Sep. Week 2, 2011
” Laduree On Madison Ave. ”
” ラデュレ・オン・マディソン・アヴェニュー ”



今年の春にオープンが発表されて以来、待ち続けていたのが ラデュレのアメリカ初のブティック。
ラデュレは、言わずと知れた マカロンで有名なパリに本店を構える 老舗パティスリー。 今やパリの3店舗に加えて、ロンドン、ミラノ、ジュネーブなどにブティックがオープンしている他、 日本でもデパートの中で展開されるなど、グローバル・チェーンになりつつある存在であるけれど、 そのニューヨーク店がマディソン・アベニューの70丁目と71丁目の間に同店がオープンしたのは8月末のこと。
同店の営業時間は朝9時〜午後6時であるけれど、オープニングの日は、午前10時を待たずして、店の外に行列が出来る状態。 この日はマカロンを買うのに45分〜1時間待ちと言われていたけれど、今でも、何時出かけても 店の中に行列が出来ていて、 購入には大体15〜20分が掛るのだった。

店内は外から見るより小さくて、売り場面積の殆どを占めているのがカラフルなマカロンやチョコレートが並ぶカウンター。入り口の右側にはキャンドルや フレグランスのセクションが設けられているけれど、このエリアはもっぱらマカロンの購入を並んで待っている人々が、時間潰しをするセクション。
さすがにマディソン・アベニューとあって、55ドルのボックスが飛ぶように売れているとのことで、1人で数百ドル分を購入し、それを運転手に持たせてリムジンで 去っていく来店客が絶えないといわれているのだった。




マカロンは、私の周囲には「それほど好きじゃない」という人が意外に多いけれど、私は大好きなスウィーツ。
かつては、美味しいマカロンに巡り会えることが殆ど無かったのがニューヨークで、未だニューヨークにアラン・デュカスがオープンしていた頃、 デザートのさらに後に出てきたスウィーツのカートから、マカロンとカヌレをピックアップしたところ、マカロンが思いのほか 美味しくなくて、 「ミシュランの3つ星レストランのマカロンも、ニューヨークに来ただけで こんなに不味くなってしまうのだろうか?」と思ったのを覚えているのだった。
私が長くニューヨークで好んできたマカロンは、メゾン・ド・ショコラのもので、特に直径が5センチ程度ある大きなサイズの ふっくらしたテクスチャーを好んできたけれど、今ではブション・ベーカリーなど、様々なベーカリーやスウィーツのショップで、 かなりグレードアップしたマカロンが食べられるようになってきているのだった。
それでも、ラデュレのマカロンの鮮やかで美しいカラーとフレーバーのバラエティは、他では望めないもの。
久々に味わったラデュレのマカロンは、デリケートかつサクッとした食感の外側と、ふんわりとクリーミーな内側のテクスチャーで、 相変わらずの美味しさ。これから、ラデュレのマカロンが 何時でもニューヨークでも味わえるというのは、 私にとっては大いに歓迎すべきことなのだった。




私が、ラデュレのニューヨーク進出が デパート中の展開ではなく、 マディソン・アベニューのブティックという形で、とても良かったと思うのは、英国王室御用達のショコラティエ、シャボネル・エ・ウォーカーが サックス・フィフス・アベニュー内でニューヨーク展開を始めたことで、大きくイメージダウンをしたと思うから。
シャボネル・エ・ウォーカーは、ピンク・マール・ド・ シャンパーニュ・トリュフが特に有名で、日本でも特にヴァレンタイン・デイに同チョコレートが 人気を博しているけれど、サックス・フィフス・アベニューで売られているものを食べると、本場ロンドンで、同チョコレートを味わった人は 大体ガッカリすると言われているのだった。
一部の人々に言わせると、トリュフのサイズが一回り小さいとのことだけれど、私はそんな大きさの違いまでには気付かなかったのだった。 むしろ直ぐ気になったのが、あまりフレッシュに感じないという点。どうやらサックスで売られているものは、全て空輸のようで、 ピンク・マール・ド・ シャンパーニュ・トリュフは、そのデリケートな味わいが失われてしまっているように感じられるのだった。
むしろ同じピンクのトリュフでもストロベリー・トリュフの方が、空輸でも遥かにフレーバーが保たれていると思うので、 人にはピンク・マール・ド・ シャンパーニュはロンドンでのみ購入して、サックスではストロベリー・トリュフを選ぶことを勧めているのだった。

このように海外進出や、販売網の拡大というのは、ブランドのイメージやクォリティを保つ努力をしなかった場合、 評判を落としたり、イメージダウンに繋がってしまうもの。ことにシャボネル・エ・ウォーカーは、アメリカでは さほど知られている存在でないだけに、 サックスを通じて購入した同ブランドのチョコレートを初めて食べた人が、「こんなものか!」程度に思ってしまうのは、非常に残念に思うのだった。




ちなみに、ラデュレのマカロンの私のお気に入りは ピスタチオ、ヴァニラ、ローズ、キャラメル。
パリの知人に、「ラデュレではマカロンのケースを見ずに、フレーバーを矢つぎ早にどんどん言ってオーダーすると、店員の態度が良い」と言われたけれど、 それはニューヨーク・ブティックでも同様。そもそも、ただでさえ長い行列が、時に更に長くなる理由は、携帯電話で話しながらフレーバーを決める来店客や、 迷いに迷って なかなかオーダーをしない人、決めるまでにしつこく質問をする人、さらには一度したオーダーを変更したがる人などが居るため。
なので、ニューヨーク店のスタッフもパリジャン並みにスノッブな態度を取る場合もあるようだけれど、 身なりを良くして出かけて、ラデュレのプロのように振舞うと、アグレッシブに高いボックスを売りつけられたりしないで済むのだった。
アメリカでのお値段は1つ3ドル程度。 日本でも、ラデュレがオープンした当時は 値段について何の説明も無く 高いボックスに入れられてしまうことでかなり苦情が出ていたけれど、 マディソンアベニュー店で不評なのが、「3つ、4つ買おうとしても、6つ入りのボックス(ナポレオン)を売りつけられる」というようなアグレッシブなセールスなのだった。

私がラデュレのブティックで、1つ大きく失望している点は パティスリー/ケーキの販売がされていないこと。 正直なところを言えば、私はラデュレのラインナップではマカロンよりもパティスリーの方が好きで、 マカロンやパタシューを使ったラデュレのケーキは 本当に美しくて 美味。味がデリケートなので、ショコラのパティスリー以外は、 コーヒーより紅茶の方が相性が良いというのが私の意見なのだった。

ラデュレは、ニューヨークの2店舗目を 2012年4月にソーホーにオープンすることになっているけれど、 こちらは、マカロン・ブティックだけでなく、レストランが併設されるとのこと。なので、シャンゼリゼやサンジェルマン・デュプレのラデュレのように、 ブティックで販売されているパティスリーが、レストランやティールームでオーダー出来るような造りになってくれることを 心から望んでいるのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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