Dec. Week 1, 2012
”Judith Leiber Evening Bag”
”ジュディス・リーバー・イヴニング・バッグ ”



以前、頻繁に ブラック・タイ・オケージョンに出席している メガ・リッチの夫人が語っていたのが、「ジュディス・リーバーのイヴニング・バッグを 幾つ持っているかで、その人の社交ライフが分かる」という台詞。
これは 確かに言い得ている部分はあって、フォーマル度の高いパーティーに縁が無いライフスタイルの人にとって、 ジュディス・リーバーのイヴニング・バッグは無用の長物。 もう何年も前に、ローワー・イーストサイドのラウンジ・レストランに出掛けた際、 当時の女友達が ジュディス・リーバーのクリスタルを全面にあしらったイヴニング・バッグを 普通のワンピース姿に持って現れたのを見て、 その場に居た友達と ギョッとしたのを覚えているけれど、これは かなり場違いなイメージ。
セレブリティでさえ、レッド・カーペットの上でしか持たないバッグであるから、パーティー以外のオケージョンで持つのは ちょっとトゥーマッチだと思うのだった。

このメガ・リッチ夫人のジェネレーションのパーティー・ゴーワーは、ジュディス・リーバーのバッグをファベルジェ・エッグと同じように 集めていて、ジュディス・リーバーのコレクター・ヴァージョンのバッグを部屋のインテリアのように並べて飾っていた世代。 そのコレクションの中には、アスパラガス、マルチーズ、パンダなど、バッグとして持ち歩くには ちょっと首をかしげるような モチーフも多かったのが実情。
TV版の「セックス・アンド・ザ・シティ 」の中でも、七面鳥の形をしたジュディス・リーバーの クリスタル・イヴニング・バッグを ミスター・ビッグに プレゼントされたサラー・ジェシカ・パーカー扮するキャリーが、 戸惑うシーンが出てきたけれど、そのキャリー世代は現在の40代。 確かに観察していると、この世代以下には、ジュディス・リーバー・コレクターというのは、殆ど見かけないという印象なのだった。





とは言っても、クリスマスやニューイヤーのフォーマルなパーティーや、ウェディングなどブラック・タイのオケージョンになると、 他のブランドのバッグよりも 目を引くのがジュディス・リーバーのイヴニング・バッグ。
実は 私はジュディス・リーバーのイヴニング・バッグを4つ持っているけれど 昨今はあまり使わないこと、 加えてジュディス・リーバーは再販価格が とても高いので、今年のパーティー・シーズン直前に リセール・ショップで、そのうちの2つを売ってしまおうとを考えたのだった。
ところが、ウェブサイトでリサーチしたところ、総クリスタルのバッグは 3,400〜5,000ドル, それ以外のバッグも殆どが2000ドル以上。これをもう8年〜10年前に、サンプル・セールでそれよりずっと安く買っていた私は、 売ったら利ざやが取れるという考えより、「今から この値段は払いたくない」という気持が強くなって、 売るのを止めて、キープすることにしたのだった。
ちなみに、写真上の4つのバッグは全てジュディス・リーバーのものであるけれど、 一番お値段が高いのが、上段右側のイリシデント・クロコダイルのクラッチ・バッグでお値段は課税前で6,995ドル。課税後の お値段を日本円に換算すると 約61万円で、イヴニング・バッグという小さなバッグとしては非常に高額なのだった。

ジュディス・リーバーのバッグを 私が昨今それほど使わない理由の1つは、中味が入らないためで、 スマートフォンなど持ち歩かない時代であれば、ミラーとリップ・スティック、キー・ホールダーなど 必要なものだけ入れるのに十分なキャパシティがあったけれど、アイフォンを入れて、他のものを入れようとすると、 かなり厳しいのがジュディス・リーバーのバッグ。 手持ちのバッグのうちの1つは、アイフォンを入れたら口が閉まらない小ささで、 私の場合、昨今はイヴニング・バッグというと、写真下、上段左側の ボッテガ・ヴェネタのノット・クラッチが、キャパシティがあるのでお気に入りになっているのだった。





ボッテガのノット・クラッチは、シーズンごとに異なるバリエーションが登場しており、 エマ・ストーン、ニコル・キッドマンなど、数え切れないほどのセレブリティが愛用しているけれど、 それ以外で 現在人気が高いイヴニング・バッグと言えるのは、まず 写真上、上段右のマルケーザ。
2010年から イヴニング・バッグを手掛け始めた同ブランドであるけれど、クリスタルをふんだんに使ったバッグは、ジュディス・リーバーとは異なるゴージャスさ。 おそらく今、最もデコラティブなバッグをクリエイトしている と言えるのがマルケーザなのだった。

写真上、下段左は モダンなフォルムと最高級のエキゾティック・スキンで人気のVBH(ヴィー・ビー・エイチ)のエンヴェロープ・バッグ。 同バッグはリザードや、スネーク・スキン素材のバッグがデイタイム用としてもクリエイトされているけれど、 メタリック素材やラメ素材を用いたものは、やはりセレブリティがレッド・カーペット上で愛用。 サイズは大小あるけれど、大きい方が人気になっているのだった。

そして写真上、下段右は、アレキサンダー・マックィーンのスカル・クラッチ。 同クラッチは、シーズンごとに様々な素材が登場していて、それを幾つも集めている ファッショニスタも居るバッグ。 スカルは、バッグのハンドル代わりになる4つのリングの上にあしらわれている場合と、バッグの留め金として中央に1つだけ あしらわれているデザインがあるのだった。

かつては、フォーマル・バッグの金字塔ブランドと言えば、誰もが真っ先に名前を上げたのがジュディス・リーバーであったけれど、 今では こうしたスタイルが どんどん追随していて、新しいモダン・クラシックになりつつあるのが実情。
それでも、フォーマル・バッグの世界に ジュディス・リーバーが残した多大な功績は、誰にも否定出来ないのだった。
私は 未だ90年代前半、マガジンのエディターをしていた時代に、生前のジュディス・リーバー本人に取材の際に お目にかかっているけれど、当時のジュディス・リーバーは ミッドタウン20丁目代のコリアン・タウンにオフィス兼アトリエがあって、 そこで、韓国人と思しき女性達が、ピンセットでクリスタルを1つ1つ装着して、バッグをクリエイトしていたのだった。
その後 ジュディス・リーバーは、買収されて、生産もショールームも別のロケーションに移ったけれど、 私個人としては、当時のショールームで ジュディス・リーバー本人に見せてもらった彼女の作品の数々の方が、 現在よりコマーシャライズされていない分、クラシックにゴージャスで、 万華鏡を見るようなファンタジックな ものが多いと思うのだった。

もちろん 今のシーズンの商品も、ジュディス・リーバーらしさを残してはいるけれど、 同ブランドのウェブサイトで見つけた 全くジュディス・リーバーらしくないものと言えるのが、 2012年のホリデイ・シーズンからデビューした 低価格ライン、”Overture / オバーチャー”。 お値段は200ドル〜400ドル台であるけれど、当然のことながら ジュディス・リーバー独得の高額オーラが全く感じられないラインナップ。
このクラスの商品に、このお値段を払うのだったら、安価なアパレルの100ドル程度のイブニング用クラッチ・バッグを 購入した方が、ベター・バリューなのでは?というのが私の意見なのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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