Real Real-Estate Story in Brooklyn, NY
by Keiko Matsumura


ブルックリンを舞台にした不動産の実話コラム by 松村 京子

Vo.3 Nov. 2014




1. Buyers Profile / バイヤー・プロフィール



今回のお客様は、前回の記事で登場した家族。 ブルックリンで投資物件を探していたけど、「結局 ブルックリンは実はそんなに投資としてお得感が無いのでは?」、 「皆がブルックリンに気をとられている今、実はマンハッタンの方が投資物件があるのでは?」と、気を取り直してマンハッタンを探し始めたカップル。


2.Why & What She Bought / 購入物件と、購入のきっかけ、動機



2012年末、ブルックリンにバークレー・センター(NBA、ブルックリン・ネッツの本拠地、写真上左)がオープンしてからというもの、 益々ブルックリンの開発が進み、2014年には ここが以前はどんなエリアだったのかも思い出せないほど見違えるようになったのは周知の通り。
当然、そのあたりにはマンハッタン並みに質の高い、高額コンドミニアムが建ち始め、 とてもじゃないけれど 「ブルックリンで不動産を購入しよう!」なんて気持になれない価格のものばかり。 そんな値段を出してまでブルックリンにこだわる理由って? ブルックリンに住みたい人の気持は理解できるけれど、 投資物件なのだから、そんなに感情移入しなくてもいいのでは?
そもそもパークスロープに住むカップルにとって、ブルックリンで投資物件を探すのは、単に地域が把握し易く、管理がし易いという理由。 でも投資であれば、「リターンの良い物件を購入するべき」 ということで、ブルックリンを諦めてマンハッタンで検索をかけることにしたのだった。


3.Our Encounter / 私とバイヤーのの出会い


前回のコラムに登場したバイヤーなので、前回のコラムをご参照のこと。




4.Game Plan / 購入に至るまでのアプローチ&プロセス



マンハッタンは、東京の世田谷区と同じサイズ。とは言っても様々なエリアがあって、低所得者が多く暮らすワシントン・ハイツ(写真上左)だって、 高額所得者しか物件を購入できないソーホー(写真上右)だって同じマンハッタン。 その不動産価格差は2倍以上、もしくは3倍はくだらない。
アメリカの不動産価格は、1スクエア・フィート当たりのお値段で比較するケースが殆どであるけれど、 ワシントンハイツ辺りだったら 1スクエア・フィートあたりのお値段は$1000。それがソーホーのコンドミニアムになると1スクエア・フィートで$3000。 地下鉄の便が良く、将来もっとアッパーイースト化が進んでくれば、雰囲気が変わって不動産価値が上がるのでは?と思われるのは イースト・ハーレム。近年、イースト・ハーレムにも新築のコンドミニアムが建ち始めている。 ミッドタウンの通勤に非常に便利な上に、モダンで住み易そうなアパートが アッパー・イーストの物件よりも 15〜30%くらい割安に価格設定されているのだった。

マンハッタンとは馴染みが無いものの、投資物件としてのリターンを考慮したバイヤー・カップルは、 ウエスト・ハーレム、セントラル・ハーレム、ワシントン・ハイツ、インウッド、モーニング・ハイツ、イースト・ハーレムといったマンハッタンの北側のエリアを 次々と見始めることに…。




5.Making Action / 購入のためのアクティビティ



見始めたといっても、物件を購入するエリアを絞り込むまでは 気軽にオープンハウスに行って、 その後は近隣を歩いて、自分の目で時間を掛けて見て回るのが良いということで、私は同行しないことに。
毎週末、夫婦でマンハッタンに出かけて、「ニューヨークに住んでるのに、まるで観光客のように歩き回って楽しいよぉ」と 月曜日になるとレポートがくる有様。

ウエストサイドのモーニング・ハイツ(写真上左)あたりは交通の便も良く、コロンビア大学にも近いから、物件を購入しても 賃貸には困らないのでは?という印象。 ところがモーニング・ハイツには 新築物件がさほど無くて、殆どが築30〜60年くらいのアパートメント・ビルディング。 それも趣があって良いけれど、実はレイルロード形式と言われるビル多く、廊下ばかりが広くて、長くて、 肝心の住居スペースが小さいアパートが多かったりする。 すると、特にコンドミニアムは1スクエア・フィート当たりの価格×アパートの広さ(スクエア・フィーと数)で売買価格が決まるため、 居住空間としては使えない廊下のスペースに余分にお金を払うことになってしまうのがこの手の物件。 すなわち、投資物件としてはお得感が無い物件ばかり。

するとイーストハーレムで築5年以内、最寄の駅から徒歩7分の物件があり、 「そこなら投資物件としていけるかも?」ということでオファーをすることにした。
でもカップルは 「まぁ、この程度でいいよね?」という感じで、そんなに乗り気ではない。 計算すると、投資物件としては十分に魅力的、これから益々、イースト・ハーレムの開発が進めば更なるリターンもある。 にも関わらずバイヤーのテンションは低い。オファーをした後、2日間考えたものの、私自身も 「絶対、この物件が良い!」っと、強く言えないのは…?

「何かつまらないんだよねぇ〜」、「こんな大金を叩くのにドキドキやワクワク感が全く沸かないのってどう思う?」というのが夫婦の言い分。 「知るかぁ〜!」と言いたいところだけれど、「何か分かる!何故だろうね〜」と一緒に考えた挙句、「条件としてはクリアしていても、 気分が乗らないのなら辞めましょうす!」ということになった。
ふと考えると、何てやる気の無いグータラ不動産ブローカー! でも、売るからには私も購入者と一緒にエキサイトメントやハピネスを味わいたいし、 それが私にとってのビジネスの醍醐味なのだった。





6.Close or Break the Deal / 売買成立 or 不成立?



「何だかマンハッタンってやっぱり慣れないわ、私達。田舎者だから…(笑)」というカップル。 そこで、ブルックリンの今まで見た事が無いエリア、正直見たいとも、行きたいとも思わなかったエリアも見てみましょう!ということになった。
でもカップルは ブルックリンで 高級住宅地とされるパークスロープにどっぷり漬かってるから、 何処を勧めても「えぇ〜、ここ?こんなところは無理!」といわれそうで、「そんなことないですよ〜」と説得するのには時間が掛かりそう。 私だったら、ブルックリンのどのエリアでも その地域のメリットや魅力を知っているので、物件さえ気に入ればOKだけれど、 この2人はエリアを選ぶ段階から気難しいのは前回のコラムの通り。 なので、フォーエバーに気に入った物件など見つからないかも…と思い始めていた。
そうするうちに、「フラットブッシュだけど、良い物件があるから 日曜のオープンハウスを見に行って来る」と言い出した2人。 フラットブッシュと聞いた途端の私のリアクションは「多分、無理だろうなぁ、2人して半ベソかいて戻ってくるのでは…?」というもの。 ところが、その2人からオープンハウスの場から電話が掛かってきた。
「凄く気に入っちゃったから、オファーしたいんだけど、エージェントに何て言えば良い?」 えぇ?まさかぁ! あのフラットブッシュの物件を気に入るとは・・・。実は私はフラットブッシュは好きだけど、よりによってこの2人が気に入るとは…。


7.Keiko's Summery / この取引についての私が思うところ



一旦はマンハッタンに目を向け始めた夫婦だが、彼らの投資には 「自分達のコンフォート・ゾーン内で」ということが とても大切な条件であったことを、散々いろいろな物件を見て回った結果、気が付いたというのが今回のケース。
実は購入が決まったフラットブッシュの物件は、現在マーケットに出ている中で、1スクエアーフィート当たりの価格が最も高いもの。 人によっては、「この物件を この価格で買う人なんて居るんだ」と感じるかもしれない物件。 でも 彼らは、いろいろな物件を見て考えた挙句、あくまでも将来 確実に値上がりするであろう物件、そして自分達も住みたいと思うロケーションでの購入を 明確な条件にしていたので、そう腹が決まってからは 多少の価格差では決断が揺らぐことは無かったのが実情。
私自身も、不動産ブローカーとして この購入は「手堅い投資」と言い切れるので、近い将来、このカップルと「あの時、この物件をこの値段で購入したけど、 私達、間違っていなかったね」と言い合える日が必ず来ると確信しているのだった。


第2回 Open House Tour By Keiko + Dinner Club Joint Event のお知らせ

日時: 12月 13日(土曜日) 午前11時〜午後2時程度まで (時間帯がずれる可能性があります)
今回のオープンハウス・ツアーは、ディナー・クラブとのジョイント・イベントとして開催いたします。
ブルックリンで不動産価値が上がりに上がってしまったウィリアムスバーグなどに続いて、 今、物件価格がどんどん上昇しているブッシュウィック・エリアで、オープンハウスに出かけた後、 ブッシュウィックのヒップスター・レストラン、あのビル・クリントン元大統領も そのナポリ・スタイルの名物ピザを食べに訪れた ロベルタで、ブランチをしながらの、 松村京子さんとの不動産ディスカッションとなります。
今回は、ディナー・クラブとのジョイント・イベントなので、会費はゼロで オープンハウス・ツアーを楽しんでいただけます。 また今回は、ディナー・クラブにお申し込みをされていない方のご参加も受け付けています。

詳細は、ディナー・クラブのスケジュールのセクションでご説明しています。


★執筆者 プロフィール ★
松村京子 不動産ブローカー。
千葉県出身、1988年渡米。コネチカット州立大学のビジネス専攻、卒業後、ニューヨークにある日系証券会社に9年間勤務。 ニューヨークの不動産賃貸マーケットの値上がりを察知し、1993年に居住目的の不動産を購入。 その自身の不動産購入がきっかけで、ニューヨークの不動産マーケットに興味を持つようになる。
9・11のテロをきっかけに、オフィスと自宅の行き来だけでニューヨークに住むのではなく、もっとニューヨークらしさが満喫できる仕事がしたいと考え、 大手不動産会社、Corcoran Group / コーコラン・グループに入社。以来、日本人だけでなく、 諸外国のクライアントを抱え、不動産ブローカーとして活躍。
現在ブルックリンでセラピー犬と暮らし、動物保護のボランティアにも熱心な毎日を送っている。

松村京子さんへのお問い合わせ先: kei@corcoran.com

Will New York 宿泊施設滞在



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