、歩き易いシューズを積極的に探す傾向にあるのだった。
自分では、これがヒールが辛くなったエイジング・サインかと思っていたけれど、 シューズにコンフォートを求めるのは、ユニヴァーサルな傾向。 かつての私は、「気に入ったシューズは 例え歩けなくても買う」主義を豪語していたけれど、さすがに そんな精神力はもう持ち合わせていないのだった。








クリスチャン・ディオールは、フュージョン・スニーカーに限らず、このところシューズ・ラインがどんどんスタイリッシュになってきていて、 私は毎シーズン、注目するようになったけれど、そうなったのは2013年 春のプレタ・ポルテ・コレクションから (写真上、1段目の3枚)。
このコレクションは、デザイナーのラフ・シモンズが手がけた初のプレタ・ポルテ。 このショーに登場したモダンで、メタリック素材を部分使いしたパンプスを非常に気に入ってしまった私は、 早速ブティックに探しに行ったけれど、ショーに登場した私のお気に入りのシューズがブティックで取り扱われていなくて、 少々ガッカリしたのを覚えているのだった。

次に ディオールのシューズにノックアウトされたのは、2014年 春のプレタ・ポルテ・コレクション (写真上、2段目の3枚)。 複雑にストラップが絡まったパンプスは、まともでシンプルなシューズにあまり価値を見出さない私に 抜群のアピールだったけれど、 これもブティックに出かけて、やはり私が気に入ったスタイルが見つからなかったので、諦めたのだった。

写真上、一番下の3枚は、フュージョン・スニーカーと同じ2014年春のオートクチュール・コレクションのランウェイに登場 したシューズで、 ガーター・ストラップが付いたもの。 履きにくそうであるけれど、話題になっていたスタイル。
でもフュージョン・スニーカーのバズに比べると、遥かにインパクトが小さいと言えるのだった。

世の中は、どんどんファッションがカジュアルになっているけれど、そんなカジュアルに とんでもないお金を掛けるのがリッチな人々。
「こんなものが どうしてこのお値段?」というような高額スニーカーや、デザイナー・スウェット等が今シーズンも 溢れているのだった。 それでも やはり高いデザイナー・アイテムというのは、一見 同じように見えても 安価なラインの物とは 明らかに違うオーラを放っているもの。

世界的に貧富の差がどんどん開いている昨今では、ミドル・クラスがどんどん少なくなって、ファッションの世界からも消えつつあるのが ミドル・プライスのアイテム。 その結果、H&Mやセンチュリー21といった 安価なアパレルがどんどん幅を利かせる一方で、一流ブランドは メガリッチを対象に、彼らのステータス欲を満たす 超高額アイテムをどんどんクリエイトしているのが実情。
特に顕著なのが、スニーカーのように 本来は安いアイテムをあえて高額に作り上げるという傾向。
したがってカジュアルなスニーカーが、今や財力の差を大きく見せ付けるアイテムになっているのだった。


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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