Nov. Week 4, 2012
” Maison Kayser Upper East Side ”
”メゾン・カイザー・アッパー・イーストサイド ”



以前から 何回もこのコーナーに書いている通り、美味しいパンが無いと生きられない私にとって、 新しいベーカリーがオープンするニュースは常に朗報であるけれど、 特にそれが美味しいと分かっているベーカリーの場合は尚のこと。
今回 ここにご紹介するメゾン・カイザーは、コレド日本橋や、東京ミッドタウンの中に入っていて、私の両親のお気に入りのベーカリーの1つ。 なので、私も日本に一時帰国した際は、メゾン・カイザーで何度もパンを買っていて、 それだけに9月に そのアメリカ進出第一号店がアッパー・イーストサイドにオープンするのを大歓迎していたのだった。

そのカフェ・カイザーは、オープン以来 大繁盛で、パンが売れているのはもちろん、併設されたカフェのテーブルも常に埋まっている状態。 週末にブランチに出掛ければ、ウェイティング・リストに名前を入れないとテーブルが取れないのが常で、 人気ベーカリーであるだけでなく、人気ブランチ・スポットの地位をも確立しているのだった

でも私にとっては、メゾン・カイザーと言うと、コレドや東京ミッドタウンの店舗のようなアップスケールなセッティングで、沢山のセレクションの中から パンを選んで買うというイメージがあっただけに、アッパー・イーストサイドのショップに最初に出かけた時には、 店舗スペースが小さく、パンの種類も限られていて 少々ガッカリしてしまったのだった。




でも、通い続けるうちにどんどん好きになってきたのがアッパー・イーストサイドのカフェ・カイザーで、 今では週に1度は 同店に出向いて、パンを買うようになっているのだった。
とは言っても、ラインナップの全部が全部好きだという訳ではなく、 個人的には、同店のクロワッサンはそれほど評価していないのに加えて、エクレアやパリブレストといった フレンチ・ペストリーの醍醐味と言えるアイテムも、パタシューが乾いていて、ゴワゴワした食感。
ブラウニーにしても 全体が柔らか過ぎて、アメリカの優秀なベーカリーのように外側がカリッと焼けて、内側がシットリという仕上がりになっていないのは 私にとっては不合格。 またチョコレート・パウンド・ケーキも、 値段を考えると物足りない出来で、 おそらくアメリカというマーケットを意識してラインナップに加えたと思われる ブラウニー、パウンド・ケーキの2点には失望してしまったのだった。
でも写真上、左側のポピー・シードやグレインが入ったバゲットは、そのあまりの香ばしさに 一度買ってからヤミツキで、 以来、プレーンなバゲットを買うのを止めてしまったほど。




ケーキ類では タルトが非常にサックリと焼けている上に 甘すぎないので、気に入っているけれど、中でも一番美味しいのはアプリコットとピスタチオのタルト。 (写真上右側)
カフェ・カイザーのスタッフも 「このタルトが一番!」と薦めていて、同店のレビューの中でも絶賛されているアイテムなのだった。
加えて 私のペストリーのお気に入りは、ホワイト・チョコレート・ブリオッシュ。 大きなサイズのドーム型のブリオッシュが、気付くとあっという間に無くなっている美味しさ。 全てのペストリーやタルト&ケーキ類は、カフェ・エリアでオーダーすることが可能になっていて、 お値段はテイクアウトでも店内で味わっても同じに設定されているのだった。

カフェ・もベーカリーも、朝7時から夜11時までの営業。カフェ・エリアはリカー・ライセンスが無いので、ワインやシャンパンは味わえないけれど、 軽食を取るには最適のスポット。
私がこれまでトライしたサラダ、サンドウィッチなどは 全て美味しかったけれど、 1つ難を言うならば、クロック・ムッシュ、クロック・マダムという 本来2枚のパン・ドゥ・ミー(日本で言う食パン)で挟まれているべき ハム&チーズのグリル・サンドウィッチが、カントリー・スタイルのパンを使ったオープン・サンドウィッチになっているという点。(写真下右側がクロック・マダム)
味は美味しかったけれど、こんなオープン・サンドだったら自分で簡単に作れてしまうのに加えて、 本場フランスから来た フレンチ・ベーカリーが、クロック・ムッシュ&クロック・マダムをオープン・サンドにするという手抜きをして良いものか?というのも 疑問で、これについてはかなりガッカリしてしまったのだった。




そんなカフェ・エリアのコーヒーは、最高ではないけれど まずまずの味。 でもコーヒーよりも 私が美味しいと感じたのが紅茶で、ティーバックで淹れてはいるけれど、その使っているティーバックが 通常のアメリカのレストランで使われているものより ずっと味わい深いもので、紅茶の方がコーヒーよりも遥かに満足度が得られたのだった。

話をパンに戻せば、昨今買って気に入ったのが写真下の3つのパン。
上段左側は、アップル&シナモンのパン・ドゥ・ミーで、同店のパン・ドゥ・ミーは シットリしている上に、適度な重量感があるので気に入っているのだった。 食べきれない分は冷凍しておいて、フレンチ・トーストにすると、さらに美味しいのがこのパン。
右側は ウォルナッツ&レーズンで、 これはブランチの際にブレッド・バスケットに入っていたのを食べて、気に入って、 思わず買って帰ってしまったもの。
そして写真下、下段は チョコレートのパン・ドゥ・ミーで、これはチョコレートの生地にチョコレート・チップが入ったもの。 これは、私のダウンタウンのお気に入りベーカリー、バルタザールが週末にのみ発売する チョコレート・ブレッドにとても似ているけれど、それよりシットリしていて美味しい というのが私の感想。 このパンも、買うつもりは無かったけれど、試食を薦められて 美味しかったので 買ってしまったというチョイスなのだった。
この他、同店にはアメリカン・スタイルの巨大なチョコレート・チップ・クッキーや、マフィンなども揃っているけれど、 前述のパウンド・ケーキとブラウニーの経験から、同店のアメリカ的なアイテムにはあまり手を出したくないのが本音。 逆に、フィナンシエやマドレーヌは 優秀で、先日プレゼントした友達にも大喜びされてしまったのだった。





メゾン・カイザーは、アッパー・イースト店のオープンに続いて、既にあと2軒がマンハッタン内にオープンすることが決定しているとのこと
。 当初は、サード・アベニューを隔てて反対側に オープンした かつてのNY人気No.1のパティスリー、パイヤードとの競合が見込まれていたけれど、 現時点では、集客力という点では カフェ・カイザーの方が遥かに水を開けているという印象なのだった。

そのパイヤードは以前、ル・ベルナダンのペストリー・シェフだったフランソワ・パイヤードが アッパー・イーストサイドのレキシントン・アベニュー沿いにオープンしたパティスリーで、 長年人気を誇っていたけれど、レントの交渉で揉めたために 4年ほど前に撤退。 暫くはペストリーの卸売りに専念していたビジネス。
お値段はカフェ・カイザーよりも高めで、同店より数週間遅れて、サード・アベニュー沿いに新店舗をオープンし、 やはりペストリー・ショップとカフェを融合したビジネスを行なっているのだった。

ちなみに、かつてパイヤードが店舗を構えていたレキシントン・アベニューのロケーションは、 新たにアーリントン・クラブという ステーキハウス兼ナイトクラブ的な社交場としてオープン。 比較的店舗の入れ替わりが少なかったアッパー・イーストサイドも、ここへ来て大きく変わりそうな気配を見せているのだった。



Maison Kayser [Upper East Side]
1294 Third Avenue (between E. 74th and 75th St.),
Tel: 212-744-3100





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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