Dec. Week 1, 2011
” Murray's Cheese Gifts ”
” マレーズ・チーズ・ギフト ”



先日、久々に かつて一緒にフランス語を習っていた友達とディナーをしたら、過去2年近く その集まりに来ていなかった女友達が 久々に参加していたのだった。
彼女がディナーに参加していなかったのは、離婚の手続きや事後処理で忙しかったためで、 やっと離婚が成立して、新しいアパートに引越しを終えたのは11月のサンクスギヴィングの直前。 そこで、ハウス・ウォーミング(引越し後のパーティー)を兼ねて、彼女はこのホリデイ・シーズンにカクテル・パーティーを企画しているのだった。
彼女も私同様、今はフランス語のクラスは取っていなくて、離婚の手続きのフラストレーションを紛らすために彼女が通っていたというのが、 ワイン・テースティングや、ワインとチーズのペアリングのクラス。 もちろん、彼女はワインについて学びたいという気持ちはあったとはいうけれど、もっぱら新しい出会いを求めてそうしたクラスに通っていたそうで、 彼女のパーティーには そんなワインやチーズのクラスで出会った友人達を招待しているとのことなのだった。

そんな彼女が、新しいボーイフレンドに出会ったのが 9月に参加したカクテルのクラス。
今や、ニューヨークのナイト・シーンは空前のカクテル・ブームなので、カクテルのクラスに人が集まるのは良く理解できるけれど、 彼女が参加したカクテルのクラスは アマチュア・ミクソロジストのためのクラスだったそうで、 クリエイティブなカクテルの作り方や、グラスの選び方、ガーニッシュ(ドリンクにつける飾り)などのアイデアを簡単に学ぶクラスだったという。
今や ちょっと洒落たバーだと、バーテンダーのことは Mixologist / ミクソロジスト と呼ぶことが多いけれど、 ミクソロジストというのは、ここ数年で突如一般的になった言葉で、バーテンダーよりもクリエイティブなオリジナル・カクテルを作る人々を指す言葉。
マンハッタンでは、カクテルの平均価格が16〜20ドルというお値段になっているけれど、それだけの価格をチャージするにあたっては、 何らかのギミックがなければ 誰もオーダーしてくれないのは当然のこと。マティーニのアレンジだけサーブしていれば良いという時代はとっくの昔の話。
なので、今やホットなバーやラウンジ、高額なレストランでは ミクソロジストがエキゾティックなフルーツやリキュールを使ったオリジナル・カクテルを メニューにフィーチャーするのはもはや当たり前になっているのだった。

私の友達のカクテル・パーティーでは、新しいボーイフレンドがミクソロジストになって、パーティーのために彼がクリエイトした オリジナル・ドリンクを2種類サーブしてくれるとのことだったけれど、 実際、私がこの秋、友人に連れられて出かけた なかなかリッチな個人宅のパーティーでも、やはりプロのミクソロジストが雇われていて、4種類のカクテルをどんどん作ってはサーブしていたし、 ジョー・マローンがこの秋、新作フレグランス「ワイルド・ブルーベル」を発売した際に パークアベニュー・タウンハウスで行なったお披露目パーティーでも、 ジョー・マローンのインハウス・ミクソロジストがフレグランスのイメージに合わせて3種類のカクテルをデザインして、それをサーブしていたのだった。
今やニューヨークのような都市エリアのホーム・パーティーでは、ディナー・パーティーがどんどん減って、フィンガー・フードとちょっと変わったカクテルだけを楽しむパーティーが 主流になっているとのことで、それはホリデイ・シーズンに限ったことではないもの。 カクテル・パーティーの場合、ホストがカクテルを1〜2種類用意して、それを飲み干してしまった後、もしくはワインの方が好みというゲストのために、 ゲストが持参したワインを開けるというのが一般的になっているのだった。

ところで、そのカクテル・パーティーにチーズ・プレートを持参することになってしまったのが他ならぬ私なのだった。
どうしてチーズのペアリングのクラスを取っていた私の友人が、自分でチーズ・プレートを担当しないかといえば、 チーズのクラスの内容を殆ど覚えていない上に、そのクラスはグルメが多く、自分で選んだチーズについて逐一質問されたりするのが嫌だからだそうで、 ゲストが持参したチーズ・プレートであれば、彼らは何も言わないだろうというのが彼女の言い分。
とは言っても、彼女は最初は自分でチーズ・プレートをアレンジしようとしていて、 「どんなチーズを揃えれば良い?」と訊いて来たのだった。それに対して 「エイジド、ソフト、ファーム、ブルーの4種類を揃えるのが通常」と私が答えてしまったために、 「そこまで分かっているなら、チーズ・プレートを担当して欲しい」と言われてしまったのだった。




ちなみに エイジドとは熟成に時間が掛っているもので、匂いが強いイメージがあるけれど、フランスのコンテ・チーズやエイジド・チェダーなどを選べば、味に深みがあっても クセが無いので、誰にでも美味しく食べられるのだった。
ソフトは言わずと知れたクリーム系の柔らかいチーズ。 私がお薦めなのは 以前このコーナーでも書いたことがある フロマージュ・ダフィノア。 ブリーより若いチーズで、フルーツに合うので、チーズ・プレートには重宝なチーズ。
ファームは 硬いチーズのことで、マンチェゴ、ミモレット、そしてパルミジャーノ・レッジャーノなど、よく知られるチーズが多いのがこのカテゴリー。 個人的にはレジアーノ・チーズの塊を出して、ゲストがそれをチーズ・ナイフで砕きながらサーブするのがベストだと思うのだった。 レジアーノは、外側の”PARMIGIANO REGGIANO” のプリントが読み取れる量を買ってきて、チーズの出所が分かるようにサーブするのが 正しい出し方。またナイフでスライスしてしまうとテクスチャーが変わるだけなく、味まで変わって感じられるので、 専用の砕くナイフを付けてサーブするのが一般的。(写真中央、右)
4番目のブルーは、もちろんブルー・チーズのことで 最も 好き 嫌い に別れるのが青かびが強く香るこのカテゴリー。ブルー・チーズといえば代表的なのが、 フランスのロックフォール(英語の発音はロックフォート)だけれど、カクテル・パーティーに私が薦めるのは、ロックフォール、英国のスティルトンと共に 世界3大ブルーチーズの1つになっているイタリアのゴルゴンゾーラ。中でも私が選ぶのは塩分が控えめで、青かびが少なめのゴルゴンゾーラ・ドルチェ。(写真左)
ブルー・チーズというと、「ハチミツなど甘いものと一緒に食べるべき」と考えられがちであるけれど、ゴルゴンゾーラ・ドルチェに関しては、サラダのトッピングにしたり、 生ハムで巻いたり等、様々な味わい方が出来るのが私が気に入っている点。ロックフォールが苦手という人でもゴルゴンゾーラ・ドルチェのカビが少ない部分は 喜んで食べたりするのだった。
ちなみに、ブルーチーズは買ってみて匂いが強すぎた場合は、クリーム・チーズと混ぜることによって救うことが出来るのだった。

ところで、チーズ・プレートを任されるということはチーズだけでなく、チーズと一緒に味わうフルーツ、ナッツ、ジャムやハニー、クラッカーやパンなども 私が担当するということ。でもさすがにそこまでするのはちょっと荷が重いので、ディナーに居合わせた友達がフレッシュ&ドライ・フルーツやパン、ナッツ、オリーブなどは、 私が頼んだものを買ってきてくれることになって、私はもっぱらチーズ選びに専念することになったけれど、 パーティー・ホストである友人からのリクエストというのが、「チーズ通の友達を喜ばせるために、何か変わったチーズを入れて欲しい」とのこと。 
そこで、私がいつもチーズを買っている、アッパー・ウエストサイドのゼイバーと、ウェスト・ヴィレッジ&グランド・セントラル内にストアを構えるマレーズ・チーズで リサーチを始めたところ、マレーズがホリデイ用のチーズ・ギフト・セットを出しているのに気付いたのだった。
内容をチェックすると、サラミやクラッカー、ナッツやドライフルーツなどをセットにした数種類のギフト・セットが様々な価格帯で揃っていたけれど、 中でも私が興味を引かれたのが写真一番上の”ザ・ニューヨーカー” というセット。

これには3種類のニューヨーク産のチーズとニューヨーク産のハチミツ、メイド・イン・ニューヨークのソルト・チョコレート、メイド・イン・ニューヨークのシーソルトのクラッカー、 そして ブルックリン・スレート・ボードと呼ばれるチーズ用のプレートがセットになったもの。

気になるチーズのラインナップは、オールド・チャサム・シェーカー・ブルーと呼ばれるクセが無いブルーチーズと、60日以上熟成させたツイン・メープル・ファームの ”ハドソン・レッド”と呼ばれるセミ・クリーム・チーズ。 3つ目は私が個人的に最も興味があるネトル・ミドウ・キュニック。これは牛とヤギのミルクのミックスから作られたクリーミーなチーズで、シャンパンやフルーツ、 イチジクのジャムに合うチーズ。 様々なメディアのレビューアーから「他に無いデリケートでラグジュアリーなチーズ」と絶賛されているのだった。
このラインナップは、いずれも生産が少なく、流通が限られているので非常に珍しいチーズ。 ニューヨーク産で最も出回っているチーズと言えば、圧倒的にチェダーであるだけに、チェダー以外のニューヨーク・チーズが味わえるのは興味深い体験なのだった。
いずれにしても、この3つのチーズで、ブルー、エイジド、ソフトが満たされているので、あとはパルミジャーノ・レッジャーノか、同じくイタリア製のアシアゴなどを ファーム・チーズとして加えて、プレートを完成させようというのが私のプランなのだった。




私の友達のカクテル・パティーは、20〜25人程度のゲストを見込んでいるとのことだけれど、このくらいの人数になると、 チーズの担当者としてやらなければならないのが、各チーズにその名前や情報を記載したカードを付けること。 最低でもチーズの名前くらいは明記しておくのがマナー。
そうでないと、ホストはパーティーの間中、チーズの種類を訊かれることになるし、私とて、ずっとチーズの説明をしなければならない羽目になったりするのだった。 チーズというのは、それほどまでにカンバセーション・ピースになりうるもの。 しかもチーズとワインのペアリングのクラスを取ったようなゲストが来るのであれば、尚のことなのだった。
ちなみに、私が選んだ”ザ・ニューヨーカー”のセットに含まれている ブルックリン・スレート・ボードというネーミングのチーズ用プレートは、 写真上のようにチーズの名前をそのままボードに書き込むことが出来る黒板のようなプレート。なので、急いでチーズの名前を書くのには とても便利なのだった。

私は チーズは本当に大好きで、 昨今はレストランでデザートよりも、 デザート・ワインとチーズ・プレートをオーダーするケースが増えているのだった。 それだけでなく、日頃の朝食でも 昼食でも食べるのがチーズ。
チーズはパスタにもサラダにも、肉料理やデザートにも使うし、ご飯と合わせて”チーズ・ライス”なるものを作ることさえあるのだった。 これは、卵かけご飯にキューブ状にカットしたチーズを混ぜてフライパンで焼くという極めてシンプルなメニュー。 パンケーキのように平たい円形にして、焦げ目がつくまで両面を焼く場合と、かき混ぜながら 卵に火が通ってチーズが溶け出すまで炒める場合があるけれど、醤油と卵とチーズのコンビネーションが外国人にも好まれて、 こんな手が掛らないものが絶賛されてしまったりするのだった。

http://www.murrayscheese.com/





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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