Dec. Week 3, 2013
”Michael Kors Beauty ”
”マイケル・コース・ビューティー ”


2014〜2015年にかけて見込まれているのが、ファッション・ブランドのIPO(株式公開)ブームであるけれど、 その火付け役となったのが マイケル・コース。
彼が自らのブランドを立ち上げたのは、1981年のことであったけれど、そんな彼が ファッショニスタの間だけでなく、一般の人々の間でも知名度をアップするきっかけになったのが、 リアリティTV「プロジェクト・ランウェイ」にジャッジとして出演するようになってから。
そして2011年12月15日にIPOを行ったマイケル・コースの株価は その日のうちに20%アップ。 1年後には106%の上昇を記録して、ファッション・ブランド株としては 最もサクセスフルな 株式公開となったのはもちろん、ファッション株が 投資家にアピールすることを立証する存在になったのだった。

マイケル・コース自身も、この株式公開によってビリオネア(10億ドル長者)の仲間入りを果たしているけれど、 このサクセスが、多くのファッション・ブランドの株式公開意欲をかき立てたのは言うまでもないこと。 目下、マイケル・コースに続いてIPOをもくろんでいるブランドとして名前を連ねているのは、 マーク・ジェイコブス、ダイアン・フォン・ファーステンバーグ、トリー・バーチ、そして 90年代にIPOを試みて諦めたドナ・キャラン、等。
中でもマーク・ジェイコブスは、自分のブランドの株式公開の野心が高まって、 ルイ・ヴィトンのデザイナーを続ける意欲が失せてしまったことが、 ルイ・ヴィトンとのデザイナー契約を更新しなかった要因と伝えられているのだった。

実際のところ、雇われてデザイナーをしているだけならば、たとえそれがルイ・ヴィトンでもシャネルでも、給与は契約で決まった通りの金額。 ところが自分のブランドの株式が公開された場合は、その所有する自社株の価値だけで、 ビリオネアになれてしまう訳で、このファッション業界のIPOブームの影響で、 今後若手のデザイナーが クリエイティブなファッションよりも 商業的サクセスを狙ったブランド、 多角的に展開し易いブランドの確立に走ることが見込まれているのだった。





株式を公開するということは、それだけビジネスの金回りが良くなるということ。
マイケル・コースの場合、それがプロダクト・ラインに如実に現れていると指摘されていて、 今やアメリカのティーンエイジャーや20代の女性が、コーチやプラダのバッグよりも 買いたいと思っているのがマイケル・コースのバッグ。
加えて ”マイケル・バイ・マイケル・コース”、”コース・バイ・マイケル・コース”といった セカンダリー・ラインも 益々売上げを伸ばしていることが伝えられているのだった。

そして そんなノリにノッているマイケル・コースが、現在を拡大を図っている真っ最中なのが 彼のビューティー・ライン。 既に2000年代前半にフレグランス・ラインをスタートさせていたマイケル・コースであるけれど、 現在拡大を進めているのはコスメティックを含めた、総合的なビューティー・ライン。
このコーナーで、以前 マーク・ジェイコブスのビューティー・ラインをご紹介したことがあるけれど、 トータルなコスメティック・ラインとしてより完成されていると同時に、プロダクトのフォーミュラに斬新さが見られるのは断然マーク・ジェイコブスのライン。
マイケル・コースのラインはそれに比べるとシンプルで、プロダクト数も限られているけれど、 カラー・センスの良さはさすがにデザイナー・コスメティックという印象。 また スポーティー、セクシー、グラム(グラマラス)という3つの キャラクターでメークアップ・ラインが構築されていて、自分が演出したいキャラクターのラインから プロダクトを選べば良いというシンプルなメソッド。
この3つのキャラクターは、マイケル・コースが服をデザインする際にターゲットとする女性像であるというけれど、 コスメティック・ラインの中には、この3つのキャラクターから外れたカラーは含まれて居ないので、 どのカラーを選んでも、マイケル・コースのランウェイ・モデルのような都会的で洗練されたメークに仕上がるのだった。

そんなメークアップ・ラインに比べると、冒険的なカラーが見られるのがネールのコレクション。 でもそのカラー・ラインナップは、いずれも高いジュエリーが引き立ちそうなものばかり。
そもそもジェットセッターが好む マイケル・コースだけあって、 リッチで、個性的なジュエリーを身につける女性達が ネール・カラー・パレットのミューズになっているのだった。





ところで拡大するマイケル・コースのビジネスの中で、 最もサクセスフルであると言われるのが 実は時計のライン。
ロレックスのデイトナをモデルにした、直径35mm〜43mmの大判のスポーツ・スタイルのウォッチは、 それまでファッショニスタの間でのみ広まっていたメンズ・ウォッチのトレンドを、 一般女性の間に大きく広めたと言われる存在。
そんなマイケル・コースの時計は、ヴィクトリア・ベッカムのようなセレブリティでさえ愛用しているけれど、 一般女性の間では、ブレスレットとのレイヤーを楽しみながら身につけるのが 過去2年ほど続いているトレンド。 2013年に入ってからは ローズ・ゴールドのクロノグラフが 彼のウォッチ・ラインのベストセラーになっているのだった。
ウォッチ・ラインの価格帯は250〜550ドルと手頃であるけれど、 昨今 時計というのは 生産コストが低いアイテムの1つ。 なので、マイケル・コースにとってウォッチ・ラインは、利益率の高いドル箱ビジネスになっているのだった。

そんな時計同様に 利益率が高いのがフレグランスを含むビューティー・プロダクト。
ファッション・デザイナーというのは 本業である服だけを売っていたら、なかなかリッチになれないものの、 一度知名度がアップして、コスメティックやアクセサリーのラインを手掛けるようになると、途端に大金持ちになれる職業。
グッチやルイ・ヴィトンにしても、その売上げを支えているのは、キーホールルダーや財布を購入してくれる一般大衆で、 決してランウェイのアパレルを買い漁るミリオネアやビリオネアではないのだった。





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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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