Oct Week 2, 2012
” Fur Trim Scarf ”
” ファー・トリム・スカーフ ”



先日、グッチのブティックをフラフラしていて見つけたのが、写真上のファー・トリム・スカーフ。
大判のショールのエッジにフォックスのファーをあしらったスタイルが気に入ったので、早速トライしてみたけれど、 残念ながら少々サイズが大き過ぎ。加えて私はあまりグッチのGGの柄が好きではないので、 あっさり購入を諦めてしまったのだった。
私は、スカーフやショールは ラグジュリアスなボリュームが出るので大判を好む傾向にあって、愛用しているパシュミナも全て一番大きなショール・サイズ。 でもファー・トリムが付いたものは、ファーが嵩張る分、自在に巻いたり、結んだりが出来ないので、 長さの調節が不可能。したがって、最初から扱い易いサイズのものを購入することが実用に繋がると考えているのだった。

でも このショールをトライして以来、すっかりファー・トリムが付いたスカーフが欲しくなってしまい、 早速リサーチを始めたけれど、そうするうちに 今シーズンは、グッチが 様々なファー・トリム・スカーフを出していることに気付いたのだった。
その中でも目玉アイテムとして、グッチの直営ブティックや取扱店がこぞって仕入れているのが、写真下のスカーフ。
これは、125×115cmの大判スカーフの中央斜めにフォックスのファーをあしらったスタイルで、 斜めに折って首に巻いた時に襟周りにファーが来るようにデザインされたスタイル。





写真上のように、ジェニファー・ロペスも愛用するこのスタイルは、ファーの使用量が少ないので、ボリュームが出過ぎず、 巻き易いデザイン。
今シーズンのグッチのスカーフは、写真上段左のような、俗に ”タリバン巻き” と呼ばれる、3角形に折ったスカーフの90度のコーナーをフロントに持って来て、 両サイドを首に巻きつける着用法のプロダクト・フォトが目立っているけれど、 この巻き方は、これまでカジュアルな コットン・スカーフで、 若い世代を中心に好まれてきた着用法。
でも、今シーズンからは もっと上の年齢層が、高級ブランドの大判スカーフで、このタリバン巻きをするのが ちょっとしたトレンドになっているのだった。

個人的に 写真上のスカーフよりも 気に入った グッチのファー・トリム・スカーフは、 グッチのウェブサイトをブラウズしていて見つけた以下の2点。
写真上段は、グレーのマフラーにシルヴァー・フォックスのファーをあしらったもので、 巻いたときにフォックスのファーが首の周りに来るデザイン。 未だ実物を見ていないので、このスカーフがどんな襟のデザインのコートやジャケットにも フィットするかは分からないけれど、これもファーの使用量が少なくて済む上に、 誰にでも扱い易いサイズで、気軽に身につけられると思うのだった。





そしてもう1つ 気に入ったのが写真上、下段のスカーフ。
これは90cm四方のシルク・スカーフのエッジにフォックスのトリミングをあしらって、コーナーにレザーのタッセルを付けたデザイン。
これもアイデアとしては非常に良いと思ったけれど、フォックスというファーの原価を考えると、税込みで1900ドル(約15万2000円)という お値段は、非常に割高。 でも、これはブランド物の宿命と言えるプライシングなのだった。

それよりも 私にとっての このスカーフの問題は、スカーフの柄が今ひとつ気に入らないこと。 加えて、この手のスカーフで、お金を払う価値があると思うブランドは、やはりエルメス。
ということで、エルメスの商品カタログをチェックしたけれど、残念ながらファーをあしらったスカーフは見つけることが出来ない状態。

そこで思いついたのが、CUBE New York がファーのアイテムをオーダーしているデヴィッド・レイノフに ファー・トリムをカスタム・メイドしてもらって、手持ちのエルメスのスカーフに縫い付けるというアイデア。
私は90年代後半までは、集めていたというほどではないものの、事あるごとにエルメスのスカーフを買っていて、 その後、一度も使っていないものはかなりリセール・ショップで売ってしまったけれど、それでも未だ10枚程度はクローゼットに残っているのだった。 なので、スカーフ代が節約できる分、毛皮をセーブルかミンクにアップグレードしようと思い、向かったのがデヴィッドのオフィス。
まずはマホガニー・ミンクのファーをスカーフに合わせてみたところ、非常にエレガントで、 それでオーダーしようかと思ったけれど、一度セーブルのファーにスカーフを合わせてしまったら、 そのファーのラグジュリアスな毛足とゴージャスさにすっかり魅かれてしまい、お値段はほぼ倍近くになるものの、 セーブルでファー・トリムを製作してもらうことに決定。
そして仕上がったサンプルが以下のもの。





ファー・トリムは、春になったらファー無しでスカーフを使えるように、取り外し可能にしてもらったけれど、 こうすれば、次のシーズンに別のスカーフに装着し直すことも可能。
縫いつけは、至って簡単でテイラーに持っていかなくても、普通に器用な人なら簡単に出来る作業なのだった。

ちなみに、写真でサンプルを装着しているエルメスのスカーフは、1988年に発売された「Rubans du Cheval」という競走馬の勝者につけるリボンのデザインを 一面にあしらったもの。
ファーを選ぶに当たっては、どんなスカーフにも合わせ易いように、異なるカラーと柄のスカーフを数種類持参したけれど、 どんなスカーフの雰囲気にもエレガントにマッチするのがマホガニー・ミンクとセーブルのファー。 見方を替えれば、エルメスのスカーフ自体に ”毛皮に負けない存在感がある” ということなのかもしれないけれど、そのエルメスのスカーフが、どれも ファーをあしらうと 本当にゴージャスになることにも、同時に目を見張ってしまったのだった。

ところで、このサンプルが仕上がった日のニューヨークの夕方は とても寒く、早速仕上がったばかりのスカーフを首に巻いてバーグドルフ・グッドマンの中を歩いていたところ、僅か1時間ほどの間に 買い物客のマダム2人とセールス・パーソン1人にスカーフを褒められてしまい、 すっかり気を良くしてしまっけれど、このセーブルのファー・トリムのお値段は、1400ドル。 フォックスをあしらったグッチのスカーフよりも500ドルも安く仕上がったのも 気を良くした理由になっていたのだった。
実際のところ、ブランド物のファー・プロダクトは、ファーのクォリティがさほど良くなくても、非常に割高になるのが常。 例えば、私の友人は数年前にフェンディでマスクラット(じゃこうねずみ)のファーのロング・コートを購入しているけれど、それは彼女のミンクのロング・コートの3倍のお値段。でも、その2枚をリセールに出したところ、フェンディのコートのお値段は、たとえブランド物でもマスクラットというファーのステータスが低いために、 再販価格はミンクのコートの半分にしかならなかったという。

その意味で、ゴールド・ジュエリーが ブランド名よりも、ゴールドの使用量で価値が決まるのと同様、 ファーも 毛皮そのもののクォリティとステータス、加えてコンディションで 価値が判断されるもの。したがって、ファーを用いたアイテムについては、ただでさえ高額なブランド品がさらに割高になっているにも関わらず、 実際には払った金額に見合う価値が得られないという点で、あまり賢明な買い物ではないというのが私が感じるところなのだった。

でも毛皮というアイテムそのものは、コンディションさえ良ければ、トレンドに関係なく、リセールに出して 最も値崩れしないアイテム。 というのも、ファーに関しては、最初からリメイク目的でリセール・ショップで購入する人が多いためで、購入から10年後に売りに行って、 スタイルが完璧に時代遅れでも、ファーの質さえ良ければ 高く売ることが出来るのだった。
それに比べると、通常のアパレルは、たとえシャネルでも、ドルチェ&ガッバーナでも、そしてどんなにコンディションが良くても、 購入価格の5分の1で売れれば御の字というのが実情なのである。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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