Nov. Week 1, 2015
”Audio Book:Steve Jobs”
オーディオブック:スティーブ・ジョブス


私が先週から今週にかけて、あまりの効率の良さに非常にビックリしているのがオーディオブックなるもの。
オーディオブックを以前から愛用している人には、「今更、何を言うのか?」と思われそうであるけれど、 私がオーディオブックをトライするきっかけになったのは、 2週間前のこのコラムの後半に書いた 映画「スティーブ・ジョブス」を観て、ウォルター・アイザックソンの著書を読んでみたいと考えたため。 でも私は、何度か過去のコラムに書いたことがあるけれど、実は本を読むのが大嫌い。
仕事柄 新聞や雑誌の記事を読むことは多いけれど、本を読んでいると 直ぐに眠たくなるので 非常に興味がある本を斜め読みするのがせいぜいなのだった。 でも「スティーブ・ジョブス」のようなバイオグラフィーは、斜め読みには向かない本だと思えるだけに、 後書きを含めて 600ページ近くもある 分厚い本を私が読破するのは不可能と思われるタスク。
なので半ば諦め掛けていたところ、アマゾン・プライムのメンバーだと 2冊のオーディオブックを無料でトライアルできるというプロモーションを見つけたので、 早速「スティーブ・ジョブス」をダウンロードして、オーディオ・ブックに初挑戦してみたのだった。




キンドルを使うと、写真一番上のような画面が出てきて、読み上げる速度の調節が可能。 オーディオに集中できる時は、少し速めのスピードにして、 料理やメークをしながら聞いている時は 標準のスピードで、時々聞き逃した部分を 30秒バックのボタンで 後戻りして聞き直すようにしていたのが私の読書ならぬ”聞書”。
オーディオ・ブックだと目が悪くなる心配が無いので、寝る前の部屋が真っ暗な状態でも聞くことが出来るけれど、 そんな時は スピードをスローにして、ボリュームも小さめにしておくと、 本を読むのと同様に、自然な眠りに導いてくれるのだった。

でも途中で眠ってしまった場合、一晩中オーディオブックの音声が流れ続けることになるので、 朝起きると まるでスティーブ・ジョブスについて睡眠学習をしていたような状態。 眠っていたのに部分的に本の内容が記憶に残っているだけでなく、その部分を頭で認識しながら 夢を見ていたことに気づいてしまうのだった。
したがって寝ながらオーディオ・ブックを聞いた翌朝は 寝起きはさほど良くないけれど、 読書のスピードが極めて遅い私が、僅か2日で3分の2以上を聞き終えて、計5日で1冊を終えたというのは 自分でも驚くべきスピード。オーディオブックであるからこそ可能なスピードなのだった。
アメリカは車社会なので、通勤などの運転中にオーディオ・ブックを聞く人が多いけれど、 自分の代わりに誰かが読んでくれるのを聞いているというのは、意外にも内容が頭に入るので、それについても驚いてしまったのだった。




私が「スティーブ・ジョブス」の中で最も興味深かったのは、やはりアイポッド、アイチューン、アイフォン、アイパッド、そしてアップル・ストアといった 彼の人生の後半の、ありとあらゆるプロジェクトが当りに当った時代のストーリーであるけれど、 それと言うのは 自分が愛用するプロダクトが誕生したバック・ストーリーが、ボーノ、ビル・ゲイツ等、 直ぐに頭でイメージ出来る実在の人物の名前や言動と共に語られているため。

同書を読んで、映画「スティーブ・ジョブス」は脚本家のアラン・ソーキンが 彼なりにかなり脚色して、事実を湾曲させた ストーリーであることにも気づいたけれど、個人的に非常に興味深かったのは、 スティーブ・ジョブスが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った かの有名なコメンスメント・スピーチの執筆を、 そのアラン・ソーキンに依頼していたということ。 ところが、アラン・ソーキンが何度催促してもスピーチを書き上げなかった事から、スティーブ・ジョブスが 自ら シンプルに書き上げたのが この時のスピーチで、そのスピーチのビデオは 2011年10月の彼の死後、2000万人がYouTubeで 閲覧しているのだった。

また私はスティーブ・ジョブスが フルーツだけを食べるフルータリアンであるというメディアの報道を鵜呑みにしていたけれど、 実際の彼はヴェジタリアン。彼は本当にヒッピーのようなライフスタイルだったので、ティーンエイジャーの頃から、ヴェジタリアンで、 頻繁に断食もしていたそうで、そんな彼の食生活が 逆にガンの進行を早める結果になってしまった様子や、 スティーブ・ジョブスはスポーツを一切しなかったので、アイポッドの普及に多大に貢献した アイポッド・ミニのニーズが理解出来ず、企画段階で潰そうとしたエピソードなど、 彼の知られざる一面が存分にフィーチャーされていたのがこの一冊。

妥協を知らないスティーブ・ジョブスの完璧主義ぶりも、様々なエピソードで紹介されていたけれど、 私が思わず笑ってしまったのは、スティーブ・ジョブスがアップルをクビにされて 設立したネクスト社のロゴをクリエイトした デザイナーが、スティーブ・ジョブスのビジネス・カードを作る段階でのこと。このデザイナーは、 スティーブ・ジョブス同様に完璧主義で、自分の意見を決して曲げない人物。スティーブ・ジョブスは 彼のそんな部分も気に入って 起用したものの、2人は ”スティーブ P. ジョブス (スティーブ・ジョブスのフルネームは Steven Paul Jobs) ” という名前のPの後に付く ピリオドのデザインで 意見が真っ向から対立し、ビジネス・カード製作の話がダメになったというのがそのストーリー。
でもそんな詳細までに完璧さを追求する彼の情熱で生み出したプロダクトが、アップルを世界最大の企業にのし上げたのは周知の事実なのだった。

アメリカでは 「スティーブ・ジョブス」は、2015年9月にペーパーバック(単行本)で発売されているけれど、 私にとってはオーディオ・ブックのトライアルは大成功。 あと1冊 無料トライアルが出来るので、今度はフィクションをトライしようと考えているのだった。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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