Nov. Week 1, 2011
” Culture Chanel Kids' Space ”
” クチュール・シャネル・キッズ・スペース ”



アメリカの学校給食には、ファスト・フード・チェーンやソフト・ドリンク・メーカーが製品を寄付、もしくは大幅ディスカウントで提供しているケースが少なくないけれど、 これは各ブランドが子供の頃からブランド・ロイヤルティを植えつけようとするマーケティング手法。
実際、コカコーラ、ペプシ・コーラといったソフト・ドリンクの好みは、「子供の頃から飲んでいるから・・・」という単純な理由が多いという。
そんな、子供時代からのブランド・ロイヤルティを養おうとしているのか どうかは定かではないけれど、 クチュール・シャネルのウェブサイトに登場したのが、子供向けのシンプルなゲームのセクション、”キッズ・スペース”。

昨今の子供達は、アイパッドのアプリを自分でダウンロードして 夢中で遊んだりするので、親達もヘイビー・シッター代わりに アイパッドを子供にあてがっているというのはメディアでも報じられていること。 アイパッドに止まらず、子供達は没頭できるビデオ・ゲームを与えておくと、暫くは1人で静かに遊んでくれるので、 子供を静かにさせるためにビデオ・ゲームを利用する親達は多いのだった。
なので、シャネルのクライアントである親達に、子供用のゲームを提供するのが目的かもしれないけれど、 クチュール・シャネルのウェブサイトのキッズ・スペースには 2つのゲームが用意されているのだった。

まずその1つは ” カラーリング ”。
カラーリングとは、要するに塗り絵のことで、画面下のように、シャネルの代表的な商品に、 パレットから色を選んで、塗っていくというのがこのゲーム。 好みのカラーをパレットから選んでクリックし、次にその色で塗りたい部分をクリックすると、あっという間にそのカラーで塗られるという シンプルなものだけれど、塗るカラーによって商品アイテムの印象が全く異なるので、 意外に大人でも楽しめるのがこのゲームなのだった。
ちなみに、このセクションに登場しているシャネルのプロダクトは、典型的なシャネル・ジャケット、キルト・バッグ、カメリアのブローチ、リボン、帽子、クリスタル入りのブローチなど。 特に子供の頃から塗り絵が好きだった人には、子供の気分で短時間に楽しめるもの。 カラーリングには、精神的な癒し効果もあると言われるけれど、実際、子供と一緒にカラーリングをしているうちに、 大人の方が夢中になってしまう というのはよく聞く話なのだった。





でも、私がそれよりも真剣になってしまうのが写真上のメモリー・ゲーム。
これはデジタル・バージョンの神経衰弱。20枚のパネルの裏に隠れている10種類のシャネルを象徴するアイコンを 2枚ずつクリックして、マッチさせていくというもの。 「この程度なら簡単!」と思って取り掛かると、意外に時間が掛るのがこのゲームなのだった。
その理由の1つは、クリックした2枚がマッチしないと、その2枚がまた裏返し戻るのを待たなければないためで、 マッチしなければ、しないほど時間が掛るように出来ているのだった。




メモリー・ゲームの場合、なるべく短い時間に終わらせようと必死になっていると、まるで脳トレをしているような錯覚を味わってしまうけれど、 実際には脳トレというのは、言われているほどの効果が無いもの。脳、及び記憶力というのは トレーニングだけでなく、何らかの刺激で 鍛えられるもの。なので、ダラダラ脳トレを続けていた場合、それに慣れて、こなす能力がアップすることはあっても、実際の記憶力や脳が 向上することは無いといわれているのだった。

私が、この子供用のシンプルなゲームを思いのほか、仕事の合間に楽しんでしまうのは、ちょっとした息抜きになるから。
よく 仕事の合間の息抜きにフェイスブックをチェックする人がいるけれど、これは仕事と勉強の効率が著しく落ちると指摘されて久しいもの。 オハイオ大学の調べによれば、フェイスブックに時間を割いている学生の方がGPA(共通学力テスト)のスコアが10%程度低いことがレポートされている一方で、 フェイスブックやツイッターで頻繁に集中力が殺がれる子供たちは、20分の宿題に1時間半を要し、しかもそれが学習に繋がっていないので、 結果的に学校の成績が落ちているという。

ではどうして単調なゲームが息抜き=脳のブレイクになるのに対して、フェイスブックをチェックすることが集中力を殺ぐ結果になるかと言えば、 それぞれをするにあたって使っている脳の部分が異なることもあるけれど、決定的な違いは単調なゲームをするのは 殆ど感情が絡まないということ。
逆にフェイスブックの場合、友達の様子や写真をチェックして、送られてきたリンクのビデオ等を見ている間に、好奇心やストレス、時にジェラシーなど 様々な感情的刺激を受けているので、直ぐにそれを切り替えて仕事や勉強に没頭するというのは 非常に難しいと指摘されているのだった。

さらに単純なゲームの良いところは、複雑で本格的なビデオゲームのように長時間夢中になる心配が無いこと。 シンプルなゲームはある程度の回数をプレイすると、脳が飽きてしまうので、長時間没頭してしまうことはないのだった。
反面、ビデオゲームというのは、一度熱中してしまうと、人生の貴重な時間を本当に無駄にしてしまう訳で、それを学生時代に学んだ私としては、 タバコ、ドラッグ、ギャンブル、カルト宗教と並んで、ビデオゲームは「人生で関わってはいけないもの」と考えているのだった。

ところで、大人たちは子供がシャネルのバッグやジャケットの塗り絵をしたところで、それが子供の脳に影響を与える とは考えない人が殆どであるけれど、 子供の脳は大人の脳よりずっと浸透力があるので、シャネルのバッグの塗り絵を楽しんでいるうちに、子供達は実生活の中でもシャネルのロゴ・マークやキルト・バッグが 見分けられるようになってしまうもの。
私は90年代の半ば、まだプラダのナイロン・バッグが人気だった頃に、当時4歳くらいだった友人の娘に「お友達のお母さんが黒いバッグを持っていたら ”Is This Prada Bag?” って訊いてごらんなさい」と教えたところ、デイケア(保育所)に子供を迎えに来たお母さん達に本当にその質問をして、かなりウケていたとのこと。 もちろん中には実際にプラダのバッグを持っている母親が何人も居て、そのお母さんたちが驚いたり、笑ったりする様子に得意になっているうちに、 私の友達の娘は 本当にプラダのロゴを覚えてしまい、プラダのバッグが見分けられるようになってしまったのだった。
なので、こうしたゲームが子供に与える影響力も決して侮れないと言えるのだった。

クチュール・シャネルのウェブサイトへのリンクは以下の通り。
このページから言語を選んで、次の画面の下にある ”キッズ・スペース” をクリックすればゲームがプレイできます。
残念ながら言語のオプションは英語、中国語、フランス語の3つですが、言語が分からなくても簡単にやり方が理解できます。

http://culture.chanel.com/





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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