Sep Week 3, 2014
” Intel's MICA Smartwatch ”
アップル・ウォッチより遥かにファッショナブルな…
インテル・ミカ・スマートウォッチ
9月初旬に行われていた2015年春のニューヨーク・ファッション・ウィークで最も話題になっていたアクセサリーが、
ここにご紹介する インテル・ミカ・スマートウォッチ。
ミカ・スマート・ウォッチは
インテル社が、ファッション・ブランド、オープニング・セレモニーとバーニーズ・ニューヨークとのコラボレーションで
製作した初のファッショナブル・スマートウォッチ。
ネーミングの MICA / ミカ は、”My Intelligent Communication Accessory / マイ・インテリジェント・コミュニケーション・アクセサリー”の略。
9月3日にメディアにお披露目となったこのスマート・ウォッチは、
一見、ファッショナブルなバングル・ブレスレット。
それもそのはずで、デザインを担当したのは、前述のように 今 アメリカで大人気のファッションブランド、オープニング・セレモニー。
同ブランドが、「デザインに際しては、インテル社から100% 自由にクリエイトする権限が与えられていた」とコメントする通り、
普通にアクセサリー売り場に置いてあったら、スマートウォッチとは気づかないようなルックスに仕上がっているのだった。
バングルの内側に そのカーブに沿ってセットされているのが、約4cm×2.5cmの長方形のタッチ・スクリーン。
そこに時間やEメール、携帯メールが表示されるのに加えて、ツイッター、フェイスブックといった
ソーシャル・メディアのアップデートも可能なのがミカ・スマートウォッチ。
センター・ストーンの部分がブレスレットのクロージャーになっていて、
そこをオープンすると、UBSポートになっているというのがそのデザイン。
現時点で、そのスタイルは写真上の2種類。
1つ目はブラック・ドレスのウォーター・スネーク・スキンに、中国産のパール、マダガスカルのラピスを
セットしたもの。
2つ目は、ホワイトのウォーター・スネーク・スキンに、サウス・アフリカ産のタイガー・アイ、
ロシア産のオブシディアンをあしらったもの。
ミカ・スマートフォンのお値段は、未だ正式には発表されていないものの、
ブレスレットのマテリアルが比較的高額なのに加えて、3Gラジオを搭載しているので、
1000ドルを若干切るくらいの価格が見込まれているとのこと。
他のスマートウォッチが200ドル、300ドル台で購入できることを思うと、
このお値段はかなりの高額であるけれど、これを年内に発売するがバーニーズ・ニューヨーク。
したがって同店の客層を考慮すると、このお値段は さほど非常識に高額というイメージではないのだった。
ミカ・スマート・フォンは、9月8日に行われた オープニング・セレモニーの
2015年春のランウェイ・ショーでも、モデルが手首につけて登場。
ファッション関係者に、「遂にテック・ギアがここまでファッショナブルになってきた」
というインパクトを与えていたのだった。
実際に、グーグル・グラスもデザイナーのダイアン・フォン・ファーステンバーグとのコラボレーションで、
そのスタイリッシュなバージョンを発売しているけれど、
ハイテク業界の一部では、「機能をウリにしても、
身につけるガジェットについては、スタイルが気に入らない限り、
消費者は決して購入しない」という意識がかなり高まってきていることが指摘されているのだった。
その意味では、9月9日のお披露目で メディアや、ファッション関係者を大いにガッカリさせたのが、
アップル・ウォッチのデザイン(写真下)。
アップル・ウォッチのヴァラエティは、ステンレス・スティールのバンドのスタンダード・タイプであるアップル・ウォッチ、
カラフルなバンドのアップル・ウォッチ・スポーツ、18Kゴールドのケース、高額素材のバンドを
あしらったアップル・ウォッチ・エディションの3タイプ。
文字盤のデザインもバラエティが揃っているけれど、ファッション業界では 「アップル社がこれまでに手がけたプロダクトで、最悪のデザイン」、
「一足先に登場した 他社のスマートウォッチのデザインと 全く変わらない」、
などと、コテンパンに叩かれているのがそのデザイン。
ニューヨーク・ポスト紙には、ルイ・ヴィトンのアクセサリー部門のチーフが、
「時計デザインの素人が手がけたよう・・・」と、アップル・ウォッチを批判するコメントが
掲載されていたけれど、
確かにタッチ・ボタンもアンテナも無い携帯電話をこの世に送り出したアップル社の
スマート・ウォッチとしては 非常にありきたりで、ファッションやスタイルとは無縁のデザインであることは
紛れも無い事実なのだった。
アップル社は、アップル・ウォッチがスイスの高給時計ブランドを脅かす存在になると強気の姿勢を見せているけれど、
実際には、若い世代はどんどん時計をつけないようになっており、
それより上の世代は、まだまだステータス・ウォッチを好む傾向が根強いのが実情。
クレディ・スイス社の見積もりによれば、スマート・ウォッチ、スマート・シューズ、スマート・クロージング、
グーグル・グラスに代表されるスマート・グラスといった、
ウェアラブル・テクノロジー市場は、向こう3年ほどの間に 日本円にして3〜5兆円市場に膨れ上がるというけれど、
そのためには ハイテク・ガジェットを ガジェットとしてスタイリッシュに仕上げるのではなく、
アクセサリーや、アパレルのデザインにガジェット機能を盛り込む形でデザインしていく必要があると指摘されているのだった。
その意味では、インテルのミカ・スマートウォッチは 初めてファッション・アイテムとして
デザインされたスマートウォッチという意味で極めて画期的な存在。
ミーティング中に携帯電話で取り出さず、時計の時間をチェックする感覚で、
メールやメッセージがチェックできて、しかもそのガジェットが
スタイリッシュなルックスであるというのは大きな魅力。
唯一の問題は、アメリカ国内ではAT&Tという電話会社がエクスクルーシブで
ミカ・スマートウォッチのキャリアーになるということで、ヴェライゾンを使っている私としては、
電話会社を変えない限りは、残念ながら身につけることが出来ないのだった。
執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。